SEAMO、5人の女性アーティストとのコラボアルバムについて語る
SEAMO | 2010.12.27
ミニアルバム『5♥WOMEN』は、5人の女性アーティストとのコラボレーションを実現した1枚だ。ロマンチックな歌詞とトラックがリスナーの心を優しく温めてくれる「クリスマス大作戦feat. 紗羅マリー」。ハードロックの名曲を使った大ネタもの「Hungry feat. miray」。歌声とラップのスリリングな交わし合いが光る「Change feat. Metis」。柔らかなメロディが胸に沁みるラブ・ソング「Slow Down feat. Tiara」。洗練されたR&Bナンバー「Were you happy? feat. AZU」。収録されている5 曲で、参加アーティスト各々の魅力が抜群に引き出されている。SEAMOの高いプロデュース能力を示した作品だと言うこともできるだろう。本作についてSEAMOに語ってもらった。
- EMTG:今までも女性アーティストとの名コラボをたくさん行ってきたSEAMOさんですから、今回のミニアルバムはまさしく本領発揮ですね。
- SEAMO: 2009年の10月にベストアルバムを出しましたけど、あの後くらいからずっとやりたいと思って温めていたアイディアなんです。今回参加してもらった方々はよく知っている人も、面識がなかった人もいるんですけど、いろいろな作品を聴かせてもらって、「この人はこの曲のイメージに合うな」みたいに、僕なりに研究しました。それぞれに良い曲になったという手応えが、僕の中にもすごくあるんですよ。ラッパーの曲にシンガーがコラボレーションで参加すると、リスナーの耳を惹く部分を担当するのは、やっぱりシンガーの歌。ラッパー側もシンガーのポテンシャルを引き出すことを大切に考えるんですけど、今回の5曲はそれが上手くできました。それぞれのアーティストのファンの方にも喜んでもらえると思います。
- EMTG:曲は参加アーティストが決まる前からできていたんですか?
- SEAMO:基本的にどの曲のデモも、彼女たちのところへ持って行く時点で一通り完成していました。デモを作った段階で「これを歌うなら誰だろう?」って考えてオファーしたんですよ。参加してくれた方々はみんな個性的。1曲も他の収録曲とかぶらない、それぞれの良さが出せたと思います。どれもシングルとしてリリースしても恥ずかしくないですよ。実は5人とやったというのもこだわりでした。日本人は「5」に馴染みがあるのかなと。なんかバランスが良いんですよね。4人組の戦隊とかっていないし(笑)。5人組のグループが多いのは、そういう理由なのかもしれないですよ。
- EMTG:なるほど(笑)。で、まず1曲目は紗羅マリーさんとの「クリスマス大作戦」。すごくハッピーでキラキラした曲ですね。
- SEAMO:クリスマスの歌を作りたいっていうのは前々から思っていて。作るんだったら切ないタイプじゃなく、絶対にパーティーできるハッピーな曲にしたいなと。クラブでDJが曲をどんどんつないでいく感じが出せましたね。クリスマスの美味しいスキットみたいなのをどんどんつないでいったので。
- EMTG:紗羅マリーさんの歌声が絶妙に曲にハマっています。
- SEAMO:まさにイメージ通り。この曲を歌うのはゴスペルとかを歌うタイプの人ではないなと思っていて。楽しさやハッピーさを自然に伝えられるタイプが良いなと。紗羅マリーは面識がなかったんですけど、彼女は実は僕と同じ名古屋出身。ZIP-FMで喋っているのとかを聴いて初めて知ったんですけど。彼女の2ndシングルが良いと思っていたんですよね。
- EMTG:「諸人こぞりて」「ジングルベル」「きよしこの夜」とかのメロディを上手く盛り込んでつなげているのが、面白いアイディアですね。
- SEAMO:アイディアが上手く形になるのって難しいんですけど、これはビートもタイトルもPVも全部ひとつにつながりました。クリエイティヴなことがバッチリ決まった満足感があります。タイトルも他とかぶらないでしょうし(笑)。「大作戦」って何か夢があるし、女の子を楽しませるためにあれこれ作戦を練っている感じが出ているところも気に入っています。これは今年のいろんなクリスマス・ソングと並べて頂いても、すごく際立てる曲だと思います。
- EMTG:「雪は融けてしまっても、2人の思い出はずっと残っていくんだよ」ってことが歌われて締め括られるのも、この曲のグッとくるポイントでした。
- SEAMO:レストランに連れて行ったり、プレゼントがどうとか、いろんなことも大事なんでしょうけど、思い出みたいなことのために一生懸命やってあげたっていう事実が女の子に届くことも、男にとっては嬉しいことですからね。あと、この曲はトラックも気に入っています。ドラムが生なんですよ。それもあってか、意外とモータウン感みたいなものが出ましたね。今ってデジタルな感じのトラックが主流だし、ヴォーカルにオートチューンやヴォコーダーがかかっているものが多い中で、かなり面白いことができた曲です。
- EMTG:今回の収録曲の中だと、mirayさんとの「Hungry」が、ロック・ファンの間で話題を呼びそうですね。ネタがディープ・パープルの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」じゃないですか。
- SEAMO:ロックをど真ん中でやっている人からすると恐れ多いことなんでしょうね(笑)。今回弾いてくださったギタリストの方は喜んでましたけど。「まさかこれを自分が弾く日が来るとは思ってもみなかった」っておっしゃっていました(笑)。「何をサンプリングしたら面白いかな?」ってことは日々考えています。やりたいことはいろいろあるんですけど、許可を取るのが難しいんですよ。
- EMTG:「Hungry」をmirayさんに歌って頂くことになった経緯は?
- SEAMO:野性的な女版ターザンみたいな人に歌って欲しかったんですけど、そこですぐに浮かんだのがmiray(笑)。こういうロック・テイストの曲は楽しいですね。ライヴでのフックになると思います。
- EMTG:このミニアルバムの全5曲にも表れていることですけど、SEAMOさんの表現方法ってすごく幅広いですよね。
- SEAMO:「この曲はメッセージを綴って、こういう風に落としこむべきだな」とか「これはラップで遊ぶべきだな」とか「これはメロディを綴っていくべき」とか、作る前に自分がどのモードで行くか考えるんですよ。
- EMTG:SEAMOさんの足跡って、いろんな作風を着実に広げてきた歴史だと思います。
- SEAMO:シーモネーターの頃は「下ネタのラップ」っていう選択肢しかなかったけど(笑)。でも、いろいろやってみると最初は苦手であっても、どんどん良くなっていくものですから。あと、このやり方でいて良かったなあと思うのは、昔の自分を全然否定しなかったこと。新しいものを採り入れて引き出しを増やしていっているイメージなんですよ。今年も、卒業ソング、夏ソング、クリスマス・ソングも作れたし。結構いろいろやれましたね。これからも増やしていきたいです。