フレデリック、ミニアルバム『TOGENKYO』は新たな一歩を踏み出す一枚に。
フレデリック | 2017.10.18
4人体制になったフレデリックの進化が止まらない。前作シングル『かなしいうれしい』から2ヵ月。早くもリリースされるミニアルバム『TOGENKYO』は、フレデリックの溢れる音楽的な探究心と好奇心、チャレンジ精神が全開になった作品だ。とにかくリード曲「TOGENKYO」が素晴らしい。訴求力のあるメロディとメッセージは輝きを増し、メンバーが嗜好するブラックミュージックへのリスペクトを全力で込めた新たなリズムアプローチが心地好い。どこまでも快楽至上主義を貫きながら、いくつもの深読みを許してくれる幻想的な歌詞にも磨きをかけた今作は、ここからフレデリックが新しい場所へと踏み出す決断をメンバーにもたらす1枚にもなったという。全員に話を訊いた。
- EMTG:リード曲の「TOGENKYO」、めちゃくちゃ良い曲じゃないですか。新たなフレデリックのアンセムになりそうだし、これがシングルでもいいんじゃないかって思いました。
- 康司:ありがとうございます(笑)。でも、「TOGENKYO」はミニアルバムっていうかたちがいちばん自然だったんです。やっぱりシングルだとイメージが限定されていくところもあるし。
- 健司:ミニアルバムのほうがそのときのフレデリックの状態を一番見せやすいんです。たとえば、フルアルバムがこれまでのフレデリックを凝縮した区切りのものだとしたら、ミニアルバムのほうは、「まだまだ続きはありますよ」っていうものにしたいというか。
- EMTG:つまり、『TOGENKYO』は、前回のアルバム『フレデリズム』で辿り着いた集大成から、また一歩踏み出すための1枚ということですね
- 健司:そういうことですね。
- EMTG:「TOGENKYO」って、タイトルは“桃源郷”なのに、そこで出てくる歌詞は、“見たいですか 僕の体内を”とか、“心臓を齧っちまった”とか、けっこう生々しいですよね。
- 康司:今回の作品では素直さを考えて書いたんです。何かフィルターを通して作っていくというよりも、思ったことをそのまま伝えていこうって。もともと僕は幻想的なことを妄想するほうが好きなタイプなので、インディーズの頃からそういう曲を作り続けてきたんですけど、それがいまの時代はバカにされやすいというか……ちょっと汚い言葉かもしれないですけど。現実的な人が多くて、そういう人たちと戦ってる気持ちがあるんです。それを率直に書いたのが「TOGENKYO」ですね。
- EMTG:やはり、フレデリックの音楽には幻想的ということが大切ですか?
- 康司:そこに音楽の可能性があると思うんですよね。いま「インスタ映え」っていう言葉もあるけど、本来は風景がきれいだから写真に撮るわけじゃないですか。でも、「インスタ映え」っていう言葉で収めてしまうと、その景色にどういう時代があって、その木の名前は何なのかとか、そういう細かい部分を考えられなくなる気がするんです。ひとつの簡単なイメージだけで幅を広げられない。それが嫌なんですよね、特に音楽は。
- 健司:この曲には康司の気持ちがはっきり出てるんですよ。でも、タイトルからは全然想像できないことを歌ってるんですね。だから、自分がこの楽曲を底上げしなきゃいけないと思いました。康司の気持ちを汲み取るのが自分だし、ボーカリストとして伝えられるのは自分だけだから。楽曲をレコーディングするときも、いままで以上にフレデリックのボーカルとしての力強さを見せなきゃいけないと思ったし、この曲への気合いの入れ方は段違いでしたね。
- 武:だから康司くんの意志がはっきりとありつつ、最終的には健司くんの歌になってるんですよ。っていうことは、健司くんも、その康司くんと同じ意志の強さがを持ってるっていうことだし。それに僕とか隆児くんも引っ張られる部分があって。楽器っていうのは、言葉みたいな具体的な表現はできないけど、ふたりが引っ張ってくれたことで進んでいけたと思ってます。
- EMTG:歌詞を見て、健司くんはパッと康司くんの真意がわかったんですか?
- 健司:痛いぐらいにわかりました。もともと康司はこういうことを書く人ではないと思うんです。でも、自分のなかに絶対に持ってる要素なんですよね。それをいま歌詞として書くってことが、バンドとしてのターニングポイントになるんだろうなっていうのは感じました。
- EMTG:さすが双子ですね(笑)。いままでフレデリックに取材をしても、健司くんと康司くんが双子であることを意識することは、あんまりなかったんだけど。
- 康司:逆に僕らも双子だっていう意識はないよね(笑)。
- 健司:でも節々に出てると思います。
- 武:やっぱり言葉の中心にいるのがふたりなので、そこにいちばん出ますよね。
- 康司:僕らは双子で、ずっと一緒にいたからこそできることもあると思うんです。それがバンドに与える影響があるはずだから、いま「双子っぽい」って言っていただけたのは嬉しいですね。
- EMTG:サウンド面に関しては、「たりないeye」とか「ミッドナイトグライダー」「スローリーダンス」みたいなゆったりと踊らせる曲も増えて、このあたり意識の変化はあったんですか?
- 康司:何かを意識したというより、タケちゃんが入ったことで、ずっとフレデリックが掲げていたリズムっていうものが、改めて重要視されたんです。いままでになかった踊り方の追及もできて、気持ちよく踊れる要素が存分に入ってると思います。基本的に踊らせるときはベースとドラムをどっしりさせるんですけど、「ミッドナイトグライダー」では16(ビート)のうえでシンセが鳴るっていう、なかなかない踊り方だし。いま他のアーティストもやっていることの狭間をいく踊り方ができると思います。
- EMTG:とはいえ、ものすごく玄人向けだったり、発明的にもなりすぎてなくて、健司くんの歌の存在がどれもはっきりと際立ってるのが、いまのフレデリックですよね。
- 康司:そこのバランス感はバンド内で考えてますね。僕らが「めっちゃ黒いことをしよう」ってなったら、隆児くんは「若いことをやろう」ってなったりするんですよ。
- 隆児:「スローリーダンス」とか、「ナイトステップ」がそうだよね。
- 康司:だからお互いに良い意味でわかり合えてる気がするんです。同じ方向で行ったら、たぶんゴールはわかりやすい気がするんですけど、僕らの場合はそうじゃないゴールの行き方があって。「じゃあ、こっちに寄り道しようよ」ってやれるバンドなのが面白いんです。
- EMTG:健司くんはボーカリストとしてもチャレンジな曲が多かったんじゃないですか? 「スローリーダンス」ではファルセットを多用してたり、「パラレルロール」では初めてラップしたり。
- 健司:本当に全曲で幅を広げるものになりましたね。「たりないeye」では、最後にフェイクが入るんですけど、それも歌詞の切なさを声で表したらどんな感じなんやろうっていうところから生まれたり、「ミッドナイトグライダー」は、いままでのフレデリックではあんまりない斬新な歌い方だし。自分の声をこういうふうに生かしたりできるんやっていう発見もありました。
- EMTG:ちなみに、歌詞に雨が多いなと思ったんですが、これは意図的ですか?
- 康司:それは自分のなかのテーマがあって。雨って、けっこう嫌なイメージがつきやすいじゃないですか。そういうのも、僕らは「踊る」っていうテーマを掲げているからこそ、雨の気分でさえも気持ちよく聴かせるようにしたいなと思ったんです。そこは今回のテーマのひとつでしたね。
- EMTG:わかりました。この『TOGENKYO』のリリースと同時に、来年4月には神戸のワールド記念ホールでのワンマンを開催することが発表されました。ついにきました!
- 康司:フレデリズムアリーナです。
- 健司:神戸のバンドとして出てきてるので、初アリーナは絶対に地元でやりたかったんです。このアリーナは自分たちにとって挑戦やと思ってて。この挑戦を決断できたのも『TOGENKYO』っていう作品ができたからなんです。ちゃんとその場所に導いてくれるものができたから。
- EMTG:まず作品ありきなのがフレデリックっぽいですね。
- 康司:素直ですよね。それがミュージシャンのあるべき姿だと思うんですよ。
- 健司:そう、こうやってフレデリックらしく決断ができたからこそ、そこで見られる景色はだいぶ変わってくるなと思ってます。もうフレデリックを知ってくれてる人には絶対に来てもらいたいし、そこでフレデリックを知る人には、いまのフレデリックを見てもらいたいと思いますね。
【取材・文:秦 理絵】
リリース情報
TOGENKYO
2017年10月18日
A-Sketch
1. TOGENKYO
2. スローリーダンス
3. かなしいうれしい
4. たりないeye
5. ミッドナイトグライダー
6. パラレルロール
7. RAINY CHINA GIRL
2. スローリーダンス
3. かなしいうれしい
4. たりないeye
5. ミッドナイトグライダー
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7. RAINY CHINA GIRL
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10/21(土) 名古屋CLUB QUATTRO
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11/11(土) 岡山CRAZYMAMA KINGDOM
11/12(日) 高松festhalle
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2018/01/13(土) 新木場STUDIO COAST
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2018/04/30(月) 神戸ワールド記念ホール
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MASHROOM 2018
2018/01/21(日) 新木場STUDIO COAST
Fear, and Loathing in Las Vegas「New Sunrise」Release Tour 2017-18
2018/03/31(土) 沖縄 桜坂CENTRAL
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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