brainchild’s 4年ぶりのフル・アルバム『STAY ALIVE』をリリース

brainchild’s | 2018.04.11

 THE YELLOW MONKEYのギタリスト菊地"EMMA”英昭によるソロ・プロジェクトbrainchild’sが、4年ぶりのフル・アルバム『STAY ALIVE』をリリースする。2008年にスタートしたこのプロジェクトは、これまで様々なアーティストが参加してきたが、第7期となる現在は渡會将士(Vo/FoZZtone)、神田雄一郎(Ba/鶴)、岩中英明(Dr/Jake stone garage/BARBARS)がメンバー。この顔ぶれで2作のミニ・アルバムをリリースしツアーも行ってきただけに、新作『STAY ALIVE』』はバンドとしての一体感と力強さに溢れている。それは菊地自身の音楽に対する思いや音楽を通じて伝えたいことが詰め込まれているからこその、力強さでもある。この新作に込めた思いを、じっくりと語ってもらった。

EMTG:brainchild’s始動から10周年になりますが、そもそもはどんなことをやろうと始まったんでしょう?
菊地:10年という実感がないんですけど(笑)、THE YELLOW MONKEYが解散して何をやろうかなと思って。一瞬は音楽をやめようかなと思ったこともあるんですよ。でもギター好きだし、音楽やりたいなと思って。でもその時バンドはやりたくなかったし、かといってソロも気が進まない。それでプロジェクトを立ち上げて、その時その時で好きなことをできるのが自分らしさかなと思って、このbrainchild’sを立ち上げたんです。音楽だけじゃなくてもいいと思った。写真とかでも自分が関わっていればそれがbrainchild’sだという感覚で。
EMTG:brainchild’sはどんな意味合いで名付けたんですか?
菊地:brainchildは思いつきという意味で、これは自分にぴったりだなと(笑)。それで、思いつきが何かするとか、みたいなことで’sをつけて。だから自由に思いつきでできること、大きく動くより小回りがきいてパパッとできちゃうみたいな。脳みそと直結している感じ。
EMTG:具体的にやりたい音楽性とかったんでしょうか。
菊地:最初はたくさんあってわけわからなくなって(笑)。途中から自分で詞を書き始めたら、何となく自分のやりたい音楽性が見えてきたという感じですね。最初に書いた時は、すごい恥ずかしかったですね(笑)。自分の中を見られちゃうんじゃないかという恐怖感と恥ずかしさと。でも自分が書くことで一つの世界観が決まったというか。2011年に震災があって、その時にすごくたくさん詞・曲ができましたね。悲しみと怒りが根底に湧いてきて曲を作りたくなっちゃう。負のパワーなんですけど、そこからカラーが変わったりとかしましたね。ちょうど2枚目『PANGEA』を製作中だったんです。最初はアコースティック寄りにしたかったんだけど、あまりに気持ちが辛かったんで、ちょっと攻撃的なサウンドに変わったりとか。でもそうやって、その時その時に起きたことに対して素直に反応していくのも、ミュージシャンというかパフォーマーとして、何かを表現する人にとっては大切なことなのかなとか思ったりしましたね。
EMTG:『PANGEA』は全曲を菊地さんが詩・曲を書いています。それがbrainchild’sの色を固めた印象がありますね。
菊地:歌いたいことが定まったと思いますね。それが今のメンバーになってもうちょっと浄化されて。本当に歌いたいことだけを自分が歌う。そういうことでいいのかなと今は思っています。
EMTG:そういうお話を伺うと、新作『STAY ALIVE』のタイトル曲は菊地さんが詩・曲を書き、ヴォーカルも取っていることに、大きな意味を持っている気がします。
菊地:それは、生きているんだから生きていかなきゃって。望んで死んでいく人はそんなにいないでしょうから。という気持ちで作りました。自分の中に常にあるテーマは生と死なんですけど、「地獄と天国」でも書いたように両極端のもの。表裏一体じゃないですけど、一方だけが正解でもないし、という見方は常にあるんで。やっぱり2011年からかな、意識の根底にありますね。それと相反するようにワッチ(渡會)の歌は、もっと遊び心もあるし。そのコントラストがあるから面白いなと思ったり。
EMTG:渡會さんに歌詞と歌を任せるものと、ご自身で歌詞も書いて歌う曲はどのように分けているんですか?
菊地:基本は、歌う人が歌詞を書いた方が説得力があるんじゃないかなと。自然と曲を作っている段階で歌詞もできて、自分が歌うべきかなと思ったり。今回の「STAY ALIVE」は、自分が歌って途中からワッチが入ってくるという構想が曲作ってる時点からあったり。「地獄と天国」はすごい明るいサウンドの中にちょっと皮肉を入れようかとか。1曲だけ、自分が書いた歌詞をワッチが歌ったら面白いかなと思って、「それでいいよ」は歌ってもらいました。
EMTG:brainchild’sの10年を振り返ると初期は流動的な編成だったけれど、次第にバンドという方向に変わってきたようですね。
菊地:そうですね、最初はバンドができなかったけど、やっていくうちにやっぱり一緒に音楽をやっていくって素晴らしいなと思って、バンドっていいなと思うようになりましたね。求めているサウンドもバンドっぽいものだし。いろいろなものにチャレンジしていくのも素晴らしいけど、自分の好きなものを突き詰める方が先だなと、第6期の途中ぐらいから思うようになりましたね。
EMTG:現在のbrainchild’sはバンドと言っていいんでしょうか?
菊地:(笑)バンド名がbrainchild’sというと思いつきというものと変わってきちゃうんで、別な名前がいいのかなと。ハスラーと名付けたいですね。あの作品が出会いだったんで。ハスラーにはペテン師という意味もあるし、いいバンド名だな(笑)
EMTG:6期と7期の間には、THE YELLOW MONKEYが活動再開していましたが、brainchild’sとのバランスはどのようにとっていたのでしょう?
菊地:スケジュール的にはタイトだったんですけど、その二つは自分の中で全然ごっちゃにならない。スタイルも全然違うし、自分の中で別々に考えられ産んだけど、面白い二つですね。曲を作っていても、どっちにでも使えるなと思ってできてる曲とか、どちらとも考えずにできてる曲があったり。例えば「Better Day to Get Away」とか「STAY ALIVE」はこの作品用に描いたんですけど、他はだんだん完成していく中で、こっちかなとかあっちかなとか。自分の中でも面白いですね。THE YELLOW MONKEYの「Horizon」は自分が作詞作曲させてもらったんですけど、あの時も5曲ぐらい持って行ったんですけど、THE YELLOW MONKEY用に作った曲と、どっちでもいいと思って作った曲もあった。自分の中でもどっちでもいいと思うんですよ。それが表現者によって変わってきていいのかなという気持ちです。自分のギターの個性はあるけど、他の3人が持っている個性で全然違う曲になるんで。それが醍醐味だし、それをもっとチャレンジしたいなと思いますね。それぞれ独立しているところと、必要十分条件みたいに重なってるところと、両方あるんですよ。
EMTG:面白いですね。だからTHE YELLOW MONKEYが再開して活動が盛んになるほどbrainchild’sも活発になって。
菊地:そうですね。brainchild’sでやりたいことが具現化してきた時にTHE YELLOW MONKEYが再集結して、自分的には今がミュージシャン人生の中で一番充実してて。解散したことも全部のことが肥やしになって今に生かせてて。もちろん100%満足するものは死ぬまでできないと思うんですけど、本当にいいところまで完成させたり、その時間を過ごせているので、今が本当に充実していますね。本当にいろんなことに感謝ですね。

【取材・文:今井 智子】

リリース情報

STAY ALIVE

STAY ALIVE

2018年04月11日

アリオラジャパン

01. Better Day to Get Away
02. Twisted Shout
03. 地獄と天国
04. Rain Stain
05. Higher
06. TWILIGHT
07. それでいいよ
08. On My Own
09. Esper Girl
10. STAY ALIVE
Bonus Track(通常盤のみ)
11. PANGEA 2018

お知らせ

■マイ検索ワード

タニタ、ツイッター
聞いたんですけど、体重計とか作ってるタニタという会社のtwitter担当の人がTHE YELLOW MONKEYのすごいファンらしくて。タニタのtwitterなのにTHE YELLOW MONKEYのことを書いてるって。それで検索したら「ライヴに行ってきました」って(笑)。「タニタのtwitterだよね?」って笑ったけど、嬉しかったですね。



■ライブ情報

brainchild’s TOUR 2018 -STAY ALIVE-
4/21(土)[静岡] 浜松 FORCE
4/22(日)[岡山] 表町 IMAGE
4/27(金)[新潟] GOLDEN PIGS RED STAGE
5/03(木・祝)[大阪] 梅田 umeda TRAD
5/05(土・祝)[福岡] DRUM Be-1
5/13(日)[北海道] 札幌KRAPS HALPL
5/19(土)[東京] 六本木 EX THEATER ROPPONGI
5/25(金)[愛知] 名古屋 E.L.L.
6/09(土)[群馬] 高崎club FLEEZ
6/15(金)[宮城] 仙台 darwin
6/16(土)[岩手] 盛岡 CLUBCHANGE WAVE
6/24(日)[神奈川] YOKOHAMA BAYSIS
6/30(土)[京都] 京都MUSE
7/01(日)[香川] 高松 MONSTER

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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