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ジェニーハイ、初の無観客ワンマンライブ「ベイビージェニー」開催!

ジェニーハイ | 2020.10.30

 ジェニーハイが10月27日(火)、東京・Zepp Tokyoで初の無観客ライブ『ジェニーハイ無観客ワンマンライブ「ベイビージェニー」』を開催した。
 小籔千豊(Dr)、くっきー! (Ba/野性爆弾)、川谷絵音(Gt&Produce)、新垣隆(Key)、中嶋イッキュウ(Vo/tricot)からなるジェニーハイ。多方面で活躍しているメンバーが揃うワンマンライブは極めてレアだ。さらにこの日のライブには、ゲストとして“どぶろっく”が出演。ジェニーハイ、どぶろっくによる即興で曲を作るパフォーマンスも披露されるなど、エンターテインメント性に溢れたステージが繰り広げられた。

 最初に登場したのは、どぶろっく。“ジェニーハイのライブが見たくてZepp Tokyoに来た貧しい農夫に扮した江口直人、“Zepp Tokyoに住む神様”森慎太郎のミュージカル風の楽曲から始まり、「〇〇な女」(“キスするとき舌を入れてくる女は犬飼ってる”など)、「もしかしてだけど」(“ある研究者の話ではジェニーハイを聞いてる女はスケベが多い♪”)で視聴者の笑いを取った後、ジェニーハイのステージへ。1曲目は「ジェニーハイのテーマ」。川谷、ガッキーこと新垣、くっきー!、中嶋、小籔がラップでつなぐ自己紹介ソングだ。ラップの精度が上がり、ただシンプルにカッコいい。5人横並びのユルい振り付けもかわいい。

 さらに「ジェニーハイです。配信、見ていただいてありがとうございます」(中嶋)という挨拶から、抑制の効いたバンドサウンドと洗練されたメロディが絡み合う「グータラ節」、90年代オルタナティブ・ロック的なアプローチを施したアッパーチューン「ランデブーに逃避行」、歪んだベースを軸にした爆裂サウンドと超絶技巧を駆使したピアノ、<タピオカ摂取できないよりは/できる幸せを掴みたい>という切実な思いを込めた歌詞がぶつかり合う「ダイエッター典子」を披露。緻密に構築されたアレンジメント、メンバー個々のプレイヤビリティが存分に発揮されたバンドサウンド、憂いと鋭さを併せ持った中嶋のボーカルがバランスよく共存したジェニーハイの音楽は、前回のツアーに比べても明らかに進化していた。新垣、川谷の正確にして個性的なプレイはもちろんだが、特筆すべきはやはり、小籔&くっきー!によるリズム隊。(初めてライブを見たときの)「え、こんなに上手いの?」という驚きはすっかり消え去り、先鋭とポップを行き来するジェニーハイの核をしっかりと担っていたと思う。

 ここで再び、どぶろっくが登場。前回のツアーでも行われた“即興ソングコーナー”(視聴者がハッシュタグ「#ベイビージェニー」をつけてキーワードをツイートし、その中からメンバーが選定して即興ソングを作る)へ。「“自分を捨てないで”“この世はパラレルワールド”“イチモツ”」はシックな雰囲気のミディアムチューン……と思いきや、「“かゆみ止め”“くるぶし、くるぶし、くるぶし、くるぶし、くるぶし”“味噌汁”“全集中”」は憂いのあるメロディと厚みのあるアンサンブルが響き……と思いきや、再びくっきー!が即興ラップで絡む。高度な音楽センスとシュールな笑いのセンスが交差するこのコーナーは、ジェニーハイでしか見られないエンターテインメントに結びついていた。

「では、まだまだジェニーハイの曲、楽しんでいきましょう」(中嶋)という言葉からは、このバンドが持つ多彩で奥深い音楽性を実感できるシーンが続いた。まずは「強がりと弱虫」。ジャズ、ファンクのエッセンスをさりげなく注ぎながら、静けさをたたえたポップソングに仕立てるセンスはまさに絶品だ。間奏パートではメンバー紹介を兼ねたソロ演奏を披露、プレイヤーとしての資質と個性をアピールした(全員のキャラが立っているので、“絵”としての魅力もたっぷり)。

 続いて、ドープかつドラマティックなトラックと<あなたが羨む私でいれば/孤独も厭わないんだから>というラインが溶け合う「プリマドンナ」、青みを帯びた照明、東京の夜景を映し出す映像のなかでノスタルジックな旋律が響いた「東京は雨」、メンバー全員が高いステージに移動し、<不埒なあの子も才能の前に背筋ピン>というパンチラインを放った「愛しのジェニー」、“理不尽バンド”ジェニーハイの正体を描き出す(?)エレクトロ系ヒップホップチューン「ジェニーハイラプソディー」を披露。さらに「友達来てるんで、連れてきていいですか?」と中嶋がアイナ・ジ・エンド(BiSH)を呼び込み、「不便な可愛げ feat.アイナ・ジ・エンド(BiSH)」をパフォーマンス。透明感のある中嶋のボーカル、尖りまくったアイナの歌声が重なる瞬間は、本当に刺激的だった。

 ここからライブは後半へ。1st配信シングルであり、ジェニーハイの原点とも言える「片目で異常に恋してる」(間奏パートで再びアイナが登場。ガッキーの横でニコニコとリズムをとる姿がキュート)の後は、「久しぶりのライブなんですけど、なんと新曲をやりたいと思います」(中嶋)と新曲「コクーンさん」を初披露。流麗なシンセのフレーズ、シンプルに研ぎ澄まされたビート、ブラックミュージック経由のベース、そして、歌謡曲的なメロディラインがひとつになったこの曲は、ジェニーハイの新たなモードを告げていた(既に演奏も完璧。本当に優れたバンドだと思う)。また、中嶋のボーカルの魅力をたっぷり感じられるのも、この曲のポイントだろう。

<とんでもない恋だった とっても良い恋だった>というフレーズ、スリリングなアンサンブルが共鳴する「シャミナミ」、そして、クラシカルなピアノの旋律、美しい叙情に溢れたメロディ、<幸せになりませんか?渾身の綺麗事>というロマンティックな言葉がじんわりと沁みるウエディングソング「まるで幸せ」でライブは終了。ジェニーハイの際立ったポップネスを存分に味わえる充実のステージだった。

 エンディングの挨拶には、アイナ、どぶろっくも登場。ここで次回のワンマンライブ(2021年2月7日(日)/国立代々木競技場 第一体育館でアリーナ単独公演「アリーナジェニー」)の開催を発表。さらに11月13日に新曲「コクーンさん」が配信リリースされることも告知された。ポップス、クラシック、ロック、お笑いの才人が集結したジェニーハイのエンターテインメントは、初のアリーナ公演を見据え、さらなる飛躍を果たすことになるだろう。

【取材・文:森朋之】
【撮影:井出康郎】

tag一覧 ジェニーハイ 配信ライブ

リリース情報

配信「コクーンさん」

配信「コクーンさん」

2020年11月13日

ワーナーミュージック・ジャパン

01.コクーンさん

セットリスト

ジェニーハイ無観客ワンマンライブ
「ベイビージェニー」
2020.10.27

  1. 01.ジェニーハイのテーマ
  2. 02.グータラ節
  3. 03.ランデブーに逃避行
  4. 04.ダイエッター典子
  5. 即興ソングコーナー w/ どぶろっく
  6. 05.強がりと弱虫
  7. 06.プリマドンナ
  8. 07.東京は雨
  9. 08.愛しのジェニー
  10. 09.ジェニーハイラプソディー
  11. 10.不便な可愛げ
  12. 11.片目で異常に恋してる
  13. 12.コクーンさん(新曲)
  14. 13.シャミナミ
  15. 14.まるで幸せ

お知らせ

■ライブ情報

ジェニーハイ無観客ワンマンライブ
「ベイビージェニー」


有料配信:配信プラットフォーム「Thumva」にてアーカイブ配信中

アーカイブ配信期間:2020.10.30(金) 00:00〜2020.11.05(金) 23:59

視聴チケット発売中
チケット購入受付期間:10/09(金) 17:00 〜 11/5(木) 19:00
https://thumva.com/events/cUElG04379QvGPI


アリーナ単独公演「アリーナジェニー」
2021月2月7日(日) 国立代々木競技場 第一体育館

※詳細は後日発表

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