初のミニアルバム、NIKIIEの心を映し出す6曲
NIKIIE | 2012.04.05
- EMTG:「カナリア」、いい曲ですね。
- NIKIIE:ありがとうございます。この曲を書いたのは上京を決めた頃なんです。「音楽が好き。進んでいくぞ!」って気持ちがあると同時に、なかなか上手くいかない現実もあって、それがすごく苦しかった頃です。「音楽が嫌いだったら、諦められたらこんなに苦しまないのにな」って思う瞬間もあったんです。でも、そこでわたしが感じたのは、「音楽が好きであるっていうのは根本的には変わらない。だからこそ摩擦で嫌いになろうとする自分がいるんだな」っていうこと。その気持ちを素直に、でも少し間接的に「カナリア」っていうものに置き換えて表現したのがこの曲です。その頃、たまたま本か何かでカナリアのことを調べたんですけど、「炭鉱で毒ガスの検知に使われる」ってことを知って。そういう人間と動物の関係性が、自分と音楽の関係性とダブって感じられたんです。
- EMTG:「本当に好きものだからこそ、上手くいかないのが苦しくて辛くなる」っていうジレンマは、たしかにありますよね。
- NIKIIE:わたしの場合はジレンマであるってこともなかなか意識できなくて。結局嫌いになってしまったりすることが10代の頃は多かった気がします。それでも続けられたものがわたしにとっては音楽。立ち止まった時に、「好きなんだな」って必ず戻ってこられたのが音楽なんですよ。
- EMTG:地元ではなく東京で音楽をやりたかった理由って?
- NIKIIE:地元のライブハウスでライブはしていたんですけど、もっと日本の中心、いろんなバンドとかが集まっているところでやりたかったんです。地元の茨城ではなかなか情報を得ることもできなかったですし。音楽にもっと近いところへ行きたかったんです。だから両親を説得して、「2年だけ」っていう約束をしました。
- EMTG:東京の学校とかに行きながら音楽をやる人は多いですけど、音楽のためだけの上京?
- NIKIIE:そうです。両親にも「学校通いながらだってできるじゃない?」って言われたんですけど、途中で学校をやめちゃうことが、自分ではよく分かっていたんです。そういう気持ちは全部伝えました。わたしは中学時代に引きこもった時期があって。その時期を両親は知っているから、内にこもるよりも表へ向かって反抗してもらった方が嬉しかったみたいです。だから許してくれたんだと思います。
- EMTG:「カナリア」は上京してライブをし始めた時期にもやっていたんですか?
- NIKIIE:ずっと歌っていました。上京して初めてのライブでも歌ったと思います。
- EMTG:歌詞は聴く人それぞれでいろいろな解釈ができそうですね。
- NIKIIE:自由に感じて頂ければと思います。大事なものって、力んで「大事にしよう!」って思えば思うほど大事にできなかったりするなって思って。そういうのが当時のわたしの音楽に対する気持ち。上手くやろうとするほど練習していたものが本番で出なかったり、空回りしてしまったりしたんです。そういうことも含めている歌詞ですね。直接的な表現はしていないんですけど。
- EMTG:サウンドはすごく温かくて、心地よい躍動感があると思います。僕、NIKIIEさんのあらゆる曲に対して「草原」っぽいというか、「黄緑色」っぽいというか。オーガニックな爽やかさを感じるんですけど、「カナリア」はまさにそうでしたね。
- NIKIIE:音の色が見える人ですか(笑)?
- EMTG:いや、そういうんじゃないですけど(笑)。
- NIKIIE:曲を書く時ってリフから入ることが多くて。その時に浮かべる景色って、自分の今までに見た中で一番きれいな新緑の裏山なんです。実家の方の裏山なんですけど(笑)。そういうのを浮かべながら作った曲が、今回実は多いんですよ。意識していなかったですけど。そう考えると新緑色が強いかも(笑)。「3sec.」とかもそうですし。
- EMTG:素敵な曲が満載ですね。「good night my sweet home」もすごく印象に残りました。育った家への呼びかけの曲ですよね。
- NIKIIE:まさにそうなんです。震災で実家が住めなくなって。先月、ようやく解体したんですけど、それまではその事実を受け止められない気持ちがあったんです。気持ちに蓋をして、「日々できることをやろう」って歩んでいました。でも、ずっと心に引っかかるものがあって。だから曲を書いてみようと思ったんです。誰かに聴かせようってことは考えないで、自分のためだけに書いた曲なんですけど。言葉にしてみたら思っていた以上に温かい記憶だったりがたくさんありました。自分が自分に救われたというか、一歩を踏み出せたような曲になりましたね。
- EMTG:パーソナルな曲かもしれないですけど、みんなこういう感情があると思いますよ。どんな人にも育った家とか故郷があるわけですから。
- NIKIIE:先入観を持って聴くと重く受け止めるかもしれないですけど、あまり先入観を持たず、自分の今まで生きてきた中の記憶と重ね合わせて聴いてもらえたら嬉しいです。
- EMTG:今回の1枚に関してイメージしていたことって何かありました?
- NIKIIE:1stアルバムは「自分はこういう人です。こういうことを考えて、だけどこういう視点もあって……」っていう、NIKIIEって人を知ってもらいたくて作った1枚だったので、「対自分」みたいな曲が多かったんですよ。ストイックに自分に向き合ったところがあったと思います。今回のアルバムに関しては、自分が楽しんで作ったところが大きい。聴いてくれた人に好きに受け取ってもらえるものを作りたいなと思って、だからこそ自分が楽しんでいるところが今回はありましたね。そういう中で、知らず知らずの内にこういう曲を選んでいました。開いてみたらポップでキャッチー。根本にあるものはネガティブな気持ちだったりするんだけど、それを敢えて消化した曲を選んでいたので、こういうカラーのものになりました。
- EMTG:この作品のリリースの後は、ツアーがあるんですね。
- NIKIIE:そうなんです。まだちょっと先なんで、これから内容とかやりたいことを考えようと思っているところです。どういうライブになるんだろう(笑)?
- EMTG:バンドもあり、弾き語りもあり?
- NIKIIE:そうだと思います。どうなるんだろう(笑)。とにかく、その時感じたことを歌に乗せて伝えていきたいと思っています。ライブはその時しかないもの。「二度とない瞬間」を、ぜひみなさんと一緒に過ごしたいです。
【取材・文:田中 大】
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3万年前の壁画
3月中に終っちゃう映画なんですけど、すごく気になったのがありまして。3万年前に描かれた壁画の映画です。タイトルは『世界最古の洞窟壁画3D忘れられた夢の記憶』。壁画があるその洞窟は崩れた山に埋もれて、そのお陰で綺麗なまま保存されていたらしいんです。絵が劣化しちゃうので、人はあんまり立ち入ることができないみたいです。そこに入って撮影した映画。すごく気になります。
■ライブ情報
NIKIIE LIVE TOUR 2012“hachimitsu”
2012/06/17(日)福岡ROOMS
2012/06/23(土)大阪umeda AKASO
2012/06/24(日)名古屋BOTTOM LINE
2012/06/29(金)渋谷duo MUSIC EXCHANGE
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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