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4s4ki、初のワンマンライブで圧巻のステージを披露

4s4ki | 2021.03.18

 2021年3月11日、4s4kiが初のワンマンライブ『4444年』を開催した。有観客、オンライン配信、アーカイブなし。彼女のライブを見るのは2019年7月以来1年半ぶりで、その間に音楽性もかなり拡がったので、僕はわくわくしながらYouTubeを開いた。

 18時30分ちょうどに激しい電子音が鳴り響き、幕が開くとチャイナっぽいピンクのシャツに黒のパンツ、白いスニーカーに身を包んだ4s4kiがステージに登場。オープニングナンバーはバックDJを務めるGigantectがプロデュースした「SUCK MY LIFE」だ。

 ステージには工事用ガードフェンスがランダムに並べられ、キョンシーを封じる護符をパロディした”超怒猫仔”ステッカーがペタペタ。フェンスに絡まるアルミダクト、4s4kiの機材を載せたテーブルの上に置かれた人形や水晶玉、VJのsadakata(tomodati、gato)が映し出す映像ともあいまって、アジアンサイバーパンクとでも呼びたい『4444年』のイメージ。昨年末にリリースされたアルバム『超怒猫仔/Hyper Angry Cat』の世界を体現していた。

 「4s4kiです。よろしく」と短く挨拶をして、「おまえのドリームランド」「ラベンダー」「gekkou」「I LOVE ME」「monmon」「35.5」「プラトニック」と、20分近くノーMCで『超怒猫仔/Hyper Angry Cat』『遺影にイェーイ』の収録曲を連打していく。目まぐるしく移り変わるハイブリッドな音楽性が圧巻。オートチューン強めのボーカルもバキバキだ。

 「あらためまして4s4kiです。こんなご時世ですが、みなさん来てくれてありがとう。声出せないのがちょっと悲しいけど、みんなの心の声を頑張って感じ取るので、たくさん波動を送ってください。配信を見ているみなさまもぜひ楽しんでいただけたら」

 ここからは前週にリリースされたばかりのEP『UNDEAD CYBORG』コーナー。「☆メガジョッキ☆」「REIMEN」「幸福論」「Sugar Junky」と、ハイパーポップを標榜する同作から短尺の曲をたたみかけていく。セットリストに「~即興」と記された新曲は細かいシンセのループに大きなメロディと即興のピアノが乗り、彼女の歌声の魅力がいかんなく発揮されていた。

 「わたし、19歳で術ノ穴っていうレーベル(現ササクレクト)からデビューしたんですけど、今日で23歳になりました(拍手)。もう本当に、みんなに支えられてここまできて……泣きそうになってきちゃった(笑)。ひとりで黙々と曲を作っていた高校時代から、わたしを見つけてくれた術ノ穴のKussyさんとdeiiさん、わたしの音楽を支えてくれた家族や友人や恋人、みんなのおかげで曲を届けられるようになりました。たくさんの人が関わってこんなにすごいセットを作ってくれて、みんなの顔も見れて、わたしは本当に幸せです。4s4kiはまだまだ頑張ります」

 そう語った後、ピアノの弾き語りで「ずっとお前を殺したかった」と「escape from」をオートチューンなしで切々と歌い上げる。これができるのは4s4kiの強みだ。

 音色を変えて「クロニクル」を弾き語りで歌い始め、「愛してるよ、みんな」と口にして立ち上がると、途中からフルオケに。トラックもメロディも秀逸で、展開も豪快。sadakataの映像も強烈にサイケデリックな同曲は最初のクライマックスになった。

 ステージ背後に「featuring corner」の文字が映し出され、「超怒猫仔 feat. Mega Shinnosuke, なかむらみなみ」。4s4kiの歌声がドリーミーに響く中、客演のふたりが飛び出してくる。火の玉のようなラップは、動けない観客が気の毒になるほどエナジェティックだ。続いて「風俗嬢のiPhone拾った feat. Gokou Kuyt」。彼は前のふたりとは対照的に、4s4kiの歌に寄り添い溶け合うようなパフォーマンスを見せる。ハモりあり掛け合いありの「moniko feat. Anatomia」、CVLTEのAvielがエモーショナルに吼える「Liar feat. CVLTE」と、このコーナーは怒濤の情報量についていくのがやっとだった。

 「時間が経つのはとってもとっても早いですね。最後の曲です」と、今やなつかしい2019年のEP『NEMNEM』から「SAD night boi」。宇宙から歌いかけているようなボーカルで恍惚とさせて本編は幕を閉じた。

 アンコールにはグッズのパーカを着て登場。「SUCK MY LIFE 2」のリプリーズからの「超破滅思考」では解放感満点にステージ狭しと動き回り、最前列の観客とタッチするなど、この夜いちばんの躍動を見せた。

 ここで4月にビクターからメジャーデビューすることと、3ヵ月連続シングルリリース、そして夏のフルアルバムを映像で発表。シングル第2弾となる「gemstone feat. Puppet」を披露した。Puppetは映像でニューヨークから参加し、これまた新鮮なナンバーでリリースが楽しみだ。

 「術ノ穴からデビューして4年め、23歳。メジャーデビューが決定。本当に、何度も何度も言うけど、たくさんの人たちのおかげです。みんなで4s4kiだと思ってます。今日、会場に来てくれた人、配信を見てくれてる人、マジでいちばんイケてる!」と語り、4s4kiは2018年のファーストミニアルバム『ぼくはバカだよ。』からの「Gender (ANIMAL HACK REMIX)」を歌い始めた。アサキ(当時の名義)の始まりともいうべき同曲をクロージングに選び、かつオートチューンをかませてきっちりアップデートする姿勢が4s4kiらしい。ステージを変えて、これからどんな活躍を見せてくれるか楽しみだ。

【取材・文:高岡洋詞】
【撮影:西槇太一】

tag一覧 J-POP ライブ 女性ボーカル 4s4ki

リリース情報

UNDEAD CYBORG

UNDEAD CYBORG

2021年03月03日

SAD15mg

01.☆メガジョッキ☆
02.REIMEN
03.Sugar Junky
04.幸福論
05.ずっとお前を殺したかった

セットリスト

4s4ki 1st Oneman Live “4444年”
2021.03.11@恵比寿LIQUIDROOM

  1. 01.SUCK MY LIFE
  2. 02.おまえのドリームランド
  3. 03.ラベンダー
  4. 04.gekkou
  5. 05.I LOVE ME
  6. 06.monmon
  7. 07.35.5
  8. 08.プラトニック
  9. 09.☆メガジョッキ☆
  10. 10.REIMEN
  11. 11.幸福論
  12. 12.Sugar Junky
  13. 13.~即興
  14. 14.ずっとお前を殺したかった (弾き語り)
  15. 15.escape from (弾き語り)
  16. 16.クロニクル
  17. 17.超怒猫仔 feat. Mega Shinnosuke, なかむらみなみ
  18. 18.風俗嬢のiPhone拾った feat. Gokou Kuyt
  19. 19.moniko feat. Anatomia
  20. 20.Liar feat. CVLTE
  21. 21.SAD night boi
  22. 22.SUCK MY LIFE 2
  23. 23.超破滅的思考
  24. 24.gemstone feat. Puppet [新曲]
  25. 25.Gender (Remix ver)

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