KnightA-騎士A-、厚く高い壁を乗り越え最高の景色を届けた初ワンマン
KnightA-騎士A- | 2021.02.25
これは、2020年のユニット結成から1年経たずにして、KnightA-騎士A-(ナイトエー)が、初のライブステージへと上がった2月13日の翌日のレポート。豊洲PITにて開催されたライブタイトルは、彼らのユニット名から取った『Knight』。初めてのワンマンライブにしては、新型コロナウイルスの影響から常にライブの先行きが不透明だったり、メンバーの一人、まひとくん。が、今年1月から突然の活動休止を発表したりと、越えなければいけない壁は高く、ライブをクリアするまでの道程は難解なものとなった。しかし、この日、メンバー全員は確かにステージへと立ち上がった。
カラフルな照明が点灯するステージに、女性向けセリフ、ゲーム実況、歌ってみた動画配信を中心として、すでに個人で活動していた頃から人気を集めていたそうま、ばぁう、ゆきむら。、まひとくん。、てるとくん、しゆんの6人が登場。各々に自由闊達なパフォーマンススタイルを突き通した1曲目の「フィクサー」から、初のワンマンライブゆえの高揚感が生まれる。オリジナル曲をまだ有していないKnightA-騎士A-だが、ヒット曲のカバーを連投するセットリストに、観客も気持ちが昂っているのがわかる。メンバーの後方に構えたバンドメンバーによる生演奏が豪快に響き渡るなか、モダンなキーボードの音色が導くダンスチューン「フラジール」でも、個性の光る歌声を一つひとつ掛け合わせていく。
自己紹介を含んだ最初のMCで、「この伝説の最強メンバー6人でこれからやっていきます。みなさんよろしくお願いします!」とそうま。6人が勢いよく「お願いマッスル」とタイトルコールすれば、祭りのような遊び心ある空間が広がった。
ソロパートのトップを切ったのは、和風な「吉原ラメント」を感情を込めた様子で歌い上げたばぁう。歌のバトンをまひとくん。へと渡すと、個人では初投稿動画となるボカロカバー曲「ヒバナ」へ突入。エネルギッシュな歌声が放たれた一方、落ち着いたオーラを会場に吹き込んだのは、「シャルル」を地声とファルセットを使い分け、力強く、ときに憂いを含み奏でたそうま。その後、ステージへと登場したてるとくん。は、チャーミングな表情で会場中に「おじゃま虫」をプレゼント。それから、再びロックな空間へと引きずり込んだのは、挑発的なサウンドが印象的な「悪魔の踊り方」を迫力ある歌声でパフォーマンスしたしゆん。ステージ上へと視線を一極集中させたゆきむら。によるロックチューン「ENVY」が、締め括りのナンバー。
ソロパートを経てからペアの楽曲へとシフトすると、てるとくん、まひとくん。は、アップチューン「チューリングラブ」で、そうま、しゆんは、コミカルなメロディが炭酸のように弾ける「厨病激発ボーイ」で、ばぁう、ゆきむら。は、シンセ音が激しくぶつかり合う「劣等上等」で、絶妙なコンビネーションプレイを披露。この日彼らが届けたのは、ボカロカバー曲から、すとぷりのオリジナル楽曲「GO GO CRAZY」、幻想的な夕陽色の照明のもとでメンバー全員が横一列に並んだ「ヒカリユメ」、それぞれの歌声の持つ個性を存分に表現した「Very」までの全17曲。アンコールに入る手前には、一人ひとりが思いを語るシーンへと移り変わる。ここで6人は、約1ヵ月の活動休止期間を経てユニットへ戻ってきてくれたまひとくん。に対する思いや、グループそのものへの愛を中心に語った。
「活動を続けるうちに、応援してくれているたくさんの人から色んな意見を貰いました。それでも活動が好きでここにそうまとして立つことができています。自分ができることをみんなに届けていこうって考えながらここまで来ることができました。これからも色んなことがあると思うけど、諦めてしまったらもうそこで終わりなんだよね。これからも俺は、俺にしかできないことを毎日頑張ってやっていこうと思うから、これからもついてきてほしい」(そうま)
「活動を始めてすぐ友達になったまひとくん。と、いつかグループを組んだり、ライブで歌ったりしたいよねって話していたんだけど、それが昨日今日とで叶って本当に嬉しかったです。ここに僕を立たせてくれて、僕が活動する意味を与えてくれて、本当にありがとうございます!」(てるとくん)
「他人が何か言う時も気にしちゃったり、人と自分を比べて落ち込んだり、俺自身がすごく他人の目を気にして生きてきた。でも、君が俺の声を好きって俺のことを認めてくれたから、ここまで来ることができました。これからは、他人の目を気にせずに生きたい。何を言われたとしても自分の好きなこと、やりたいことをやる。俺がこの活動で自分の好きなことをやって生きる自分を君に見せることで、君だってなりたい自分になれるんだよって示そうと思うから、ついてきてほしい」(ばぁう)
「KnightA-騎士A-がこれから作っていく歴史は、思い出を積み重ねることなんじゃないかと思っている。例えば、昨日今日みたいに声が出せない中で応援してくれたのは、お前らだけの思い出になるんじゃないかなって。KnightA-騎士A-と、俺と、応援してくれるみんなで色んな障害を乗り越えて、その先に見えるものが見たい。障害を乗り越えた今回のライブは、一番いい形で終えることができたと思う」(しゆん)
もともと歌うことがコンプレックスだったと語るまひとくん。は、てるとくんに誘われて動画共有サイトへ「ヒバナ」の歌ってみた動画を出したことがきっかけで、歌ってみたの世界に入れたことについて感謝しつつ、活動を休止していたことについても言及。「まひとくん。として活動を始めてからの5年間は、リアルの自分ではなくて、ほとんど、まひとくん。としての自分で生きてきたんだよね。休止期間中に自分はいったい誰なんだろうって思ったりして。正直、活動中止期間中はKnightA-騎士A-や自分のホームであるネットに戻ってくるのが怖かったけど、今年2月6日のKnightA-騎士A-の配信で、6人とリスナーさんと触れあったときに、自分の居場所は、KnightA-騎士A-やネットなんだなって、すごく感じました。これからも僕は自分の気持ちだったり、自分の好きなことを、活動を通じてみんなに伝えていきたいと思います」(まひとくん。)
「“ああ、やっぱこの6人だな”って痛感しました。この6人じゃないと無理ですね。ずっと自分のスタイルでやってきて、向いていないと思っていたけど、たくさんの人に見てもらっている『発信者』なんだなと日々感じています。頑張っているところは、なかなか見てもらえないけど、この活動では負けないから。これからも全力で伝えていきます。KnightA-騎士A-って魅力的で、まだまだやりきれてなくて悔しいけど、絶対負けない。だから、ついて来てください。次もあるし、会えるところ、いっぱいあります。配信聞ける時、聞いて。ツイート見れる時、見て。これからもゆきむら。やKnightA-騎士A-のこと、よろしく。最高の思い出、ありがとうございました! おまえら最高だ!」(ゆきむら。)
アンコールは、興奮が最高潮に達した「ロキ」。ライブパフォーマンスのほか、個性が強く滲み出たMCタイムで、あふれんばかりの思いを伝え、初のワンマンライブを成功へと導いたKnightA-騎士A-。初めてにして、厚いライブの壁を乗り越えた6人の目に映る景色は、一人ひとり熱く語った思いの通り、最高の景色だったはずだ。しかし、まだこの日はスタート地点。いくつもの困難を、6人が手を繋ぎながら乗り越えた先に見える景色は、きっともっと眺めがいい。
【取材・文:小町碧音】
【撮影:林 晋介】
セットリスト
KnightA-騎士A-
1stワンマンライブ「Knight」
2021.02.14@豊洲PIT
- 01. フィクサー
- 02. フラジール
- 03. お願いマッスル
- 04. 吉原ラメント(ばぁう)
- 05. ヒバナ(まひとくん。)
- 06. シャルル(そうま)
- 07. おじゃま虫(てるとくん)
- 08. 悪魔の踊り方(しゆん)
- 09. ENVY(ゆきむら。)
- 10. チューリングラブ(てるとくん×まひとくん。)
- 11. 厨病激発ボーイ(そうま×しゆん)
- 12. 劣等上等(ばぁう×ゆきむら。)
- 13. GO GO CRAZY(そうま×てるとくん×ゆきむら。)
- 14. ダンスロボットダンス(ばぁう×まひとくん。×しゆん)
- 15. 幽霊東京
- 16. ヒカリユメ
- 17. Very 【ENCORE】
- EN1.ロキ