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いう゛どっと、初ワンマンライブで届けたストリーミングでも変わらぬ熱量

いう゛どっと | 2021.01.05

12月19日、ネット発音楽シーンで注目されているシンガーソングライター“いゔどっと”がワンマンライブ『いゔどっとStreaming Live -幽世-』を行った。もともとは、3月に初のワンマンライブを行う予定だったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を鑑みて残念ながら中止に。ゆえに本公演は、いゔどっとにとって初の無観客配信ライブであると同時に、初のワンマンライブとなったのだ。

いゔどっとは、2015年からネット上で音楽活動を開始。心をざわめかせ、温もりある歌声によってシーンで頭角をあらわした。現在では、YouTubeでのカバー動画が約1400万再生を突破。7月にリリースした1stアルバム『ニュアンス』は、シンガーソングライターとして脚光を浴びることになったキラーチューン「余薫」、「累累」に加え、R Sound Designをはじめとして、syudou、100回嘔吐、Sori Sawada、コレサワ、maeshima soshiによる書き下ろし楽曲を収録。さらにいゔどっとは、デザイナーやイラストレーターとしての才能も発揮し、アパレルブランド「763」を主宰する一面を持つ。

初ワンマンライブ『いゔどっとStreaming Live -幽世-』オープニングは、青い照明とスモークが印象的な、今年2月にリリースした「累累」からスタート。水彩絵の具のような淡い雰囲気に溶けていく透明感ある歌声が胸に優しく染み渡っていく。途中「シッ」という言葉の差し込みに心を奪われた。うん、そんなリスナーは多かったはずだ。

2曲目「ナイトクルージング」のイントロにのせて「ストリーミングライブ“幽世”、よろしくお願いします!」と軽くシャウト。やわらかなテンポ感、うねるシンセサウンドが心地良い、海の中にいるかのようなサウンドを楽しませてくれる。

続いてアッパーな、ピアノによるリフが牽引するロックチューン「水槽」をプレイ。徐々に緊張感が和らいでいく、画面越しながらもライブへの想いの強さが伝わってくるエモーショナルな心地よさ。「今日はストリーミングライブなんですけど、最強のメンバーと一緒に最高のライブを最後までお届けするので楽しんで行ってください!」と挨拶。

バンドメンバーには、井手上 誠(Gt)、御供信弘(Ba)、片山タカズミ(Dr)、まっかつ(Manipulator)が参加。当日は、1stアルバム『ニュアンス』収録楽曲を中心に、いゔどっとによる可能性に満ち溢れたパフォーマンスを堪能できた。

なかでも注目は、照明を背から受ける「forever」が素晴らしかった。ドラマーとステージで二人、シルエット姿が印象的な演出が鮮烈だったのだ。コンテンポラリーな現代感あるサウンドセンス。ドロップで踊らせるEDMライクなキャッチーな構成、ドラマーが時折フレーズで遊ぶ、ライブならではの好展開。いゔどっとによる歌声がまっすぐに伝わってくるという没入間の深みがハンパないのだ。

「今年の3月に、初ワンマンライブが元々あったんですけど、無くなっちゃって。久しぶりのライブということで。今回ストリーミングライブなんですけど、でも、実際そんなことは関係なくて。ストリーミングだろうが生で観るライブだろうが、観てくれているみんなには楽しんでもらいたいし、100%から120%のものを届けたいなと本当に思っています。次の曲なんですけど、自分が初めて作った曲で。もちろん思い入れも深くて、みんなも大好きなんじゃないかと。そんな曲を、今日みんなに、みんなに寄り添えるような曲なので歌います、『余薫』。」

思いのたけを告げたMCに続いて、2019年8月に公開したオリジナル曲「余薫」では、アンニュイな雰囲気での展開が心地いいビート感とともに、せつなさ募る展開にグッときた。続く「赤色と水色」では、心を込めながらもハイトーンへと自在に歌声を操る、いゔどっとによるボーカリゼーションの凄みを堪能できた。

注目は、絵本を朗読するポエトリーな導入後、妖しげな展開でアグレッシブに加速する「エンドマークパーク」だ。ライブ映像と照明、そしてミュージックビデオを重ね合わせるような演出でアーティスティックかつロックな空気感を生み出していく。

勢いそのまま、アッパーチューン「着火」へと駆け込んでいく。ギター&ベース、ドラマーによる攻めのアンサンブルが、いゔどっとをより最前線へと追い込んでいく様が圧巻だった。

本編終了後、突如ドキュメンタリーパートが放映され、リハ映像が映し出された。その後、リラックスした雰囲気でフロアへ移動し、メンバーとMCタイムへ。無観客ライブならではの演出だ。「『Streaming Live -幽世-』、お疲れ様でした! 頭から最後まで勢い熱量が途切れず、すごかったね。序盤、意外とダンスっぽいというか横ノリ系な曲が多くて。でも最後の方が“うわっ”ってなっていましたね(笑)。ストリーミングでも伝わるこの熱量というか。やっていて、なんか一番『水槽』が音源と違ってグッときたんですよ。生でやるからこそのエネルギーというか。」。

そして、「やっぱり」を優しげな雰囲気のままにアコースティックなアレンジで披露。

ライブ終了後には、12月25日に新曲「花咲」を投稿する告知映像が流れた。2021年へ向けて確実に進化が止まらない、いゔどっとの成長を感じられた忘れられない一夜となった。

【取材・文:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)】
【撮影:Viola Kam (V’z Twinkle)】

tag一覧 J-POP いう゛どっと ライブ

リリース情報

エンドマークパーク

エンドマークパーク

2020年11月11日

m.c.e discs

01. エンドマークパーク

リリース情報

ニュアンス

ニュアンス

2020年07月15日

m.c.e discs

01.余薫
02.赤色と水色
03.続く青
04.夜半の雨
05.水槽
06.着火
07.アカトキツユ
08.やっぱり
09.forever
10.累累
11.エニ

セットリスト

Streaming Live -幽世-
2020.12.19

  1. 1. 累累
  2. 2. ナイトクルージング
  3. 3. 水槽
  4. 4. 夜半の雨
  5. 5. アカトキツユ
  6. 6. 続く青
  7. 7. forever
  8. 8. 余薫
  9. 9. 赤色と水色
  10. 10. エンドマークパーク
  11. 11. 着火
  12. 12. やっぱり

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