18歳の表現者・湯木慧、感性の全てを注ぎ込んだ初の全国流通盤ミニアルバムをリリース

湯木慧 | 2017.02.22

 その小さな体からはみ出してしまっている才能を、ひとつひとつ形にしている18歳の表現者・湯木慧。彼女はイラストを描き、ミュージックビデオを作り、衣装や舞台装飾なども手がける若きアーティストであり、人の心や人間そのものを深く見つめた歌を歌うシンガーソングライターでもある。今回リリースされるのは、彼女にとって初の全国流通盤となるミニアルバム『決めるのは”今の僕”、生きるのは”明後日の僕ら”』。ここには彼女が感じた「出逢い」「別れ」「生」「死」「脈」をキーワードに繋いだ5曲が収録されていて、リード曲「一期一会」のMVでは、今回のビジュアルで使用されている絵を描くシーンも収められている。言葉とメロディーだけでなく、感性の全てを注ぎ込んだ彼女の「作品」に注目してほしい。

EMTG:今18歳。来月、高校を卒業なんですよね。
湯木慧:はい。学校も友達も大好きだから離れるのはすごくイヤなんだけど、勉強は大っ嫌いだから、卒業したいようなしたくないような(笑)。それに、高校生活は終わるけど音楽の面では始まったばかりだったりして、なんか複雑な感じがしてます。卒業式が終わるとすぐにツアーもあるから、感情が忙しいんですよね。
EMTG:でもそういう時の景色とか感情って忘れたくないというか、覚えておきたいなあって思いません?
湯木慧:思います、思います。終わる瞬間に何か形にして残したいなって。絵でも曲でもいいから、その時の感情を。
EMTG:絵を描くのも音楽も、小さい頃から好きだったそうですね。
湯木慧:だいたいお姉ちゃんの影響なんです。小学校の鼓笛隊でトランペットやり始めたのもそうだし、絵もお姉ちゃんが描いてたから真似して始めたんですよ。音楽は最初歌詞というより音やメロディーに惹かれていたんですが、YUIさんの「Good-bye days」という曲に出会って、初めて「歌」というものに興味を持ちました。小4とか小5だったと思うんですけど、そこで歌とか弾き語りっていう世界を知って、がっつり惹かれたんですよね。
EMTG:これまでも自主制作で音源を発表されてましたが、曲はどういうタイミングで作ってきたんですか?
湯木慧:すごい楽しい!やったー!みたいな時は「曲を作ろう」という感じにならないんです。おじいちゃんが死んじゃったり、友達が死んじゃったり、今まさにそうだけど卒業っていう出会いや別れの時だったり、ちょっと負の方向に感情が動いた時に出来ることが多いです。傷ついた時の方が、踏みにじって出てくるものだから感情が詰め込みやすいんですよね。あとは、不安な時、迷ってる時、なんかイヤだなあって思ってる時に作ります。
EMTG:その気持ちを、誰かに聴いて欲しいと思って作り始めたんですか?
湯木慧:最初は誰に伝えるっていうわけでもなく、すごく綺麗に言うと、「生きてる証」として残したかったというか。細かい夢や大きな夢、目標とかいろいろたくさんある中で、そのひとつひとつを追いかけていく、進んでいってる自分の気持ちを、ポロポロポロってフンみたいに作品にして出していきたいなって思ったんです。ちょっと汚い例えですけど(笑)。自分が歩いてきた過程、今生きてるこの過程が作品になってるんですけど、最初の頃はすごく自己中心的な願望に過ぎなかったから、曲を作っててもかなり一方的だったと思います。
EMTG:なるほど。
湯木慧:でも今は、それを聴いてくれた人が少しずつ「感じた」とか「伝わった」って言ってくれるようになって、だんだん、みんなに伝えようとする曲に変わってきたなと思います。そのまんま伝わらなくてもいいんですよ。人はそれぞれ違う状況で生きてるし、その人が抱えてる不安とか迷いとかもみんな違うから。今回の「一期一会」って曲も、私の中にある「一期一会」と、「伝わったよ」って言ってくれるみなさんの中にある「一期一会」はたぶん違うんだけど、それが嬉しいんですよ。自分の状況に当てはめて「伝わった」って言ってくれて、受け取ってくれてることが嬉しいなって思うんです。
EMTG:最初は一方的だった音楽から、今はつながりが生まれてるんですね。
湯木慧:出会いとか人とのつながりっていうのは、私の中ですごく大きいです。感情ってひとりではなかなか動かないけど、こうして音楽を通して人とのつながりができたり、そこで何かを感じたりすることでどんどん動くし、その摩擦でまた作品が生まれるから、絶対に絶やしたくないんですよね。
EMTG:そういう意味でいうと、今回のミニアルバム『決めるのは”今の僕”、生きるのは”明後日の僕ら”』には、たくさんの人とつながっていける力が確実に宿っていますよね。核となっているのはごくごく個人的でストレートな感情だけど、ポップスとしての間口もちゃんと持っている歌だし、音になってると思います。
湯木慧:ポップスっていうのは意外でびっくりだけど、やっぱりアレンジの力っていうのもあるのかなと思います。これまでは全部ひとりで作っていたので、ちゃんとしたレコーディングも、アレンジャーさんとのやりとりも初めてだったんですね。「どうしたい?」って言われても漠然としか言えなくて、でも伝えなきゃって葛藤があってすごく怖かったけど、私の気持ちとか疑問を丁寧に汲み取って、噛み砕きながらアレンジしてくださったんです。荒削りな部分もあるんだけど、ちゃんと「私の作品だ」って言える形になりました。
EMTG:歌に関してはどうですか?
湯木慧:声に関しては自分がこだわってる部分なので、たくさん意見を言いました。「一期一会」はすごくきれいに、曲としてみんなが聴けるしみんながいい曲だなって思ってもらえるような形。「網状脈」は、不安とかミステリアスな雰囲気のあるちょっとごちゃごちゃした感じにしたかったので、声もたくさん重ねてみました。「迷想」は自分で打ち込みをして作っていたので、それを元に、もうちょっと不安感とか迷いが出るようにエフェクトを考えたりしました。
EMTG:個人的には、「流れない涙」を歌っている湯木さんのボーカルの感じがとても好きでした。
湯木慧:ミックスをしてくださったエンジニアさんからも同じようなことを言われました。実は、私自身もいちばん好きなんですよね。この作品の中でいちばん新しい曲なので、心境としてもより思いが込められたのかなと思います。
EMTG:人間に生まれたこと、血のつながり、葛藤などがリアルに綴られていますが、何かきっかけとなることがあったんですか?
湯木慧:これ、事務所に所属することが決まってから作った曲なんです。世に出たいし、売れたいと思ってるから所属するし、お世話になろうって決めたから入ったんですけど、めちゃめちゃ不安で。知らない大人が増えるわけだし、当たり前ですけどいろんなことが初めてだから全然うまく出来なくて、「わーっ!!」てなっちゃったんですよ。周りを見すぎて、左右されて、不安になって、一度すごく病んでしまったんです。何が正しいんだろう、理由付けばかりして何も言えない、出来ない、人間面倒くさい、考え過ぎたこの脳みそいらない…って。でもそういう時に、お母さんやお姉ちゃんが話を聞いてくれて。自分には、このすごくたくましいお母さんとか、いつも優しいお姉ちゃんと同じ血が流れてるんだって思った時に、なんかこう、それを言葉にしたいと思ったんですよね。そして、同じように不安になっている人たちにも何か感じてもらえたらいいなと思ったんです。
EMTG:「74億の世界」の歌詞の最後にもありますけど、湯木さんは自分の感情ととことん向き合いながら「今日も息をしている僕らは ちゃんと生きることが出来てますか」ってことを自分に問いかけてるんですね。
湯木慧:そうですね。生きるってことは結構歌っているし、全部の作品を通して入っていることだったりもします。心臓が動いてるとか、呼吸をしてるとかそういうことじゃなくて、泣いたり笑ったり、出会ったりっていうことをしたいし、してほしいと思ってるんですよ。客観的に見て「この子は自分自身生きたいって歌ってるんだなあ」って思ってもらうのもいいし、生きてほしい、ちゃんと生きてほしい、生きることをしてほしいっていう”メッセージ”を受け取ってもらってもいい。曲の中でもそうだけど、ひとつの言葉の中にもふたつの意味が込められたりしてるから、みなさんそれぞれで感じて受け取ってほしいなと思ってます。
EMTG:曲はもちろん、MVやジャケットのアートワークも含めて、「湯木慧の表現」が形になった今回。お世辞抜きに、たくさんの方に届いてほしいと思っています。
湯木慧:ありがとうございます。嬉しいです。不安とか葛藤、もがきみたいなものって、いつでも誰にでも起こることだと思うんですね。そういう状況になった時に思い出してもらえるような作品になってほしいなと思ってます。それがまた5年後にやってきたとしても、ここにある感情が鮮明に伝わるような、その時でもちゃんと生きているような作品になってくれればなって思う。そういう時に引張り出してもらえたら嬉しいです。
EMTG:今後のライブについてはいかがですか?
湯木慧:ライブの場合は耳だけじゃなく目も使えるので、美術と音楽で「芸術」を感じてもらえるようなライブパフォーマンスが出来たらなと思ってます。自分には絵が描けるという強みがあるし、映像も作ったりしてるから、プロジェクターとかを使ってやるのもいいなと。バンドというよりも、今は弾き語りでしっかり伝えていきたいです。そして、心が感じたことはこれからも随時作品にしていきたいなと思ってます。

【取材・文:山田邦子】

tag一覧 ミニアルバム 女性ボーカル 湯木慧

リリース情報

決めるのは”今の僕”、生きるのは”明後日の僕ら”

決めるのは”今の僕”、生きるのは”明後日の僕ら”

2017年02月22日

LD&K

1.一期一会
2.網状脈
3.迷想
4.流れない涙
5.74億の世界

お知らせ

■コメント動画



■ライブ情報

初の全国リリース記念東名阪ワンマン2017
「脈」~繰り返す命の輪廻~

2017/03/21(火) 大阪cafeROOM
2017/03/22(水) 名古屋鑪ら場
2017/03/26(日) 澁谷starlounge

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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