椎名慶治、ソロ活動5周年の締め括りと6年目に向けての意欲を詰め込んだベストアルバム『RABBIT “BEST” MAN』

椎名慶治 | 2016.11.01

 ソロ活動5周年となる2016年、年明けから名曲揃いの3rdフルアルバム『MY LIFE IS MY LIFE』をリリースし、ソングライター、ボーカリストとしての存在感を見せつけた椎名慶治。そんな彼がアニバーサリーイヤーを締め括るべく、ベストアルバム『RABBIT “BEST” MAN』と、ミュージックビデオ集『RABBIT “FILMS” MAN』をリリース。来年にはワンマンツアーも発表し、華麗にアニバーサリーイヤーを駆け抜けている。さっそく多忙な椎名をキャッチし、今回はベストアルバムに焦点を絞り、今だからこそ語れる楽曲の制作秘話や、曲のセレクトで感じたことなど、深く掘り下げて語ってもらった。

EMTG:ソロ5周年でベストアルバム『RABBIT “BEST” MAN』と、ミュージックビデオ集『RABBIT “FILMS” MAN』を11月2日に同時リリースという……まだまだ祭りは続きますね(笑)。
椎名慶治:まぁ、ソロデビュー5周年の締め括りが残り1週間というタイミングで、それ以降は6年目に入るギリギリのところでリリースしますんで(苦笑)。それと、この5年の間に、ミニアルバムを含めるとアルバムが全部で6枚ありまして。
EMTG:思えばかなりの数ですよね。
椎名慶治:音源がたくさんあるし、じゃあ5周年の区切りで出そうかっていうね。ここで出さなかったら、次は10周年じゃないですか。それだと遠すぎるよねって。そんな話を去年、たぶん『MY LIFE IS MY LIFE』(今年1月に出したアルバム)を作る前からしてたんですよ。合間にはJET SET BOYSの話がフワッと出てきたりして、大変なことになってきたなっていう(苦笑)。
EMTG:ベストを作るにあたって、ファンの皆さんから投票を行ったそうですね。その結果は反映されているんですか?
椎名慶治:反映してます。1位は「RABBIT-MAN」でした。だから、新曲でもある1曲目の「5 my way」をオープニングっぽく入れて、そこからバーンって「RABBIT-MAN」から始まるのは、やっぱり1位だったからという理由ですね。
EMTG:確かにあの曲はもうアンセムみたいになってますし。ライブで聴けなきゃ帰れないですからね。それにしても、1曲目(「5 my way」)と最後(「ゴゾウ☆ロック」)に新曲を持ってくるというのは、かなり攻めてる気がしましたが。
椎名慶治:これはベストアルバムを出すのが決まった時点で決めてました。なぜそうするかというと、今まで5年間、僕の音源を買ってくれている人にしてみれば、プレイリストを作ってmp3で並び替えたら同じものになっちゃうじゃないですか。リマスターしたと言っても、そこまで劇的に変化するわけでもないし。だから、寄せ集めじゃダメだと思って、新曲とリミックスした曲を入れさせていただきました。
EMTG:なるほど。しかも、さっきサラっと言ってましたけど、1曲目の「5 my way」は、かなり異質でしたよ。こんな激しいロック・サウンドをやっちゃうんだっていう感じで。
椎名慶治:これまであまりしゃがれた声で歌ったことがないのに、18年歌ってきて初めて出すような声で始まりますからね。もしかしたら、聴いてくれた人の中には、途中でCD止めて1回出して確認する人がいるかも(笑)。ただね、ノドが壊れそうなんで、ライブでは歌わないと思います(笑)。
EMTG:そんな…(苦笑)。特に男性ファンは聴きたいと思うんですけどねー!
椎名慶治:じゃあ、男子限定でやろうかな?ツアー初日の下北沢シェルターで!まぁ、ちょっと考えます(笑)。
EMTG:では投票に話を戻しまして、ほかに人気の高かった曲はどれだったんですか?
椎名慶治:面白いのは、「MY LIFE IS MY LIFE」が2位だったんです。
EMTG:ん? 最近出したアルバムのタイトル曲ですね。
椎名慶治:今年出したアルバムに入れた曲が2位に入るなんて……その前の4年間はいったい何だったんだろうと(苦笑)。あと、『MY LIFE IS MY LIFE』収録の「人生スパイス」も上位に入ってます。
EMTG:あ~、それは納得です! これは日常あるあるの椎名節だから、共感した人が多かったということでしょうね。
椎名慶治:曲を作ってくれた田淵智也(UNISON SQUARE GARDENのベーシスト)にありがとうですね。これ、曲を聴いた時からもう“応援歌じゃん!”って(苦笑)。そっちに寄せるしかない曲でしたから。
EMTG:でも、新しい曲が人気投票の上位って、ある意味喜ばしいですけどね。
椎名慶治:そうなんですよ。ありがたいなと思います。過去にすがってないっていう証拠だし。あと、自分としては、1stアルバム『RABBIT-MAN』の最後の曲である「よーいドン」が4位に入ったのが、すごく大きかったです。僕自身も今回のベストに入れるかどうか迷ったんですけど、投票の結果を見て、入れることにしました。中には投票で上位に入っても、敢えて入れなかった曲もあるんですけどね。
EMTG:お、それはどうしてですか?
椎名慶治:僕自身が入れたかった曲もあったんですよ。
EMTG:なるほど。それはどの曲ですか?
椎名慶治:「ヤワじゃないだろう」っていうバラードです。もともとは1stミニアルバム『Ⅰ』に収録した曲なんですよね。SURFACE解散直前に「素直な虹」っていうシングルを出したんですが、この曲をプロデュースしてくれたのが武部聡志さんで……。
EMTG:重鎮のプロデューサーさんですね。
椎名慶治:そうです。武部さんにはSURFACEのデビュー前から面倒を見てもらって、すごくお世話になったんですよ。そう思ったら、自分の1stミニアルバムに“武部聡志”のクレジットが欲しいなって思って。それで“ピアノだけ弾きに来てください”ってメールでお願いしたんですよ。そうしたら“ピアノだけ弾きにいくとか、絶対にねぇ!”って言ってたのに、結局スタジオに来てくれて(笑)。やり直しナシで、ニュアンスを変えて3回弾いて、“あとは好きなの選んで~”って(笑)。だから、これはもう外すわけにはいかないなと。
EMTG:いい話ですね。しかも「ヤワじゃないだろう」って曲は歌詞もネガティヴじゃないんですよね。
椎名慶治:そうなんです。これ、ポジティヴですよね。たぶん『Ⅰ』がSURFACE解散後、一発目に出した作品だったから、こういうものも歌えるアーティストなんだよって思ってもらいたかったのかもしれないです。今思えば、ソロシンガーとして活動するには、ラブバラードも歌わないとダメだと思ってたのかもしれないですね。
EMTG:最近は「言いたくて言えなかった」みたいな失恋ソングのイメージの方が強い気がしますけどね。
椎名慶治:あ、「言いたくて言えなかった」も最近の曲ですが人気がありましたね。そういう曲が歌えているのも「ヤワじゃないだろう」があったからだと思ってます。あともう1曲、「駆け出しのヒーロー」も、いろいろ聴き返した中で、すっごく印象に残りました。客観的にね。ということは、僕のことをあまり知らない人が聴いても響くんじゃないかなって。それで今回入れたんですよね。
EMTG:ここで、2曲目の新曲「ゴゾウ☆ロック」についてもう少し詳しく語ってもらえますか?
椎名慶治:もともと11月10日で6年目に入って、その約1週間前がベスト盤リリースじゃないですか。5年目と6年目……五臓六腑って言葉がありますけど、そこから派生して作った曲です。
EMTG:かなりゴリっときてますよね。
椎名慶治:ギターに関しては友森(昭一)さんの力も借りてます。あとは、6年目の意欲……この人はまだ辞めないんだ、引退するためにベストを出したわけじゃないんだって感じてもらえるリリックになってますし。だってね、“2から始まってそんで1になって4もあるが”って、これSURFACEからソロ、JET SET BOYSに繋がってるわけですよ。これで表現した自分の才能が……ね(笑)。
EMTG:天才じゃないですか(笑)。
椎名慶治:そして、“まだまだ歌い続けよう自分のために”っていうフレーズ、このまんまの歌詞がSURFACEの1stアルバム(『Phase』)に収録した曲にもあるんですよね。18年前も“歌い続けよう”って言ってるけど、今もう1回言っているっていう。ここにファンは泣くわけですよ!(笑)。
EMTG:もうさすが……としか(苦笑)。でも、完全に決意表明の歌ですね。
椎名慶治:そうです! もちろん、僕のことをよく知らない人が聴いても、ちゃんと意味が繋がると思いますしね。
EMTG:さて、この後はリリース記念イベントもたくさん決まっていますし、12月にはイベントや誕生日ライブ、そして来年はビッシリとツアーも予定されているという。相変わらず働きますね(笑)。 
椎名慶治:ツアータイトルの「RABBIT “6” MAN」の6はロックという意味でもあり、6年目という意味でもありで、6人目のメンバーは来てくれるお客さんっていう意味もありで。だから、参加するっていう気持ちでライブに来てほしいですね。
EMTG:休みナシで問題ないと(笑)。
椎名慶治:休みがあると不安になるタイプなんです。もし長期の休みを入れられたら、初めて頼まれてもいないのに率先して作曲を始めるかもしれないですね(笑)。だから……うん、やっぱり休みはしばらくなくていいかな(苦笑)。

【取材・文:海江敦士】

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リリース情報

RABBIT “BEST” MAN

RABBIT “BEST” MAN

2016年11月02日

HWP

01:5 my way ※新曲
02:RABBIT-MAN
03:愛のファイア!(Horn Mix) ※リミックス曲
04:人生スパイス -go for broke-
05:I Love Youのうた
06:言いたくて言えなかった
07:いまさら好きだと伝えちゃダメかな?
08:お節介焼きの天使と悪魔と僕
09:MY LIFE IS MY LIFE
10:駆け出しのヒーロー
11:ヤワじゃないだろう
12:よーいドン
13:取り調べマイセルフ
14:いざ尋常に
15:ゴゾウ☆ロック ※新曲

お知らせ

■コメント動画


■ライブ情報

椎名慶治ベストアルバム「RABBIT "BEST" MAN」リリース記念イベント
2016/11/03(木・祝)福岡・タワーレコード福岡パルコ店店内イベントスペース
2016/11/05(土)福島・ATi郡山1F特設ステージ
2016/11/06(日)東京・タワーレコード新宿店7Fイベントスペース
2016/11/12(土)愛知・イオン八事店4F G.Gイベントスペース
2016/11/13(日)大阪・大阪難波OCAT B1F・ポンテ広場ウィングステージ

Yoshiharu Shiina Special Live 2016「YAKUOTOSHI」
2016/12/30(金)東京・日本橋三井ホール

Yoshiharu Shiina LIVE 2017「RABBIT "6" MAN」
2017/02/25(土) 下北沢SHELTER ※男性限定ライブ
2017/02/26(日) F.A.D YOKOHAMA ※女性限定ライブ
2017/03/04(土) 浜松窓枠 
2017/03/05(日) 仙台MACANA
2017/03/11(土) 柏PALOOZA
2017/03/18(土) 心斎橋JANUS
2017/03/20(月・祝) 岡山MO:GLA
2017/03/25(土) 札幌COLONY
2017/04/01(土) 新潟GOLDEN PIGS RED
2017/04/02(日) 郡山Hip Shot Japan
2017/04/08(土) 名古屋CLUB QUATTRO
2017/04/15(土) 福岡DRUM SON
2017/04/23(日) 渋谷CLUB QUATTRO

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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