THE NOVEMBERS、結成11周年の集大成となる6枚目のアルバム『Hallelujah』をリリース

THE NOVEMBERS | 2016.09.16

 約2年ぶりに、待望の新作『Hallelujah』をリリースするTHE NOVEMBERS。結成11周年を迎え、新たな決意で進むことを宣言するかのごとく、スケール感とダイナミズムにあふれたサウンド、キャッチーでポップな楽曲と表情豊かな歌に溢れた意欲作だ。“MAGNIPH/Hostess”からの第1弾であり、ここから始まる彼らの新たなディケード(10年)を祝福するにふさわしい作品と言えるだろう。この新作に込めた強い思いを、小林祐介(Vo,G)が語ってくれた。

EMTG:新作『Hallelujah』は、MAGNIPH/Hostessからのリリースとなることもあって、いろいろ変化があったのではと思いますが、制作はいつ頃から始まったんですか?
小林:アイディア的には、すごく昔の曲とかも入ってたりするんですけど、具体的に新作に向けて走り出したのは、今年の頭ぐらいですかね。まずは11周年を迎えるにあたって、どんなものを残すのが自分達らしいかとか、1年間を通しての11周年のコンセプトを考えました。自分達の新しいスタートのような気持ちと、これまでの集大成が共存できるような、モニュメントのような作品というか。オリジナル・アルバムだけどベスト盤みたいな、そういう内容が濃いものが作れたらいいなと、1月あたりから考え出しました。
EMTG:10周年で一区切りして、次いで11周年。それで集大成と新しいスタートという位置付けですね。具体的にはどんなことを考えたんですか?
小林:そうですね。広いところで演奏している自分達を想像したというか。フジロックのGREEN STAGEとかグラストンベリーとか、武道館とか、どこでもいいんですけど、まだ自分達が到達したことのない広い場所にたくさんの人がいて、たくさんの人を感動させている自分達を想像して、それを信じて曲を作ったり、というのがありました。
EMTG:ストイックに自分達のアート性を高めていきたいのかと思っていたので、ちょっと驚きました。これまでの方法に限界を感じたりとか?
小林:むしろ逆で。突き詰めることとかは今までもやってきたし、これからもできるに違いないのに、作ることでの満足が大きすぎたが故に、なんで僕はたくさんの人に届けようとしてこなかったんだろうか、とか。僕が一生のうちに作れる曲が例えば1000曲だったとして、死ぬまでに1000曲作り終わったとしても、作る順番が逆だったら未来が変わるかもしれない曲がきっとあるじゃないですか。僕が死ぬまでに作る曲で、今の時代だからこそ作るべきものが、もしかしたらあるかもしれない。時代や社会、他人に自分が関わっているんだという実感をもって、自分が何を作れるか考えることって、すごくクリエイティブなことだなって。すごく当たり前のことに、ようやく気付いたんですよね。広いところで演奏することを想像した時に、今この時代に自分がこれを高らかに歌って届けることって、なんて素敵なんだろうと思ったんです。こういう感覚って今までの自分にはなくて。これは凄くいいことなんじゃないかなと思ったんです。自分が作るものをねじ曲げるわけでもなく、自分が届ける相手を想像することで、想像しなかったら作らなかったかもしれないものを、今作ることができました。
EMTG:確かにシングルの「黒い虹」だけでなく、ライヴでのアンセムになるんじゃないかと思うようなポップな曲が並んでますね。
小林:ポップなものは好きだし、作ろうと思ってはきたけど、それよりシンプルに余計なものをそぎ落としたりしたことが、結果的にキャッチーに聞こえる要因になったのかなと思います。あまり凝らなくなりました。奇を衒わなくなったし、1曲の中であれも聞かせたいこれも聞かせたいという副産物みたいな欲を削ぎ落としたというか。
EMTG:今回は曲によってゲストが入っていますが、「いこうよ」ではトランペットが入っていますね。
小林:あのトランペットは、デヴィッド・ボウイの「Blackstar」へのムード的な部分のオマージュで。このBPMと開放的なコード進行の中で、割とフリーに、「こういう感じで管楽器が入ってきてほしい」というのをプレイヤーに伝えて。3曲目「1000年」も手法は違えどデヴィッド・ボウイへのオマージュが含まれてます。
EMTG:「1000年」は美と退屈の対比を“燃やせ”といった攻撃的な言葉で歌っていますね。表題曲「Hallelujah」にも“全部燃やして”とあるし、「美しい火」というタイトルの曲もあるのが気になります。
小林:あくまで比喩なんですけど、この作品を作っている時に、気分が遠藤ミチロウさんみたいになっちゃったんですよね。ぶっ壊せとか燃やせとか、ずっとモゴモゴ言ってたような(笑)。
EMTG:(笑)それも意外ですけど、でも「!!!!!!!!!!!」は確かに何かを吐き出すような曲。
小林:ああ、「そしてバカはパンクで茹で死に」ですね。これはある種ユーモアのつもりではあるんですけど。最後のリフレインの歌詞はゴッチさん(ASIAN KUNG-FU GENERATION / Vo&G後藤正文)の本のタイトルの影響ですね。
EMTG:EP「Elegance」は土屋昌巳さんプロデュースでしたが、今作はプロデューサーを立てることは考えなかったんですか?
小林:今作ではあくまで自力を出し尽くしたかったんですよ。前作で、昌巳さんからどんな影響をもらえて自分たちが成長したとか、どんなものを作れるかを新作で表現できるわけじゃないですか。でも、昌巳さんがいないというだけで、「Elegance」でできていたことに、太刀打ちできないというか。昌巳さんがいないだけで、もうああいう音は作れなくなってしまったとか。似ているものはできても絶対に違うとか。そういう壁にぶち当たりましたね。自分たちが持ってるものが何なのか、あぶり出されるような時間がありました。でも、壁に当たるたびにダメかもなと思うより、面白くなってきやがった、という風に思ってましたね。それも昌巳さんの影響だったりするんですけど(笑)。そんな風に、いろんな壁を乗り越えたような感覚が今作はあります。
EMTG:『Hallelujah』の手ごたえは、その自信から来るものなんですね。リリース後のワンマンツアーが楽しみです。
小林:自分達が一番かっこいいなと思うものを、堂々と届けにいけたらと思うので、ライブハウスでいい顔で会えたらと思います。
EMTG:そして11月11日は恒例の新木場コーストですね。
小林:三度目の正直と言わせてもらいたいですね。僕にとって憧れの場所というか一番好きな会場で、最初に言った野望とか野心とか、以前はそんなにこだわってなかった自分が今あえて言いたいのは、”ソールドアウトにしたい!”ということです。自分たちの曲を楽しみに来た人が、会場のキャパ分来てくれたら嬉しい。来なかったら、何年後かに後悔すると思うので(笑)。1回きりですからね、11周年の11月11日は。

【取材・文:今井 智子】

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リリース情報

Hallelujah

Hallelujah

2016年09月21日

MAGNIPH/Hostess

1.Hallelujah
2.黒い虹
3.1000年
4.美しい火
5.愛はなけなし
6.風
7.時間さえも年老いて
8.!!!!!!!!!!!
9.ただ遠くへ
10.あなたを愛したい
11.いこうよ

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ASKA
今回のアルバムを作っている時、一番何を聞いてたかってみんなで思い出してたんですけど、僕はチャゲアスだったんです。ちょうど、沖縄・台湾ツアーの頃だったと思うんですけど、その頃にASKAさんのブログが話題になっていて。それを読んだのがきっかけだったんですけど、あの辺りから、チャゲアスとかASKAさんのライヴ動画とかを結構見ていましたね。3〜4ヶ月は見ていたと思います。
僕は歌よりギターの方がずっと好きだったんですけど、こんな風に歌えたら素晴らしいなと思ったことがきっかけで、もっと歌が前に出るような曲を作ってみたいなと思ったり。もしかしたら、今作のロマンチックな部分は、「SAY YES」とかに刺激されたかもしれないです。


■ライブ情報

11th Anniversary & 6th Album Release Tour - Hallelujah -
16/09/30(Fri) 心斎橋JANUS
16/10/02(Sun) 池下CLUB UPSET
16/10/04(Tue) 金沢van van V4
16/10/06(Thu) 新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
16/10/13(Thu) 仙台 enn 2nd
16/10/23(Sun) 宇都宮HEAVENS ROCK VJ-2
16/11/11(Fri) 新木場STUDIO COAST
16/12/17(Sat) 台北The Wall

COLOUR SCENE ※小林祐介ソロ出演
16/09/15(Thu) 山形 酒田hope
16/09/16(Fri) 新潟GOLDENPIGS YELLOWSTAGE

YUCK JAPAN TOUR 2016
16/09/23(Fri) 広島QLUB QUATTRO

indigo la End presents 「インディゴラブストーリー vol.1」
16/10/19(Wed) 渋谷CLUB QUATTRO

※その他ライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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