BAND Aの魅力を凝縮した1stフルアルバム完成!

BAND A | 2014.04.07

 2006年に始動して以来、じわじわと人気を高めてきたBAND Aが、ついに1stフルアルバム『○か×か』をリリースする。様々な代表曲の他、新曲も加えた本作は、彼らの魅力を鮮やかに伝える。切れ味抜群のバンドサウンド、遊び心たっぷりの歌詞が、リスナーの心に強烈な印象を残すこと間違いなしだ。メンバー4人にバンド結成の経緯、音楽性の背景、収録されている曲についてじっくり語ってもらった。

EMTG:結成は2006年ですね。
原:はい。福岡の大学の軽音サークル内で結成したのが始まりです。今のメンバーになったのは2011年。そこから活動拠点を東京に移しました。厳密に言うと最初からいるメンバーは僕だけです。3回目のライブくらいのタイミングで前のギターが脱退して、その次のライブ辺りから愛子ちゃんが加入しました。
岡:原くんはサークルの後輩なんですけど、入学した当時から印象に残っていました。「下北沢のバンドマンみたいな顔だな」と。でも、あまり喋ったことはなかったと思います。わたしは丁度その頃やっていたバンドが解散したので、タイミングよく加入したような感じです。
EMTG:どういう音楽性を目指して始めたバンドなんですか?
原:僕が曲を作る側の人間になったきっかけは、何と言いましょうか……。聴いていたいろいろな音楽はめっちゃカッコ良くて。でも、その一方で、偉そうな言い方にはなってしまうんですけど、物足りなさも感じたんです。だから「こういうのを聴きたい」とか「こういうことを言われたい」というものを自分で作りたくなって。自分なりのロック、ポップス、ニューウェイヴを作りたくて結成した感じです。
EMTG:汐碇さんと中島さんとの出会いは?
汐碇:僕も福岡に住んでいたんですけど、メンバー募集をしているという話を聞いて、直接メールしたんです。BAND Aの名前は知っていて。CDを聴いて、いいバンドだなと思っていました。
原:ハッキリ言葉にしますけど、彼ってすごいイケメンじゃないですか。第一印象はそれが強烈過ぎて。僕らがいつも使っているスタジオに来てもらったんです。スタジオに行ったらものすごいイケメンがいて。「まさかこんなイケメンが連絡してくるわけがない」と思ったのが最初の出会いです(笑)。
EMTG:なるほど(笑)。中島さんの加入は?
中島:僕は同じ大学のサークルの部員だったんです。前のドラムが抜けて、サポートするようになったんですけど、僕が他のバンドを始め。BAND Aには他のドラムが入り。そのドラムがやめたので、僕はやっていたバンドをやめて加入し……という流れです。
EMTG:ざっくりまとめると……ジワジワとフェイドインした?
中島:そういうことになりますね(笑)。他のバンドはやっていたんですけど、「BAND Aはほんと楽しかったな」という想いがずっとあったんです。
EMTG:では、今回の作品のお話に移りましょうか。1stフルアルバムなんですね?
原:流通盤としては、そういうことになります。初めて全国のみなさんにフルアルバムとして届けるので自主音源で出したことがある曲もいろいろ選びつつ、新しい曲も詰め込みました。現段階でのベスト盤のようなアルバムが、この『○か×か』ですね。
EMTG:「sad my sunday」は、岡さんが加入して最初にリフを付けた曲らしいですね。
岡:そうなんです。わたしの加入前からあった曲なんですけど、初めて貰ったデモ音源の中に入っていました。もともとはリフが付いていなくて「つまらないな」と思って(笑)、わたしなりにリフを付けたんです。そういう曲がこうしてフルアルバムに入るっていうのは「おおっ!」っていう感慨深いものがありますね。
EMTG:BAND Aのいろんな曲を聴いて特徴として感じたポイントの1つが、渇いたフィーリングのロックンロールでありつつ、ダンサブルさを帯びているところです。しかも所謂4つ打ちのディスコの感じじゃないアプローチを追求しているように感じました。
原:まさにそうなんです。4つ打ちのロックがBAND Aを結成した当時から流行っていて、いろんなフォロワーが出てきたんですけど、僕としてはそういうものは聴く側っていうだけでいいなと思ったんです。だから違う形での心揺さぶられる音楽を作りたかったんですよね。それがずっと続いています。一種の意地みたいなことですけど(笑)。
EMTG:例えば「DDD」とか、すごくそういう面が出ていると思います。
原:「DDD」は、ロス・キャンペシーノス!(ウェールズ出身のバンド)を聴いたのがきっかけで生まれた曲です。彼ら、演奏がすっごくヘタクソなんですよ(笑)。でも、男女混成で、すごく疾走感のあるものをやっていて。「なんだ、この音楽は? でも、俺はこういうのがやりたかったんだ!」と思ったんですよね。意味があるようでなくて、陽気で楽しくてアホみたいな音楽(笑)。そういうイメージで作った曲です。
EMTG:「the help me」や「テレパC」とかも痛快に踊れるロックンロールですね。ガレージロックっぽさもありますし。
岡:わたし、いろんなジャンルを聴くんですけど、ガレージが大好きなんですよ。ガチャガチャした音がすごく好きなので、そういうのが自ずと醸し出しているものもあるのかもしれないです。
原:サウンドにはメンバーのいろんな面が出ていると思います。アレンジはメンバーに丸投げしていますので。
EMTG:汐碇さんのルーツは?
汐碇:レッチリとかアメリカのパンクとかを聴いてきました。
EMTG:バンド内のアメリカ西海岸、カリフォルニア担当?
汐碇 そういうわけではないですけど(笑)。
EMTG:中島さんは?
中島:僕はミスチルが大好きなんです。いろんな影響を受けたものはあるんですけど、そこが一番大きいのかもしれないですね。ミスチルからエルヴィス・コステロも聴くようになり、それ以来ずっとUKロックに浸かっています。高校の時はずっとUSを聴いていたんですけど、「元気過ぎる。脂っこ過ぎるな」と思うようになって、UKに流れていきました。
EMTG:カリフォルニア担当の汐碇さんと敵対したりしないんですか?
中島:大丈夫です。彼自体はカリフォルニア感が全くない人物ですので(笑)。
EMTG:(笑)曲の話に戻りましょう。歌詞に関しては、言葉遊びとかもいろいろ入っていますよね。それこそ「テレパC」ってBAND Aだからつけたタイトルでしょうし。
原:そのタイトルは、そうですね。言葉遊びは好きです。いろんな仕掛けを入れて、気づく人がいてくれたら嬉しいという感じです。僕、スピッツが好きなんです。スピッツの歌詞ってよく読むとエロい内容だったりすることがありますけど、すごく爽やかでポピュラリティのあるものになっていて。そういうのに憧れているんです。
EMTG:「嬉しい悲鳴」とか「チュッチューン」は、エロスの方向で解釈することもできるタイプの曲ですよね。あと、生々しい生活感がこもっているのも歌詞の特徴だと思いました。例えば「季節を、アイス」は、日本的な季節感と叙情性がすごくあるじゃないですか。
原:日本って四季がハッキリしていますからね。日本語でやっているからには、そこもしっかり描きたいというのは思っています。
EMTG:「退屈」も生活感が漂っていますね。あと、《退屈》っていう言葉をこんなにもキャッチーに聴かせる曲って、なかなかないなと思いましたよ。
原:ほんと、退屈だったんですよ(笑)。
EMTG:「砂のガム」は《運命以上の運命を作る》っていうフレーズとかがありますし、人生観みたいなものがダイレクトに反映されているのが印象的でした。
原:運命とか、いろんなことって初めから決まっていると思うんですけど、それを変えることはできるっていう想いもあるんです。でも、もともと決まっていることは利用する……っていうようなことが入っている曲ですね。
EMTG:岡さんも曲を書いていますけど、原さんとはまた一味違う雰囲気を持っていますね。例えば「ノーマルソング」って、このアルバムの中で一際瑞々しい雰囲気を持っていますし。平凡な1日の中に実は脈打っている大きな心の震えを描いている曲だなと。
岡:そういう気持ちがあることも含めて普通の生活だと思うんですよね。
EMTG:曲順の話になりますけど、「ノーマルソング」の次が「あーだこーだ」なのも面白かったです。「あーだこーだ」も岡さんの作詞作曲ですけど、こっちはかなり尖っている雰囲気じゃないですか。「ノーマルソング」を最初に聴いて、「大人しい人物なのかな」と思っていたら、「あーだこーだ」で全てブチ壊されたという(笑)。
岡:それは嬉しいです。ありがとうございます。この曲順、「あーだこーだ」が先で「ノーマルソング」が後の方がモテそうですけど。「あーだこーだ」でガツンときて「ノーマルソング」で女性らしさを出した方がモテそう……まあそんなの要らないですけど(笑)。
EMTG:「あーだこーだ」は、どんなことを思って書いたんですか?
岡:日常って悲しみとかもありますけど、そういうことすらもマンネリ化していると思うんです。日本ってすごく平和ですから、頭の中には常にマンネリ化した自分の生活があるんですよね。だから歌詞を書く時はそういうものがよく出てきます。「あーだこーだ」はそれがモロに出た曲ですね。
EMTG:「ソニックブーム」は原さんと岡さんの共作ですけど。
原:これはたまたまそうなったんです。かなり初期の曲ですけど、今とは違う作り方をしていた頃でして。スタジオで誰かが弾いたフレーズから曲作りをしていたので。そうやって弾いたものに対して歌を乗せてみたらAメロしかできなくて。「次の練習までに続きを作ってくる」って言いつつも手をつけないでいて。でも、レコーディングすることになって「やばい!」ってなったところでBメロを作ってもらって……っていういきさつで生まれました。
EMTG:原さんが作る曲に関しては「季節を、アイス」とかでお話した情緒みたいなものがポイントなのかも。「夏のお嬢さん」も、そういう部分が出ていますし。この曲、《○か×か はたまた△》って出てきますけど、《○か×か》は「テレパC」にも出てきますね。
原:《○か×か》は最初に「夏のお嬢さん」を作った時に出てきたんですけど、《はたまた△》っていうのを言いたくて書いたんです。その後に「アルバムのタイトルをどうしよう?」って考えた時に歌詞を見直したら目についたのが《○か×か》。でも、《はたまた△》っていう部分があると、アルバムタイトルとして自分が付けたい意味合いと変わってしまう。だから《○か×か》に特化しようと思って作ったのが「テレパC」です。
EMTG:アルバムタイトルとしての『○か×か』は、「このアルバムを聴いてもらってBAND Aを○か×か判断して欲しい」というような意味合い?
原:そうですね。今の僕らができることを詰め込んだし、こっちはずっと○と思ってやっているので、それをより多くの人に評価して欲しいし届いて欲しいんです。×と評価する人がいても全然いいんですけど。△が一番いらないですね。
EMTG:△って「好きでも嫌いでもない」っていう一番薄い反応ですからね。
原:そうなんですよ。どうせなら×と評価してもらう方がスッキリします。×の評価だった人が後に○になってくれたら大歓迎ですし。そういう反応を待っているアルバムです。
EMTG:このアルバムをきっかけにBAND Aのことを知る人も多いと思いますけど、今後の目標とかって何かありますか?
原:今回13曲を入れましたけど、次にアルバムとかを出す時は、また違った形で○か×かを判断してもらえたらいいですね。「今度のBAND Aは○か×かどっちですか?」って。
EMTG:岡さんは何かあります?
岡:各々が演奏者としても面白くなっていけたらいいなと思います。だからあまりいいことではないですけど……メンバーみんなにある程度不幸とか悲しいことが起きればいいなと(笑)。本当に思っています。そうすれば「笑える」っていう意味ではない面白い演奏ができるのではないかと思うので。そういう本質的なところが変わって行けたらいいですね。
EMTG:汐碇さんは?
汐碇:このアルバムの出来がすごく良いので、まずはいろんな人に聴いてもらえるように。身近な目標としてそういうことを思っています。
EMTG:中島さんは?
中島:このアルバムは結成してからの一番いいところを集めた1枚なんですよね。だからこの次に出すものがBAND Aとしての道を決めると思うので、そこに向っていろいろ突き詰めていきたいです。
EMTG:では、そろそろインタビューを終了しますが、何かあとおっしゃっておきたいことは?
岡:この記事を読んで頂いている方に向けてとかですか? ライブに来てください。必ず! 動いているものを観ないと正しい答えは出ないと思うので。
EMTG:最終的に○か×か判断するためには、ライブに来るのが義務?
岡:義務です!
原:ほんとそうです(笑)。アルバムを聴いて○と思って、ライブに来て×と思うことは絶対にないはずですから。むしろライブに来て頂けたら◎になると思います。

【取材・文:田中 大】

tag一覧 アルバム 男性ボーカル BAND A

ビデオコメント

リリース情報

〇か×か

〇か×か

2014年04月09日

primitive

1.the help me
2.DDD
3.嬉しい悲鳴
4.テレパC
5.季節を、アイス
6.sad my sunday
7.砂のガム
8.チュッチューン
9.夏のお嬢さん
10.ノーマルソング
11.あーだこーだ
12.ソニックブーム
13.退屈

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■ライブ情報

○か×かリリースツアー
「金曜日のツアーたちへ」

2014/06/06(金)大阪Fandango
2014/06/13(金)名古屋 CLUB ROCK’n’ROLL
2014/06/27(金)福岡Queblick
2014/07/11(金)渋谷TSUTAYA O-nest

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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