go!go!vanillas、豪華ゲストを招いて行われたBlue Note TOKYOでのホットな2ステージをレポート!
go!go!vanillas | 2020.10.01
9月26日。Blue Note TOKYOにて、go!go!vanillasが有観客ライブを行った。
「“MAKE UP CITY” at Blue Note Tokyo」と名付けられたライブは、ジャズマナーに倣って、同じセットリストで2回のSHOWが行われるというものだったのだが、フェスであんなにも多くのオーディエンスを沸かせているgo!go!vanillasというバンドが、お酒を嗜みながらしっとりとライブを観る着席型のBlue Note TOKYOという場所に、こんなにもしっくりくるとは……! 正直、想像以上のハマり具合であったことに驚いた。しかし、60年代から70年代に流行ったダンスホールに専属で出演していた“ハコバン”的な魅せ方に近いと思えば、元々の彼らのルーツにはあるスタイルなのか。なるほど。この“しっくり”具合も納得である。また、この日は箱に合わせて衣装もスーツを選択。ちょっとかしこまったgo!go!vanillasも悪くない。
最初のステージは「マジック」からのスタートだった。久しぶりのライブ、いつもとは違う空間で放たれたこの曲は、とても心地好いリズムとアレンジによって届けられた。そして彼らは、この日のゲストとして栗田祐輔(Glider/Pf)をステージに招き入れ、牧達弥(Vo&Gt)、柳沢進太郎(Gt)、長谷川プリティ敬祐(Ba)、ジェットセイヤ(Dr)が織り成すサウンドに、栗田の鍵盤の音が加わったgo!go!vanillasのサウンドは、より奥行きを増してBlue Note TOKYOの空間に響き渡った。“5人で初めて作った曲”と紹介して届けられた「パラノーマルワンダーワールド」も最高の音圧だ。ガラリと印象を変えたのは、柳沢がリードボーカルを務める「Penetration」。メロウなナンバーを中心にした選曲から、この場所ならではのアレンジが実に際立ったブロックとなった。
そして、中盤のMCで牧が、この日のトピックスでもあった“重大告知”を発表。ひとつ目の告知として発表されたのは、11月23日に行われる初の日本武道館公演を記念して発売されることとなった作品「鏡e.p.」が11月18日にリリースされるというものだった。
その告知後、「鏡」を音源作品とは異なる、この日ならではの5人構成で届け、オーディエンスを喜ばせた。新曲をアレンジ違いバージョンから聴けるというのもなかなかない。この日は、そんな“ライブならではの楽しみ方”を再確認させてもらえた気がした時間でもあった。
さらに、この日もう1人のゲストが登場。牧によってステージに呼び込まれたのはファンファン(くるり/Tp)だった。牧はここで配信用のカメラを受け取り、メンバー紹介をしながらメンバーのソロをカメラでフィーチャーしていくという、配信を観てくれている人への粋な演出を盛り込んだ。ご機嫌なロックンロールギターフレーズを弾きまくった柳沢、牧によって顔面アップで撮影されながらも、ファンキーな低音をかましてくれたプリティ、滲んだ鍵盤サウンドで時代感溢れるプレイを見せつけた栗田、五臓六腑に染み渡るトランペットを届けたファンファン、go!go!vanillasには無くてはならないキャラクターで最高の煽りドラムを魅せてくれたジェットセイヤ、そして、牧。一つひとつの個性と最高のプレイが、この日の音を創り出しているのだということを改めて感じ取れたメンバー紹介も、この日ならではの貴重な演出となっていたと感じた。この後、この6人で届けられた「エマ」は、最高にファンキーなサウンドだった。
「どんなに暗くたって、生まれたときから暗かったんだから、またやり直せばいい。楽しく、笑顔でいれば、絶対に、絶対に、楽しいときはくるから。そんな想いで今日は最後まで楽しんでちょうだい」牧はそんな言葉を挟み、「平成ペイン」へと導いた。
客席では、サビのキャッチーなメロディに合わせ、オーディエンスが揃いの振り付けでその音に応えた。
ガイドラインに沿って、この日は歓声もNGであった為、一緒に声を上げて歌ったり、歓声を上げるという光景は見られなかったのだが、フロアには手拍子や拍手が響き渡るあたたかな空気が流れていた。しかし、そこに物足りなさはなく、お互いの想いがしっかりと通い合った熱のあるライブであったと感じた。
終演後、楽屋に戻ったメンバーの告知トークが挟みこまれ、2部へと繋がれた。「マジック」から始まった2部も、1曲目の曲中に栗田をステージに呼び込み、この日ならではのgo!go!vanillasの音を放った。艶っぽい鍵盤のフレーズから始まった「ビートクラブ」はご機嫌な空気を放った。同じセットリストとあって、1部よりもやはり断然慣れていたのも、この2部構成といういつにない形だからこそ観れたもの。こんな楽しみ方が出来るのも“今ならでは”の楽しみのひとつと言えるだろう。
2部での告知は、1部で告知した11月18日にリリースされる「鏡e.p.」の完全限定生産盤DVDに、この日のライブ映像が収録されるというものだった。
2部でのメンバー紹介の各自のソロも、牧のカメラワークも、全てが1部よりも緊張がほぐれ、大きく成長していたことに、まだまだ彼らの伸び代は無限だと感じた。
なかなか終息が見えず不安が募る日々だが、彼らが音を放ってくれている時間は全てを忘れることが出来たほど、大きな力で背中を押してくれた。
11月23日・日本武道館。障害のない状態で立ちたかったであろうこの場所に、こんな時期だからこそ、go!go!vanillasにしか響かせることが出来ない音で挑んで欲しい。この日、真摯に音楽とオーディエンスに向き合う彼らの姿を見て、改めてそう思った。
初めて立つ彼らの武道館が、彼らにとっても、オーディエンスにとっても、忘れられない時間になってくれることを切に願う。
【取材・文:武市尚子】
【撮影:西槇 太一】
リリース情報
鏡 e.p.
2020年11月18日
ビクターエンタテインメント
02.バームクーヘン
03.イノセンス
04.JETT ROCK SCHOOL
セットリスト
go!go!vanillas
<special live “MAKE UP CITY” at Blue Note Tokyo>
2020.09.26
- 01 マジック
- 02 ビートクラブ
- 03 パラノーマルワンダーワールド
- 04 Penetration
- 05 Do yYou Wanna
- 06 鏡
- 07 エマ
- 08 ミスタースウィンドル
- 09 平成ペイン
- 10 ラッキースター