GOOD ON THE REEL、1年2カ月ぶりとなる渾身の3rdフルアルバム『グアナコの足』、遂に完成。
GOOD ON THE REEL | 2017.02.06
GOOD ON THE REELが3rdフルアルバム『グアナコの足』を完成させた。上白石萌音主演ドラマ「ホクサイと飯さえあれば」のエンディングテーマ「小さな部屋」、2016年10月9日の日比谷野外音楽堂ライブで初披露された「砂漠」を含む本作は、エッジ―かつアッパーなバンドサウンドを軸にした、高揚感のある仕上がり。アレンジ、作詞なども含め、新しいGOOD ON THE REELの表現が体感できる作品と言えるだろう。千野隆尋(Vo)、伊丸岡亮太(Gt)、岡﨑広平(Gt)に本作『グアナコの足』の制作プロセス、楽曲作りに関する新しいトライなどについて語ってもらった。
- EMTG:3枚目のフルアルバム『グアナコの足』が完成しました。昨年10月の日比谷野外音楽堂ライブのときに「アルバムに向けて新しい曲を作ってます」と言ってましたが、あの時点でアルバムのビジョンは見えてたんですか?
- 岡﨑:野音のときは全然見えてなかったですね。とにかく曲を作りまくってた時期なので。
- 千野:追い詰められてる感がハンパなかったです(笑)。制作を始めた時点で、「こういうアルバムにしよう」という主軸みたいなことは話してたんですけどね。前回の『ペトリが呼んでる』はゆったりした曲が多かったから、「次はアップテンポの曲を増やそう」って。
- 伊丸岡:ライブでノレる曲というのは意識してましたね。
- 千野:うん。『ペトリが呼んでいる』は「とにかく良いものを作ろう」ということだけを考えていて。結果としてはじっくり聴かせる曲が中心になったから、次は違うことをやってみたくて。
- EMTG:確かに今回はアップテンポの曲が増えてるし、サウンド的にも新しいトライが多いですよね。「mean me in」のポストパンク、ニューウェーブ感も、いままではなかった要素だし。
- 千野:「mean me in」、ドラムが斬新ですよね。
- 伊丸岡:ドラムのフレーズから広げていった曲なんですよね。普段もリズムから作ることが多いので。
- 岡﨑:今回は亮太がデモを作り込んでくることが多くて、それをみんなで演奏しながらカタチにしていったんです。俺も含めて、3人(岡﨑、宇佐美友啓/Ba、高橋誠/Dr)は弾いたことがない感じのフレーズもけっこうあって、かなり新鮮でしたね。いままでは5人で意見を出し合いながらアレンジしてたんですよ。そうすると丸くまとまりやすくなるんだけど、今回は亮太のデモをもとにしているから、歪な部分、突出した部分もかなりあると思います。
- EMTG:「冬の羊」もすごいインパクトですよね。ラウドなドラムと幻想的なギターアンサンブルが共存していて。
- 伊丸岡:僕もけっこう満足してます。シューゲイズの雰囲気がありつつ、ドラムはちょっとヘビィメタルみたいな感じで、そのうえにキレイに歌が乗っていて。その組み合わせが上手くいったかなって。
- 千野:この曲、実は10年くらい前からあるんですよ。亮太と2人で住んでいた頃に作ったんですけどーーそのときはほどんど詞先だったんですよーー当時からすごく気に入っていて、1stミニアルバム(『世界分の一節』 /2011年2月)のときから「この曲を入れたい」って推していて。でも、今回の制作で亮太がこのアレンジを作ったときに「これだ!」って思ったんですよね。ずっとレコーディングしたかったけど、いまのタイミングがいちばん良かったなって。
- EMTG:GOOD ON THE REELらしさもすごくあるし、新しいテイストも加わって。
- 伊丸岡:そうですね。“らしさ”を壊すような挑戦もあるんですけど、この人(千野)が歌えばGOOD ON THE REELになるんだなって。そのことも改めて感じました。
- EMTG:歌詞に関してはどうですか? GOOD ON THE REELはこれまでに6曲入りのミニアルバムを7作発表していますが、フルアルバムの場合、また違ったスタンスが必要なのかなと。
- 千野:そうなんですよね。ミニアルバムの場合はそれほど意識しなくても、自然とまとまりが出て来るんですよ。フルアルバムはそうじゃなくて、1曲1曲のテーマが被らないように気を付けてるんですよね。12個の物語が存在しているようなイメージというか。
- EMTG:短編集みたいな構成なんですね。
- 千野:はい。ただ、同じ言葉を違う曲で使ったり、いろいろな工夫はしていて。モノの名前でも人の名前でも、名詞でも動詞でもいいんですけど、聴いてくれる人が「この言葉、前も出て来たな」っていうつながりを感じてくれたらいいなって。
- EMTG:なるほど。アルバムのタイトル『グアナコの足」』 は、世界で最も乾燥しているというチリのアタカマ砂漠で雨が降った後に現れる花畑に咲く花のことだとか。想像力を刺激されるGOOD ON THE REELらしいタイトルだと思います。
- 千野:1曲目に「砂漠」という曲が入ってるんですけど、もともとはこの曲のタイトルを「グアナコの足」にしようと思ってたんです。「砂漠」はありきたりだから、別の題名を付けたくて。でも、亮太とディレクターが「『砂漠』は全然ありきたりじゃないよ。『グアナコの足』はアルバムのタイトルにしよう」って言って、「なるほど!」って(笑)。「砂漠」はタイトルに似合わずプラスなメッセージがある曲なんですけど、「砂漠に咲く花って、どんなものだろう?」って調べていたら、「グアナコの足」という現象があることを知ったんです。
- EMTG:「気づいたらもうこの足は 道を作り出していた/地図のない砂漠で」というフレーズもすごくポジティブですよね。
- 千野:“真っ白なキャンバスに自分の色を塗る”みたいな歌詞ってけっこうあるじゃないですか。それを砂漠に置き換えた感じですね。どこに進むかは自分次第だと思うし、足の速さとか器用さ、センスみたいなものもあるけど、それぞれ自分の道を歩いていってほしいっていう。
- EMTG:その人生観って、GOOD ON THE REELにも当てはまりますよね。ジャンルを決めず、既存のフォーマットにも乗らず、自分たちのやり方までここまで来ている印象もあるし。
- 伊丸岡:そうですね。確かにジャンルを意識したことはないので。
- 千野:ギターロックをやりたい、ヘヴィメタルをやりたいということではなくて、“GOOD ON THE REEL”という音楽を確立したいと思ってるんですよね。やりたいことはいっぱいあって、それを続けることでGOOD ON THE REELらしさにつながるというか。
- 岡﨑:子供っぽいのかもしれないですね。「あれも欲しい、これも欲しい」って(笑)。
- 千野:最初の頃はそうだったかもね。
- 岡﨑:ライブの見せ方も変わってたからね。ゆったり聴かせる曲なのに、パンクバンドみたいにジャンプしたり(笑)。
- 伊丸岡:見てる人は「どうした?」ってなるよね。
- 千野:いまだに僕はジャンプしてるけど(笑)。それぞれ好奇心を持ち続けて、いろんなことをやるのはいいことだと思いますね。
- EMTG:最後の2曲「灯火」「銀河鉄道の朝」のつながりも素晴らしいですね。現実から宇宙に向けて解き放たれるようなイメージが広がるというか。
- 千野:そう、メッセージ性がつながる部分があるなって。「灯火」の歌詞は初めて広平と共作したんですよ。
- 岡﨑:僕がある程度歌詞を書いて、それを千野に渡して。
- 千野:広平の書いた言葉を読んで、どういうイメージ、どんな景色が込められているのか汲み取りながら、物語を組み立てていったんです。広平が選んだ言葉にも意味合いを持たせたかったし。歌詞を見せるのは怖かったですけどね(笑)。ライブの日に見せたんですけど、「最高!」って言ってくれて、めちゃくちゃ嬉しくて。
- 岡﨑:さすがだなって思いましたね。宇宙のイメージにより現実感を持たせて、映像が見えるような感じにしてくれて。
- 千野:宇宙とか平和とか、そういうデカいテーマの歌詞って難しいんですよ。雰囲気だけになりがちというか…。「灯火」の場合は広平の前向きなメッセージがすごく良かったんですよね。自分のなかの決意が星になって、満点の星空を作るっていう。「銀河鉄道の朝」は、自分で作り上げた星空のなかを進むイメージですね。
- EMTG:「諦めたわけじゃなく 歯を食いしばってる」という強い言葉もありますね。
- 千野:ただキレイなだけの曲にはしたくなかったんです。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」も、世界観はすごくキレイだけど、メッセージ性がしっかり込められてるじゃないですか。そういう曲にしたかったんですよね。
- EMTG:GOOD ON THE REELにとっても新しい表現が詰まった作品になりましたね。このアルバムの曲がセットリストに入ってくれば、ライブの雰囲気も変わるんじゃないですか?
- 伊丸岡:うん、そうですね。すごく楽しみです。
- 岡﨑:まだライブでは「砂漠」と「小さな部屋」しかやってないですからね。ライブで演奏することで曲も成長するし。「冬の羊」を早く爆音でやりたいですね!
【取材・文:森 朋之】
リリース情報
グアナコの足
2017年02月08日
ユニバーサル ミュージック
1.砂漠
2.小さな部屋
3.Drop
4.mean me in
5.ひらり
6.あいつ
7.逃げ水
8.いなくなる日
9.zzz
10.冬の羊
11.灯火
12.銀河鉄道の朝
2.小さな部屋
3.Drop
4.mean me in
5.ひらり
6.あいつ
7.逃げ水
8.いなくなる日
9.zzz
10.冬の羊
11.灯火
12.銀河鉄道の朝
お知らせ
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■ライブ情報
TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL presents 「METROCK ZERO 2017」 supported by EX THEATER TV
2017/02/25日(土) EXシアター六本木
ARABAKI ROCK FEST.17
2017/04/29日(土・祝)-30(日)
みちのく公園北地区 エコキャンプみちのく
※出演日は決まり次第お知らせ致します。
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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2017/02/25日(土) EXシアター六本木
ARABAKI ROCK FEST.17
2017/04/29日(土・祝)-30(日)
みちのく公園北地区 エコキャンプみちのく
※出演日は決まり次第お知らせ致します。
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。