SpecialThanks4年ぶりのアルバムで葛藤の季節を乗り越え、大きな一歩を踏み出す
SpecialThanks | 2015.07.06
- EMTG:今回はいままでで一番スペサンのロックな部分が際立つ作品になりましたね。
- Misaki:かっこいいアルバムを作るっていうのがまずあったんです。単純なんですけど。自分が聴いて楽しかったり、感動できたり、心が動くようなアルバムを作りたくて。それで聴いてくれた人も何かを感じててくれたらいいなとは思いました。
- EMTG:前回のフルアルバム『SEVEN LOVERS』ではいろんなことにチャレンジした作品だったけど、今回はより一点突破で攻めてる感じがするんです。
- Misaki:たしかに前作のフルアルバムのほうが、いろんなことに挑戦しようっていう気持ちが強かったかもしれないです。今回はもっとライブで楽しめる感じを出したかった。わたし、いままでは自分中心で……「わたしが楽しかったらいいや」みたいなところがあったんです。でもいまはお客さんと一緒に楽しみたいっていう気持ちに変化してます。
- EMTG:その変化の理由は何だと思いますか?
- Misaki:……支えられてるってわかったから、ですかね。1年半ぐらい前かな、モチベーションが下がってるときがあって。怪我をしちゃったときなんですけど。
- EMTG:腕を骨折したときですね。
- Misaki:そう。そのときはギターを持ってピンボーカルでやってたんですけど。こんな状態で受け入れてもらえるんだろうかって……すごくマイナスな気持ちになっちゃってて。でも、そんなときにも変わらずに応援してくれてる人たちがいたんです。
- EMTG:この時期はちょうどメンバーの脱退もあったころ?
- Misaki:そうですね。それも、お客さんからどう思われるんだろう?とか。全然気にしてない素振りを見せてましたけど、振り返るとすごい気にしてたし、辛かった。平気なふりをしてないと崩れてしまいそうで。……スペサンなくなっちゃうと思ってたんです。
- EMTG:それが逆にお客さんに支えられてると気づけるきっかけになった、と。
- Misaki:恩返しをしたいと思うようになったんです。だから最近はライブも変わったって言われるんですよ。「Misakiちゃん、こんなに笑う子だったんだ」とか、「一時はどうなるかと思った」とか。だから、きっとバレてるんだなと思ったんです。そのときの私の気持ちも。
- EMTG:それも含めてスペサンを好きでいてくれてたってことですよね。
- Misaki:もう感謝です!
- EMTG:そんな時期もあったけど、いまはメンバーも安定してるし。今回の『missa』はすごくバンド感も増した作品になったと思います。
- Misaki:あ、それはNUDGE’EM ALLのサルーンさん(真田太洋(Dr))にも言われました。KOGA RECORDSの大先輩なんですけど。「バンド感が出てきたね、ようやく」って(笑)。わたしも、メンバーが年齢を重ねるごとに成長してるなあって思いましたね。普段はあんまりそういうのは気にしないんですけど。あとで自分で聴いてみても、「あれ?こんな感じで弾いてたんだ」って気づいたりして。各自がかっこいいフレーズを考えてくれるんです。あと、今回は「Marguerite」っていう曲で、古閑さん(※KOGA RECORDSの社長。ベーシストもある)とサルーンさんに「リズムをプレゼントしてください」ってお願いをして(笑)、ふたりに演奏してもらったんです。
- 古閑:確実にベースは違うと思いますよ。
- Misaki:KOGA RECORDSは(会社名が)マーガレットミュージックなので。歌詞とかタイトルの「マーガレット」はそこからとってます。レーベル愛ですね。なくなっちゃったら困るから(笑)。
- 古閑:解散させないでくださいっ!
- EMTG:あははは。今回のリード曲「Love begets love」は全編日本語曲ですね。
- Misaki:いままで、日本語詞はストレートに伝わるから恥ずかしくて。だから、いつも英語詞で歌ってたんです。歌詞を伝える気はさらさらなかった(笑)。でもアルバム制作途中に、TVアニメ『オオカミ少女と黒王子』がきっかけで(オープニング曲「LOVE GOOD TIME」)、初めて日本語詞をやってみたらすごく楽しくて。その経験をアルバムにも落とし込みたいなと思ったんです。
- EMTG:タイトルは「愛は愛を生む」という素敵な言葉ですね。
- Misaki:日本語詞で書くって考えたときに、いままではなかった、みんなに伝えたいって気持ちがだんだん出てきたんです。それで覚悟を決めて。あえて恥ずかしいぐらいストレートな歌詞にしようって。そうじゃないと意味がないと思ったんです。それで、友達の出産ラッシュをきっかけに、「愛は愛を生む」っていうテーマがいいなと思って。これって誰もがわかることじゃないですか。過去ずっと……。
- EMTG:人はそうやって命を繋いできた。
- Misaki:そう。このテーマだったら、みんなに聴いてもらえるんじゃないかなと思ったんです。歌詞に《言葉にならぬ言葉》って書いたんですけど。たとえば、親が子どもに「あんた大丈夫なの?」って訊いたときに、子どもが「大丈夫だよ」って答えたとしても、それ以上の何かに親が気づくことが大事。そこに親子だからこその無償の愛があると思うんです。もちろん、うまくいかない家庭もあるのはわかってはいるんですけど。これは、わたしなりの意見なんですけど……ちゃんと「ありがとう」「ごめんね」「愛してるよ」って言えたら、うまくいくんじゃないかなと思うんです。
- EMTG:なるほど。この曲も、お客さんへの恩返しとか、そういうものを意識したからこそ書けた曲かもしれないですね。今後、日本語詞は増えていくんじゃないですか?
- Misaki:増えていくと思います。
- EMTG:話を聞いてて思ったんですけど、いまMisakiさんの心はすごく開いてる状態?
- MIsaki:解放して、心を溶かしてる感じです。いままでは頑固で、自分の決めた音楽はこれだって、変わることが嫌で恐れてた部分があったから。それで楽しくなくなっちゃたのかもしれなくて。それを、どんどんほどいて、どれだけ開放的になれるかを意識してるんです。いかに自分を押さえずに、隠さずに、自然体でいれるか。
- EMTG:13曲目の「心のWindow」はまさにそういう曲ですね。
- Misaki:自分に言い聞かせてます(笑)。
- EMTG:「foundation」でも変わらないことへの憧れから、変わることを選ぶ曲だし。
- Misaki:まさに変わりたかったのは自分なんですよね。ずっと変わらないことがパンクだ、ロックだと思ってた。それも……間違ってた、とは言い切れないけど。でもMIX MARKETとコラボさせてもらったりして、KOGA RECORDSもそうですけど、いろんなことにチャレンジしてる人たちを間近で見て、変われる人は強いなって感じたんです。それで、今回はそういう歌詞がいっぱいあるんですよね。
- EMTG:わたしも変わっていくほうがMisakiさんらしいと思う。だって、そもそもスペサンは“いま”を大切にする音楽をやってきたでしょ?
- Misaki:そうですね。いまを残したいっていうのはずっと意識してます。もうちょっと背伸びしたらいろんなことをできるけど、無理に背伸びしないでやりたいと思ってた。
- EMTG:でも“いま”は変わっていくものだから、その葛藤も苦しかったんだと思う。
- Misaki:そうかもしれない。だから自分の考えが変わることにびっくりしてます。たかだか10代のときに自分で決めたルールをなんとかして守ってきてたんです。それをやり通さなきゃって必死になってた。でも、そんなのは法律でも何でもないから、破っちゃえばいいや。警察に掴まるわけでもないし(笑)。「もういいんじゃない?」って。
- EMTG:昔のMisakiさんのインタビューを呼んでたら、「パンクとは?」という質問に、「貫き通すことがパンクだ」って答えてたんですよ。
- Misaki:あははは!言ってそう(笑)。
- EMTG:いまはどうですか?
- Misaki:いまもそう思いますけど……。でも変化していくことも大切で。そのなかで自分が気持ちいいと思うことをやる…そうなると、パンクとかじゃなくなっちゃうのかな。
- EMTG:いや、それでもいいと思います。
- Misaki:だから、今回は心地好いことをしよう、心が喜ぶことをしようって、すごく探したんです。何に心が震えるのかなって。でも、すぐに見つけられることじゃなくて、自分のことなのに。それをすごい慎重に探したから。だから……「自分に素直でいること」がパンクかな、いまは。
- EMTG:うん。それこそ、最初にバンドを組んで、初めてオリジナル曲を作ったときの衝動に近いMisakiさんのフラットな状態なんだと思いますよ。
- Misaki:それがロックだったんですよね。いまは、もっとかっこいいロックをやりたい。だから、今回はあのときよりもかっこいいものを出せたっていう気持ちです。
SpecialThanksが、実に4年ぶりのフルアルバム『missa』を完成させた。ボーカルのMisakiが、自身の愛称“ミサ”からとった今回のタイトルには、キリスト教における礼拝の儀式のように、スペサンのいるライブハウスが、リスナーにとって救い場所になれば、という願いを込めてつけたという。アルバムとしては初となる全編日本語詞のナンバーにもチャレンジした今作は、メロディックパンクの枠に捉われない、Misakiの開放的で、ありのままの“いま”が溢れんばかりに描かれている。葛藤の季節を終えて、ついに大きな一歩を踏み出したMisakiに、その心の変化を訊いた。
【取材・文:秦理絵】
関連記事
-
SpecialThanks
SpecialThanks 2017.5.10リリース3rdアルバム「Anthem」ジャケット写真を公開! 各チェーン店特典&インストアライブ日程も発表!!
-
SpecialThanks
3rdアルバム「Anthem」2017.5.10リリース決定! 商品詳細・最新アーティスト写真・リリースツアー日程を発表!
-
SpecialThanks
SpecialThanks初の自主企画 東名阪ツアー「LIFE to go」開催決定! 秋の最新アーティスト写真を公開!
-
SpecialThanks
結成10年を経て、新たなフェーズへと突入する記念すべき1枚となる。変化を恐れずに、想いを伝える決意をしたMisakiの覚悟が滲み出ている。
-
SpecialThanks
SpecialThanks、5/11リリース『heavenly』のリード曲「DOUNARUNO!?」のミュージックビデオを公開
-
SpecialThanks
-
SpecialThanks
SpecialThanks、待望の最新作「heavenly」2016.5.11リリース決定!最新アーティスト写真を公開!
-
SpecialThanks
結成10周年、下北沢GRADENで行われたスペシャルなライブ。MCで想いを吐露することもあまりなかったMisakiが、頑ななマイルールを取っ払い、解放的なムードを全身に漂わせていた。
-
SpecialThanks
KOGA RECORDSの2大ガールヴォーカル夢のコラボが実現! SpecialThanksとMIX MARKETのスプリットアルバム発売決定!
ビデオコメント
リリース情報
missa
2015年07月08日
KOGA RECORDS
2. Straight Edge
3. Hey!you!
4. Love begets love
5. Please Please!!!!
6. foundation
7. 7COLORS-Over The Rainbow-
8. feel your life
9. summer★surfer
10. listen to the radio
11. RUN AWAY
12. Marguerite
13. 心のWindow
14. love letter
15. Present□ ※□はハートマーク
お知らせ
●Misaki
路線
今日は撮影(取材)などで地元から東京に来て、まったく行き方とかわからなかったので、調べました。なんとか到着できました(笑)。
■ライブ情報
SpecialThanks「missa」release tour
2015/07/19(日) 豊橋club KNOT
2015/08/15(土) 新潟RIVERST
2015/09/12(土)広島CAVE-BE
2015/09/21(月祝) 仙台FLYING SON
2015/09/22(火祝) 札幌KLUB COUNTER ACTION
2015/10/04(日) 大阪Pangea
2015/10/10(土) 福岡graf
2015/10/24(土) 碧南芸術文化ホール(PunkRockParty)
2015/11/01(日) 東京下北沢Garden(ワンマン)
2015/11/08(日) 名古屋今池HUCKFINN - Tour Final
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。