遊助 ソロデビュー10周年を経て、“あの名曲”のカバーも収録された、待望の8thアルバム
遊助 | 2018.05.29
来年、歌手デビュー10周年を迎える遊助。その明るさを交えた活力溢れる歌声や楽曲テーマたちは、聴く者の気持ちを明るく前向きにさせてくれるものばかりだ。 そんな彼から8枚目のアルバム『あの・・こっからが山場なんですケド。』が届けられた。作品毎に様々な新境地やテーマを交えながらも、常に“遊助らしさ”が根底に擁された楽曲を贈ってきた彼。今回は更にその辺りが強固になっているのも印象深い。より自身に近づき、彼の様々な側面が伺える今作。「山」を裏テーマに綴られ歌われた楽曲たちは、今回も聴く者の多くの気持ちを重ねさせてくれる。 今回は、10年の活動を振り返りつつ、新作についてたっぷりと語ってもらった。
- EMTG:いよいよ来年は歌手デビュー10年ですね。他にも色々とお仕事をされている中、作品リリースや全国ツアー等々、毎年キチンとコンスタントに音楽活動をされている姿勢に驚いています。
- 遊助:僕自身、驚いてますよ(笑)。それこそ当初は、みなさんに好評をいただき、声をかけていただいたので、「じゃあ、やりましょうか」レベルでのスタートでしたから (笑)。それこそ“何をどうやっていいのか?”の連続で。目の前の一つひとつをやっていくうちに気づいたら、ここまで来ていた感じなんです。
- EMTG:ここまで熱意を持って続けてこれた原動力は何だったんでしょう?
- 遊助:やはり期待して待ってくれている人たちの存在でしょう。少しでもその方々のプラスになるような言葉や歌、メッセージなんかで笑顔を増やしたいですからね。その為にも“初めまして”の方でも楽しめるショーを考えたり、曲も作ってきたし。その繰り返しでした。パッケージにしても、つい遊び心を入れたくなっちゃったり。開く楽しみみたいなものを想像しちゃうと、結果こうなるんですよね(笑)。
- EMTG:その人の為に届ける歌こそが自身の喜びだったり?
- 遊助:まさにそこです。制作している時、歌っている時は、完全にその人に向けて歌ってますから。毎度タイトルからして、「今回はこんな曲たちですが、よろしかったらいかがですか?」じゃないですか(笑)。とは言え、もちろん“自分も楽しむ”が大前提にありますよ。まず自分が楽しまないと人が楽しめるものなんて提供出来ませんから。
- EMTG:今回の取材に際し、遊助さんの過去の作品を改めて聴き返したんですが、作品を追う毎に表現の幅の広がりや自身の歌に対する表情づけや歌のキャラクターの表現力のアップを感じました。
- 遊助:その感想は嬉しいですね。まさに1作1作で自分の新しいシャッターをひとつづつ開け続けてきた感があるので。作品毎に前作を越えていくテーマや表現力の課題もあったし。あと、段々と作りものじゃなく本物になってこれたかなって。
- EMTG:それは、「どんなテーマや表現をしようが俺が歌えば遊助なんだ」との自信やアイデンティの芽生えや確立だったり?
- 遊助:いや、まだまだですよ。言わばまだ、1人の人間の色々な側面を表しているレベルで。役者にしてもタイトル毎に全く役やキャラクターが違うじゃないですか。自分で演じ分け、逆にそこに自分との合致するポイントを見つけていく。それと似てる気はします。でも全く違うのは、予め台本があるわけではなく、ゼロから自身で作り上げなくちゃならない部分で。そういった意味では、「なんと言われようが、これを歌っているのは俺自身だもん」は以前に比べ強くなってるかな。
- EMTG:あとは作毎に「裏切らない面と裏切る面を同居させてきた歴史」のようにも映りました。
- 遊助:その辺りは毎回、自分でもワクワクしながら制作していますからね。“俺、今回、どんなことが思い浮かんだり、やっちゃうんだろう……?”って。まるで幽体離脱しているように、客観的に自分を遊んだり、楽しんでる節があります (笑)。やはり自分の紡いだものが、みんなの物語になったり、大切なものになってくれるって嬉しいじゃないですか。ライヴでもリアクションから毎回、“ああ、こんな俺でもいいんだ……”って教わったりもするし。そこで更にギアが入って、「またいい作品を作るぞ!」「いいライヴをするぞ!!」となる。あと、こと裏切りに関しては、当初から「適度の裏切りをずっとしていきたい。それが遊助だから」とスタッフにも伝えていましたから。毎回そんな「こんなん見たことないでしょ?」を入れ込みたくて。周りのスタッフやそれを具現化してくれる方々はヒヤヒヤしてるでしょうけど(笑)。かと言って裏切り過ぎてもダメなんですよね。
- EMTG:今作もその辺りの同居も印象深いです。
- 遊助:今回もバラエティに富んでますからね。聴き返しても「俺っぽいな」と感じる反面、「あっ、今回はこんな俺も出てきたんだ」なんてところもあったし。自分内発見をしながらも自分らしさが確認できました。ベースや芯をキチンと持ちつつ、新しい面や違った枝葉を今回もキチンとつけられたなかって。
- EMTG:ちなみに今作の制作に際して、何かテーマを設けたりは?
- 遊助:裏テーマとしては「山」がありました。いつも僕、先にテーマを決めて、それをモチーフに色々な角度から各曲に落とし込んでいくんです。で、今回はその山を昇り切る力や登頂した際の勝利感、頂上での良い眺めやそこに到着するまでの道のり、また、ナチュラルさをテーマにした曲や迷い道と人生の迷いをかけてみたり。中腹で休むことの大切さとか。そこから浮かんだビジョンに「登場人物たちがそこで何を言うんだろう?」と。基本、今回も各曲の絵から浮かんでくる物語を、自動速記みたいにガーッと描いただけなんですよね、歌詞に関しては。
- EMTG:恒例の「History」シリーズ。いよいよ第6弾で今回は弟さんの話ですね。
- 遊助:これまでもそうだったんですが、このシリーズだけなんですよね、実話から作られた曲たちって。この曲に関しては、弟が以前結婚しまして。その際に作って贈ろうと思っていたんですが実現できず。で、今年その弟に子供が生まれたんで、この曲を贈ろうと。
- EMTG:と言うことは、遊助さんと自身のおばあちゃんの実際のやり取りを想起させた「ばーちゃんの背中と僕の足」は、こんなにリアリティがありながらも、自分の経験値からの歌ではなかったってことですか?
- 遊助:そうなんです。がっかりさせるとあれなんですが(苦笑)。この曲に関しては、やはり山って昇りだけじゃなくて下りも必ずあるじゃないですか。それは人間も一緒で。経験値が増えていくにもピークがあって、それ以降は逆に忘れていくことも多い。その対象さやコントラストを孫とおばあちゃんに例えて歌にしてみました。そのバトンタッチしていくことの素晴らしさを歌にしてみたくて。それをあえて、そのおばあちゃんを悲しませないように切ない言葉は避け、歌い方も聴く方の余白を残したり、より想いを重ねたり、みなさんの思い浮かべるおばあちゃんや育った家と想いを重ねやすいように明るく表現してみたんです。
- EMTG:「リベンジ」や「Stop Stop Stop」は、新しい遊助さんが垣間見れました。
- 遊助:「リベンジ」はあまりこれまで出してはきませんでしたが、速くて自分っぽいなと。性格も自分に近いし。
- EMTG:今回の遊turing(フィーチャリングの意)は、KIRA、MOOMIN、山猿を迎えてのものでしたが、いかがでした?
- 遊助:またまた3人3種、各々違った自分らしさを持っている方々だったので、一緒にやらせてもらってすごく勉強になりました。刺激にもなったし、また自分の違った一面を引き出してもらった感はあります。“気づいたら、こんな声が出ていた……”“こんな歌い方をしていた……”みたいな。今回もやって良かったし、今後もやり続けていきたいです。
- EMTG:「羞恥心の心」もやはり気になります。
- 遊助:10年近くやってきて、ようやく歌ってもいい時期にきたのかなと思って、今回入れさせていただきました。正直、勇気も要りましたね。でも、やはりこれがあっての今ですから。忘れてはいけないひとつの点でもあるし。当時から応援し続けてくれている方や当時を知らない子たちにも、「こんなこともやってきたんだよ」と伝えたいですね。
- EMTG:ここまで話を伺ってみて、今作はこれまで以上に「人間・遊助」に近い作品との印象が強くあります。
- 遊助:それは自分でも感じます。この曲たちに限らず、今回はより素の自分に近くなってるなって。こんなことを歌う俺も俺だし、こんな部分も俺だしって。今まで以上に自分に光を当て、「なんかもう気にしなくていいや!!」みたいな開き直りはありました(笑)。最もありのままの遊助に近い、まさに全方位的なアルバムになったかな……と自分でも思っています。
【取材・文:池田スカオ和宏】
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本日、ちょうど番組が一緒だったんで調べました。僕、基本、事前にドラマや番組での共演者の方の誕生日を調べるんです。で、もし誕生日が近い方がおられたら「おめでとう」と伝えたりして。それに限らず自分のツアーでも、参加して下さるスタッフ全員の名前と誕生日を覚えますよ。いつもそれを記入した単語帳を持ち歩いて、時間を見ては暗記してます(笑)。例えばツアー前の最初の顔合わせの際とかに、一人ひとりの名前と生年月日を言うと初めての人はたいてい凄く驚きますね。とても喜んで下さるし。で、ツアー中等でも、その方の誕生日が来たらみんなでお祝いしたりしています。
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