BLUE ENCOUNTがメジャー2ndアルバム『THE END』をドロップ

BLUE ENCOUNT | 2017.01.10

 破壊と創造。BLUE ENCOUNTのメジャー2ndアルバム『THE END』は、バンド自ら「BLUE ENCOUNT、かくあるべし」をぶっ壊すことで、新たなフィールドに突入した大傑作である。今年は「はじまり」、「Survivor」、「だいじょうぶ」、「LAST HERO」とシングル4枚(表題曲は今作に収録)という驚異的なリリースで駆け抜け、10月9日には日本武道館公演を大成功に収めた彼ら。多くの衆目を集める中で、傍目には順風満帆にしか見えなかったが・・・バンド内部では「まだまだこんなものじゃねえ!」と牙を剥き出しにしていた。クソ熱いメッセージ性も、遊び心に富んだ肩の力が抜けた曲調も、すべてがBLUE ENCOUNTだ!と言い切った音色と歌詞に、心が震える。

EMTG:今作は相当手応えがあるんじゃないですか?
江口:いい反応をいただいてます。
辻村:振れ幅のある作品なので、僕らも反応が気になっているんですよ。
田邊:それくらいクセの強い作品ですから。僕らは好きなんですけどね(笑)。12年間の中で一番やりたかったことをやれました。今、バンドのエゴを出せるのは有り難いことだなと。

EMTG:いやあ~、本当にすごいアルバムができましたね!
辻村:ものすごく溜めて言いましたね(笑)。
田邊:嬉しいですね、そう言ってもらえると。
EMTG:では、前作『≒』以降のバンドの状態はどうでした?
田邊:曲を作るペースは昨年と全く変わらなくて。今年は4枚のシングルのうち3枚にタイアップが付いて、メジャー2年目で状況も良くなりましたからね。でも、負けられない、まだまだという思いの方が強くて、今年は闘ってました。いままで以上に世の中の反応は気にしてましたね。
辻村:こないだミュージック・ステーションに出させてもらって、第一線を走ってる人たちを間近で見ると、自分たちの立ち位置も明確にわかるから。足りない面を余計に感じた一年でした。アジカン先輩と一緒にやらせてもらったときにも、俺らにはないバンドの良さを感じましたからね。
田邊:今年は10月に日本武道館公演というものを掲げて動いていたから。武道館以降、やっと自分たちの曲に自信が持てるようになりました。で、武道館終わりで今回のレコーディングに入ったんですよ。
EMTG:ええっ、そうなんですか?
田邊:はい、結構カツカツでした(笑)。
江口:武道館前に「HEART」、「涙」は録っていたんですけど、シングル以外のほかの新曲はその後ですね。
EMTG:その意味で今作は武道館以前、以降の気持ちが入っていると?
田邊:そうですね。歌のノリも武道館以前、以降では全然違いますからね。武道館前は乗り越えてやる!という気持ちが強くて、良くも悪くもパッショナブルだったけど。武道館後はいい意味で肩の力が抜けて、1曲1曲にちゃんと向き合えた気がして。
EMTG:これは勝手な決めつけですけど、今作は前作を越えてますよね。
田邊:ああ~、ありがとうございます!
EMTG:前作はライヴ感を重視してましたが、今作は感情の爆発度、振り切れ具合、赤裸々さが現時点でマックスに詰め込まれているなと。
田邊:『THE END』という物議を醸し出すアルバム名で、それに対していかに答えを出すかが勝負だったんですよ。曲順を見てもらえれば、ひとつの答えがあって、最後は「はじまり」という曲で終わりますからね。そこにバンドの決意が出ているし、「前作を越えた」と言われたときに、自分でも深く頷けるんですよ。今回はシングル4曲にちゃんと意味があったから。
EMTG:というのは?
田邊:前作はまだ知らない人も多かったから、一枚通してBLUE ENCOUNT(以下ブルエン)でいなきゃいけないと思って。今回はシングル4曲の1曲1曲がブルエンです!と言えるものができたから。シングル4曲が強いエネルギーを放ってるからこそ、それを繋ぐ橋渡しみたいな曲を作ってもいいのかなと。だけど、いざ録ってみると、それらの曲も主役になってるなと。いままでになかった「city」という曲も、歌詞の世界は一番言いたいことを言えたし。僕らは1曲1曲を意図的に脇役にする、ということができない不器用なバンドだなと。
EMTG:なるほど(笑)。
田邊:でもどこかで主役になればいいという気持ちがあったからこそ、すごくいいアルバムになったと思うんですよ。すべての曲が息抜きじゃなく、息も絶え絶えで歌ってる熱い曲に仕上がったから。
EMTG:今作の感想を簡潔に言うと、かっこつけなくなったなと。
全員:ははははは。
田邊:武道館を経て、本当に自分たちの音楽をかっこいいと思えたんですよ。それは武道館で、かっこ悪い僕らをちゃんと受け入れてもらえたから。なので、気張らずに振り切れることができたのかなと。
EMTG:「カッコ悪い「あなた」が一番かっこいい」(だいじょうぶ)という歌詞を、今作でバンド自身が見事に体現してますよね。
田邊:ああ、そうですね。
辻村:以前はかっこつけたかったけど、かっこつけられなかったんですよ。もともとかっこつけたい4人だけど、何をしてもかっこつかないし。だからこそ、自分たちらしい音楽をやろうと。武道館で俺ららしいライヴができたから、もっと俺ららしさを出してもいいのかなと。今回の「TA・WA・KE」もかなりぶっ込んでる歌詞ですからね。 高村:あと、「スクールクラップ」も一瞬で頭に残る曲ですからね。フェスとか誰も知らない人が聴いても、すぐに覚えてもらえるだろうし。今回はとにかく持ち味を全部詰め込みました。いままではこういう曲調はまだ早いかな?という遠慮があったけど、恐れずに入れてますからね。僕らとしても「かっこつけてない」という言葉はその通りで、どうぞ!という作品ができたなと。
EMTG:感情の奥底にあるもの、あるいは先端にあるものを躊躇なく出してますもんね。
辻村:ある意味ストレートですよね。それは自信が付いた今だからこそ言えるのかなと。そういう曲たちが揃ったと思います。
江口:今年のシングル4曲でブルエンはこういうバンドだよね、とイメージ付けられた部分もあるから。言葉は悪いかもしれないけど、決めつけるんじゃねえ!と言えるくらい振り幅を持つ作品ができたなと。
田邊:(小声で)ちょっとトゲ!
江口:はははは。いい意味で裏切ることができたから。コンセプチュアルな作品になったけど、中身はぶっ飛んでいるなと。
EMTG:今作の中でキーになった曲はありますか?
田邊:「city」かもしれないですね。トラックメーカーにオケを作ってもらって、ベースは彼(辻村)が弾いてるんですけど。いままでやったことがないラップ曲で、言いたいことを吐き出してますからね。オケとは真逆にインサイドに切り込むような曲を書きたくて。ブルエンを結成した高校の頃から、こういう曲をやりたかったんですよ。
EMTG:それは曲調の面で? 歌詞の面で?
田邊:トータルですね。MCで言ってることはライヴに来た人にしかわからないし、それを曲でもやりたかったから。言葉が詰まったラップで、自分たちの生い立ちを純粋に曲にしたくて。
EMTG:歌詞を読むだけで、ウルッと来ますからね。
田邊:メンバーみんな気に入ってくれて、手直しも一切なかったですからね。
EMTG:「city」の歌詞はパンチラインだらけで。「カフェとかラーメン屋 エスカレーターにさえ行列ができるこの街 なのに俺らの音楽には並ぶ人なんていなかった」と。
辻村:あっ、それは僕が一番好きな歌詞です(笑)。
田邊:東京に来たときにエスカレーターにも人が並ぶんだなと。エスカレーターなんて並ばないためにあるものじゃん!って。
EMTG:ははははは。
田邊:この街は並ばないと、何もゲットできないんだなと。でもライヴをやっても物販には誰も並ばないし、客は10人もいないし・・・最初は全編悲しい歌詞にしようと思ったけど、その次に収録された「だいじょうぶ」に向けて最高のパスを送る歌詞にしようと。
EMTG:「居場所なんてどこにもない ならば俺らが居場所になればいい」の歌詞にもグッと来ました。
田邊:お客さんがいない頃は、なんかすいません、という感じでやってましたからね。誰かが帰って来れる場所=バンドになりたいと思って、今のライヴのスタイルが生まれたから。
EMTG:しかも後半には「俺はあなたにとっての「街」になってみせる」というさらにその上の歌詞が来て・・・これには感動しました。「法隆寺は焼けてけっこう! 自分が法隆寺になればいいんです」という岡本太郎の名言に匹敵するインパクトですよ!
江口:お前(田邊)、岡本太郎好きだもんな(笑)。
EMTG:失うものに対して悲しい、残念という感情を持つなら、その気持ちを反動にして、逆側に突き抜けろ!というポジティヴな意味合いで太郎は言ってるんですよね。
田邊:なるほど。僕らは熊本から逃げたバンドなので、熊本に帰れない時期があったんですよ。今年ワンマンを熊本でやって、そこで相殺できたからこそ言えたのかなと。居場所を失ってきたバンドだからこそ、言えた言葉だと思います。今回は全体的にわかりやすい歌詞になってるし、「city」でさらに聴き手との距離を縮めらるんじゃないかと。
EMTG:今のブルエンは無敵感が半端ないです。
全員:ははははは。
田邊:これからも走り続けますよ!

【取材・文:荒金良介】

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リリース情報

THE END

THE END

2017年01月11日

Ki/oon Music

01. THE END
02. HEART
03. Survivor
04. TA・WA・KE
05. ルーキー ルーキー
06. 涙
07. LOVE
08. LAST HERO
09. GO!!
10. スクールクラップ
11. city
12. だいじょうぶ
13. はじまり

お知らせ

■コメント動画



■ライブ情報

TOUR 2017 break “THE END”
2017/03/12(日) 香川:高松Festhalle
2017/03/20(月) 千葉:幕張メッセ国際展示場
2017/04/02(日) 北海道:Zepp Sapporo
2017/04/08(土) 宮城:仙台PIT
2017/04/09(日) 新潟:LOTS
2017/04/15(土) 大阪:Zepp Osaka Bayside
2017/04/16(日) 広島:BLUE LIVE
2017/04/26(水) 名古屋:Zepp Nagoya
2017/04/27(木) 名古屋:Zepp Nagoya
2017/05/07(日) 福岡:福岡国際センター

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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