「心地良さ」を追求したSunrise In My Attache Case待望のニューアルバム『Sunrise to Sunset』
Sunrise In My Attache Case | 2017.11.21
昨年、Red Bull主催のバンド・コンテスト『Red Bull Live on the Road 2016』の頂点に輝き、5月にシングル『The Wall』をリリースしたSunrise In My Attache Caseが、アルバム『Sunrise to Sunset』を完成させた。カントリーやサーフミュージック的なオーガニックな風味を漂わせている各曲は、穏やかなムードでリスナーを包み込む。6月に和希(Gt)が正式加入し、現在の4人編成となったこのバンドは、どのようなことを考えながら今作の制作を進めたのか? 彼らの間にある温かい関係性も窺われるインタビューとなった。
- EMTG:和希さんとSunrise In My Attache Caseとの間には、もともとどういう接点があったんですか?
- 和希(Gt):僕は別のバンドをやっていた頃から、彼らと仲が良かったんです。普段から飲みに行ったり、よく遊んでいました。
- cubs(Ba):岡Pが前にやっていたバンドと、和希が前にやっていたバンドと、Sunrise In My Attache Caseとで淡路島に旅行に行ったこともありました。
- 和希:その内の2バンドが解散して、吸収されて、現在に至るわけです(笑)。
- cubs:Sunrise In My Attache Caseが一番あんまり活動していなかったのに、まさかのこの形ですよ(笑)。
- EMTG:(笑)和希さんがやっていたバンドは、どういう音楽性だったんですか?
- 和希:海外のメロディックパンクみたいな感じです。でも、活動の後期はアメリカンロックとか、ゆるいリズムの曲もやっていたので、Sunrise In My Attache Caseと重なる部分もありました。
- EMTG:Sunrise In My Attache Caseと仲良くなると、リズムがゆるくなるんですかね?
- 岡P(Dr):僕も、このバンドに入ってから、ものすごくBPMが遅くなりましたからね。
- EMTG:岡Pさんのルーツはメタルですから、すごい変化を体験しているんですね。
- 岡P:はい、BPMが250から108くらいになりました(笑)。
- Kazuya(Vo・Gt):この4人でやり始めたわけですけど、楽しいですよ。やればやるほど馴染んできて、良さも出てきています。和希のキャラクターも面白いですし。
- cubs:和希は、落とし物が多いんですよ。
- Kazuya:この前も、フェリーに乗る直前に携帯をなくしましたからね。
- 岡P:結局、椅子の上にあったんですけどね。
- 和希:物っていうのは、なくすものなんです…。
- EMTG:まさかギターは、なくさないですよね?
- 和希:東京にライブをしに来た時、家にギターを忘れてきたことがありましたけど……。その時は、対バンの方に借りました。
- cubs:この前のサマソニの時も、会場にエフェクターボードを忘れてきちゃいましたからね。翌日がMONSTER baSHだったんですけど、「エフェクターがない!」って(笑)。あの時も会場で借りていました。
- 和希:あれはショックやった(笑)。
- EMTG:(笑)今年はフェスにいろいろ出たりしましたし、マイペースだったSunrise In My Attache Caseは、急にアクティブに活動するようになりましたよね。
- Kazuya:パニックです(笑)。僕、スケジュールを管理するのが苦手なんですよ。
- cubs:彼、スケジュールを把握していないですから(笑)。
- EMTG:このバンド、問題児だらけなんですか?(笑)。
- cubs:Kazuyaと和希は、ヤバいですよ。僕と岡Pが、しっかりしないと駄目です。
- 岡P:僕も、大変なバンドに入ってしまいました(笑)。
- EMTG:(笑)この4人の編成になって、早速アルバムを完成させたわけですね。
- cubs:はい。かなり昔からあった曲から新しいものまで入っているアルバムです。
- EMTG:全体像に関しては、どういうものにしたいと思っていました?
- Kazuya:「1日中聴ける」っていうものですね。
- EMTG:全体的に、穏やかな時間が流れていますし、お客さんと心地よい空間を共有することを大事にしているんだろうなというのを感じる1枚です。
- Kazuya:まさにそうです。
- EMTG:サーフミュージック的なテイストも色濃いバンドですけど、明確にそういうものを目指しているというより、「心地よさ」を追求している結果、自ずとそうなっているんじゃないでしょうか?
- Kazuya:まさにそういうことなんだと思います。サーフィンはしていないけど、していることを想像して作ったりしていますし。
- EMTG:Kazuyaさんとcubsさんの地元の奈良は、海に面していないですよね?
- Kazuya:だからこそ、海を見るとテンションが上がるんです(笑)。そういうのも曲に出ていると思います。
- EMTG:和希さんは、海に近いエリアの出身ですか?
- 和希:僕は小豆島の出身なんです。家から5分くらいのところが海でした。この前、Kazuyaくんと一緒に小豆島に行きましたよ。
- Kazuya:小豆島でサップをしました。
- 和希:サップっていうのは、スタンドアップパドルボードのことです。そういう体験が、曲に活かせればいいなと思っていました。
- Kazuya:僕らにとって、海と山は欠かせないんです。小豆島に行った時も、日の出の時間に和希と山に登って、そこで歌いましたし(笑)。
- EMTG:「When I Was Young」のMVにも、そういう雰囲気が出ていますよね(笑)。ところで、今回のアルバムのために書き下ろした曲は、どれなんですか?
- Kazuya:「Sunrise to Sunset」「I Won’t Let It Go」「Broken Highway」「When I Was Young」です。
- EMTG:新しく書いた曲に関しては、「成長する中で失いたくないもの」ということを描いている印象がしたんですけど。
- Kazuya:そういう想いは、ありましたね。だから今回、昔やっていたことを音にも入れていたりするんです。例えば「When I Was Young」の歌詞の一部が日本語なのも、そういうことです。昔、僕がやっていたバンドは日本語で歌っていたので。「今までの自分を凝縮する」みたいなイメージがありました。
- cubs:日本語の歌詞は、Sunrise In My Attache Caseでは初めてです。
- Kazuya:こういうのは、今後、広がっていく部分かもしれないです。最近、和希と話しながら曲をふくらませていくことも増えているんですよ。例えば、「Sunrise to Sunset」は、和希が加入してから初めて一緒に作った曲ですし。
- EMTG:イメージを共有しながら形にする作り方ですか?
- 和希:はい。一緒に景色を共有するようなことをよくしていますので。
- Kazuya:小豆島に行ったのも、そういう体験でした。歌詞に関しては、全員でイメージを共有して、みんなで考えるようになっています。この前、4人で海に行きましたし。そういう関係性から生まれる音楽をやりたいんです。
- EMTG:プライベートではメンバーと会わないバンドも多いですけどね。
- 和希:僕らの場合、一緒に飲むのが一番多いのはメンバーです。
- 岡P:僕は大阪に住んでいるんですけど、電車がない時間に連絡が来ることがあるんですよ。奈良に行くのが大変です(笑)。
- cubs:稀に迎えに行くことがあるんですけどね(笑)。そうやって一緒に遊びつつ、音楽をやるのが、僕らには合っているんだと思います。生活やメンバーの関係性って、ライブを観ていてもわかるものですけど、自分たちの音楽もそういうものでありたいんですよね。
- EMTG:Kazuyaさんはスタジオで働きつつ、バンド活動もしていると、前回の取材の際におっしゃっていましたけど、今もそうなんですか?
- Kazuya:はい。空いている時間に曲作りの作業もできるし、いい環境です。たまに不思議な感覚になることがありますけどね。「昨日、サマーソニックだったのに、なんで俺、今、レジを打ってるんだろう?」って(笑)。
- cubs:だからこそ、いつも新鮮な気持ちでステージに立てるんです。現実の生活に戻るからこそ、「やっぱバンドやりたいな」って思えますから。
- EMTG:耳を傾けていると穏やかな気持ちになれる理由は、自然な生活のペースから生まれている音楽だからなんでしょうね。例えば「Heart Beat」とか、手拍子をしながら心地よい空間に浸れるライブのイメージが、すごく湧きます。
- cubs:この前、スタジオでやってみて、自分たちでもそう思いました。「これ、絶対にライブで楽しいな」と。
- EMTG:「この空間を生でゆっくり味わいたいな」という感覚になれるバンドですよね。
- 岡P:そうなんだと思います。実際、ライブでもモッシュやダイブをするお客さんはいないですし。その点はメタルのライブとは違いますね。
- Kazuya:今度、ライブの中にドラムソロを組み込んで、モッシュやダイブを起こす?
- 岡P:いつかやってみたい(笑)。
- cubs:BPMが100以下でサークルモッシュができたら、どのペースで走ったらいいのかわからないけど。ジョギングみたいな感じ?(笑)。
- 和希:随分と健康的なモッシュやな。ライブレポートが、すごいことになるでしょうね。「突如起こるジョギング!」って(笑)。
- EMTG:(笑)モッシュはさすがに冗談でしょうけど、いろいろ自分たちなりに採り入れて表現したいバンドなのは確かですね。例えば「I Won’t Let It Go」も、独特な雰囲気ですし。
- cubs:これは、バンジョーを使っています。
- Kazuya:バンジョー、弾けへんのに。
- 和希:弾きやすいように、勝手に自分でチューニングしました(笑)。
- Kazuya:その音とシンセの音を混ぜて使っているので、独特な雰囲気なんでしょうね。
- 和希:このバンドに入ってから、いろいろやらされてます(笑)。でも、それが楽しいです。
- 岡P:僕もSunrise In My Attache Caseに入ってから、かなり変化しましたからね、ドラムセットに関しても、昔はチャイナシンバルの大小1枚ずつで、タムも前に3個並べていたんです。でも、今はチャイナシンバルはゼロ、タムは1個。ツインペダルは、なくなってしまいました(笑)。
- cubs:こんなバラバラなところもある4人が一緒にやっているわけですけど、すごくしっくりきているのが嬉しいです。長年一緒にやっているような感覚があるんですよ。
- Kazuya:お互いに感性が近いんだと思います。みんなマイペースで、「とりあえず飲みに行こか?」ってなりますし。
- 岡P:お互いに顔を見たら、横にビールが見えるんです。
- cubs:それ、ヤバいな(笑)。
- EMTG:(笑)このアルバムのリリース後は、全国ツアーですね。
- Kazuya:はい。来年の1月から始まります。初めて行く場所もあるので、楽しみです。
- cubs:前までは「なんかライブやるらしいで」っていうような、漠然と話が伝わる感じだったんですけど、そういう点もかなり変化しましたね。
- Kazuya:ほんまや(笑)。
- EMTG:ライブ情報が、幻の生物に関する噂みたいな感じ?
- cubs:その感は否めなかったです。
- 岡P:イリオモテヤマネコのような(笑)。
- cubs:去年、Red Bullのコンテスト(Red Bull Live on the Road 2016)で優勝してからの1年で、3、4年分の活動をしたような感覚なんですよ。
- 岡P:ライブもどんどんやるようになっているので、ぜひいろんな人に観て頂きたいですね。このアルバムを聴き込んで、ライブならではの変化を楽しんで頂けたら嬉しいです。
- 和希:僕は、ツアーにギターを持って行くのを忘れないようにします(笑)。
【取材・文:田中 大】
リリース情報
Sunrise to Sunset
2017年11月22日
Double Wing Records
1. Life
2. Higher
3. When I Was Young
4. Loud
5. I Won’t Let It Go
6. Holiday
7. The Wall
8. Sunrise to Sunset
9. Heart Beat
10. Broken Highway
2. Higher
3. When I Was Young
4. Loud
5. I Won’t Let It Go
6. Holiday
7. The Wall
8. Sunrise to Sunset
9. Heart Beat
10. Broken Highway
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Sunrise to Sunset Tour 2018
2018/01/06(土) 奈良 NEVER LAND
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Sunrise to Sunset
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2017/12/02(土) タワーレコード渋谷店4Fイベントスペース
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