Dizzy Sunfist、EP「EPISODE Ⅱ」を引っさげての全国ツアー初日の模様をお届け!
Dizzy Sunfist | 2020.10.15
オールスタンディングのフロアには数字で番号が振られ、観客はその指定の場所から動かずにステージを見届ける形になる。会場のガイダンスに沿い、コロナ禍で楽しむ新ライブ様式の中で、遂にDizzy Sunfistが動き始めた。この日をどれだけ首を長くして待っていただろうか。開演前からソワソワしていたが、それはメンバー3人も同じ気持ちだったのかもしれない。
バンドは今年7月にNew EP「EPISODE Ⅱ」を通販とライブ会場限定で発売、今回はそのレコ発を兼ねた全国ツアー「『EPISODE Ⅱ』 ONEMAN TOUR -Go To New World-」初日の模様をお伝えしたい。SEが流れると、いやま(Ba/Cho)、moAi(Dr)、そして、一児の母親となったあやぺた(Vo/Gt)が登場。メンバー3人は久々のライブということもあり、観客を眼前に興奮を隠し切れない様子で、その気持ちの高ぶりはキラキラとした表情にも滲み出ていた。
ショウは「EPISODE Ⅱ」収録の新曲2連打で始まる。まずは「待たせてごめんね」(以下、英語詞ゆえ訳詞部分を引用)の歌詞で始まるショートチューン「Brand New Page」で勢い良くスタート。間髪入れずに「First Breath」に移ると、<命のリレーのバトンを受け取った>、<あなたなりの生き方を 思うがままに生きておくれ>と歌詞にある通り、母親になった心境を赤裸々に綴った楽曲を届けた。翻って、あやぺたは自身の生き様を証明するように豪快なメロディックパンクを叩き付けていく。すると、フロアにいる観客も拳を掲げ、前のめりにノッていた。
「今しかできない楽しみ方!」とあやぺたが言うと、ヘヴィなリフを刻みつける「No Answer」へ。観客の中にはヘッドバンギングに興じる人もいたりと、各自の場所で体を揺らして曲の世界に没頭している。「Dizzy Beat」ではイントロから盛大なハンドクラップが沸き起こり、一体感は高まっていく。あやぺたはピンクに染められた長髪を振り乱してギターを弾き、激しくうねりを上げるベースラインで迫るいやまはコーラスでも楽曲を力強く援護、野性味溢れるビートで屋台骨を支えるmoAiのドラミングも強烈だ。三位一体のグルーヴで襲いかかる演奏は、以前と比べてレベルアップしている印象さえ受けた。
「Someday」の後半に「おおきにー!」と大阪弁で感謝の気持ちの述べるあやぺた。序盤から熱気漲る会場の雰囲気を見て、観客と一緒にライブができる喜びを実感しているのだろう。「いつもより拍手が凄い気がする、温かい! みんな一言も話さなくて、えらい! 拍手だけで泣きそう・・・」とあやぺたは既に感極まっていた。さらに今日は最新作から全曲プレイすることを約束し、「星たちがダイアモンドに見える」と告げると、新曲「Diamonds Shine」を披露。まさに夜空に浮かぶ星まで突き抜けていくようなロマンチックなメロディを放ち、聴く者を雄大なスケールで包み込む。これからライブで磨き抜かれ、どんどん成長を遂げそうな楽曲だなと感じた。
2ビートで攻めまくる「Joking」を経て、「ウチらの夏はまだ終わらない!」と宣言した後、「Summer Never Ends」に突入。切なくも熱さ迸る歌メロに身を焦がされ、改めて名曲を多く持つバンドだなと痛感した次第。いやまとあやぺたがボーカルを交互に掛け合う「NEVERLAND」もショウの流れに極上のフックを付けていた。「New world」を挟んだ後、「ツアーでこの形でやるのは初めて・・・みんなマスクしても目でわかるから。みんなを思いっきり楽しませて帰す!」とあやぺたは熱い気持ちを吐露し、ライブは早くも折り返し地点に差し掛かる。そこで飛び出したのは「STRONGER」だ。「最強になろうぜ」と呼びかける歌詞も相まって、ここに集まった人たちもシンガロングこそできないが、心の中で一緒に歌っていたのではないだろうか。自分のメモを見返すと、「ウォー!の大合唱」と勘違いして記されていた。おそらくみんなが声を上げてひとつになっている絵が心象風景として見えたのかもしれない。ステージとフロアに距離はあれど、会場全体のムードは"いつも"のライブハウスと変わらぬ活気に満ちていた。
イントロからグッと惹き付ける「Life Is A Suspense」を放たれるや、男臭いmoAiの歌声も楽曲の沸点を押し上げ、切れ味鋭い演奏にテンションは否が応にも引き上げられていく。昨年11月に出たコンピ提供曲「Drama Queen」を経て、「不安と闘うためにこの歌を」と前置きして「No One Knows」をプレイ。久々にやった曲と演奏後に説明していたが、キャッチーな歌メロの広がり具合は素晴しかった。
ここであやぺたは、ライブはなんと14ヵ月ぶりと振り返る場面があった。そう、彼女の産休でバンドは活動休止となり、今年4月にはライブ復帰する予定だったものの、コロナ禍の影響を受けてそれが叶わなかった。「ライブハウス、めっちゃ好きやわ!」とあやぺたは叫ぶと、新曲「Wonderful Song」を見舞う。<ヤーヤヤ ヤーヤヤ ヤーヤヤヤ~♪>と親密なコーラスを仕込んだポップな曲調はありそうでなかった新しいアプローチだ。歌って踊れるライブ仕様のサウンドも実に新鮮であった。今は大声を出せないけれど、フロアをガンガンに焚き付ける光景を見て、楽曲のポテンシャルの高さを実感した。いつかこの曲でシンガロングできる日を楽しみに待ちたい。さらに新曲「Wish」、この季節にピッタリの「Fall Song」、そして、ライブ必須の「SHOOTING STAR」ではジャンプする観客もいたりと、後半戦に差し掛かっても熱気は上昇の一途を辿っていく。
明るい未来を照らし出すアンセムソング「The Dreams Is Not Dead」も格段に映え、観客総出で両手を上げた「Tonight,Tonight,Tonight」で会場をひとつに束ねた後、ラストは新曲「My Rainbow」でビシッと締め括った。新たなパワーを宿した第二章Dizzy Sunfistを高らかに告げるワンマンは、何よりフレッシュで眩しい光を放ち続けていた。楽曲そのもののエネルギーで観客の心を掴み、至福の境地に誘うメンバー3人の手腕には頼もしさすら感じたほどだ。これからツアー各地で多くの人たちを笑顔にしてくれることだろう。待った甲斐のある最高のワンマンだった。
【撮影:NAOTO IWABUCHI】
リリース情報
EPISODE II
2020年07月15日
CAFFEINE BOMB RECORDS
02.First Breath
03.Diamonds Shine
04.Wonderful Song
05.Wish
06.My Rainbow
セットリスト
『EPISODE II』 ONEMAN TOUR
-Go To New World-
2020.10.10@渋谷 TSUTAYA O-EAST
- 01.Brand New Page
- 02.First Breath
- 03.No Answer
- 04.Dizzy Beat
- 05.Someday
- 06.Diamonds Shine
- 07.Joking
- 08.Summer Never Ends
- 09.NEVERLAND
- 10.New world
- 11.STRONGER
- 12.Life Is A Suspense
- 13.Drama Queen
- 14.No One Knows
- 15.Wonderful Song
- 16.Wish
- 17.Fall Song
- 18.Honestly
- 19.SHOOTING STAR
- 20.The Dream Is Not Dead
- 21.Tonight,Tonight,Tonight
- 22.My Rainbow
お知らせ
『EPISODE II』 ONEMAN TOUR
-Go To New World-
<2020年>
11/01(日)水戸LIGHT HOUSE
11/12(木)千葉LOOK
11/18(水)F.A.D Yokohama
11/23(月)新潟GOLDEN PIGS RED
11/26(木)京都MUSE
12/11(金)神戸 太陽と虎
12/13(日)福岡CB
12/25(金)金沢Eight Hall
<2021年>
01/17(日)恵比寿LIQUIDROOM
01/22(金)名古屋CLUB QUATTRO
02/06(土)仙台Rensa
02/14(日)大阪BIGCAT
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。