Rhythmic Toy World"自分の味方になってくれる"新AL「HEY!」インタビュー

Rhythmic Toy World | 2016.07.01

 昨年1月にシングルとして発表された「いろはにほへと」がYou Tubeで公開された頃から、そのインパクトのある見た目と何よりもキャッチーでハイクオリティなギターロックが話題となり、あっと言う間にフェス常連バンドへと上り詰めたRhythmic Toy World。そんな彼らがまさにバンドの主戦場であるライブに標準を定めた2ndアルバム『「HEY!」』をリリースする。オーディエンスと一体となって最高の瞬間を描くために作り出された全13曲。EMTG MUSIC初となる今回のインタビューでは『「HEY!」』が発する圧倒的なエネルギーの源泉について、4人に語ってもらった。

EMTG:すごく見た目のインパクトがあるバンドですよね。
内田直孝(Vo・G):本当ですか!?初めて言われました(笑)。
須藤憲太郎(B):いやいやいや!ウソです(笑)。
岸明平(G):みんなに言われてますよ。
EMTG:ギターロックで三つ編みのボーカリストはあんまりいないと思うんですけど。
内田:最初は罰ゲームだったんですよ。MV撮影のときに僕が寝坊で遅刻をして。罰ゲームとして「三つ編みにして謝れ」ってプロデューサーに言われたんです。それがメンバーとかスタッフの間で「いるよね、こういう人」とか「オシャレだよね」みたいな感じになって、そのまま撮ったのが「いろはにほへと」なんですよ。しかも、そのMVの反応が意外と良かったから一気にアイコンになっちゃった感じです。
EMTG:今回リリースされる2枚目のフルアルバム『「HEY!」』は、個人的には「あ、自分の味方になってくれる人を見つけた」と思う作品でした。
須藤:おっ、うれしいです!
EMTG:歌詞に大きな変化があって、聴き手にぐっと寄り添う1枚になりましたね。
内田:前のアルバム『BUFFeT』を1年前ぐらいに作って、そこからツアーを回ったんですけど、去年の12月に出したシングル「輝きだす」が転換期だったんです。いままでは自分の弱い部分を見せずに、みんなを救いたいって思ってたんですよ。絶対的な存在でありたいっていう視点から歌詞を書いてたんです。でも、もっと弱さを見せる。みんなに隠し事がない状態で背中を押すことができたら、もっと深い絆になっていくんじゃないかって気づけたというか。たまたま僕らはミュージシャンっていう立場なだけで、みんな同じ人間だから。同じような日々を過ごして、同じような弱さを持ってる人が書いた曲がこれなんですけど、どうですか?っていう提示の仕方に変わったんですよね。
EMTG:絶対的な存在でいたかった自分が、弱さを出したほうが絆を深めていけると思えたきっかけは何だったんですか?
内田:ちょっと言い方が難しいんですけど、『BUFFeT』っていう作品を出したとき、もしかしたら自分たちらしさがないかもしれないと思う瞬間があって……。その作品を悪く言うつもりはないんですけど、背伸びをしてたんじゃないかなと思ったんです。それが僕は悔しかったんです。自分たちが作ってきた曲を120%生かすことができなかった。だから、あの子(曲)たちのかっこよさがもっと引き立つにはどうすればいいかを考えた先が、今回の『「HEY!」』なんです。お客さんと見える先も、見てる世界も、感じてる温度も一緒で、違うのはステージの高さぐらい。その距離感がRhythmic Toy Worldなんだろうなっていうのに気づいてから、今回はそういう作品を作ろうと思ったんです。
磯村:だから今回は歌詞がすごくストレートなんですよね。いままでは、人によってはこうも捉えられるよねっていう内容だったと思うんですけど、今回は聴いた人がみんな同じ情景が浮かぶというか。だから自分らも楽曲を演奏するときも、内田に何も聴かなくても、こういう感じだろうみたいなのがイメージできたというか。制作もしやすかった。それで曲が予想よりたくさんできたので選りすぐりの13曲ですね。
EMTG:表現したいことが明確に絞られたぶん、サウンドの方向性もすごくソリッドに突き詰められてて、そこも前作『BUFFeT』とは違いますよね?
内田:前のアルバムはヴァラエティ感がありましたからね。自分たちの音楽力を突き詰めていきたかったのが前作なんですよ。こういうこともできるんだよっていう、秘められたポテンシャルみたいなものを表現したくて。だから、ちょっとクール寄りだったんですよね。でもまあ……かっこつけてもなあ、みたいな。
須藤:『BUFFeT』の頃からけっこう大きいステージでライブをやれるようになったんですけど、そのときに「もっとこういう曲があったら良いよね」って感じる部分があったんですよ。ヴァラエティに富んでるぶん、ライブでセトリが組みづらかったんです。だからさっきも内田が言ったように、『BUFFeT』の曲も生かすために、もっとライブで一人ひとりがガッツリ来られるような感じの曲がほしかったんです。
EMTG:つまり、いまリズミックがライブの現場に持っていきたい作品?
内田:そのとおりです。ライブをやってて「ああ、楽しいな」っていう空間を作ってるくれる曲たち、「幸せだな」って僕らが思える空気感をパッケージングしたら、こうなったんです。だからいままでの楽曲と雰囲気が違うのもいっぱいあるし、心境の変化と言えば変化かもしれない。今回の作品を少し前に作ってたら、もしかしたらここまでウキウキ、ワクワクしながら聴けなかったのかもしれないけど、いまはこれが最高に気持ち良い状態になっちゃってるから。それが聴いた人にどう思われるかはまだわからないですけど、少なくとも僕らは「これ超いいじゃん!」って思ってるんです。
EMTG:アルバムの中身の話をすると、今作にはふたつの柱があると思うんです。ひとつは感謝。もうひとつは、人生は絶対に楽しんだほうがいいというメッセージ。
内田:うん。メインストリートはそのふたつですね。
EMTG:そのメインストリートから派生する脇道もいっぱいあるんですけど。まず感謝のほうだと「あなたに出会えて」とか「Team B」「カルテット」とかですね。
内田:その感謝のことを、僕のなかでは還元って言ってるんです。よくデパートの大感謝祭とかがあるじゃないですか。でも感謝祭だとワンマンな感じがしません?「儲けたんだね」みたいな(笑)。でも、還元セールは自分たちに返って来てる感じがするんですよ。「すげえ得するんじゃね?」みたいな。だから、その人が何を感じるかっていうところまで入り込んでいく感謝なんですよね。あなたたちがいて、歩んできた日々があって、感じてきた日々があって、こういうものができました。どう思いますか!?っていう。これを喜んでくれたらすげえ嬉しいっす、みたいな還元。だから今回は還元セールですね。
EMTG:その還元の気持ちとして昔からライブでやってた「カルテット」が再収録されたり、所属事務所である“チームぶっちぎり”への感謝を込めた「Team B」が入ってる。
内田:そうですね。「Team B」っていうのは、自分たちの“チームぶっちぎり”の人たちもそうですけど、聴いてくれる人、ライブに来てくれる人も「Team B」の一員だぞという気持です。だからこの曲は会員証ですね。Rhythmic Toy Worldのオフィシャルテーマソング。そういう曲をずっと作りたいと思ってたので、これも還元ですね。
EMTG:で、もうひとつの軸が、たとえば「ミーン宣言」で歌われてる《「意味のない事は無いんだ」と言い切って笑おうぜ》っていうような、毎日を前向きに生き抜く感覚ですよね。
内田:人生を謳歌する感じ。
EMTG:そう、「かごめかごめ」には、《人生謳歌して死ねたらいいのにな》って出てくるけど。それが難しいのを知ってるから、あえてそれを言うんだろうなと思うんです。
内田:たぶん僕はたくさん気になっちゃうタイプなんです。それで苦しくなっちゃう。だから、それを良くしたいってずっと思ってたんです。それが、今回の制作のころから「ありのままでいればいいじゃん」って思うようになったんですね。それですごくラクになったんですよ。嫌なことも許せないこともいっぱいあるんですけど、それはそれ。そう思えたら全然疲れなくなって。そしたら底抜けに明るい言葉が出てきたり、ちょっと恥ずかしいようなことも恥ずかしいと思わなくなったというか。だからいま相当ポジティヴなんです。僕のなかのエネルギーがポワポワポワ~って出てるんですよね、なんか。
EMTG:わかります(笑)。だから今回は無条件に楽しくなる1枚なんですね。
内田:あの……これ伝わるかわからないんですけど、音楽って2Dなのか3Dなのか定かじゃないところがありません? 平面なような気もするし、なんか浮き出てるような気もするし。どっちに定義したらいいかわからないところもあって……。
EMTG:いままで考えたことないけど、少なくとも今回のアルバム『「HEY!」』は3Dのような気がする。そこに立体的な気持ちがあるから。
内田:ふつうに考えるとデジタルだから2Dだけど、そこに自分の感情が入ったら3Dなのかな、みたいな感じなんですよね。だから、いまRhythmic Toy Worldの音楽をできる限り3D寄りにしたいなと思ってるんです。誰が歌っても同じじゃん、誰が弾いても一緒じゃんみたいな曲にはしたくなかったんです。たとえ僕らより演奏が上手い人がいようが、このRhythmic Toy Worldの4人がやるから良いんじゃん、みたいな想いがすごく強いんですね。どれだけの玄人が僕らをコピーをしても、僕らを超えることは絶対にできない。そういうことをできたのが今回のアルバムだと思います。

【取材・文:秦理絵】

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ビデオコメント

リリース情報

HEY!

HEY!

2016年07月06日

STROKE RECORDS

1. あなたに出会えて
2. Dear Mr.FOOL
3. あの日見た青空はきっと今日に続いている
4. ウソカマコトカ
5. 輝きだす
※森永製菓「DARS」CMタイアップ曲
6. MUSHIBA
7. ミーン宣言
8. かごめかごめ
9. W.W
10. カルテット
11. Cheki-Cheki
12. 24時間方程式
13. Team B

お知らせ

■ライブ情報

あっ、良いライブ平日にあります。夏巡業2016
2016/07/13(水)【渋谷】TSUTAYA O-WEST

「HEY!」の「HEY!」による「HEY!」の為のツアー
2016/07/15(金)【千葉】千葉LOOK
2016/07/22(金)【長崎】長崎STUDIO Do!
2016/07/23(土)【熊本】熊本Django
2016/07/24(日)【大分】大分club SPOT
2016/07/26(火)【福岡】小倉FUSE
2016/07/30(土)【福島】郡山 CLUB #9
2016/08/02(火)【秋田】秋田LIVESPOT2000
2016/08/03(水)【岩手】岩手the five morioka
2016/08/10(水)【兵庫】MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
2016/08/11(木・祝)【京都】京都GROWLY
2016/08/19(金)【神奈川】LIVE HOUSE 小田原姿麗人
2016/08/23(火)【群馬】前橋DYVER
2016/08/25(木)【石川】金沢LIVE HOUSE vanvanV4
2016/08/26(金)【富山】富山SOULPOWER
2016/09/10(土)【静岡】静岡UMBER
2016/09/11(日)【三重】松阪M’AXA
2016/09/13(火)【岡山】岡山CRAZYMAMA 2ndRoom
2016/09/14(水)【香川】高松DIME
2016/09/18(日)【栃木】HEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2
2016/09/22(木・祝)【北海道】札幌BESSIE HALL
2016/09/24(土)【茨城】水戸LIGHT HOUSE
2016/09/30(金)【広島】広島4.14
2016/10/02(日)【福岡】福岡Queblick
2016/10/06(木)【宮城】仙台MACANA
2016/10/12(水)【愛知】名古屋CLUB QUATTRO
2016/10/14(金)【大阪】心斎橋Music Club JANUS
2016/10/21(金)【東京】赤坂BLITZ

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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