Shout it Outの1stフルアルバム 『青年の主張』は、20歳を迎えた彼らが全身全霊で訴える、切実にして等身大の叫びが詰まった“リアル”な作品に。
Shout it Out | 2017.03.06
まだ大人にはなれない、でも子供のままでもいられない。狭間に揺れる赤裸々な青年の心情、揺れながらも突き抜けようと立ち向かっていく瑞々しく青いエネルギー。それぞれに20歳を迎えた彼らが全身全霊で訴える切実にして等身大の叫びは、世代を越えて聴く者をまっすぐに突き刺し、また奮い立たせてもくれる。3月8日、Shout it Outがついにリリースする1stフルアルバム、『青年の主張』。そのタイトルも実に爽快だ。先の見えないこの時代にそれでも未来に夢を見て生きたい、そう希求する彼らの力強い足取りをぜひ感じ取ってほしい。
- EMTG:想像していた以上に音楽性に幅がありつつ、一方でShout it Outらしい切実さや青さも感じさせる、まさに今のShout it Outの音楽だなと思いました。すごく音楽に対して誠実に作られているなって。
- 山内彰馬(Vo&Gt):ありがとうございます。実は一時期、まったく曲ができない期間があったんですよ。ちょうどこのアルバムの制作にとりかかるためのギアをかけなきゃいけない時期にそれが当たってしまって。
- EMTG:めちゃくちゃ焦ったでしょう。
- 山内:だから、とにかくインプットしようと思って外に出かけてみたり、映画を観たり、本を読んだり。でも、あんまりインプットできてる感覚がなくて。それでも書かなきゃって無理に絞り出していたら突然スイッチが入ったんです。しかも今までとまったく曲の作り方が変わって。
- EMTG:へぇ! そんなことってあるものなんですね。
- 山内:そこでひとつ気づいたことがありまして、前作までは10代のフラストレーションがそのまま曲になってたのでインプットする必要がなかったんですよね。
- EMTG:自分の中にすでに溜め込まれていたものを出すだけでよかった。
- 山内:はい。僕、バンドを始めるまでは、あんまり自分の中身を人に言わない人間だったのもあってホント、フラストレーションを溜め続けていて。だからインプットをせずともアウトプットができたんです。それが、たぶん20歳を迎えて少し落ち着いたというか、このタイミングで自分が20歳になったことを受け入れられたことによって10代から溜め続けていたフラストレーションが空になったんですよ。でも実は10代の、気づかないうちにインプットしていたフラストレーション以外のもの、まだアウトプットに繋がっていなかったいろんなものが溜まってた引き出しっていうのが他にもあって、フラストレーションが空になったことでやっとその引き出しの開け方がわかったというか。
- EMTG:今まではフラストレーションに埋もれて、その引き出しの存在自体に気づいてなかったのかもしれないですね。
- 山内:だから客観的に聴くと新しい要素がたくさん含まれたアルバムだなと思うんですけど、自分的にはようやく自分の深い部分と向き合えて、作り出せたアルバムだなって。ホント、今までと違うところから引っ張り出してくる感覚がありましたね。
- 細川千弘(Dr):それは僕も感じてました。今作は過去の音源を再録したものが4曲とシングル2曲、アルバムのために作った新曲6曲を収録してるんですけど、新曲たちがかなり今までの僕らが作ってきた音楽と雰囲気が違ってたんですよ。もちろん曲もメロディもすごくいいんですけど、正直、最初は“どうなんだろう?”って思ったところはあって。
- EMTG:“どうなんだろう?”というのは?
- 細川:曲の良し悪しではなく、こういう方向ってアリなのかナシなのか、みたいな。でも、やっぱり2人でShout it Outなので、僕は僕で、単純に彰馬が作ってきたデモの方向性に寄ることはせずに、僕が思うShout it Outの音楽性をアレンジの段階で組み込んでいったりもしたんです。その結果、バンドとしてしっかり曲を完成させられたし、音楽性がどうであれ、彰馬が歌えば絶対にShout it Outになることも改めてわかって、結果、バンドとしての幅も広がったんじゃないかなと。何より10代の頃は大人への反骨精神で書いていた彰馬が今こうして「青年の主張」って曲を書けたことがすごく意味のあることだと思うんですよ。
- EMTG:大人には大人なりの悩みがあるとか、そういうことを身を以て知り始めたからでしょうね。
- 山内:そうですね。10代の頃に関わる大人って学校の先生と親ぐらいじゃないですか。狭い視野でしか見ていなかった大人という存在も、年を重ねるにつれ、たくさんの方と関わる機会が増えていって。いろんな人の考え方や意見に触れたことでちゃんと向き合えるようになったというか。
- EMTG:少年から青年へのグラデーション、そのバランスがとてもリアルなアルバムだと思います。
- 細川:「17歳」はまさしく彰馬が17歳のときに書いた曲ですしね。その変化を感じてもらえたらなって。
- EMTG:ちなみに1stフルアルバムということは意識していましたか。
- 細川:たぶん、これから僕らのことを知ってくれる人が最初に聴く作品になると思うんですよ、1stフルアルバムって。再録曲を入れたのもそう思ったからだし、最終的にはこの1枚を聴いて“Shout it Outってこういうバンドだよね”ってわかるものにしたくて。
- 山内:僕は最初、プレッシャーを感じたりもしてたんですけど、さっき話した、まったく曲ができない期間に打ち当たったときに一回、何も考えずにやってみようって、逆にそこを意識してみたんです。もしかしたらこれまでは“どうすれば曲や歌詞にもっと大衆性を含ませられるのか”とか、どこか潜在的な意識が働いてたかもしれなくて。でも今回は、そういうものを全部取り払った、まったくの自然体で曲が書けたというか、自分のいちばん奥の深い部分に踏み込んで書けた曲たちだと思ってるんです。誤解を恐れずに言うと僕はこのアルバムの制作中はあまり良さがよくわからなかったんですね。でも、それはきっと僕のパーソナルな部分をちゃんと映し出すことができる曲が書けたからこそで。過去に書いた自分の日記を読んで“これはとてもいい文章だ”とは思えない感じというか(笑)。
- EMTG:その説明はすごくわかりやすいかも。
- 山内:最近ようやく客観的に聴けるようになって、リリースが近づいてきた今は、もしかしたらいいアルバムなのかもしれないって思ってます。
- EMTG:でも“もしかしたら”なんですね(笑)。
- 山内:僕にとってはまったくのパーソナルな部分なので、たぶん僕の中では完結させられないんですよ。このアルバムを携えて全国を回ってライブをして、ライブを通じてリスナーの方と共有することで生まれた反応によって完成する作品なんじゃないかな。
- EMTG:細川さんは楽曲から山内さんのパーソナルな部分を感じ取っていましたか。
- 細川:総じてすごく正直に歌詞を書くようになったなとは思いました。今までが正直じゃなかったわけじゃないけど、彰馬の頭から出たものがそのまま言葉になってるぐらいの素直さがあって。例えば11曲目の「エンドロール」なんかは今までにまったくなかったタイプですし。
- EMTG:赤裸々な失恋ソングでかなり新鮮でした、ホント振り幅広いなって。たしか、去年12月の新宿LOFTワンマンでも披露されてましたよね。こういう曲をやれるようになったところにも新たな強さを感じたんです。
- 細川:あのときはホント、できてすぐだったんですよ。サウンド的にも新しいアプローチの曲だったので、ライブでやるのはけっこう勇気が必要でしたけど、やってよかったと思いましたね。
- EMTG:ところで『青年の主張』というアルバムタイトルは「青年の主張」という曲ができてから付けたんですか。
- 山内:いえ、曲より先にこのタイトルだけありました。
- EMTG:ということは最初からアルバムのテーマが“青年の主張”だった?
- 山内:特に大きい意図はなく、パッと思い浮かんだんですよ、このワードが。別に“少年から青年になろう”っていうテーマで曲を書こうとも思ってなかったし、単純に面白いだろうなと思って付けただけで。でも、すごく攻めたタイトルじゃないですか。僕が思ってた以上にメンバーやスタッフにウケたり、一方で今まで歌詞に“少年”って書いてたものが“青年”に変わってるっていう指摘されたりもして。そこからですね、この“青年の主張”というテーマのもと、曲を作り始めたのは。
- 細川:ただ、彰馬自身は特にコンセプトとか考えずに曲を書いてたと思うんです。だからこそ逆にコンセプト通りになったんじゃないかなって……俺が勝手に思ってるだけですけど。最近成人式があったばかりの青年の超ストレートな想いがここには詰まってて、それってイコール、“青年の主張”だよなって。
- EMTG:まさに、ですね。ツアーもすごく楽しみです。しかも今回はアルバムを引っ提げての初の全国ツアーで。
- 細川:これだけ長い期間ツアーするのは初めてなんですよ。ワンマンでやるところも今回はけっこうありますし、普段行けないところにも今回は行けるので、来てくれた人たちとその会場でしか味わえないものをしっかり共有して、ライブだからこそ得られるものを受け取ってもらえたら。
- 山内:さっきも言った通り、このアルバムはツアーを通じて完成すると思っているので、僕がこのアルバムから何かを見つける瞬間に立ち会っていただけたらうれしいです。
【取材・文:本間 夕子】
リリース情報
青年の主張
2017年03月08日
ポニーキャニオン
01. 大人になれない
02. 17歳
03. 雨哀
04. 道を行け
05. DAYS
06. 夜間飛行
07. トワイライト
08. 青春のすべて
09. 影と光
10. 青年の主張
11. エンドロール
12. 灯火
02. 17歳
03. 雨哀
04. 道を行け
05. DAYS
06. 夜間飛行
07. トワイライト
08. 青春のすべて
09. 影と光
10. 青年の主張
11. エンドロール
12. 灯火
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■ライブ情報
1stフルアルバム『青年の主張』リリースツアー
2017/03/21(火) 松山・松山Double-u Studio
2017/03/25(土) 仙台・spaceZero
2017/03/26(日) 札幌・SOUND CRUE
2017/03/31(金) 金沢・LIVE HOUSE vanvanV4
2017/04/02(日) 新潟・GOLDEN PIGS BLACK STAGE
2017/04/08(土) 福岡・DRUM SON
2017/04/09(日) 広島・広島BACK BEAT
2017/04/14(金) 神戸・MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
2017/04/16(日) 高松・高松DIME
2017/04/22(土) 松本・松本ALECX
2017/05/07(日) 東京・TSUTAYA O-WEST
TENJIN ONTAQ 2017
2017/03/11(土) 福岡市天神地区ライブハウス
HIROSHIMA MUSIC STADIUM
-ハルバン’17-
2017/03/12(日) 広島市内ライブハウス
AIR Presents LIVE SHUFFLE! 2017
2017/03/18(土) 長崎DRUM Be-7
HAPPY JACK 2017
熊本B.9 / Django / ペいあのPLUS’
「SANUKI ROCK COLOSSEUM」
~BUSTA CUP 8th round~
2017/03/20(月) 高松市内ライブハウス
Talking Rock! presents
「ニューロック計画!2017」
2017/04/01(土) umeda AKASO
OSAKA METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2017
2017/05/13(土) METROCK大阪特設会場
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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