go!go!vanillas 今だからこそ届けたい音楽を徹底的に追求したニューアルバム『FOOLs』
go!go!vanillas | 2017.07.26
go!go!vanillasが7月26日にリリースするニューアルバム『FOOLs』は、今まで彼らの作品を愛してきたリスナーならば、いくつもの変化があることに気づくだろう。アイリッシュなインスト曲「We are go!」を皮切りに、モータウン直系のグルーヴが心地好い「ラッキースター」や、スタイリッシュなAOR「サウンドエスケープ」、海外インディーポップの影響を受けた「バイバイカラー」にいたるまで、今作ではかつてないほど多彩な音が飛び交い、彼らは縦横無尽にジャンルを渡り歩いていく。牧 達弥(vo、g)が書く歌詞にも変化がある。タイトルが表すとおり“最高にクールな音楽馬鹿”=バニラズが、メジャー進出から3年を経た今だからこそ届けたい音楽を徹底的に追求したのが、『FOOLs』というアルバムだ。メンバー曰く、ハッピーな1枚。だが、以下のインタビューからは、そんな一言では決して語り尽くせないバニラズの美学が今作に込められていることがわかると思う。
- EMTG:ロックンロールを出発点にメジャーで闘ってきたバンドが、ここに来ていままで以上に自由に音楽を謳歌してるっていう意味で、今回は興味深い作品だなと思いました。
- 牧:ひとことで言うと、素直な作品になりましたね。今回はハッピーな作品にしたいっていうのがあったんです。演奏とか歌詞ですごく細かいことをやったとしても、それが先に浮き彫りになるんじゃなくて、昂揚感だったり、楽しさを重視したかったというか。ハッピーの選択肢がいっぱいあるっていう感じになったと思います。
- EMTG:でも、バニラズがハッピーを追求するのは、今回に限ったことじゃないですよね?
- ジェットセイヤ(Dr):自分らが一番楽しむっていうところはありますね、毎回。
- EMTG:そのなかでも、特に今回ハッピーになったのはなぜでしょう?
- 柳沢進太郎(g):僕が入ったときから、バニラズはそういう理念だったから、僕にはバニラズ=ハッピーっていうのは刷り込まれてるんですけど、でも、特に今回は濃く出てるんですよね。たぶん『Kameleon Lights』を作ったときにも、いろいろなジャンルに挑戦しながらそれを目指してたんですけど、今回は牧さんが言ったように“素直にやって”、地で全部超えた感じがするんです。あのときは、もっと頭で考えながらだったんですよね。
- 長谷川プリティ敬祐(ba):あえてハッピーなものを狙うっていうより、今回は「僕たちが自然に作ったものを一言で表すと、ハッピーだった」っていう感じがしっくりくるんだと思いますね。
- 牧:僕は今作のハッピーには二重の意味があると思ってるんです。もちろん聴き心地としてのハッピー感はあると思うんですけど、今回は自分のなかにあるかっこいい音楽っていうのをいままででいちばん出せた。それがまたハッピーなんですよ。だから、俺らが言うハッピーのニュアンスとしてハッピ~♪って感じじゃなくて……。
- EMTG:能天気な感じではなく?
- 牧:「かっこよくねえと嫌だ!」っていうのをすごく細かい部分までこだわって、詰め込んで、それができたからハッピーなんです。
- プリティ:すごい何回も “ハッピー、ハッピー”言ってるね(笑)。
- EMTG:いままでと曲の作り方は変わったんですか?
- 進太郎:今回、パソコンを使った作り方に辿り着いたんです。俺はボーカルの頭のなかにあるものが正解だと思ってるんですけど、それに限りなく近い状態で具現化されたデモがあるから、「あ、こういうのがやりたいんだ」って理解しやすくなったんですよ。で、そこから俺らの解釈が始まって、自分のエッセンスを入れるならこうだなっていう試行錯誤とか、デモを超えたいっていう切磋琢磨もあって。そうやってできた新しい入り口を、みんなで何回も出入りするような作業でした。それがめっちゃ楽しかったです。
- セイヤ:だから今回は、曲作りのゴールが最初から決まってたんですよ。そういうなかで進太郎が言ったように、いろんな寄り道をするのが面白かったです。
- EMTG:曲の作り方が変わったのがわかるのが、「ラッキースター」とか「バイバイカラー」ですよね。それこそギター弾き語りのデモからは作れないタイプの曲じゃないですか。
- ジェット:そうですね。
- 牧:いつもだったらセッションのなかで曲が生まれるので、僕のなかであやふやなところが多いんですけど、今回はベースとかも全部かたちを決めて作ったんですよ。だから自分の脳的ビジョンみたいなものを、今回はいちばん出せたと思います。
- プリティ:たとえば「バイバイカラー」は弾き語りのデモから始めてたら、牧のやりたいことが伝わってくるのも相当難しかったと思うんです。自分のなかの選択肢も多いから。でも最初に聴いたデモもすごく良かったから、あとは迷いなくやれました。
- EMTG:今回、バニラズらしいロックな曲だけじゃなくて、ブラックミュージックを通過したトレンド感のある曲も多いですよね。
- 牧:これから何年もバンドをやっていくっていくうえで、「バニラズって何なんだ?」っていうのを考えたときに、「この引き出ししか持ってません。このなかにたくさんおもちゃが入ってます」っていう、それだけで何年もできるの?って思っちゃったんですよ。俺らはいろいろな音楽が好きだからこそ、それを身に着けなきゃいけない。その第一歩が前作の『Kameleon Lights』だった思うんですよ。まだ発展途上のバンドだし、自分たちの半歩先を目指してがんばってるところがあって。今回もその延長だと思うんですよね。
- EMTG:じゃあ、1枚目の『Magic Number』から振り返ると、『Kameleon Lights』で半歩、今回の『FOOLs』でまた半歩、少しずつやりたいことに近づいてる感覚ですか?
- 牧:いや、『Kameleon Lights』と『Magic Number』では全く違うレールにいる感覚が強いですね。『Magic Number』は1枚目のアルバムだったから、そこで自分たちができなかったバラエティ感を『Kameleon Lights』では意識してやったんです。さっきの言い方で言うと、“ハッピー”っていうものを、それこそ“頭を使って”作ったのが『Kameleon Lights』だった。この『FOOLs』に関しては、そのふたつを結んで自然に生まれた作品だと思います。まあ、僕は作曲に関しては完璧主義なので、まだまだ甘い部分も多いと感じるんですけど。
- EMTG:今回、先行シングルとして「ヒンキーディンキーパーティークルー」「おはようカルチャー」「平成ペイン」の三部作があったことで、アルバムに与えた影響はありましたか?
- 牧:むしろこの三部作があったからこういうアルバムになったんだと思います。シングルのカラーに共通点を持たせたからこそ、アルバムではそうじゃないところを追求できたんです。
- EMTG:それぞれのシングルインタビューで話してくれたとおり、そこでバニラズらしさを掘り下げていたからこそ、別の部分を模索することに集中できたんですね。
- 牧:そうですね。
- EMTG:それは歌詞も同じじゃないですか? 三部作でバンドの主張を込められてるからこそ、より音に寄せた、肩の力が抜けた歌詞になったというか。
- 牧:そうかもしれないですね。最初に「パペット」ができてたんですよ。
- EMTG:ああ、なるほど。アルバム曲では唯一“自分の道を歩いていけ”っていう強めのメッセージが込められた曲ですね。
- 牧:そうそう。それがそのときの心境だったんですけど、「パペット」ができたあと、純粋に作品としての完成度が高いものを作ろうと思ったときに、そういう主張はもういらないなと思ったんですよね。なんて言うんだろうな……歌のなかに自分の主張だったり、エモいことを入れ過ぎると、音楽作品とはまた別のところに行ってしまう感覚があるんですよ。今回はそういうものばかりにしたくなかった。これ、もう少しちゃんと説明したいんだけど……。
- EMTG:それは純粋に音楽を聴いてほしいっていうことですか?
- 牧:うん……そうなんですけど。
- 進太郎:作品として全部含めてひとつにしたかったってことですか?
- 牧:うーん……。
- プリティ:歌として捉えるか、曲として捉えるかってこと?
- 牧:っていうか……あっ、わかった。あんまり良い言い方じゃないかもしれないんですけど、たとえば名作と言われる映画って、勝手にかっこいいと思われるじゃないですか。でも、視聴者に向けての“あざとさ”みたいなのものが見える作品は嫌になりません?
- EMTG:わかります。そこに目的が見えると嫌ですよね。音楽で言うと、「この曲は応援歌です」「この曲は泣いてもらいたいです」みたいなのが。
- 牧:そうそう、そういうことなんですよ。今回はそこを切り離したかったんです。だからいちばんお客さんに伝わりやすい曲は、絶対に「パペット」なんですけど、この曲を作ったときに「あ、このままでは『FOOLs』がかっこいい作品にならないな」って思ったんです。だから歌詞に関してもいままでとは違って、作品としての意味合いが強いのかなと思います。書いてることは、もしかしたらよくあるような内容かもしれないけど、それを表現するための言葉をめちゃめちゃ考えたんですね。だから自分としても納得してるし、作品としての色を出せた。今回はそこを妥協したくなかったんです。
- EMTG:なるほど。プレイヤー的には、今回の演奏面に関してはどうでしたか?
- 進太郎:ギターのテクニック的な部分では難しいことはやってないんですけど、今回はテクニックよりもリズム感を大事にしましたね。見かけ倒しで弾きまくるより、いまはそのほうがかっこいいと思うんです。ボーカルを立てたうえでギターもリズム楽器として弾いてるというか。たとえば「ラッキースター」はギターのカッティングで始まることで、ビートの聴こえ方が変わるんですよ。そういうことを緻密にできたので楽しかったです。
- EMTG:リズム隊のふたりはどうですか?
- プリティ:「大変だ……」っていうよりは、「大変だ~♪」っていう感じでしたね。
- セイヤ:ええ!? 相当大変そうでしたよ(笑)。針に糸を通すようなって言ってた。
- 牧:見栄張るなあ(笑)。
- 進太郎:地獄のような顔をしてましたもんね。
- プリティ:すみません、見栄張りました……(笑)
- セイヤ:でも、それも完成したら喜びに変わったんじゃない?
- プリティ:嫌じゃなかったんですよね。ネガティブな気持ちにはならなかったんですよ。それこそ完成したら、かっこよくなるっていうものも自分のなかで見えてたから。
- EMTG:大好きな音楽のことだから苦労が苦労じゃなかったんですね。
- セイヤ:バニラズにそういう曲ありますよ。
- プリティ:“今の苦労も喜びに変える~♪”
- セイヤ:そう、「サマータイムブルー」。
- 進太郎:(セイヤの)いちばん好きな曲じゃないですか。
- セイヤ:そういうレコーディングだったと書いておいてください(笑)。
- EMTG:いま作り終えて、どんな心境ですか?正直、話を訊いてると、いまのバニラズはものすごく遠くを見てるから、全然満足してなさそうにも見えるんですけど。
- 牧:達成感はありますよ。でもまだかっこいい自分には追いつかないんですよね。そういうものじゃないですかね。「これ、めっちゃかっこいいです」って言ったら、バンドとして終わりだと思うし。それは一生続くんだろうけど、そういうふうにやってきたからこそ今回のアルバムはできたと思う。いまは奢りたくないし、まだっすね。
- セイヤ:今回は1曲1曲ができたときに「できた!」っていう感じだったんですよ。
- 牧:俺もそうかも。1曲1曲のエネルギーの注ぎ方がアルバムっていう感覚じゃないので。マジでシングルみたいに作ったから、アルバムができたとき以上に1曲1曲完成したときの達成感がすごかったんですよね。そのぐらい濃いアルバムです。
- EMTG:ちなみに『Kameleon Lights』のときは、みんな最高傑作って言ってましたよ。
- 進太郎:ああ、言ってましたね(笑)。
- EMTG:ずいぶん地に足が着いたバンドになりましたね。
- 牧:大人になったなあ(笑)。
【取材・文:秦 理恵】
リリース情報
FOOLs
2017年07月26日
ビクターエンタテインメント
1.We are go!
2.サクラサク
3.FUZZ LOVE
4.ヒンキーディンキーパーティークルー
5.ラッキースター
6.平成ペイン
7.サウンドエスケープ
8.バイバイカラー
9.ストレンジャー
10.グッドドギー
11.パペット
12.ナイトピクニック
13.おはようカルチャー
2.サクラサク
3.FUZZ LOVE
4.ヒンキーディンキーパーティークルー
5.ラッキースター
6.平成ペイン
7.サウンドエスケープ
8.バイバイカラー
9.ストレンジャー
10.グッドドギー
11.パペット
12.ナイトピクニック
13.おはようカルチャー
お知らせ
■マイ検索ワード
牧達弥(Vo・Gt)
犬 避妊手術
2月から飼い始めて、まだ6ヵ月なんですけど、早めに避妊をしたほうがいいらしくて。ツアーが始まる前に病院に連れていきました。名前は凛ちゃん。今回のアルバムでは「グッドドギー」っていう曲で鳴き声も入ってます。
柳沢進太郎(Gt)
厳選 ベンチャー企業
なぜ調べたのかわからないんですけど……。会社でも立ち上げようとしたんですかね(笑)。
ジェットセイヤ(Dr)
種子島 いわさきホテル
CMで種子島のいわさきホテルでロケットの打ち上げ体験ツアーみたいなのをやってるのを知って、行きたいなと思って調べました。月イチでやってるみたいです。
長谷川プリティ敬祐(Ba)
仮面ライダーW 続編
『仮面ライダーW』が平成ライダーのなかでいちばん好きなんですよ。菅田将暉くんが相棒役で出てる作品です。その続編なのでテンション上がってます。
■ライブ情報
FOOLs PARTY
07/26(水) 渋谷WWW X
go!go!vanillas「FOOLs」Tour 2017
09/09(土) 横浜 Bay Hall
09/10(日) 水戸 LIGHT HOUSE
09/16(土) 熊谷 HEAVEN’S ROCK VJ-1
09/17(日) 高崎 club FLEEZ
09/23(土) 神戸 Chicken George
09/24(日) 滋賀 U-STONE
09/28(木) 浜松 窓枠
09/30(土) 長野 CLUB JUNK BOX
10/01(日) 金沢 EIGHT HALL
10/06(金) 仙台 Rensa
10/08(日) 秋田 Club SWINDLE
10/09(月) 盛岡 Club Change WAVE
10/21(土) 高松 MONSTER
10/22(日) 高知 X-pt.
10/26(木) 米子 laughs
10/28(土) 広島 CLUB QUATTRO
10/29(日) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
11/09(木) 宮崎 SR BOX
11/11(土) 熊本 B.9 V1
11/12(日) 福岡 DRUM LOGOS
11/18(土) 札幌 PENNY LANE 24
11/19(日) 札幌 PENNY LANE 24
11/25(土) 名古屋 Zepp Nagoya
11/26(日) 大阪 Zepp Osaka Bayside
12/02(土) 東京 Zepp Tokyo
rockin’on presents ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017
08/06(日) 茨城県 国営ひたち海浜公園
RISING SUN ROCK FESTIVAL 2017 in EZO
08/12(土) 北海道 石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ
WILD BUNCH FEST. 2017
08/19(土) 山口きらら博記念公園
MONSTER baSH 2017
08/20(日) 香川県 国営讃岐まんのう公園
ROCK KIDS 802 ラジ友夏祭り~THE MUSIC CAMP 2017~
08/21(月) 大阪 Music Club JANUS
RUSH BALL 2017
08/27(日) 大阪府 泉大津フェニックス
go!go!vanillas × SHISHAMO 君と夏の終わりに聴きたかったのはバカみたいなロックンロール
08/29(火) 岐阜Club-G
rockin’on presents JAPAN’S NEXT vol.18
09/02(土) 恵比寿 LIQUIDROOM
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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08/29(火) 岐阜Club-G
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