前へ

次へ

“2”とOAにリュックと添い寝ごはんを迎え、恵比寿リキッドルームで開催されたKALMA「チャレンジャー 2020 春 ~お花見~」

KALMA | 2020.12.14

 11月30日に恵比寿LIQUDROOMにて、北海道出身の3ピースバンド・KALMAの対バンツアー「チャレンジャー 2020 春 ~お花見~」東京公演が行われた。東京公演では、2と、OAとしてリュックと添い寝ごはんがゲストとして迎えられた。タイトルからも分かるように、本来は今年の春に行う予定のツアーだったが、名古屋・大阪・北海道・東京の全公演が、季節がズレこんだ秋に振り替えとなった。KALMAにとってはメジャーデビューを迎えて以降のツアーという意味合いもあり、延期を余儀なくされた当時は様々な葛藤や苦悩もあったとは思う。それでもこの日、無事に迎えることのできた最終公演を観てひしひしと感じたのは、「難しいことは何ひとつ考えない!周りを巻き込んで、ひたすらこの時間を楽しむ!」という、KALMAが持ち得るポジティブエネルギー、ただそれだけだった。

 オープニングアクトを務めるのは、12月9日にリリースとなった1stアルバム『neo neo』でメジャーデビューし、KALMAとレーベルメイトとなった、リュックと添い寝ごはん。松本ユウ(Vo/Gt)、堂免英敬(Ba)、宮澤あかり(Dr)、そしてサポートギターぬんがステージに登場し、「海を越えて」をプレイ。松本の優しく円い音形の歌声と、懐かしさを感じさせるメロディが、自転車で走る時に頬を撫でる風のように、会場を心地よく吹き抜ける。MCではメンバーの緊張を感じたものの、続くポップソング「生活」では、オーディエンスによるハンドクラップが沸き起こり、バンドもオーディエンスもいい感じに肩の力が抜けた様子だった。そういった初々しさや楽曲から薫ってくる瑞々しさも含めて、ラストの「グッバイトレイン」までしっかりとバンドの持つ魅力を発揮させていた。

 そして、2組目には2が登場!黒い衣装に身を包んだ、古舘佑太郎(Vo/Gt)、加藤綾太(Gt)、yucco(Dr)、サポートメンバーの森夏彦(Ba)の4人が静かに登場すると「フォーピース」でライブをスタートさせ、古舘の「こんな時だからこそ、みんな!今できる最大限の盛り上がりを見せていこうぜ!」という宣誓から「Anthem Song」を爆走ならぬ、爆奏!コロナ禍と呼ばれるこの情勢の中で、何度も挫けそうになったという人も沢山いるだろう。そんな私たちの境遇を見透かしたかのように歌われた、<何度でも/何度でも/立ち上がれるから>という心強いフレーズ。その言葉に励まされ、賛同するかのように、フロアからは沢山の拳が突き上げられた。そうして生まれた熱量をさらにヒートアップさせるように「ケプラー」、「土砂降りの雨が降った街」を一気にプレイすると、続く「FALL FALL FALL」ではミディアムテンポに乗せて切なさが薫る歌詞をじっくりと歌い上げ、心地良い緩急が心を揺さぶってきた。また、MCでは、2としてのライブはこの日が年内最後であること。そして、今回で2回目になるKALMAとの対バンについては、古舘が「彼らも20代になったということで、もう同世代ということですし、今日は全力で対バンして、気持ちをぶつけていきたいと思います」と、意気込みを言葉にした。そんな2の気合は、「DAY BY DAY」をきっかけにした後半戦で大爆発!「ナイトウォーク」や「Family」などを続々と投下し、猛々しさと滾る生命力をガソリンにした彼らのパッションは、ラストの「ルシファー」まで枯渇することはなかった。

 アンカーとしてしっかりとバトンを受け取ったKALMAの畑山悠月(Vo/Gt)、斉藤陸斗(Ba/Cho)、金田竜也(Dr/Cho)は、SEであるT-REXの「20TH CENTURY BOY」に合わせて登場。 畑山に至ってはノリノリなダンスを披露しながら登場し、緊張している様子は全く感じられなかった。入場の時点から醸し出していた、そうした“ライブに対するワクワク感”を改めて言葉にするように「楽しくやります!」と宣言すると、1曲目に「デイズ」をプレイ。<お互いのペースで幸せを見つけよう/人は人/お前はお前/誰のマネもすんな!>と聴く者を鼓舞しつつ、ハイテンションチューン「ねぇミスター」へと続けた。ハイペースでコミカルなリズムに心が躍るナンバーに、オーディエンスもルールを守りながらしっかりテンションを上げているのが分かった。自分には無いものを持つ誰かに憧れる気持ちはあるけれど、それでも<いろいろあるけれど幸せだ!>と自分の現状を受け入れているこの楽曲には、ドン!と背中を押された気持ちになる。妬みや嫉みという負の感情はいつだって生まれるものだけれど、それを恥じたり突き放したりすることはせず、自分の中から生まれた本物の感情だとちゃんと認めてあげることが大事なんだと、KALMAの楽曲は思わせてくれる。それは、MCで「(ペットボトルのミネラルウォーターを飲みながら)東京の水は上手いっすね!東京の水ってマズいって聞くけど、感じたことないな!そもそも東京の水道水って飲まないか!」と自由奔放に話しだすような天真爛漫さが故なのかもしれない。飾らないというか、飾れないというか、人間丸出し!というスタンスが、彼らの大きな魅力のひとつだ。

 そして、有観客でのライブが行えたことに対する感謝を伝えつつ、「最近出した新しい曲をやります」と伝え、予測不能な展開や織り交ぜられる不穏な音が癖になる「パリラリラ」を届けた。さらにここで、彼らが「クラスメート」を制作する時によく聴いていたという2の「DIARY」のカバーを披露!そこで畑山の声質と古舘の声質が似ていることが分かり、カバーとしてのクオリティの高さにはかなり驚いた。そして畑山は「ここからラストに向かってやっていきます!」と伝え、<ラーラララー!>という歌い出しから、ハイスピードナンバー「逃げるなよ、少年!」や「これでいいんだ」、さらに「くだらん夢」を一気にプレイ!自分たちが思い描く自由や等身大の欲望を高らかと歌い上げ、スカっとした清々しい気持ちにさせられた。

 そして熱望されたアンコールでは、「わがまま」と「イノセント・デイズ」の2曲を贈ったKALMA。「わがまま」の曲中にある<毎日焼肉食べに行こうよ!>という歌詞の「焼肉」の部分に、メンバー各々の欲する食べ物を置き換えて歌うというシーンもあり、しっかりと笑わせてもらった(畑山はバーミヤン、斉藤は武骨家、金田は牛丼をチョイス)。ライブハウスにいたこの時間、本当に楽しい気持ちしかなかったし、ライブハウスを出た時に「明日も頑張ろう」と自然と思えた。それは、KALMAを筆頭に、3バンドが持つ「ライブを楽しみながら生きているんだ!」という想いが、それぞれのライブに色濃く反映していたからだろう。そういった、音楽やライブに対するワクワク感やドキドキ感をしっかりと思い出させてくれた、素晴らしいイベントだった。

【取材・文:峯岸利恵】
【撮影:中山優瞳】

tag一覧 J-POP ライブ 2 リュックと添い寝ごはん KALMA

リリース情報

La La La E.P.

La La La E.P.

2020年11月25日

ビクターエンタテインメント

01.ねぇミスター
02.パリラリラ
03.さらり風
04.逃げるなよ、少年! (2020.07.26 Live at Sapporo)
05.バンド (2020.07.26 Live at Sapporo)

セットリスト

チャレンジャー 2020 春 ~お花見~
2020.11.30@恵比寿LIQUIDROOM

    ■リュックと添い寝ごはん
  1. 01.海を越えて
  2. 02.生活
  3. 03.グッバイトレイン
    ■2
  1. 01.フォーピース
  2. 02.Anthem Song
  3. 03.ケプラー
  4. 04.土砂降りの雨が降った街
  5. 05.FALL FALL FALL
  6. 06.DAY BY DAY
  7. 07.ナイトウォーク
  8. 08.SとF
  9. 09.Family
  10. 10.ルシファー
    ■KALMA
  1. 01.デイズ
  2. 02.ねぇミスター
  3. 03.パリラリラ
  4. 04.DIARY(2 カバー)
  5. 05.逃げるなよ、少年!
  6. 06.これでいいんだ
  7. 07.くだらん夢
  8. 【ENCORE】
    1. EN1.わがまま
    2. EN2.イノセント・デイズ

お知らせ

■ライブ情報

拝啓〜ママパパ兄弟じーちゃんばーちゃん友達先輩後輩先生車掌さん、そして普段から応援してくれてる皆さん、僕たち20歳になったでやんす!お酒で乾杯!パラダイス!クリスマス!ソーシャルディスタンスでラララララテラララランマンツアー2020冬〜敬具
12/15(火)東京 SHIBUYA CLUB QUATTRO
12/18(金)北海道 PENNY LANE24
12/22(火)大阪 UMEDA CLUB QUATTRO
12/24(木)愛知 NAGOYA CLUB QUATTRO

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る