ORESAMAの音楽を楽しむ――ワンダーランドへ連れて行ってくれたワンマンライブ
ORESAMA | 2020.10.28
ボーカルのぽんとサウンドクリエイターの小島英也からなる音楽ユニット、ORESAMAが10月18日にVeats SHIBUYAにて2部構成の有観客ワンマンライブ『ORESAMA ONEMAN LIVE “Gimmme!”』を開催した。4月16日にTSUTAYA O-EASTにて開催予定していた『ORESAMA“CATCH YOUR SWEET MIND” ONEMAN LIVE』がコロナウイルスの影響で中止となったため、彼らにとっては、昨年12月6日にShibuya WWW Xで行われた『ORESAMA -POPUP BOX Supported by huez-』以来、実に10ヵ月ぶりのワンマンライブとなっていた。
[1部]の開演は16時30分から。検温を済ませ、マスクとフェイスシールドを着用した観客の前にベース、キーボード、DJに続き、ギターの小島とボーカルのぽんが登場すると、歓声の代わりに再会の喜びに満ちた大きな拍手が上がった。ベースがうねるファンキーなディスコポップ「銀河」でフロアに煌く星の空を描いた彼らは、レーザー光線が飛び交う「OPEN THE WORLDS」で一気にグルーヴを加速。10月14日にリリースされたばかりの9thシングル「Gimmme!」のMVで着用していた衣装を身につけたぽんは、力強さと勢いを湛えた歌声を放ち、スクラッチの効いたスウィンギングでエキゾチックなビートの「cute cute」ではハイトーンを響かせた。
最初のMCではぽんが「こうして一緒にみんなと遊べる日が来て嬉しいです」と挨拶。4月のワンマンライブが中止になってしまったことにも触れ、「10ヵ月前とはガラッと状況が変わってしまったんですけど、できることならやっぱりみんなと同じ空間で遊びたくて、みんなにORESAMAのライブを体感してもらいたいなと思って、いっぱい考えた結果、2部制のワンマンライブとディスタンスビューイングの開催を決めました。こんな時だからこそ、楽しいっていう純粋な気持ちをみんなと改めて共有したいなと思っています」と語り、見ているだけで笑顔になるような柔和な表情を見せた。そして、「4月のワンマンライブで初演奏予定だった曲。頭を空っぽにして一緒に楽しみましょう」と呼びかけ、ミニアニメ『ざしきわらしのタタミちゃん』主題歌で8thシングルとして4月にリリースされた今日的な音色のニューディスコ「CATCH YOUR SWEET MIND」でオーディエンスの身体を揺らし、ライブアレンジされた「迷子のババロア Dressup cover」で渋谷の迷宮に誘い、「Dreamin’ Pops」ではぽんのダンスに合わせて観客全員が手を挙げて応戦すると、小島はエレキギターをギュンギュン鳴らして盛り上げた。
歌の最後の一音まで丁寧なニュアンスが織り込まれたメロウなアーバンソウル「密告テレパシー」や、雨音とタンバリンのビートが重なるバラードで、ライブ初披露となる「夜行ノ雨」をじっくりと聴かせた後、ぽんは「心の中で一緒に歌いましょう」と投げかけ、ボーカル、ギター、ベースの3人が左右にステップを踏む「「ねぇ、神様?」」へ。普段のライブであれば「ナナナ」の大合唱が沸き起こる楽曲で、<聞こえますか 僕の声が/届きますか このうたが>という祈りにも似たフレーズは、2020年の今、ここだからこその意味性をもって切なく胸に響いた。
そして、現在オンエア中のアニメ『魔王城でおやすみ』のED主題歌に起用されている新曲「Gimmme!」からは早くも後半戦。全12曲で60分という構成は、ぽんが「私たちもまだまだ手探りですが、ORESAMAの楽曲を届けられるように頑張っていきたいと思います」と意気込みを語っていたように、現在のライブハウスにおける有観客ライブの最大限であることは間違いない。「Gimmme!」ではスクリーンにMVが流れる中で、手を挙げて左右に大きく振って楽しませ、幸せな夢を届けた。<鏡よ鏡、わたし世界を変えたいの>という歌詞から始まる3rdシングル「ワンダードライブ」ではこの日1番のクラップが鳴り響き、小島のギターソロで観客のテンションが引き上げられ、大盛り上がりとなった。そして、ギターとベースのバトルが繰り広げられた「流星ダンスフロア」では、観客が一体となって踊りまくり、ライブハウスは曲名通りにダンスフロアへと変貌。心も体も踊らせ、大きな興奮と楽しさに包まれる中、ぽんの「また遊びましょう」という再会の約束とともにライブは締めくくられた。
ぽんはこの日、何度も「みんなと遊びたい」「一緒に楽しみたい」という言葉を繰り返していた。大事なのは、ライブ会場で、ORESAMAの音楽で、みんなで遊ぶように楽しむこと。そして、楽しむために、ちょっとだけ頑張ってみること。80’sディスコを現代的なエレクトロやファンクでリメイクした音楽で聴き手をワンダーランドに連れて行ってくれるORESAMAは、その音楽を楽しむ姿勢そのものが大きなメッセージになっていると感じたライブであった。
なお、「PEARLY×PARTY -Funkapop ver.-」や「綺麗なものばかり」のDressup coverなどを披露した[2部]は当日に有料生配信も行われ、翌日10月19日には同会場にて、[1部]の模様を上映する“ディスタンス・ビューイング”も実施された。
【取材・文:永堀アツオ】
【撮影:江藤 はんな (SHERPA+)】
リリース情報
Gimmme!
2020年10月14日
バンダイナムコアーツ
02. 夜行ノ雨
セットリスト
ORESAMA ONEMAN LIVE
“Gimmme!”
2020.10.18@Veats SHIBUYA [1部]
- 1. 銀河
- 2. OPEN THE WORLDS
- 3. cute cute
- 4. CATCH YOUR SWEET MIND
- 5. 迷子のババロア Dressup cover
- 6. Dreamin’ Pops
- 7. 密告テレパシー
- 8. 夜行ノ雨
- 9. 「ねぇ、神様?」
- 10. Gimmme!
- 11. ワンダードライブ
- 12. 流星ダンスフロア