結成23年を迎えたthe pillowsからニューアルバム『トライアル』が到着!

the pillows | 2012.01.19

the pillowsがニューアルバム『トライアル』を完成させた。結成から23年の間には山も谷もあったが、ブレることなく活動を続け、多くの後輩バンドからリスペクトを集め、日本武道館でのライヴも成功させ、ロックバンドとして貴重な道を歩んでいるようにも映る彼ら。しかし、今作は『試練』と名付けられた。聴いてみると、疑問や不安や孤独といった、彼らの音楽を形成してきた要素が、今まで以上に渦巻いている。それは、3月11日を越えた時代とシンクロして、胸に響くのだ。自分たちに正直に音楽を鳴らし続けてきた彼らの真骨頂が表れたと言えるだろう。ピロウズの音楽はいつだって僕らの音楽、そう改めて思える名作である。

EMTG:まず、『トライアル』の制作は、いつくらいから行われていたんですか?
山中さわお:うーんと、5月6月くらいに凝縮されていたと思うよ。曲ができたら、その都度セッションもリハでしつつ、デモレコーディングっていうのがあって、それからもっとアレンジをはっきり決めるプリプロっていうのをやったんだっけか。そして本番っていう流れかな。
EMTG:資料に載っていた、さわおさんによるセルフライナーノーツには“こんなに何度も何度もやり直したレコーディングは、長い活動の中で初めてです”と書いてありましたけれども。
山中:それはプレイのことじゃなくて、オーディオ的なことなんですよ。録った音に対して、ミックス作業みたいのを、OKしたものもやり直したりしていたっていうことで、プレイ自体は……。
佐藤シンイチロウ:音決めも長い時間やったんだよね。そういう拘りは、随所に詰まってるんじゃないですかね。
真鍋吉明:あとは、今までだったら曲を補強するために、鍵盤入れたりとか、打ち込み入れたりとかっていう作業もあったんだけど、今回はサウンドのカラーを全部ギターで作ったんですよね。それは、今回の特徴かもしれないです。とてもシンプルなんですけど、シンプル故に、見え方をいろいろ考えたら、時間は掛かりましたね。
山中:とにかくピロウズは、ギターの音を歪ませたいんだけど、それにとっても適さないコード進行が多いんですよ。プレデターズは簡単なんだよ。ディストーションをぐいっとやっても、濁らない歪みが簡単に出せるんだけど、ピロウズはそうはいかなくて。ロックアルバムにするのにちょうどいい折り合いをいつも探っているんだけど、多分ここ最近は、わりと理想よりもクリアめに録っていて、それが恐らく物足りないから、メロトロンとか足して厚みを出すとか、手っ取り早い方法をとっていたっていうことなんだよ。ただ、今回は、前作よりも、もう一個上の世界があるはずだっていうことで、そういうギターの音作りを探っていたのね。そうしたら自ずとメロトロンや打ち込みの隠し味がいらなかったっていうことだよね。
EMTG:シンイチロウさんは、今作のレコーディングで印象的だったことはありますか?
佐藤:レコーディングのスケジュールは、僕が決めているんですね。まず事務所なりレコード会社なりから、これだけ日にちを抑えましたっていうのがきて、じゃあここで何をやりましょうって決めていくんだけど、今年はARABAKIが夏にあって。去年までは、イベントの次の日に帰ってきて、もう翌日からレコーディングだったんだけど、それじゃ元気にならないなっていうことに気付いて、もう一日休んでからレコーディングしようと決めたんですよね。そういう己を知った、いいタイミングでしたね。
山中:何の話なの!(笑)。
佐藤:ライヴ終わってから飲んじゃうと、一日二日では回復しないんだよね。レコーディング、ドラムから録るから、元気な方がいいですからね。前作までは、元気ないなあって思いながらやっていたんですね。今回元気! わははは!
EMTG:(笑)。真鍋さんは、完成したアルバムにどんな印象を持っていますか?
真鍋:できあがったばかりなんで、そんなに客観的に振り返れないんですけど、ギリギリであっても、ベストを尽くして、いいアルバムになるまで頑張れたことにほっとしていますね。まあ、作品的な意味とかは、これからツアーのリハとかがはじまって、新たな思いとかが出てくるんじゃないですかね。
EMTG:特に歌詞がわかりやすいですけど、いつも以上に、バンドの状況や、さわおさんの心境みたいなものが、如実に表れている気がしたんですよね。
山中:作る手段は本人的には変わっていない。だけど明らかに、今までと違うことっていうのはあって。いつものピロウズは、曲の生まれた誕生日に幅があって、それに歌詞をのせて一枚のアルバムになるんだけど、それが今回は、先行シングルは置いておいて、二ヶ月くらいの間に曲と詞を書いたんだよ。こういうふうに曲が全部同い年みたいな感じは、多分初めてなんだよ。
EMTG:その二カ月の間に出てきた曲がよかったということですか?
山中:曲はあったよ。でも、そっちに歌詞はのらず、その頃に作ったものに自分が夢中になって、どんどん歌詞をのせていったんじゃないかな。
EMTG:だから、曲調的にヴァラエティには富んでいるけれども、全体的なトーンが近しいのかな。
山中:そうだろうね。歌詞も同じ気持ちでできたんだろうね。三年くらい開きがあるものだとさ、気持ちの距離感が違うだろうから。ただ、失敗するとワンパターンというかさ、飽きるアルバムになるんだろうけど、今回は上手くいったんだね。
EMTG:また、ライヴで聴くのが楽しみな曲が揃っていると思います。
山中:歌詞を書いている人間だからね、いっつも人に暗いアルバムって言っているんだけど、ライヴでは汗をかくロックアルバムになっているんじゃないかな。

【取材・文:高橋美穂】

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