「グルーヴとは?」の最高の答えを感じられる、夜の本気ダンス、待望の2ndアルバム

夜の本気ダンス | 2017.10.12

 今年の夏の音楽フェスティバルでも大活躍した夜の本気ダンスが、待望の2ndアルバム『INTELLIGENCE』をリリースする。多彩なアプローチで楽しませてくれる1枚だが、何と言っても素晴らしいのが“グルーヴ”だ。この言葉は様々なミュージシャンが口にするが、どういうことなのかよくわからない人もいるのでは? それならば今作を聴いて、サウンドに素直に身を任せてみよう。鳴っている音の全体像から何となく伝わってくるワクワクする波動が、「グルーヴとは?」に対する最高の答えとなるはずだ。ロックへの愛もたっぷり詰め込まれているこのアルバムについて、メンバーたちに大いに語ってもらった。

EMTG:ロックが本来持っている危険な香りが、絶妙なバランスで発揮されているアルバムだと思います。
米田貴紀(Vo・G):ありがとうございます。アダルトで危険な面もロックの良さですからね。そういう面も表現できてよかったです。僕らも最初にロックに触れた時に、「聴いてはいけないものを聴いたかも……」というのがありましたから。
EMTG:お母さんが息子や娘の部屋のドアを開けて、「SHINY」が流れていたら安心すると思うんです。でも、曲によってはただならぬ気配を感じるかも。
マイケル(B):お母さんがドアを開けるタイミング次第ですよね(笑)。
米田:「BIAS」とか「TAKE MY HAND」とかは、「何聴いてんねん!」ってなるかもしれないです(笑)。
西田一紀(G):曲のテイストは全然違うんですけど、僕はイギー・ポップの『ロー・パワー』っていうアルバムを初めて聴いた時の、“これはすごいものが詰まってるな”っていうのに通ずるものが、今回の僕らのアルバムにはあるなと感じています。
EMTG:00年代以降のいわゆる“ロックンロールリバイバル”も、今作を語る上でのキーワードとして挙げられるでしょうね。
米田:ちょっと上の年齢のロックンロールリバイバルに影響を受けたバンドを聴いて、僕らは「かっこいい!」と思っていたんです。僕らは洋楽はもちろん、日本のロックも好きなので、今回、そういうバランスも出せたと思います。
EMTG:そして“グルーヴ”も大切なポイントですね。米田さんのグルーヴへの目覚めがザ・ミュージックの1stアルバムだったと、Skream!の連載で読んだんですけど、そういう背景も今作から改めて感じ取りました。
米田:連載を読んで頂きありがとうございます(笑)。“グルーヴ”っていう言葉は知っていたんですけど、「グルーヴってなんやねん?」っていうのがずっとあったんです。誰かに訊いて説明してもらえることでもないですし。でも、ザ・ミュージックのディスクレビューを読んだら、「このジャケットみたいな円を描くようなグルーヴだ」ってことが書かれていたんですよ。それで実際に聴いてみたら、「なるほど。これがグルーヴっていうことか」と。そして何度も聴いていく毎に、感覚的にではあるんですけど、さらにわかってきたんです。
EMTG:この『INTELLIGENCE』も、「グルーヴって何だろう?」っていうことの実例になっていますよ。
米田:そうですね。いろんなタイプのサウンド、リズムパターンがありますけど、様々なグルーヴを感じてもらえると思います。
マイケル:今回は曲毎のリズムのアプローチが幅広かった分、匙加減をいろいろ気にしながら作っていったんです。
鈴鹿秋斗(Dr):事前に考えていても、いざレコーディングになると気持ちが高ぶって、スネアを一発入れてしまったりするもんなんですよね。でも、それが逆に良いものに繋がったりしますし、結局は頭でいろいろ考えても、その場の勢いで出るものの方が良かったりもするんです。出したくても出せへんもんやけど、つい演奏していると出てしまうものも、グルーヴに繋がるのかなと思います。
西田:今回のアルバムは今までの作品と比べるとテンポは抑え気味なんですけど、スピード感はあると思うんです。クリックだけでは測れないものも出ているアルバムですね。
EMTG:感覚的な部分を大切にしているこのアルバムに『INTELLIGENCE』というタイトルをつけたのって、洒落が利いていますね。
米田:「『INTELLIGENCE』は『夜の本気ダンス』というバンド名とセットにした時に意味を持つと思っています。このバンド名は衝動的なニュアンスですけど、僕たちは知性の部分も持っていると思っているので。「ルーツのこととかも含めた『ロックの知性』があるからこそ感覚的に奏でられるんだ」というのを、『INTELLIGENCE』と『夜の本気ダンス』が並んだ時に、わかってもらえるのかなと。そう思ってこのタイトルをつけました。
EMTG:そんなこのアルバムの初回限定盤のDVDにはライブ映像の他に、『鈴鹿秋斗のインテリジェンスへの道』が収録されますが……。
米田:これはほんまに観てほしいです。
マイケル:衝撃的なドキュメンタリーです。
鈴鹿:「勉強せえへんかったら、こんななるんやで」という、ある意味教材です(笑)。
EMTG:(笑)まあ、勉学面はとりあえず置いておいて、夜の本気ダンスが、様々なロックを聴いて培った知性に裏打ちされたバンドであることはたしかですね。
米田:ありがとうございます。僕が夜の本気ダンスに加入する時に思っていたのも、まさにそういうことでした。僕が頭脳となって、メンバーのみんなが身体となって、その2つが合体したら最強のバンドになるんじゃないかというところからスタートしたので。今回のタイトルはそれも表しているような気がしてきました。
EMTG:知性を発揮しても感覚的なところが弱まらないのが、みなさんの強みだと思います。楽器の音色で醸し出している様々なニュアンスも、このアルバムの楽しさですから。
西田:例えば「Call out」は、ギターでワウを踏んでいますけど、これもええ感じになりました。ワウって一定の間隔で踏んでも独特なニュアンスが出るもんなんですよ。
米田:結構アナログなことをやっているんです。「Call out」の冒頭はロシアのビッグマフの音から始まるんですけど、その導入もアナログなやり方で録りました。携帯からロシアのビッグマフを流して、それをギターのピックアップで拾ってアンプから音を出して、それをさらにマイクで拾って……っていう回りくどいことをしています。
EMTG:曲名にするくらいロシア製のビッグマフに愛着のあるバンドですから、少年のような無邪気なトキメキは、みなさんの行動の根本にあるんですよね(※ビッグマフはエフェクターの名称。激しく音を歪ませることができる。外見が異様にごつい)。
米田:そうかもしれないですね。ロシアのビッグマフ、あんなに大きい理由がよくわからないですし。
EMTG:ギターのエフェクターって、クレイジーな世界ですよね。意味なく大きかったり、UFOみたいな形だったり、爆弾のスイッチみたいだったりもしますから。
米田:そういうのを手にすると、いろいろやってみたくなるわけです。
西田:アナログなやり方でいろいろ試す良さってありますよね。でも、「TAKE MY HAND」に関しては、「アンプの録り音はこれじゃない気がする」ってミックスをしている時になったんです。それでエンジニアさんがラインで録った音をパソコンで加工したら「これですわ」と。アナログもデジタルも柔軟に採り入れられる姿勢は持っていた方がいいのかなと思っています。
米田:僕らは両方の良さを知っている世代なので、かっこよければそっちにしよう、という考えなんです。
西田:そんな考えなので、デジタルなこともした「TAKE MY HAND」のギターソロは、ほんまもんのロシアのビッグマフのアホっぽい音でやっています(笑)。
EMTG:(笑)遊び心も感じるアルバムですよ。「BIAS」から「Weekender」への流れもかっこいいですし。「Weekender」のイントロが1分くらいあるのがインパクトがあります。
米田:この2曲を繋げるつもりはもともとなかったんですけど、なんとなく思いつきでこうなっていました(笑)。「BIAS」は最初はもう1小節くらいあったんですけど、そこをわざわざカットして「Weekender」に繋げているんですよ。
EMTG:9曲目の「SHINY」でキャッチーなサウンドを堪能して、10曲目の「BIAS」と11曲目の「Weekender」で尖ったアプローチを楽しんで、12曲目の「LIBERTY」で爽やかに締めくくる……という流れは、終盤のオススメポイントです。
米田:そうやって楽しんでもらえると嬉しいです。今の時代はストリーミングとかで1曲単位で聴く流れもありますけど、1曲目から12曲までを聴いて欲しい気持ちがあります。
EMTG:このアルバム、ロック好き同士で語りだすと止まらなくなりそうですね。例えば「「Heart Beat」のギターは、U2のエッジのギターへのリスペクトを感じるね?」っていう話になるでしょうし。
米田:まさに「U2のエッジみたいにしてくれ」と西田に言うて、やってもらいました。
西田:「じゃあギターのディレイは付点8分で」と。
EMTG:読者のために補足すると……「付点8分のディレイ」は、U2が多用するエフェクターのセッティングです。ネットで検索すると音声つきで解説しているものがいろいろ出てくるはず。調べた上で「Heart Beat」を聴くと「なるほど!」となるでしょう。
米田:U2はザ・ミュージックへも繋がっていきますし、そういうロックの流れが僕らにも続いているんですよね。
EMTG:このインタビューを読んだ人にはU2はもちろん、ザ・ミュージックも聴いて欲しいですね。
米田:ぜひ。そうやって興味を持って聴いてもらえたら、めっちゃ嬉しいです。洋楽や邦楽の僕らの好きなロックも含めて、いろんなルーツを探りたくなるアルバムにも『INTELLIGENCE』はなっているんです。聴いた人にロック自体をどんどん好きになって欲しいんですよ。
EMTG:いろいろ探りたい人には、ザ・ストロークスの『イズ・ディス・イット』もオススメしておきましょう。インタビューの最初の辺りで出てきた「ロックンロールリバイバル」を語る上で重要なアルバムなので。
米田:あれもぜひ聴いて欲しいですね。
EMTG:『イズ・ディス・イット』は、ジャケットがちょっとエッチなので、お母さんに見つからないようにしましょう!
マイケル:気をつけた方がいいです(笑)。
米田:あれは見せられない(笑)。
EMTG:(笑)このアルバムが出た後に関して、現時点で何か考えていることはありますか?
米田:ここからさらに幅を広げていきたいです。メンバー各々がそういうことを考えるきっかけにもなったのが、このアルバムですね。作っている時は満身創痍でつらい感じもあったんです(笑)。でも、なんだかんだで制作が終わったら、「次の曲、どうしようかな?」っていつの間にか考え始めています。
EMTG:11月から始まるツアーも楽しみです。
米田:そこでアルバムの曲をどんどん解禁していくつもりです。いろんな楽しめる余白がある曲たちなので、それをライブで埋めてやっていこうと思っています。
EMTG:鈴鹿さんのMCモンスターとしての活躍も楽しみなところです。
鈴鹿:言葉の言語を増やして、インテリジェンスになれたらなと。
米田:「言葉の言語」って?
マイケル:日本語が……。
西田:それを言ってる時点でヤバい(笑)。
鈴鹿:早速ダメでしたけど(笑)。ツアーを観に来た母親に「あんたちょっと賢うなったな」って言われるように頑張ります!

【取材・文:田中 大】

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リリース情報

INTELLIGENCE

INTELLIGENCE

2017年10月11日

ビクターエンタテインメント

1.Call out
2.Eve
3.Bye Bye My Sadness
4.TAKE MY HAND
5.Can‘t You See!!!
6.Without You
7.Heart Beat
8.SEA
9.SHINY
10.BIAS
11.Weekender
12.LIBERTY

お知らせ

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■ライブ情報

"ZENKOKU-O-BAN-DOSS TOUR"
11/10(金) 川崎CLUB CITTA’
11/12(日) 神戸 Harbor Studio
11/14(火) 岡山 Crazy KINGDOM
11/15(水) 松山 W’studioRED
11/17(金) 熊本 B9 V2
11/18(土) 鹿児島 SRホール
11/23(木) 函館 club COCOA
11/25(土) 旭川 CASINO DRIVE
11/26(日) 帯広 MEGA STONE
12/01(金) 浜松 窓枠
12/06(水) 宇都宮HEAVEN’S ROCK VJ2
12/07(木) 水戸ライトハウス
12/09(土) 盛岡 Club CHANGE WAVE
12/10(日) 郡山 HIP SHOT JAPAN
12/14(木) 長野 club JUNK BOX
12/15(金) 金沢 EIGHT HAALL
12/17(日) 周南 RISING HALL
12/21(木) 京都 MUSE

全国ワンマンツアー
“Kotteri ! intelli ! One Man Show!"

[2018]
01/07(日) 新木場 STUDIO COAST
01/10(水) 福岡 DRUM Be-1
01/12(金) 広島 CLUB QUATTRO
01/13(土) 高松 festhalle
01/24(水) 札幌 PENNY LANE24
01/26(金) 仙台 Rensa
01/27(土) 新潟 studio NEXS
02/10(土) 名古屋 ReNY limited
02/16(金) なんば Hatch

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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