ゲスの極み乙女。とindigo la End、同時にメジャーへ

ゲスの極み乙女。&indigo la End | 2014.04.02

EMTG:フロントマンが同じ二つのバンドが同時にメジャーデビューって、異例中の異例ですよね。
川谷:最初は、同時に出すつもりじゃなかったんです。ゲスは4月にメジャーデビューが決まっていて、indigoは3月にインディーズで出すつもりだったんです。それが、去年の12月くらいに、どうせなら一緒に出した方がいいんじゃないかって。俺は反対したんですけど。2つに如実な差が出来るし、他のメンバーのことを考えたらどうなのかな?って。でも、indigoの作品もこれはメジャーで出すべきタイミングだなって思えたんです。
EMTG:以前indigoでインタヴューした時に、川谷さんは「土足で踏み込んで欲しくない」、「ちゃんと聴かないなら、聴かなくていい」って言っていて。そういう思考が、ゲスの極み乙女。という強烈なバンドを生み出したのかと思ったんですけど、実際はどうなんですか?
川谷:うーん、元々偏屈な人間なんで、そういうプライドがあって。でも、だからゲスが生まれたっていうよりは、もっと自然発生的なもので。CDを出すつもりもなかったんです。1st(ミニアルバム『ドレスの脱ぎ方』)も自主制作に近かったですし、4人で面白いことをやろうって。それが当たったから、2nd(ミニアルバム『踊れないなら、ゲスになってしまえよ』)は考えて作りましたけど。
EMTG:後から組んだゲスが盛り上がって、indigoをやり続けてきた身としては複雑な心境にはならなかったんですか?
川谷:でも、ゲスが広がったことで、バンドシーンを理解したっていうか。それによってindigoの今作が生まれたところもあるので。
EMTG:そういった相乗効果が起こるとは、ゲスをはじめた頃は……。
川谷:いやもう全然。
EMTG:そもそも川谷さんは、メジャーデビューなり、高みにのぼっていきたい野望はあったんでしょうか?
川谷:まあ、indigoをはじめて、途中で大学院も辞めちゃったんで、音楽が人生なわけで、売れたいし……そう言うと安く聞こえますけど、音楽をやってたらいろんな人に聴いてもらいたいって思うのが普通だと思います。
EMTG:じゃあ、今は嬉しい?
川谷:そうですね。ゲスに関しては、途中から狙ったところもあったので。
EMTG:それがさっき言っていた、「2ndで考えた」というところですか。
川谷:そうですね。四つ打ちのバンドシーンに対するカウンターっていうところもあったので。でも、それがバンドシーンに迎合されてしまって、辟易したところもあって。だから、今はそこから抜け出す方向になっていますね。
EMTG:今のバンドシーンで受け入れられるものが簡単に作れちゃった、というか。
川谷:いや、受け入れられるものを作るのは簡単なんですよ。今のバンドシーンは単純なんで。逆に俺らはそれを批判するために、四つ打ちで、自分たちの深みを知ってもらうために出したんですけど、それが同じように迎合されてしまったんで。
EMTG:indigoでは、何にも流されずに、良い音楽を生み出していくという道を貫いてきましたよね。
川谷:でも、それで頭でっかちになっていたところもあったんで、indigoの場合は。それがゲスをやってみて、indigoもバンドシーンに一回入らなきゃいけないなって。
EMTG:ニバンドが混じり合ってきている感じがありますね。
川谷:要は、最終目標は一緒だからですかね。唯一の存在になりたい、シーンとは別の。くるりやクラムボンのように。
EMTG:改めて作品に話をフォーカスすると、ゲスの今作は、バンドシーンを抜けようとして生み出されたと。
川谷:より広く聴いてもらうために、テンポも落として、バンドじゃないシーンに行こうとしたっていうか。
EMTG:ジャンルはヒップホッププログレと掲げられていますけど、もっと何にも縛られない姿勢が提示されている気がしました。
川谷:いや、その言葉を辞めたいんです。閉鎖的な感じがしますよね。最初、もっと何も考えていない時に俺が付けちゃったんですけど。ラップもやってるし、複雑だからこうしておこう、ぐらいな感じで。(スタッフに)資料から消してもらっていいですか? 
EMTG: (笑)。でも、その方がいいかもしれないですね。そしてindigoは、いつになくストレートな仕上がりになっているという。
川谷:元々歌を伝えたいバンドだったんですけど、それをわかりづらくしているような展開が今まで多かったっていうか。だから、原点に立ち返ってみようと。そうしたら、こういうものがindigoだなって明確になったんで。
EMTG:ずっとindigoらしさを探していた、というか。
川谷:そうかもしれないですね。今回の作品を一番メンバー全員が好きだし。メンバー全員が好きなものが、目指すべきものだと思うので。
EMTG:川谷さんって声がいいじゃないですか、それを前面に出すっていう方向性には、当初はならなかったんですか?
川谷:こっぱずかしかったんで。歌詞でも、自分を出さないようにしていたし、演奏も複雑になっていったし。いろいろ怖かったというか。それが、ゲスをやることによって、自分を出してもいいんじゃないかって思えてきて。
EMTG:ゲスで川谷さんの本音が解き放たれたような印象もあったんですけど、そういう目的で結成されたわけではないんですもんね。
川谷:そうですね。解き放ちたかったわけじゃなく、“ゲスの極み乙女。”っていうバンド名に引っ張られて、ああいうふうになっていったんですよ。
EMTG:なるほどね! これで互いに良い影響を及ぼしながら、広がっていくといいですね。
川谷:そうですね。作詞作曲者としての自分が、もっと広がって欲しいと思います。
EMTG:プレイヤーやフロントマンというよりは、作詞作曲者としての自覚が強いんですか?
川谷:そうですね。そこを評価して欲しいです。
EMTG:バンドによっては、ライヴのために曲作りをする、という発言も聞かれますが。
川谷:それじゃダメだと思うんです。今、CDが売れないからライヴ主体の考え方になっているし、お客さんもライヴを考えてCDを聴くようになっていますけど、それは本来の聴き方ではないと思うので。
EMTG:そういうスタンスは、メジャーというフィールドで提示していって欲しいですね。
川谷:はい。全体を変えることは出来ないですけど、自分たちが変わらないでいられればいいかなと思います。

【取材・文:高橋美穂】

tag一覧 アルバム 男性ボーカル ゲスの極み乙女。 indigo la End

リリース情報

みんなノーマル

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みんなノーマル

発売日: 2014年04月02日

価格: ¥ 1,500(本体)+税

レーベル: ワーナーミュージック・ジャパン

収録曲

1. パラレルスペック
2. サカナの心
3. 市民野郎
4. ノーマルアタマ
5. song3
6. ユレルカレル

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あの街レコード

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あの街レコード

発売日: 2014年04月02日

価格: ¥ 1,500(本体)+税

レーベル: ワーナーミュージック・ジャパン

収録曲

1. 夜明けの街でサヨナラを
2. 名もなきハッピーエンド
3. billion billion
4. あの街の帰り道
5. 染まるまで
6. ダビングシーン
7. mudai
8 アリスは突然に

お知らせ

■マイ検索ワード

●川谷絵音(Vo/Gt)
ウユニ塩湖

物凄く綺麗な湖があるんです。僕、ノーベンバーズが大好きで、『ウユニの恋人』っていう曲があって、そこから取って、『エノンの恋人』っていうイベントをやっているくらいなんですけど。こないだ久々に対バンして、物凄く良くて、画像を検索してみたんです。ボリビアなんですけど、いつか行ってみたいですね。


■ライブ情報

ゲスの極み乙女。ワンマンツアー
「ゲスにノーマル」

2014/06/07(土)新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
2014/06/08(日)仙台 長町RIPPLE
2014/06/14(土)広島CAVE BE
2014/06/15(日)名古屋UPSET
2014/06/21(土)大阪JANUS
2014/06/22(日)福岡DRUM SON
2014/07/05(土)恵比寿リキッドルーム
2014/07/06(日)恵比寿リキッドルーム

ゲスの極み乙女。ワンマンツアー(Jun-July)
追加公演「ゲスでいこかVol.2」

2014/06/28(土)LIQUIDROOM ebisu
2014/07/11(金)梅田CLUB QUATTRO
2014/07/13(日)名古屋 CLUB UPSET

indigo la End
『あの街レコード』リリース記念 ミニライブ

2014/04/24(木)タワーレコード新宿店 7Fイベントスペース

indigo la End TOUR 2014 「夜明けの話」
2014/04/04(金)名古屋 APOLLO BASE
2014/04/06(日)梅田 Shangri-La
2014/04/12(土)仙台 enn 2nd
2014/04/17(木)福岡 graf
2014/04/20(日)岡山CRAZYMAMA 2nd
2014/05/14(水)渋谷CLUB QUATTRO

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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