アコースティック・セッションユニット「ぷらそにか」、個性と実力を見せつけた4周年記念公演を観た
ぷらそにか | 2020.09.04
アコースティック・セッションユニット「ぷらそにか」が8月24日にマイナビBLITZ赤坂にて、無観客による配信ライブ、ぷらそにカーニバル2020「4th Anniversary Online Fes.」を開催した。
“ぷらそにか”とは、それぞれが個々で活動しているシンガーソングライターによるアコースティック・セッションユニット。2016年8月から活動を始め、毎週金曜日にカバー曲を中心とした動画をYouTubeの公式チャンネルで公開。これまでにSNS世代のラブソング・アーティスト“Kamin”やドラマ『女子グルメバーガー部』や『あの子が生まれる・・・』の主題歌を担当している“eill”なども過去に参加し、現在は“YOASOBI”でボーカルを務めるikuraとして一躍注目を集めることとなったシンガーソングライターの幾田りらや、この夏にメジャーデビューを果たした男女混成の4人組ポップバンド“Hi Cheers!”のメンバーを含め、東京メンバー17名、名古屋メンバー8名、大阪メンバー6名の計31名が在籍している。この日は、“ぷらそにか”が毎年、動画を初投稿した8月に行っている周年記念イベントで、カバー曲を中心にしたセッションを展開。恵比寿天窓.switch、原宿ストロボカフェ、南青山・月見ル君想フ、渋谷WWW Xと少しずつ規模を大きくしていたが、4回目となる4周年記念公演は、史上最大規模のライブとなった。
配信開始までの1時間は、過去のカバー音源を流しながら、何のカバー動画のスクショかを当てる「スクショQUIZ」が行われており、チャットでは、クイズの答えと、BGMとして流れているカバー音源から聴こえる卒業生たちの歌声の思い出などが入り乱れ、これから始まるセッションへの期待感とともに大いに盛り上がっていた。そして、開演時間になるとメンバーを紹介するオープニング映像が流れ、“ぷらそにか”のオリジナル曲「僕らはPOP」で賑やかに開幕。この日は不参加だった月川玲を除く東京メンバー17名はマフラータオルを手に登壇し、みきまりあによる「楽しんでいきましょう」という呼びかけで始まったが、多くのメンバーはやや緊張した面持ちだった。しかし、2番のサビで、久保琴音が場の空気に動じない独特の歌声を発したあたりからムードが変わり、続く小玉ひかりが笑顔をみせると、メンバーから「レイチェル」と呼ばれる水谷玲は胸に手を当ててしっかりと歌い上げ、早希も心が晴れるような見事なハイトーンを響かせた。続く、7人のメンバーで足踏み&手拍子しながら歌ったOfficial髭男dism「I LOVE…」のカバーにはまだ緊張感も少し漂っていたが、他のメンバーにはないR&Bシンガーとしての資質を感じるmasaや歌詞世界を動きでもユニークに表現する高村風太、独自の歌唱法が目を引く美稀、アコースティックギターを弾きながらなんとも言えない雰囲気を醸し出す成田あよりらが個性を発揮していた。
セットチェンジ中のカメラは、ひな壇が設けられたMC席に向けられ、メンバーが入れ替わり立ち替わりでMCを担当。オープニングトークでは幾田がYouTubeのチャンネル登録者が14.2万人を突破したことを報告し、10万人を突破すると贈呈される銀の盾をお披露目。ぷらそにかのまとめ役として活躍してきた上野正明による「画面のみなさんも一緒になって“何なん?”と叫んでください」という前振りから、10人編成の藤井風「何なんw」へ。幾田、小玉、菜摘、西山の4人によるアカペラからスタート。聴き手の心を震わす幾田、チャーミングでキュートな小玉、ブルージーでコブシの効いた菜摘、テンションと勢いを一気に引き上げた西山晃世。Chieのアコギや高村のアウトロのキーボードを含め、ハモからソロ、集団から個へと視聴者の興味を引く構成が素晴らしかった。
ここで、“ぷらそにか大阪”に中継を繋ぎ、えみほの、葉音、ぺんぺん、小松音、有彩、れなの6名と「夏の思い出」トークを繰り広げ、有彩の「夏フェスに行きたかったけど、今年は行けなかったので、皆さんに夏フェス気分を味わってもらおうと思いました」という言葉で、SHISHAMO「君と夏フェス」を軽快にパフォーマンスした収録映像が流された。そして、“ぷらそにか東京”のステージに戻ると、Kamin「ありよりのあり」のカバーではスペシャルゲストとしてオリジナルアーティストであるKaminが登場。早希と肩を組みながらパワフルな歌声を聴かせたKaminは「ぷらそにか、4周年おめでとうございます」と祝い、「実は元メンバーなんです。戻って歌っちゃいました。ただいま!」と明かすと、チャットは「おかえり!」という声で溢れかえっていた。続いては、東京から名古屋に移住し、3年ぶりのぷらフェス出演となる初期メンバーとして東京のメンバーと一緒に活動していたmiku卍が在籍する“ぷらそにか名古屋”へ。miku卍、璃宮、西浜拓馬、wata、テレビ電話出演だったLanaに、山下かのん&あずみ&RiKOという中学生トリオの8名で、「ひたすら名古屋の曲です」というぷらそにか名古屋としては初のオリジナルソング「でら」を披露。歌詞の通り、楽しい歌を楽しく届け、アフタートークからもmikuと璃宮を中心にした普段の和や(名古屋)かな雰囲気が伝わり、観客である視聴者をほっこりとさせていた。
RADMIMPS「そっけない」のカバーからは後半戦へと突入。ピアノを弾きながら歌った小玉ひかりのシャープな可愛らしさ、本格派としての存在感が際立つ久保琴音と菜摘による、この二人にしか出せない大人のムード、男女のハーモニーによって与えられる新解釈、そして、最後の最後、歌い終わった後まで観客を惹きつける幾田の吸引力と没入力。8名それぞれの声のキャラクターを感じることができる泣ける曲から、女性6名による、あいみょん「空の青さを知る人よ」のカバーに。初見でも美稀のファルセットボイスには惹きつけられるだろうし、早希はやはり明るい広がりを見せてくれるし、成田あよりが醸し出すオーラは味わい深かった。幾田が東京海上日動あんしん生命のCMソングとしてカバーしたスキマスイッチ「全力少年」では、幾田と早希が抜群のハーモニーを響かせ、みきまりあはカメラに向かってアピールし、suzuもタンバリンを叩きながら楽しく歌唱。日々の鬱憤を爽快に吹き飛ばしてくれるようなセッションだった。
最後の曲を前に、メンバーから「天使」と称される元松美紅が10月12日から16日の5日間にわたり、「ぷらそにか5days配信ライブ」を開催することを発表した。このライブはカバー曲ではなく、それぞれのソロステージになる予定。大人数のセッションよりもソロの方が輝くメンバーもいるだろうから楽しみでならない。そして、この日のライブをもってぷらそにかを卒業するHi Cheers!(上野、高村、Chie、月川)のメンバーを代表して上野が「ぷらそにかのメンバーとスタッフがいなかったら音楽をやめていたと思う。本当に幸せものです。ありがとうございました」と感謝の気持ちを伝え、卒業していく上野&Chieに、今後のぷらそにかを牽引していくであろうてつと&西山晃世を加えた楽器編成で、2周年記念イベントから定番となっているオリジナル曲「We’re always with you」を全員で熱唱。てつととしっかりとアイコンタクトを取りながら声を重ねていた菜摘は泣き笑いの表情で、隣で涙を流している高村と肩を組んで歌い、ムードメーカーのみきまりあは残ったエネルギーを発散するかのようにラップ。Chieは笑顔を見せるが、suzuは泣いており、悲喜交々の表情を見せる中でも久保琴音はしっかりと世界観を作り、幾田はカメラの向こうにいる観客に向けて歌を届けた。そして、キーボードを弾くてつとにバトンを渡すかのように、上野、chie、高村が囲んで歌い、高村の「ぷらそにかが大好きです!」という絶叫とともに、約1時間40分に及んだオンラインフェスは幕を下ろした。
なお、ぷらそにかは公演終了後にオフィシャルHPを開設した。また、“ぷらそにか東京”は10/12~16に5days配信ライブを開催。“ぷらそにか名古屋”は9/7に単独配信ライブを、“ぷらそにか大阪”は9/9に単独配信ライブの開催を予定している。
【Photo by 中磯ヨシオ】
セットリスト
ぷらそにカーニバル 2020
「4th Anniversary Online Fes.」
2020.08.24
- 01.僕らは POP (original)
- 02.I LOVE... / Official 髭男 dism (cover)
- 03.何なんw / 藤井 風 (cover)
- 04.君と夏フェス / ぷらそにか大阪
- 05.ありよりのあり / Kamin (cover)
- 06.でら / ぷらそにか名古屋
- 07.そっけない / RADWIMPS (cover)
- 08.空の青さを知る人よ / あいみょん (cover)
- 09.全力少年 / スキマスイッチ (cover)
- 10.We’re always with you (original)
お知らせ
ぷらそにか名古屋 選抜メンバー配信ライブ
09/07(月)Online
ぷらそにか大阪 選抜メンバー配信ライブ
09/09(水)Online
ぷらそにか 5days
10/12(月)-day1-
10/13(火)-day2-
10/14(水)-day3-
10/15(木)-day4-
10/16(金)-day5-
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。