新世代男女ロック・ユニット、GLIM SPANKYメジャーデビュー

GLIM SPANKY | 2014.06.13

 6月11日、ミニアルバム『焦燥』でデビューする男女二人組ユニット、GLIM SPANKY。メンバーの松尾レミ(Vo&G)と亀本寛貴(G)のふたりが作り出すサウンドは、野太い上にアート感覚に満ちており、実に個性的だ。おそらく“60~70年代ロックを感じさせるアーティスト”という表現で彼らを紹介するメディアも多いかもしれない。だが、GLIM SPANKYを語るには、それだけでは不十分なのだ。彼らは懐古的でもなければ、そこに固執しているわけでもない。とにかく、自分達の美学やメッセージをきっちり発信するロックアーティストなのである。さらに、松尾のスモーキーボイスも魅力のひとつ。今、非常に気になる彼らに、さっそく話をきいてみた。

EMTG:まずは結成のいきさつから簡単に教えてください。
松尾:私が高校1年の時、とにかく文化祭に出たくてGLIM SPANKYって名前でコピーバンドを始めたんですよ。
EMTG:その時からGLIM SPANKYという名前だったんですね!
松尾:はい。それで1曲だけ演奏しました。
EMTG:ちなみに、コピーしたのは?
松尾:BUMP OF CHICKENの「アルエ」でした。その時点では先のことなんて考えてなかったんですけど、バンドをやったらやったで楽しくて(笑)。でも、もともと文化祭のためのバンドだったし、他のメンバーは継続してやる気がなかったんですよ。結局、私とドラムしか残らなくて。とはいえ、1週間後には次のライブを決めてしまったので、学校内の1年から3年まで、メンバーを求めて探し回りました。“1週間で6曲できる人はいない?”って(苦笑)。
EMTG:1週間で6曲は厳しいですね(苦笑)。
松尾:でも、何とか3年生のベースが見つかったんです。最初はその人を入れた3ピースで始めました。それから、そのベースの先輩が“レミちゃん、ギターひとりじゃ大変でしょ?”って連絡をくれて。私は“大丈夫ですよ”って言ったんですけど、勝手に“新しいギターを入れといた”って、メンバーが増えていたんですね。そのギターが……。
EMTG:まさか(苦笑)。
亀本:僕なんです(笑)。ベースの先輩が同じバイト先だったんですよ。そこで“僕も入りたい”と。
EMTG:そんなにサラッと?(笑)。メンバーの音楽的背景は知っていたんですか?
亀本:音楽の入り口は違うんですよ。レミさんの場合はBUMP OF CHICKENだったみたいなんですけど、僕はGLAYとかL’Arc~en~Cielだったんです。でも、音楽を掘り下げていくと、結局同じようなところにいくんですよね。
EMTG:結成直後はどんな曲を?
松尾:すぐにオリジナルでしたね。
亀本:レミさんの親も、その知り合いの人達も、みんなバンドを作ってオリジナル曲をやっていたんですよ。だから、オリジナルを作るのが当たり前みたいな感じだったんです。
松尾:あと、自分の曲じゃないと気持ちが伝わらない気がしていたんです。だから、バンドではオリジナルを作るっていう使命感があったような気がしますね。個人ではいろいろコピーしてましたけど。
EMTG:最終的にはこのふたりのメンバーに落ち着いたわけですね。ところで、デビューミニアルバム『焦燥』を聴く限り、60~70年代のロックやブルースの匂いを感じますし、よっぽどディープな思いでバンドを始めたのかと(笑)。タバコの煙が蔓延する部屋でバーボン飲みながら曲を作るような(笑)。
亀本:いつもそう言われるんですよ(笑)。
松尾:なんでかな(笑)。
EMTG:「焦燥」は疾走感がある曲ですが、どういうイメージで作ったんですか?
松尾:17歳の時に作ったんですけど、初めてたくさんの人に聴かせたくて作ったので、GLIM SPANKYの活動が続いていくキッカケになった曲です。
亀本:メジャーで出す最初の音源なので、自分達から何か発信している曲がいいんじゃないかと思って入れました。やっぱり歌詞がメインですね。熱量が外に出ているというか。
EMTG:2曲目の「MIDNIGHT CIRCUS」はまた、雰囲気が違う曲ですが、ちょっとドラッギーな雰囲気がありますね。
松尾:部屋を暗くして、真夜中にろうそくを立てて瞑想状態で作りました(笑)。曲を作る時は、自分が主人公にならないと書けないので、結構そういうスタイルで作ってます。あと、私自身がもともと幻想文学とか絵画が好きなんで、そういう世界観を作りたい気持ちも強かったというか。
亀本:ふたりとも、そういう非現実的な世界観が好きなんですよね。60年代から70年代のサイケデリックなロックには、そういう非現実的な部分もあるし、だからこそ魅力を感じるんだと思います。
EMTG:ちなみに、『焦燥』にはカバー曲も入ってまして、これが意外にもアデルの「Rolling In The Deep」と荒井由実の「ひこうき雲」という。敢えて連想しがちな60~70年代ロックの洋楽カバーじゃないところが、むしろ大正解だったような気がしますね。
松尾:もうその通りです! たくさん候補はあったんですよ。まわりのスタッフさんからもアンケートをとらせてもらったりして。
亀本:レミさんの声で、どんな曲を聴いてみたいかっていう感じでね。
松尾:もちろん、候補の中にはジャニス・ジョプリンとかキャロル・キングもありましたけど、そういう曲を歌っても“あ、やっぱりね”って思われるだけだなって。GLIM SPANKYが一番避けたいのは、懐古主義バンドだと思われることなんです。もちろん、昔のロックは超好きだけど、それを自分達がやる必要はない。時代が違うから当時と同じものであるわけがないし、その時代と同じ音を出せばカッコいいわけでも絶対にない。だから、もしカバーをやるんだったら、GLIM SPANKYは、今の音楽とつながっているんだっていうことを伝えたかったんです。アデルの曲は最近、世界中ですごくヒットしましたけど、曲そのものは、ロックやソウル、ブルースの土台がしっかり見えると思うんです。荒井由実さんの曲は、確かに昔の曲ではあるんですが、最近再評価されて届いた曲だと思うんですね。そういうところとGLIM SPANKYがつながればいいなと思って選んだカバーだったんです。
EMTG:すごく説得力がありますね。あと、印象的だったのが、ミニアルバムのタイトルと同名の「焦燥」にしろ、2曲目の「MIDNIGHT CIRCUS」にしろ、しっかりと日本語で表現しているところなんですよ。雰囲気で英語にたよらず、しっかりと日本語でメッセージしているのは潔いと思いました。
松尾:そこ! そこなんです! 当然、音楽をやるからには、日本だけでなく、全人類に向けて歌いたい。でも、アメリカの人に認めてもらいたいから英語で歌うのは違うと思うんです。例えばビートルズにしろ、OASISにしろ、当然英語で歌っているけれど、日本語しかわからない日本人にも、いいと感じることができる。たぶん、言語のまわりにあるメッセージ性が強くて、ちゃんと景色が見える曲をやっているからだと思うんです。すごく難易度の高い事ですけど、日本人にはちゃんと意味が伝わって、それ以外の言葉をしゃべる国の人達にも曲の景色が見えるサウンドや、頭に入ってくるような言葉で歌詞を書きたいんです。
EMTG:おお、熱いですね(笑)。その思いは『焦燥』を聴けば伝わりそうですか?
松尾:はい。名刺がわりの1枚なので(笑)。ライブ音源も入っているし、まさに初心者セットのような音源になってます(笑)。でも、実は最近、フルアルバムを制作しているんですが、そこには『焦燥』だけでは説明しきれないくらいの音楽性が詰まったものになるはずなんですよね。
EMTG:まだまだ、別な一面があるんですね(笑)。楽しみです。

【取材・文:海江敦士】

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リリース情報

焦燥

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焦燥

発売日: 2014年06月11日

価格: ¥ 1,500(本体)+税

レーベル: ユニバーサル ミュージック

収録曲

1.焦燥
2. MIDNIGHT CIRCUS
3. ダミーロックとブルース(Live)
4. Flower Song (Live)
5. Rolling In The Deep
6. ひこうき雲

ビデオコメント

お知らせ

■ライブ情報

「焦燥」リリースツアー“HELLO!FREAKS”
2014/07/03(木) 大阪アメリカ村CLAPPER
2014/07/04(金) 名古屋CLUB UP SET
2014/07/10(木) 仙台PARK SQUARE
2014/07/11(金) 横浜 CLUB LIZARD
2014/07/18(金) 神戸 太陽と虎
2014/07/19(土) 京都 MOJO
2014/07/21(月・祝) 千葉 LOOK

“HELLO!FREAKS”ファイナル東京ワンマン
2014/08/07(木) 渋谷チェルシーホテル

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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