2011年、10周年イヤーを迎える童子‐T。5月4日にリリースされる3タイプのベスト盤『10th ANNIVERSARY BEST』には、その10年間を象徴する代表曲がビッシリ収録されている。豪華なアーティストによるコラボ曲も惜しみなくピックアップされているので、純 粋に楽しめる仕上がりだ。テキスト・インタビューでは、彼自身がベスト盤に込めた思いを、そして動画では10周年をキーワードに、熱く語っても らった。アグレッシヴな姿勢には大注目！

EMTG：今回『10th ANNIVERSARY BEST』は計3タイプで豪華ですね！

童子‐T：こういう形態で出そうとか全然考えてなくて。DJ KAORIのミックスCDを入れようってことも含め、いろいろ考えてくれたのはスタッフで。

EMTG：そうなんですか！

童子‐T：それこそ10年くらい前だったら、１から10･･････いや、100までですかね、全部自分で把握しないと気が済まなかったんです。でも、最 近ではちょっとした心の余裕が出来てきて、任せるところは任せようと。もちろん最終ジャッジはさせてもらってるんですが、今回はベスト盤ってこと もあって、割とまわりにお任せでした。曲のセレクトだけは自分で全部やったんですけど、これが一番大変でしたね！

EMTG：だと思います。膨大なレパートリーから選ぶのって悩みますよね。

童子‐T：そうなんですよ。この10年間にオリジナルでは5枚、企画盤で2枚、トータルで7枚出してきたんですけど、それを1枚に収めるって話 で。そこだけは2枚組にならないかってお願いしたんですけどね（苦笑）。というのも、ラップって情報量が多いんで1曲が長いんです。でもCDって 1枚に74分しか入らなくて。だから、いろいろ考えました。シングル・コレクションにした方がいいのかフィーチャリング集がいいのか･･････とかね。 最終的には12~3曲選んだんですけど、何かわけがわからなくなって（苦笑）。それでmixiでファンに相談してたんです（笑）。

EMTG：あ、でも、ファンの声をきくのもアリですもんね（笑）。で、結果どうでした？

童子‐T：“だいたいここまで決めたから、あと３?４曲はみんなで決めて”って投げたら、何百件もコメントをいただいて。結局、その中の意見を参 考にして選びました。美しい言い方をすると、ファンと共に選んだベスト盤っていう（笑）。

EMTG：ちなみに、ファンの方の意見はどんな感じだったんですか？

童子‐T：ファンの人達と温度差があったんだなって思ったことがひとつあって。自分の7枚のアルバムの中で一番売れたの『12 Love Stories』だから、僕はそこからの曲ばかりにならないようにしようと思ったんです。たぶん持っている人もたくさんいるだろうし、いろんなアルバムか らバランスよく選んだ方がいいだろうって考えて。ところが、ファンの子達には全然関係ないんですよ（苦笑）。ほとんど『12 Love Stories』に入っている曲が選ばれてるんです。ベストには、『12 Love Stories』から、娘にささげた「実りある人生を」と、息子に捧げた「光る未来」を入れました。バランス的に偏るかなと思ったけど、ファンには意外に 関係ないんだなって。

EMTG：でもファンの意見としたら納得かもしれないですね。

童子‐T：自分がリスナーの目線になったら、ベスト盤の収録曲が、なじみのない曲ばかりだったらやっぱりイヤだと思うし。

EMTG：逆に、ファンに投げてみて正解だったかもしれませんね。とはいえ、ベストにはしっかりと新曲も入っているあたりに、ちゃんとネクストを 提示する姿勢も感じます。

童子‐T：リード曲の「もう一度…2011 feat.BENI」は、自分もBENIも歌を録り直して原曲の雰囲気を壊さずに作ったんで、やっぱり新しい曲はあった方がいいかなと。で、新曲を作るに あたっては、誰かとコラボしようかとも思ったんですが、それでなくてもフィーチャリングの曲が多いですからね。ここは1曲ひとりでバシッと10年 間のケジメをつけて録ってみようと」

EMTG：その新曲「夢のかけら」も合わせてこのベストを聴けば“童子‐Ｔってこんな人”っていうのが理解できますね。歌詞に込められたメッセー ジも強いものが多いですし。

童子‐T：ヒップホップって、どうしても自分の名前が入ってくるような音楽だから、すごく特殊な音楽だと思いますよ。カラオケで歌いにくいし （笑）。だから僕の場合はラブソングの手法もとっているんですけどね。

EMTG：さて、ベスト盤も出る10周年の今年、何かアニバーサリー的なイベントのご予定などはあるんでしょうか？

童子‐T：2011年はメモリアルイヤーなんで、ガンガンやっていこうっていうのは、去年の早い段階から決めていたんですよ。とはいえ、いつも通 りなんですけど（笑）、走り抜けていきたいなと。まずはこのベスト盤のリリースをキッカケに、5月2日から初めてのレギュラーラジオ番組 「T TIME」を始めるんですよ。あと、秋には『12 Love Stories 2』をリリースすることが決まっているので、それも楽しみにしてて欲しいですね。

EMTG：気になるのはライブですが。

童子‐T：そうですね。どうなるかはわからないですけど、童子‐Ｔプレゼンツの冬フェスみたいなものはやってみたいかな。

EMTG：お、それは面白そうですね！

童子‐T：具体的には何も決まってないですけど、自分自身の楽曲のスタイル的にも、あまり夏って感じじゃない気がするんですよ（苦笑）。しっとり した曲も多いんで、冬に野外でしっとりみたいな（笑）。

EMTG：冬に外はちょっと（笑）。ただ、いろんなアーティストが遊びに来そうですね。

童子‐T：実現させたいですね。でも、ベスト盤、ラジオと、ひとつひとつ実現していってるんで、今は着実にやっていきたいなと。

EMTG：シメに、この10年を振り返っていただくと、どんな10年だったでしょうか。

童子‐T：この10年って、いわゆる30代の10年だったんですよ。30から40までって言ったら、ホントにひたすら走ってきましたね。だから、 40代ではちょっとだけ余裕を持ちたいなっていうのはあります。僕の場合、20代は相当挫折感を味わってきた時期だったんで、30代はその分、 やってもやっても気が済まない10年だったかな。

EMTG：40代は余裕を……とか言いつつ、結局走るんじゃないですか？（笑）。

童子‐T：そうなんですよ（苦笑）。やっぱりギラギラしていたいですからね（笑）。最近、50代のアーティストもすごいですから。少し前に郷ひろ みさんとお仕事する機会があったんですけど、とにかくギラギラしてました（笑）。そう思うと、バブルガム・ブラザーズさんとかカールスモーキー石井さんとか、ホントにすごい先輩も多いんで、僕もギラギラを目指したいと思います。

【取材・文：海江敦士】