Goodbye holiday 初のフルアルバム『with YOU』で目指したのは、王道のポップミュージック
Goodbye holiday | 2016.02.08
- EMTG:前作の両面シングルでは、「リベレーター」がアニメ『ワンピース』スペシャルのテーマソングになったり、「溢れるもの」がドラマ『掟上今日子の備忘録』の主題歌として起用されましたが、テレビで自分たちの曲が流れているのは、どういう気持ちでしたか?
- 福山匠(B):ドキドキしました(笑)。「うわーっ!」って興奮するというよりも、「おぉ!」って圧倒されるというか。びっくりする感じ。何回見ても現実感がないんですよね。
- 児玉一真(Vo・G):客観視な感じだよね。決まったときがいちばんうれしくて。
- 福山:そこからなだらかな波を描いて平常心になった感じです。でも、見てくれた人の反応を見ると本当に全国で流れてるんだなって実感しますね。
- 大森皓(G):やっぱりタイアップがつくとインディーのころとは違うなと思います。
- 山崎晃平(Dr):メジャーにいってドラマのテーマ曲にしてもらうのが、ひとつの目標というか夢でもあったので、すごく嬉しかったです。
- EMTG:インディーズのころからそういう場所をずっと目指してたんですか?
- 福山:もりし(大森)が言うんですよ。「お茶の間バンドになりたい」みたいなことを。
- 大森:いまは若い女の子がたくさん聴いてくれてるんですけど、やっぱり児玉くんの書く歌だったり声だったり、Goodbye holidayの曲は年齢が上の人とか男の人でも聴ける要素があると思ってるんです。それこそ目指すのはミスチル(Mr.Children)とか、そういうバンドというか。自分たちの音楽はそういう存在になれるんじゃないかなと思ってますね。
- EMTG:この1stフルアルバム『with YOU』は、まさにその一歩目というか。このポップミュージックで音楽シーンを戦っていくというGoodbye holidayの意志が込められた作品ですね。
- 児玉:もともとコンセプト的なものはなかったんですけど、僕たちの1枚目のアルバムだし、僕たちなりの名盤を作ろうっていう話はしました。
- EMTG:それぞれ今作はどんな作品になったと思いますか?
- 福山:まず自分たちで納得のいくものにしたかったんです。たぶん、全員何も妥協してない作品だと思います。いつもは作り終わったら、「もうちょっとこうすれば良かった」とか反省点があるんですけど、それがないんじゃないかなと思いますね。
- 大森:よくある話ですけど、アルバムには捨て曲というか……アルバム曲っぽいみたいなのがあったりするじゃないですか。でも、今回はそういうのがなくて。曲が出そろったときからいろんな曲があって、1曲ごとに色が違うものが入ってるんです。
- 山崎:ちょっと細かい話になるんですけど。今回はミックスとかマスタリングっていう、曲のバランスを整える作業もちゃんと自分たちでやったんです。いままでは、よくわからなくて、ないがしろにしてる部分もあったんですけど。でも、そこに自分たちも関わることで、結果として自信を持って他の人に聴かせられるアルバムになったと思います。
- EMTG:インディーズ時代の作品はもっとシンプルなギターロックですけど、今作『with YOU』では一気にアレンジもバラエティ豊かでJ-POPな作品になりましたよね。
- 児玉:さっきも言ったとおり、もともとお茶の間というか、J-POPシーンみたいなところは意識はしてたんですよね。でも経験も浅くてできなかったんだと思います。そのときも、いまと同じように、自分たちのやりたいことをやってたし、お茶の間に通用するJ-POPを思い描いてはいたんです。でも、いま思うと若いですよね、すごく(笑)。
- EMTG:じゃあ、今回の作品でギアをチェンジしたというよりも、経験を積んでいままでずっとやりたかったことが、ようやく実現できた作品が『with YOU』なんですね。
- 児玉:そうですね。ずっと目指してたものですね。
- EMTG:ちょっとナンセンスな質問かもしれないけど、もしジャンル分けするとしたら、Goodbye holidayはポップなのか? ロックなのか?
- 福山:どっちかというとポップだと思います。その両極端に分けたときに、ロックではないんだろうなって。メロディがしっかりしてるので、そこにポップ性は出てるというか。やっぱり王道でいきたいと思ってるんです。そういう意味ではロック的なパンチはないのかもしれないけど、誰でも聴けるし、8割ぐらいの人に「良い」って言ってもらえる。そういうはまり方ができるバンドだと思ってます。人に「どういう系のバンドをやってるの?」って聞かれたときは、ロックポップとか言ったりしますけど。
- EMTG:わかりました。そのGoodbye holidayのJ-POPにプロデューサーの島田昌典さんらが力を貸してくれてるわけですけど。「旅立ちの花」はアナログテープで録音したとか?
- 児玉:これは島田さんの提案だったんです。アナログテープで録った音質がこの曲には合うんじゃないかなっていうのを考えてくれて。
- 福山:温かみのある曲なのでね。
- 児玉:これ、レコーディングの日まで知らなかったんですよ。
- 山崎:そう。スタジオに行ったら、テープを回してて、「これやるから」って言われてね。「マジっすか?」って感じでした。
- 児玉:最初はどういう音になるかわからなかったんですけど、この曲自体がフォーキーな雰囲気もあるので、やっぱりアナログ録音にして良かったなと思ってます。
- EMTG:一方で、キーボーディストの村田昭さんを迎えた「アコーデオン弾きのワルツ」は、マイナー調で異国情緒のある曲ですね。
- 児玉:もともと弾き語りで作った曲をバンドアレンジにしようと思って、メンバーと一緒にスタジオに入ったんです。でも曲の持ってる世界観を4人で表現するのが難しくて。村田さんと一緒にやれるっていう話をもらったときに「じゃあ、この曲をお願いしてみよう」って。村田さんがすぐにアイディアを出してくれて楽しかったです。
- 福山:イントロは村田さんが考えてくれたんですけど、それですごくドラマチックになったんです。いろんな音が入ってて、聴いてても面白いですよね。
- EMTG:「any time」を聴いたとき、お父さんが自分の娘を連れて電車に揺られてるようなイメージが湧きました。ミディアムテンポの優しい曲ですね。
- 児玉:そうなんですよ。書いたときは、恋人同士の曲、甘い歌って思われちゃうかな?とも思ったんですけど。シングルマザーをイメージしてました。お母さん……というか、親と子を意識して書いたんです。友達と飲みに行って、「そういう人生もあるんだ」と思ったことを曲にすることがあるんですけど、そのなかのひとつですね。「お母さんになってどう?」っていう話を訊いたときに書いてみたいなと思ったんです。
- EMTG:この曲のなかに《any time with you》っていう歌詞が出てきますが、それが最終的に「with YOU」っていうアルバムのタイトルにもつながっていったんですか?
- 児玉:そうですね。いままで聴いてくれてる人だったり、これから聴いてくれる人に対して、「僕たちの音楽をあなたたちのそばに置いてください」っていう意味でつけました。あとは、どの曲にも“あなた”の存在が出てくるので。「スプートニク2号」でも《僕らは、いきものは ひとりじゃ生きていけない》って言ってるんですけど、「あなたがいて、僕がいる」っていうのを全部の曲に感じたので。結果として「with you」がはまったんです。
- EMTG:その「スプートニク2号」は、ソ連が初めて打ち上げた人工衛星に、犬を乗せていたことがモチーフになった曲ですね。
- 児玉:それは本を読んで知ったんですけど、人口衛星に初めて生き物が乗せたのが、このスプートニク2号なんです。まだ生きてるのに飛ばされて……。
- EMTG:生きて帰ってこられないっていう。
- 児玉:それが、かわいそう……いや、かわいそうというのはちょっと違うんだけど。でも、その曲を作るとき、自分がメンタル的にひとりの時間がほしいなっていうときで。そこでライカ(「スプートニク2号」に乗せられた犬の名前)のことを思い出したんです。自分はひとりでいたいと思ってるけど、孤独っていうのはいちばん辛いことだなと思って。それは死ぬことよりも。それで、その孤独をテーマにして書いてみました。
- EMTG:「スプートニク2号」と対になるように、アルバムの1曲目はインタールードとなる「LAIKA」から始まります。これはどういう意図で作ったんですか?
- 山崎:もともとインストみたいなのを1個作りたいっていうのはずっと言ってたんです。それをライブのSEでも使いたいね、みたいな話をしてて。それで、「スプートニク2号」のイントロをインストにしたら、かっこいいんじゃないかっていう話から始まって。
- 児玉:そこから「スプートニク2号」の延長となる曲を、1曲目にしようっていう感じで、もりし(大森)が作ったんです。
- 大森:アルバムの全体像がわりと決まってたので、それをキーワードにして音を広げていった曲ですね。「スプートニク2号」でも言ってるような、“ひとりでいられない”っていうところからイメージして街の音を入れてみたり、「any time」で使ってる時計の音も入れたり。そういうのを随所に入れてみました。
- EMTG:映画の始まりみたいな感じでワクワクする曲ですよね。
- 大森:あ、そうですね。そういうのを目指しました。
- EMTG:最初、アルバムに「コンセプトはなかった」って言ってたけど、結果的には“君はひとりじゃない”っていうメッセージも伝わるし、きれいにまとまったんじゃないですか?
- 児玉:そうですね。本当にギリギリまで粘って曲を書いたし、アイディアを出し合って作ったのがよかったのかなと思ってます。
- EMTG:では、最後にこのアルバムを引っさげた全国ツアー「Goodbye holiday presents "with YOU" tour ~みんなひっつきもっつきじゃ~」に向けて、意気込みをお願いします。
- 児玉:このアルバムに入ってることは、本当にいま自分がすごく言いたい言葉だったり、歌いたい言葉が詰まってるので。しっかり言葉を届けたいなと思ってます。
- 福山:今回はアニメとかドラマとかでGoodbye holidayを知って、初めてライブを見にきてくれる人が多いと思うんです。だから、いつもどおり距離感を感じさせないような、身近な存在だよっていうのをしっかりアピールしたいです。アルバムを聴いて来てくれた人のイメージを良い意味で裏切っていきたいですね。
- 山崎:僕たちのライブには、いままでライブに来たことがない人も多いと思うんですよ。「ひとりで行くのでどうしよう」っていう声も聞くんです。そういう人も楽しんでもらえるようなライブにしたいと思います。もちろんライブ慣れしてる子もですね。ライブハウスは怖いイメージもあるかもしれないですけど、うちらのライブはそうじゃないよっていうのを伝えられると思います。
- 大森:本当にいろんな曲が入っているアルバムなので、その魅力をちゃんと伝えられるように、しっかりと演奏して。なおかつ来てもらった人に楽しんでもらって、「また来よう」と思ってもらえるようなツアーにしたいと思います。
昨年メジャーデビューを果たした広島出身の4人組バンドGoodbye holidayが初のフルアルバム『with YOU』をリリースする。メンバー全員がBUMP OF CHICKENに影響を受けたという彼らが、今作で目指したのは、王道のポップミュージック。寺岡呼人を迎えたデビュー曲「革命アカツキ」をはじめ、島田昌典を迎えた2ndシングル「溢れるもの」など、バラエティ豊かな楽曲たちは、ワクワクしたり、切なくなったり、勇気づけられたりと、あらゆる感情を刺激してくれる全12曲だ。EMTG MUSIC初となる今回のインタビューでは『with YOU』という作品を軸に、Goodbye holidayが目指す音楽のあり方を訊いた。
【取材・文:秦 理絵】
リリース情報
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with YOU【CD+DVD】
発売日: 2016年02月10日
価格: ¥ 3,400(本体)+税
レーベル: avex trax
収録曲
[CD]
1.LAIKA
2.最終回は終わらない
3.リベレーター[ALBUM Ver]
4.旅立ちの花
5.クロワッサン
6.any time
7.アコーデオン弾きのワルツ
8.彼女が愛した朝食
9.ツバメの巣
10.革命アカツキ
11.溢れるもの
12.スプートニク2号
[DVD]
革命アカツキMUSIC VIDEO
リベレーターMUSIC VIDEO
溢れるものMUSIC VIDEO
旅立ちの花MUSIC VIDEO
スプートニク26号 SHIBUYA O-WEST Digest Movie
M1.Flag M2.スパイダー M3.ポップコーン M4.等価な世界 M5.サイダー M6.deco
※初回封入特典:旅立ちの花楽譜
ビデオコメント
お知らせ
■ライブ情報
"with YOU" tour ~みんなひっつきもっつきじゃ~
3/11(金)北海道 KRAPS HALL【対バン】
3/13(日)仙台 LIVE HOUSE enn 2nd【対バン】
3/18(金)岡山 ペパーランド【対バン】
3/21(月)福岡 福岡graf【対バン】
3/26(土)名古屋 SPADE BOX【対バン】
3/31(木)大阪 OSAKA MUSE【対バン】
4/02(土)東京 EX THEATER ROPPONGI【ワンマン】
4/08(金)広島 4.14【ワンマン】
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
"with YOU" tour ~みんなひっつきもっつきじゃ~
3/11(金)北海道 KRAPS HALL【対バン】
3/13(日)仙台 LIVE HOUSE enn 2nd【対バン】
3/18(金)岡山 ペパーランド【対バン】
3/21(月)福岡 福岡graf【対バン】
3/26(土)名古屋 SPADE BOX【対バン】
3/31(木)大阪 OSAKA MUSE【対バン】
4/02(土)東京 EX THEATER ROPPONGI【ワンマン】
4/08(金)広島 4.14【ワンマン】
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。