CHAI そのまんまの“我がまま”が一番かわいい! 最新EP「わがまマニア」をリリース

CHAI | 2018.05.15

 昨年10月にリリースした初のフルアルバム「PINK」が方方で絶賛され、音楽番組「バズリズム02」の「これはバズるぞ2018年版ランキング」で1位を獲得したCHAI。勢いに乗る“NEO ニュー・エキサイト・オンナバンド”から約7カ月ぶりの新作が届いた。「ほったらかシリーズ」「ほめごろシリーズ」に続く3枚目のEPは「わがまマニア」。今作のコンセプトは、メンバーの言葉を借りれば「わがままってなんか、マイナスなイメージがあるんやけど、ほんとはちょー自由で、素直に生きとるってことだとおもうんだ~!きっとみんな、そのまんまが一番かわいいし、CHAIはそんなみんなをNEOかわいいっておもうよ~」。そんなふうに“我がまま”を音楽で表現してみせた、マナ(Vo.&Key.)、カナ(Vo.&Gt.)、ユウキ(Ba.&Cho.)、ユナ(Dr.&Cho.)の4人に話を聞きに行くと、「本当の“そのまま”」とはどういうことか、意志のこもった力強い言葉が出てきた。

EMTG:前作「PINK」リリース後の良い勢いはメンバーの皆さんも感じていますか? 個人的にCHAIは若手アーティストの台風の目だと思ってるのですが。
ユナ:台風の目なんて初めて言われた! うれしいー!
マナ:単純に広がったなっていうのはわかるよね。ライブに来てくれるお客さんの人数も増えたし。
ユウキ:うんお客さんのノリを見てても、音源聴いてくれてるなってわかるし。
マナ:それにもっと大きいところでやる想像ができるようになったよね。今まで夢で見てたような1万人規模のステージを、想像して今回の作品は創った。
EMTG:ライブ活動も充実していて、3月には2度目のSXSWを含め14日間で13本という怒涛のアメリカ遠征もありましたね。場数を重ねると技術的にもレベルアップします?
マナ:アメリカでの経験はいろんな意味で力になった。技術がどうかはわかんないけど、どんな状況でもできるようになった。
ユナ:ステージがちっちゃすぎて途中でイスが後ろに落ちて、“立ちドラム”でやったり(笑)。お客さんは立つパフォーマンスだと思ってワーッてなってたけど(笑)。
ユウキ:アメリカは愛がすごかったね。泣いたもん、帰りたくなくて。
カナ:うん。少人数ではあるけどちゃんと認められて、アメリカのレーベルの人もCHAIを聴いてくれて、会う人会う人「Fucking Awesome!」「Special Girl!」とか言ってくれて、ああ音楽って言葉じゃないんだなって思った。まだ全然ステージ大きくないけど、ちゃんとアメリカでスタートできたって思った。
EMTG:異国の初見の人からもそこまで絶賛されたのってどうしてだと思いますか?
ユウキ:うーん、ちゃんとアイデンティティ持ってたからかなあ。去年アメリカに行って帰ってきた時、一番に思ったのが「日本人らしさを忘れちゃいけないんだ」ってことで。海外の音楽からいっぱい影響受けて作品を創ってるけど、見た目まで海外にかぶれてしまったりするよりも、日本生まれってことに自信持って、例えば黒髪でいようとか、アジアンフェイスを生かそうとか、日本語で伝えようとか。そのまんまを疎かにしない。そうしていったことが今回伝わったのかなと思った。唯一無二の個性として出たのかなって。
EMTG:なるほど。新作「わがまマニア」は、EP通して「わがまま」がテーマになってるんですよね?
ユウキ:……うん! いいよね? 後付けなんだけど、いける!(笑)結局いつも「コンプレックスを持ってていいんだよ」っていうメッセージを伝えたくて、この「わがまマニア」もそう。わがままは“自己中”っていう意味よりも“我がまま”。自分が自分らしく自分のままに生きてる、そういう自分を肯定してほしい。つまり、コンプレックスがあってもそういう私がかわいいんだって思ってほしい。そのテーマはずっと変わらないんだよね。5曲全部そういう感じかな。後付けだけど共通してると思う。音はその時の気分って感じかな? 今のCHAI。
EMTG:1曲目の「We Are Musician」はUSツアーに向けて創った曲なのかと思いました。
マナ:いや違うの。ただただ「Musician」って言葉が言いたかっただけなの。あと、カートゥーンネットワークをイメージしたの(笑)。カートゥーンネットワークがすごい好きで、あれのテーマソングみたいな勢い良いのが創りたくて。
EMTG:曲名のごとくミュージシャンとしての意思表明のような曲ですけど、<間違えられがち><勘違いさせがち>って何に間違えられるんですか?
ユウキ:これは、CHAIがミュージシャンと思われないっていう。CHAIはMVでもあんまり演奏シーンを見せたくなくて。そのせいか、変わったアイドルかクリエイター集団か、とにかくミュージシャンと思われてないっていう話をきいて。演奏してるの?弾けるの?って言われてるっぽかったから、ここは「いやいや弾いてますから。ミュージシャンだぞ」って言っとこうと思って。弾けるからこその<Dancing>だぞと。今改めて「こんにちは、ミュージシャンです」ってことを曲にしてみた。
EMTG:「アイム・ミー」は「わがままな私でいい。我慢しなくていい」というメッセージを投げかけてますよね。そもそもCHAIに自由さを感じるのって、逆説的に日本の人が慢性的に我慢してるからじゃないかとも思うんです。
カナ:あはははは(笑)。めっちゃわかる。
ユウキ:学校っていう狭い社会で、目立たないように生きてきたもんねえ。4人とも我慢してきた経験アリだから。ネガティブ出身(笑)。CHAIがやってるような音楽を学生の頃に聴きたかったな、っていう思いを込めて歌詞にしてる。小さい時に「そのままでいいんだよ」「解き放て」って言われてたら何か変わってたかもしれない。だから今CHAIが言うっていう。
カナ:私も小学生中学生の時、恋愛とかじゃなくてこういう歌詞の曲が聴きたかった。
EMTG:私ももっと前にCHAIの音楽に出会っていたら、自分のコンプレックスとの向き合い方が変わっていたと思います。私はお金をかけてコンプレックスを矯正したことがありまして。自分がハッピーに生きる術を取捨選択したと思って後悔はしてないんですけどね。
ユウキ:それすごくわかる! そういえば最近、脱毛サロンのミュゼプラチナムのCMソングに「sayonara complex」を使ってもらってるんだけど、CHAI的にはすごいうれしいの。CMもすごく良い内容だし。でも「そのままの自分が一番かわいいって言ってるのに、コンセプトと反してない?」みたいな意見があって。違うんだよね。
カナ:“そのまま”って、スッピンでずっといることじゃないんだよ。髪も染めないわけじゃないし、眉毛だって描かないわけじゃないの。“そのまま”って、自分がこうありたいっていう像そのままってことやから、脱毛してもそれが自分のなりたい自分だったら全然いい。
ユナ:自分がハッピーになれる手段だったら脱毛もいいなって思うよね。
ユウキ:おしゃれだよね。おしゃれを楽しみたいから口紅だって塗るもん。それで自信持って出かけられるなら、そんな素敵なことないよね。自信を持った自分が、初めての“そのまま”の姿だと思うの。何かのせいで閉じこもってただけで、本来の自分はもっとパッとしているはず、みんな。それが本来の自分に戻れるんだったら、きっかけは脱毛だろうがなんでもいいの。だからCMはそういうふうに伝わるといいな。
カナ:私たち、全然かわいいって言われる部類じゃないけど、そういう人たちが堂々とハッピーにいろんなことをやることで、みんなにもっと自信を持ってほしくてやってるの。それは私たちにしかできないことだと思ってる。だからそういうことをいつも楽曲でも伝えたいんだけど……間違えられやすいよね。
EMTG:ぜひ発言そのまま書いておきます。新曲の話に戻って、「フューチャー」はアウトロのドラムが最高ですね。
ユナ:やったーうれしい! スネアの音からハイハットの粒立ちまで、めっちゃ細部までこだわったかも。16分(音符)を両手じゃなくて片手で叩いたの、黒人のグルーヴィな感じを出したくて。あと変な粒立ちの雑音が入ると“16感”が損なわれると思って、エンジニアさんに小出しに「粒立ち……!」って言ったりして。すいません、熱くなっちゃった(笑)。
マナ:出してこ! 出してこ!(笑)
EMTG:「FAT-MOTTO」は、コード楽器のアレンジを担ってるカナさんの仕事ぶりが光ってました。
ユナ:いつもすごいよ、カナ!(拍手)
カナ:ありがとう! 「FAT-MOTTO」はね、CHAIなりのBeckが表現したくて。去年「Colors」ってアルバムの1曲目(「Colors」)がグサグサ刺さって、どうしてもあのリズムを出したいがために創りました。ベースラインとドラムとコーラスに関してはBeck。ちょっとQueenもありつつ……とにかくBeckだよね、誰にも気づかれないけど気持ちはBeck(笑)。
EMTG:そして「Center of the FACE!」は、ユウキさんが詞で「どんな鼻もみんな違ってみんないいよね」という博愛的メッセージを表現しました。
ユウキ:詞はアレンジができたあと最後に乗せるんだけど、この曲は、すっごい広いところでやってるイメージが湧いたの。CHAIが何万人の前で叫びながらライブしてるイメージ。だからそこで何叫ぼうか考えた時に、体の中で1カ所でも自信持てるところがあったらすっごい自由になれるなって思って、その1カ所を鼻にしたの。例えば鼻でいいから、鼻だけにこんなに自信があったらそれだけで1曲できちゃうし、なんでもできちゃうっていう感じ。まさに<光るヒロイン>。だから愛を込めて鼻のことだけを歌った。
EMTG:大きなところで演奏してるイメージが湧いてきたというのは、今のCHAIだからかもしれないですね。
ユウキ:あ、そうかも。会場もだんだんステップアップしてきたし、もっと広いとこでもっとたくさんの人の前でやりたいし、現実的に見えてきたから。「PINK」は妄想で広がる世界を曲にしたって感じだけど、今回は人前でCHAIがどうあるべきか、どういうCHAIでありたいかを考えるようになったよね。
マナ:うん。ライブ中にお客さんの顔とかをちゃんと見れるようになって、あの子笑ってるとかあの子泣いてるとか、そういうのを想像しながら創れるようになった。
EMTG:CHAIはいつも発想や打ち出し方が素晴らしいので、この先もどんなことをやってくれるのか楽しみです。
ユウキ:やりたいこといっぱいあるよね。“コンプレックスランド”作りたい(笑)。巨大な鼻の穴からブーンって出てくるジェットコースターとか、コンプレックスがアートになってるとか。
マナ:なんでもいいの? お菓子の家でライブとー、宮殿でライブとー、あと空飛びながら歌いたいし、アザラシの上に乗って歌いたい(笑)。いろいろある!
ユウキ:動物大好きだから動物を守るチャリティライブもしたいし、双子ばっかりのライブもしたいし……。
カナ:CHAIのアパレルブランドもやりたいし、スタジオ持ちたい。
ユナ:UFOに乗って登場してUFOに乗って帰るライブやりたい。
EMTG:(笑)。そのためには何が必要ですかね?
カナ:売れなきゃできない(笑)本当に表現したいことって、認めてくれるお客さんがいてやれることやから。認めてもらえばわたしたちが伝えたいことが、たぶん「かわいい」になると思う。
ユウキ:マイケル・ジャクソンくらいになったらできるかな? アジアの顔になりたい。いや、地球で有名な人になりたい!(笑)

【取材・文:鳴田麻未】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル CHAI

リリース情報

わがまマニア

わがまマニア

2018年05月09日

OTEMOYAN record

1.We Are Musician
2.アイム・ミー
3.フューチャー
4.FAT-MOTTO
5.Center of the FACE !

お知らせ

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ユナ
いなば グリーンカレー
グリーンカレーが作りたくて、いなばのグリーンカレーがおいしいよって誰かに聞いて。カレー好きなんですよねー。



■ライブ情報

3rd EP「わがまマニア」リリース記念 Because ウィーアー・CHAIトゥアー ~ワンマンだよ~
06/22(金)大阪Music Club JANUS
06/23(土)名古屋JAMMIN’
06/29(金)仙台LIVE HOUSE enn 2nd
07/01(日)札幌BESSIE HALL
07/07(土)福岡DRUM Be-1
07/12(木)東京LIQUIDROOM
07/14(土)渋谷CLUB QUATTRO[追加公演]


Eggs presents FM802 Rockin’Radio! -OSAKA JO YAON-
05/20(日)大阪城音楽堂

LOVE MUSIC FESTIVAL 2018
06/01(土)新木場 Studio Coast

百万石音楽祭2018 ~ミリオンロックフェスティバル~
06/02(日)石川県産業展示館1 ~ 4 号館

日比谷野音95周年・日比谷公園115周年記念 KPP CAMP~もんだいガールとネガティブボーイとNEOたち~
06/03(日)日比谷野外大音楽堂

OUR FAVORITE THINGS 2018
07/08(日)岐阜・各務原 河川環境楽園

カローラ福岡 Presents NUMBER SHOT 2018
07/21(土)国営 海の中道海浜公園 野外劇場・子供の広場

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2018 in EZO
08/10(金)石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ
08/11(土)石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ

MONSTER baSH 2018
08/18(土)国営讃岐まんのう公園
08/19(日)国営讃岐まんのう公園

中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2018
09/22(土)岐阜県中津川市 中津川公園内特設ステージ
09/23(日)岐阜県中津川市 中津川公園内特設ステージ

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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