Aqua Timez、7枚目のオリジナルアルバム『アスナロウ』は、バンドとしての力強い進化を示した自由度の高い1枚に。

Aqua Timez | 2016.12.14

 昨年の8月にCDデビュー10周年を迎えた後、長期に亘る47都道府県ツアーを行ったAqua Timez。充実した日々を経て完成された7枚目のオリジナルアルバム『アスナロウ』は、多彩な作風を伸び伸びと発揮しながら、大切なメッセージと心地よいメロディを届ける1枚だ。各曲に脈打つ豊かな物語性、施されている絶妙なサウンドアレンジは、ロックバンドとしての力強い進化を示している。今作を生み出すために、彼らはどのようなことを考えていたのだろうか? 制作エピソードを太志(Vo)、OKP-STAR(Ba)、大介(Gt)、mayuko(Key)、TASSHI(Dr)に語ってもらった。

EMTG:どんな1枚にしたいと思っていました?
太志:配信曲やシングル曲を収録しつつ、それとはまた別のテイストを持った新曲もいろいろ入れたいというのが、まず考えていたことです。あと、“前のアルバムには負けない”ということも思っていましたね。
TASSHI:前作の『エルフの涙』は、自分たちの自信作だったので、そこに絶対に負けたくないという気持ちは、メンバー全員が強かったと思います。
OKP-STAR:いろんな方向性の曲が入っているアルバムですけど、バンドとしての軸がブレていないと思います。ずっとバンドをやってきた中で、バランス感覚みたいなのも出てきたのかもしれないですね。
大介:“今の自分ができる全てを詰め込みたい。最高のAqua Timezを表現したい”ということを思っていました。あと、47都道府県ツアーを回りながらバンドの底力が上がったので、今回は生楽器指向のものにもなっているかもしれないです。
mayuko:47都道府県ツアーの終盤にアルバムについて話し合ったことがあるんですけど、その時に大ちゃん(大介)が“世界を旅するような”ということを言っていたのを覚えています。そういうイメージも踏まえつつ、新しい視点も採り入れながら自由に作っていったアルバムですね。ツアーを経て得たみんなの自信も反映されていると思います。
太志:やっぱり47都道府県ツアーは、大きかったです。各地の空気を味わいながら、“サーカス団のように旅をしながら、いろんな場所で音を鳴らしてパーティーをするバンドっていいなあ”っていうことを感じましたから。
EMTG:ツアー中に作った曲もあります?
太志:ありますよ。例えば「空想楽」は、ツアー中に“演奏する曲をもっと増やしたい”と思って作ったんです。初めて聴く人でも盛り上がれるものにしたかったので、EDMの要素を採り入れています。でも、この曲、ライブでやり始めた最初の頃の反応は予想外の感じでしたけど。最初の部分がアコギと歌だけなので、“盛り上がる”というよりも、“じっくり聴く”というような雰囲気になったんです(笑)。
EMTG:(笑)「空想楽」は、絵本の『おおきな木』(シェル・シルヴァスタイン作)が歌詞に出てくるのが印象的でした。 
太志:あの絵本、3人くらいのファンの子から頂いたんです。“自分が年齢を重ねたらどうなっていくんだろう?”っていうことを考えるきっかけにもなりました。あと、“木”というものを人生と重ねて考えたりもしましたね。
EMTG:アルバムのタイトルにもなっている『アスナロウ』も、あすなろの木ですよね? 
太志:はい。“明日はひのきになろう”っていう、あすなろの木です。そういえば、養老孟司さんが“人が落ち込んでしまうのは、花鳥風月が足りていないからだ”という主旨のことをおっしゃっていたんですよ。人は人とだけ向き合っていると、苦しくなるみたいで。だから最近、自然と向き合うということも、よく考えるようになっています。
EMTG:Aqua Timezは、空とか自然が似合うバンドだと思いますよ。
太志:メンバーは屋内でDTMばっかりやっていますけどね(笑)。
mayuko:インドア派ばかりです(笑)。
OKP-STAR:僕もそうですね。外に出るのは、公園でブランコに乗る時くらいですから。
太志:公園で? その風貌だと、傍から見ると怖いよ!
OKP-STAR:子供は、結構近寄ってくるよ。ブランコは風が気持ちいいんだよね。
大介:立ち漕ぎとかするのやめてよ。完全に危ない人だから(笑)。
EMTG:(笑)mayukoさんも、自然に触れたくなることはあります?
mayuko:私は田舎育ちだったので、逆に自然を求める気持ちは、長い間なかったんですよ。でも、緑や自然に触れることで心にゆとりって持てるんだなと感じるようになりました。最近、部屋の中にポストカードを貼って、花鳥風月に近い雰囲気を作ったりしていますから。
大介:疑似花鳥風月(笑)。
太志:観葉植物くらい置いてよ(笑)。
TASSHI:ウチのメンバーは、こんな感じのインドア派なんです(笑)。でも、太志の歌詞によって、空とか自然の印象が出ているんだと思います。太志は人との向き合い方とか、内面の感情をテーマに描いても、歌詞の中に自然の景色とかの描写を入れることがよくありますから。1人のファンとして、そこが好きです。
EMTG:今回のアルバムは、サウンドで雄大な空間を作っている面も強いと思います。 
TASSHI:ありがとうございます。それは最近、メンバーともよく話し合っているところなんです。昔は音のことだけ考えていたから、なかなか的確なアレンジができなかったのかなと。今は例えば“朝なのか? それとも夜なのか?”とか、視覚的なイメージをメンバーで共有しながら作るようになっています。
太志:今回の曲だと、例えば「ソリに乗って」は、そういうところが出ていると思います。これは“サンタクロースが急いで子供たちのところへ向かう”っていう曲ですけど、“ちょっと腰を下ろして休んだ時に花火が上がったらいいなあ”っていうことをメンバーに伝えました。“こういうイメージを音にしてくれ”とか、要点を3つくらい伝えると、僕は駆け出して部屋を出たんですけど…。
大介:イメージを伝える時は、なぜか駆け出すところまでがセットなんです(笑)。
太志:俺、一体何に向かって走ってるんだろう?(笑)。「ソリに乗って」は、楽器陣が見事にイメージをサウンドにしてくれましたね。詞と曲のことを考えてアレンジしてくれているのを、最近、強く感じています。
EMTG:1曲目の「アスナロウ」も、まさにアレンジ力が発揮されている曲だと思います。 
太志:ありがとうございます。原曲の段階だと“アコギとラップで始めよう”というようなイメージだったんですけど、ここまでいろいろな要素が入るとは想像していなかったです。街の音のサンプリングを使ったりもしながら、唯一無二のものにすることができました。
EMTG:アレンジの研究をすることもあります? 
太志:ありますね。アニメとかゲームの音楽を聴いたりして“どうやって作ってるんだろう?”って考えたりもしますから。ああいう音楽は、ものすごいプロの方々が作っているから、すごく勉強になるんですよ。楽器で出す音とはまた別の、雰囲気を醸し出すような音もバンドの中に採り入れるようになっています。
大介:そういえば、“スーパーロウ”っていう、人間には聞こえないけど体感することはできる音を試しに入れてみたことがありました。
太志:「アスナロウ」の頭のラップの部分に入れてみたんですよ。聴いていると不安な気持ちになる雰囲気になっちゃったんですけど……。
大介:あれは怖かった(笑)。
太志:だから、このアイディアはやめることになりました(笑)。そういう実験はいろいろしたレコーディングでしたね。
大介:バンドだけで“せーの!”でやる曲もいいんですけど、今回みたいにいろいろ試しながら形になるのもバンドらしいですし、“音楽”という感じがすごくします。
EMTG:今回、歌詞に関しては、いかがでしょう? 過去の自分を見つめる視点が、随所で反映されている印象がしたんですけど。 
太志:「12月のひまわり」や「冬空」とかはそうですよね。僕は18歳で関東に来て、今年で36歳。関東と岐阜、それぞれで過ごした時間が同じくらいになったんです。故郷にいた時期が遠ざかっていく分、“愛しいなあ”という気持ちが強くなっています。同級生が親になっているのとかを見ると、“自分も歳を重ねてきたんだなあ”って感じますし。過去を振り返るのって、未来に繋がることでもあるんだと思います。“今”も過去になると考えると、“じゃあ、どういう今を生きようか?”ということも考えますから。
EMTG:“今を精一杯に生きたい”という想いは、あらゆる曲から感じました。 
太志:世界に関しては個人だけでは変えられないところもありますけど、自分の生き方は自分で変えられますからね。僕も1人の人間で、いろんな悩みや不安があるんです。いろんな人と共有できる喜びや悲しみがいっぱいあるから、これからもそれを描いていきたいです。“ポジティブ”っていう言葉を使うと誤解される面もあるかもしれないですけど、僕が描きたいのは、ちゃんと地に根を張ったポジティブ。そういう前向きさを伝えたいですね。
ポジティヴAqua Timezは、前向きなメッセージを届けることに対して、すごく揺るぎのない情熱を持っていますよね。
太志:個人的な悩みや苦しみ、喜びとかが、いろんな人に伝わるものにもなるということを、僕はこれまでの活動の中でずっと感じてきたんです。“綺麗事”と言う人もいますけど、“わざわざ嘆いてばかりの曲を書いて、どうなるんだろう?”って思うんですよ。だから、こういう描き方をずっとしてきました。“あの曲を聴いて、また学校に行くようになりました”とか書かれた手紙を頂いたりすると、何とも言えない気持ちになります。何かの縁で僕らの音楽に出会ってくれたことが嬉しいですし、そういうみんなにできる限りいい日々を送って欲しいと思っています。そして、僕は1つすごく感じていることがあって。大好きな音楽を聴いている時って、自分が誰であるのかも忘れませんか?
EMTG:その曲と1つになる感覚ですよね?  
太志:そうなんです。音楽と一体となる感じというか、感動そのものになる感覚になるじゃないですか。自分の性別とか社会的なこととかから全部解き放たれるあの感じを、これからも大事にしたいです。
OKP-STAR:僕も自分たちの曲を、いろいろ噛みしめながら聴いていますからね。太志の歌詞を読んで“いいなあ”と思ったことを自分の言葉のように誰かに言って、“あ、素敵!”みたいに言われたりもしますし。
太志:そうなんだ?(笑)。
OKP-STAR:うん。“そういう考えもあるんだ”って思いながら聴いていますよ。
EMTG:こんなに感情移入して曲を噛み締めてくれているOKPさんですけど、「ナポリ」の歌詞で容赦ないことを言われていますね(笑)。 
太志:メンバーをディスっている曲って、他ではあんまりないかも(笑)。「ナポリ」は普段の楽屋でOKPをいじっている自分の感じです。あと、「Dub Duddy~ライブ前日に見た夢~」は、大ちゃんのお父さんのことを題材にさせてもらいました。カウボーイハットをかぶっているオシャレなイケメンで、ガンマンみたいなんですよ。こういう曲も作れましたし、描くことの自由度は、昔よりも広がっていると思います。思いつきで笑い合えるのって楽しいですし、それをファンと共有するのもいいことなのかなと。
EMTG:年明けにツアーがありますけど、お客さんと様々な感情を交わし合えるんじゃないですか?
太志:そうですね。みんなと喜怒哀楽の全部を共有できるツアーにしたいと思っています。

【取材・文:田中 大】

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リリース情報

Aqua Timez「アスナロウ」

Aqua Timez「アスナロウ」

2016年12月14日

ERJ

1. アスナロウ
2. 最後までII
3. 空想楽
4. We must
5. 冬空
6. 12月のひまわり
7. ソリに乗って
8. サンデーパーク
9. ナポリ
10. Dub Duddy〜ライブ前日に見た夢〜
11. 三日月シャーベット
12. 閃光
13. Pascal
14. 生きて
15. 魔法を使い果たして

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■ライブ情報

Aqua Timez アスナロウ TOUR 2017
2017/02/04(土) 狭山市市民会館(埼玉)
2017/02/11(土) 広島JMSアステールプラザ大ホール(広島)
2017/02/12(日) スターピアくだまつ大ホール(山口)
2017/02/18(土) 渋川市民会館(群馬)
2017/02/19(日) 常陸太田市民交流センター (パルティホール)(茨城)
2017/02/25(土) 三島市民文化会館 ゆぅゆぅホール(静岡)
2017/03/04(土) NHKホール(大阪)
2017/03/11(土) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール(愛知)
2017/03/12(日) バロー文化ホール(多治見市文化会館)(岐阜)
2017/03/17(金) 熊本県立劇場 演劇ホール(熊本)
2017/03/18(土) 福岡市民会館(福岡)
2017/03/20(月祝) 鯖江市文化センター(福井)
2017/04/01(土) 電力ホール(宮城)

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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