Goodbye holiday、メンバーの“個の感情”を強く打ち出した今作で見せた大きなチャレンジ
Goodbye holiday | 2018.01.24
Goodbye holidayが1月24日にリリースするミニアルバム『ドッペルゲンガー』は自分の内面を包み隠さずに曝け出すことがテーマになっている。バンドの結成以来、あらゆる世代に届く音楽であることを大切にしてきたグッホリにとって、メンバーの“個の感情”を強く打ち出した今作は大きなチャレンジだ。 なぜ、いまグッホリは自分の分身(=ドッペルゲンガー)となる赤裸々な作品を作り上げる必要があったのか? それを掘り下げた以下のインタビューでメンバーは、この作品を世に出すことがバンドとして正しいのか、少し迷っているような言葉も口にする。だが、今作はこれからも長く続いていくであろうグッホリの道のりのなかで、とても意味のある作品であり、それ以上に、自分の正しさに対しては、いつも懐疑的にならざるをえない私たちの心に深く寄り添う作品だと思う。 生々しい自分自身の感情に向き合いながら、それでもむやみに感情を叩きつけるのではなく、グッドメロディと創造性に富んだアレンジを追求し続け、どこまでも音楽的であろうとするところに、Goodbye holidayというバンドの揺るぎないアイデンティティがある。
- EMTG:2018年一発目のリリースになるミニアルバム『ドッペルゲンガー』ですけども。1曲目の“No discount”を聴いて驚きました。自分のなかの負の感情を吐き出した曲で。
- 児玉一真(Vo・Gt):もともと『ドッペルゲンガー』っていう作品を作ろうと思った始まりが、フロントマンとして歌ってる自分がしっかり内面を曝け出すというか、等身大を出していこうっていうところがあったんです。前作(アルバム)の『A LA QUARTET』では、まさはる(福山匠/Ba)が全部歌詞を書いてたんですけど。
- EMTG:『A LA QUARTET』では、あえて作詞を福山くんに任せて、児玉くんは作曲に専念するような作品でしたよね。
- 福山:メンバーの個性とかよりも、バンドとして一丸になって良いかたちでやろうとしたのが、『A LA QUARTET』だったんですよね。で、それをやってみた結果、もっと声を出してる人に説得力があったほうがいいんじゃないかってことになったんですよ。
- 山崎晃平(Dr):バンドによってはカリスマ性のあるボーカルがいたり、ギターでもベースでもすごく目立つ人がいたりするじゃないですか。「あのバンドと言えば、あの人でしょ」みたいな。でも、僕らは良くも悪くも、そういうのがないんですよね。それはボーカルじゃなくてもいいんだけど。っていう話から、アルバムが始まったんです。
- EMTG:なるほど。そういう流れで、児玉くんがより説得力を持って歌えるための曲として、“No discount”ができたと。この歌詞は書かずにはいられなかったですか?
- 児玉:あのときああしとけばよかったとか、後悔ばっかりが溜まってた時期があったんですよね。何のせいなのか、誰のせいなのかわからないというか。でも、結局、全部が自分のせいだし……うん。だからこれはそういう不甲斐ない自分に対して歌った歌ですかね。
- EMTG:“消耗品扱いさ それっぽいラベル張って パッケージされた”って歌ってるから、主に悩んでたのはバンドのことですよね?
- 児玉:そうですよね。一緒に対バンをしてたバンドがどんどん夏フェスに出てたりするのを見るたびに沈んでたんですよ。なかなか自分たちは上手くいかないなって。
- EMTG:福山くんが歌詞を書いた「共犯」はヘヴィなロックナンバーですけど、これも同じように自分を曝け出すっていうテーマのもとに書いたんですか?
- 福山:そうですね。この曲は、最後のスタジオの日まで、他の曲を入れる予定だったんですよ。でもアレンジがうまくまとまらなくて。急遽入れることにした曲です。
- 大森皓(Gt):もともと『A LA QUARTET』のときの候補曲だったんですよ。
- 福山:だから全然違う歌詞があったんですけど。今回、“自分を切り出す”っていうテーマがあったから、内容を変えたんです。いままでは曲としての完成度とか、児玉さんが感情移入しやすいものを意識して、フラットに作ってきたところもあるんですけど、今回はそういうのは、もう、いいや!と思って。
- EMTG:“共犯”というのは、自分たちが未来に向かっていくなかで、仲間たちを共犯者にして進んでいこう、みたいなこと?
- 福山:もっと後ろ向きな意味ですね。(バンドを)辞めるとか、辞めないとか考えてたから。ふつうに大人になって就職してたら、青春時代って自然とフェードアウトしていくものだと思うんですけど、バンドを職業にしてたら、青春時代を辞めるって、自分で終止符を打たなきゃいけないってことだと思うんです。でも、僕たちには応援してくれてる人がいるのに、いつか自分で終止符を打とうとしてるってことは、犯罪者のやることだと思ってて。
- EMTG:バンドメンバーが共犯者同士ってこと?
- 福山:そういうことですね。
- EMTG:でも、“幸せな共犯者”って歌ってるから、決してそれを悲観してはいないですよね。
- 福山:そうですね。それも含めて、本当に全部、自分が思ってることなんです。
- EMTG:なんだか、ここまでの話を聞くと、いままでのポップで爽やかなグッホリのイメージを覆すような曲たちですよね。暗い。
- 福山:まあ、主に暗いのは僕なんですけど(笑)。
- 児玉:でも、このアルバムは徐々に明るい方に向かっていくので。
- EMTG:たしかに。5曲目の「ガソリンの虹」では、“まだ歩けそうだ”って歌ってるし。
- 児玉:これも“No discount”と同じ、夏ごろに書いた曲でしたね。
- EMTG:“友だちに「負のオーラが出てるよ」なんて言われて”って出てくるけど、これは実際にあったエピソードですか?
- 児玉:実際に言われたことです。「そんなことないよ」とか言いながら、「うわ、笑えてねえな、俺」みたいな感じだったんですよ。でも、この曲では、“僕は僕と生きて行く”って歌ってるので、悔やんでるだけじゃなくて。その部分は、デモのときは入れてなくて、『ドッペルゲンガー』っていうアルバムのタイトルをつけたあとに、最後に足した歌詞ですね。
- 福山:この曲は、自分で歌う人っぽい歌詞だなと思います。僕は自分が歌わないから、メロディを生かす歌詞になるけど、自分で作って歌うってなると、メロディも言葉も自由になるんですよ。もちろん思い入れも強くなるし。言いたいことがちゃんと言えて、そこにちゃんとメロディが乗っかるっていう作り方ができるので、すごく良い曲ができましたね。
- EMTG:うん、新しいグッホリのアンセムになりそうな曲ですね。口笛が入ったり、みんなでラララって歌えるフレーズもありますし。
- 児玉:そうなるといいですね。
- EMTG:で、最後の「Writing Life」では、歌詞だけでなくサウンドも明るい響きになっていって、とても前向きな歌になっている。
- 児玉:バンドをやっていること自体が、Writing Life(=人生を書き記すこと)だと思ったんですよね。僕が15歳のとき、家も学校もすごく嫌で、バンドを聴いて救われたから。いま、もしかしたら、あの頃の僕自身に近しい気持ちでいる人たちがいるとしたら、それに対して、僕が当時見ていたバンドマンの代わりになれたらなと思って書いた曲なんです。
- EMTG:なるほど。今回のミニアルバムを作り終えて、どんな手応えを感じてますか?
- 児玉:本当に正直に言うと、これで合ってるのかわからないまま進んでいったアルバムなんですよね。だから自分たちでは、まだ完全に消化しきれてないところがあるのかな。
- EMTG:そっか……。でも、この作品はグッホリがいままで積み上げたものがあったうえで、自分を曝け出せた1枚だから、きっと共感してくれる人も多いと思う。
- 児玉:うん、そういう作品になればいいなと思ってます。
- EMTG:今回、全てを吐き出してみて、すっきりした部分もあるんじゃないですか?
- 児玉:ありましたね。最初は曲が書けないと思ったけど、書けたときは安心したし。レコーディングをやってても、すごく楽しかったんですよ。純粋に「俺は音楽が好きなんだな」って思えたんです。早くライブで歌いたいなっていう気持ちもあるので。
- EMTG:最後のその言葉を聞けて良かった。初めてインタビューをしたときから、グッホリは普遍的な音楽を続けたいって言ってたけど、いまはどうですか?
- 児玉:そこに関しては変わってないです。今回のアルバムは、聴いてくれる人を元気づけたいとか、そういうところはあんまりなくて。自分たちが落ちてるんだったら、落ちてるものを出せばいいやっていう気持ちで作ったものではあるんですけど。でも、ちゃんと良い歌、良い音楽を作りたいていうところは、絶対にブレてないと思います。
【取材・文:秦 理絵】
リリース情報
ドッペルゲンガー
2018年01月24日
avex trax
1. No discount
2. 共犯
3. きらり
4. 鎮痛剤
5. ガソリンの虹
6. ゴンドラの夢
7. Writing Life
2. 共犯
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4. 鎮痛剤
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お知らせ
■ライブ情報
Major 2nd Mini Album『ドッペルゲンガー』リリース記念イベント
01/23(火)[神奈川]タワーレコード横浜ビブレ店
01/25(木)[東京]タワーレコード池袋店
01/28(日)[広島]タワーレコード広島店
02/04(日)[大阪]タワーレコード難波店
Goodbye holiday presents BAND/wagon
01/27(土)[広島]広島CLUB QUATTRO
ドッペルゲンガー ワンマンTOUR~命の遠征記~
04/28(土)[愛知]名古屋SPADE BOX
04/29(日)[大阪]梅田Shangri-La
05/04(金)[東京]渋谷WWW
reGretGirl『my』リリース記念 ふたりのはじまりは
02/12(月)[大阪]天王寺Fireloop
LOCAL CONNECT presents 3rd mini album「未完成」リリースツアー
02/18(日)[愛知]池下CLUB UPSET
Hang Out!!
02/20(火)[東京]代官山LOOP
DISK GARAGE MUSIC MONSTERS -2018 winter-
02/24(土)[東京]DISK GARAGE MUSIC MONSTERS -2018 winter@渋谷エリア
見放題東京2018
03/03(土)[東京]東京新宿歌舞伎町界隈9会場
HIROSHIMA MUSIC STADIUM -ハルバン’18-
03/10(土)[広島]広島市内複数会場
TENJIN ONTAQ 2018
03/11(日)[福岡]福岡・天神地区複数会場
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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