安田レイ8枚目のシングル「Message」をリリース

安田レイ | 2016.05.18

第57回日本レコード大賞新人賞を受賞し、2ndアルバム「PRISM」もiTunesのJ-POPリアルタイムチャートで1位を獲得するなどブレイクの兆しの安田レイ。 アルバムを受けたツアーもひかえた彼女の元に話を聞きに行ってみた。

EMTG:前作のアルバム『PRISM』がリリースされてから3か月が経ちました。あらためて振り返ってみて、どんな作品に仕上がっていたと思いますか?
安田:聴いてくれた方たちから“ジェットコースターみたいな1枚だね”って言われることが多いんです。
EMTG:あはは。その例えはすごくわかる気がします。
安田:そうなんですよね(笑)。あのアルバムは、いろいろな角度から攻めた曲が詰まっているんですよ。私のルーツである、元気ロケッツのようなグルーヴ感のある曲もあれば、踊りたくなるようなアップチューンに、バラードも入っていたので、安田レイの新たな一面を見せられた作品になったと思うんです。
EMTG:そのアルバムを作れたからこそ、やりたいことも増えたのではないですか?
安田:そうですね。『PRISM』を作り終えたことで、次はブラック要素が強い曲を作りたいと思ったり、音楽人生において深く影響を受けたR&Bにも、もっと挑戦したいと強く思うようになりました。
EMTG:その第一歩となるのが、このシングル「Message」だと思うのですが、今作はどういったいきさつで出来上がったものなんでしょうか。
安田:今作はアニメ『逆転裁判』のエンディングテーマのお話をいただいたことから、楽曲制作がスタートしました。アニメの世界観を入れながら、作詞に挑戦させていただいたんですが、あらためて気持ちを言葉にするのは難しいと感じました。
EMTG:どんなところに難しさを感じたんですか?
安田:私は普段、何を決めるにも感覚を頼りにしているんです。でも、歌詞はそのフィーリングだけでは成り立ちませんよね。まず、ハートで何かを感じたら、どうしてそう感じるのかということを考え、それをしっくりくる言葉にする作業が続いたんです。でも頭の中に浮かんだ景色や気持ち、温度などを同じ雰囲気で表すワードがなかなか出てこなくて…。その時に、これから歌詞を書いていくのであれば、ちゃんと自分の心と相談する時間を作っていかなくちゃいけないと強く思ったんです。それからは、見た景色や思ったことをしっかりとメモするようになりました。きっとこれからは、そのメモたちが自分の曲に活かされていくんじゃないかなって思っているんです。
EMTG:そういった心がけが変わると、言葉選びも変わってきますしね。
安田:そうなんですよね。今回の歌詞は共作になるので、これからは100%安田レイの言葉で伝えられるようになることが目標になりました。
EMTG:この「Message」からは、すごく熱い想いを感じることができました。曲に込めた思いを教えてください。
安田:この曲は、中学生の時にお世話になっていた先生への感謝の気持ちを描いているんです。私は小さなころから歌が大好きで、ずっと歌い続けたいと思っていたんですが、中学校が芸能活動禁止だったんです。でも、元気ロケッツで歌うチャンスを手に入れて、ひっそりと活動をしていたんですが、やっぱりバレてしまって…(苦笑)。学校を辞めるか、歌を辞めるか、その2択に絞られてしまったんです。どんな人に相談しても、今は学業を優先すべきと言われて悩んでいたんですが、ある先生だけ、「レイちゃんは、今自分のやりたいことをやるべきだと思う」と断言してくださったんです。その先生の言葉が背中を押してくれて、音楽のためなら、転校だってなんだってできるって思えたんですよ。
EMTG:その後は、転校を選んだんですか?
安田:はい。転校する前は、中学校の友だちが大好きで、勉強も苦ではなかったので、みんなと離れることは辛かったんです。それでも、私は音楽をあきらめることができなかったので、転校を選んだことは正解だったと思います。
EMTG:もし、その時に背中を押ししてくれる先生がいなかったら、どうしていたと思いますか?
安田:きっと、今の安田レイはなかったと思います。そう考えると、すごく感謝の気持ちでいっぱいなんですよね。それに、その先生に向けて、“今こうやって頑張っているのはあなたのおかげです”というのを伝えたかったんです。きっと、あの時の私みたいに、ひとつのことに決断ができなくて悩んでいる人はたくさんいると思うんですよね。この曲が、その先生の言葉のように、背中を押せる曲になってくれたのなら、最高に嬉しいですね。決してそれは一方通行のものではなく、私も頑張るから、一緒に前を向いていこうよというメッセージが伝わってほしいんです。
EMTG:だから、このジャケットなんですね。
安田:はい。ジャケットでは、私と聴いてくれる人たちを結ぶリボンを持っているんです。このリボンの先には、聴いてくれる人がつながっているイメージになっているんですよ。
EMTG:その先生にこの曲は聴かせたんですか?
安田:いや、先生のことを書いたとは伝えていないんです。今でも連絡は取る仲なんですが、こういったことになると急に照れくさくなるので、このインタビューを読んで間接的に伝わってくれたら嬉しいですね。すごく涙もろい先生だから、すぐに泣いちゃうんじゃないかな(笑)。
EMTG:この曲を聴いて、夢に向かって一歩踏み出す人が増えたら嬉しいですね。
安田:はい。夢を叶えるという過程では、いいことばかりではなく、いろいろなことを犠牲にしなくちゃいけない時もあるんです。それに、やりたいことができるわけでは決してないんですよね。それでも、その夢を叶えたいという強い気持ちがあると、どんなことも乗り越えていけるパワーになっていくんです。どんなに頑張っていても、いろんな意見を言われることがあると思うんです。そんな時でも、自分の気持ちを信じて、流されずに進み続けていってほしいですね。
EMTG:安田さんも、夢を否定されたことはありましたか?
安田:数え切れないほどたくさんありました(笑)。アーティストというのは大変な職業だということをみんなが知っているし、成功するのは一握りというのをわかっているからこそ、心配して言ってくれていたのは理解できるんです。でも、やっぱり悔しいし、自分がどんなに信じていても、“本当にこれでいいのかな”ってブレるきっかけになってしまうんです。
EMTG:そういったときは、どのように克服していたんですか?
安田:ひたすら音楽を聴いていました。だからこそ、今度は私がそういった人たちを支える曲を歌う番なのかなって思うんです。あの時にように誰かを励ましたり、諦めそうになっている誰かを諦めさせないで、もう一度自分を信じて頑張ろうと思ってもらえるように、これからも歌を歌っていきたいと思うんです。
EMTG:そんな強いメッセージが詰まっているのに、優しく聴けるのはサウンドがすごく温かいからだと思うんです。
安田:そうですね。最初にこの曲を聴いたときに、ふわっとしたやわらかい感覚を覚えたんです。聴いた人が優しい気持ちになれる曲だと思ったんですよね。でも、ただ優しいだけじゃなくて、一本芯の通った強さも感じたんです。
EMTG:歌うときはどんなことを大事にしていましたか?
安田:いつも歌うときには、強さと弱さが共存する曲になるように気を付けています。とくにこの「Message」は、曲のテーマに優しさも強さもあるというところだったので、より気を付けて歌いました。とはいえ、最初に言った通り、私が感覚人間なので、計算して歌うというよりは、心の進むままに歌うようにしているんです。
EMTG:その感覚人間というのは、実生活でも表れてきますか?
安田:そうですね。私自身、つねにハッピーでいたいと思う性格なので、洋服も身に着けていてハッピーなものを中心に選んでいます。私自身がハッピーだと、周りにも面白いほど伝染していくんですよ。
EMTG:ハッピーなものというのはどんなものでしょう?
安田:まず、自分がつけるだけでハッピーになれる、キラキラしたものやポップなものを選んでいます。なかでも、クスっと笑ってしまうモチーフのものに惹かれるんですよね。
EMTG:たしかに、今日のネイルもすごくポップですよね。
安田:そうなんですよ。今日はフラミンゴや唇をモチーフにしたネイルになっています。
EMTG:ただかわいいだけじゃなくて、二度見したくなるようなデザインですね。
安田:うれしい! サッと流れていくよりは、“今の何!?”ってなるものがすごく好きなんです。ちょっとした違和感が大好きなんですよ。インスタにネイルや普段のお気に入りのものをアップしているので、ぜひ一緒に“クスっ”としてほしいです。
EMTG:では、最後にこの曲を聴く人たちにメッセージをお願いします。
安田:シングルとして初めて歌詞を手掛けさせてもらったこの曲で、あらためて自分が“涙”という言葉をよく選ぶことに気づいたんです。涙って、辛さや悲しさなどが思い浮かぶと思うんですが、その先には光が待っていると信じていて…。泣くのを我慢すればするほど、発散できずに心の中にわだかまりが残ると思うんですが、たまにはたくさんの涙を流して、気持ちをリセットし、また明日、新しい自分で頑張ろうと思える瞬間が一番大事だと思うんですよね。未来には光が待っているということをこの曲から感じてもらえたら嬉しいです。

【取材・文:吉田可奈】

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ビデオコメント

リリース情報

Message(初回生産限定盤)

Message(初回生産限定盤)

2016年05月18日

SME Records

DISC 1
1. Message
2. Reflection
3. Shakin’ Da beat
4. Message (Instrumental)

DISC 2
1. Behind the scenes of "Message" photo session

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お知らせ

■ライブ情報

安田レイ TOUR 2016 “PRISM”
2016/05/19(木)愛知・Bottom Line Japan
2016/05/27(金)東京・赤坂BLITZ

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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