大橋ちっぽけ、1stミニアルバム『僕と青』から見えてきた世界

大橋ちっぽけ | 2018.06.06

 過程、通過点、この先、伸びしろ、可能性、未来…。「ここからスタート」や「まだまだこれから」との意味も含め、大橋ちっぽけのこの1stミニアルバム『僕と青』は「青い」ながらも、夜明け前や新しい始まりを予感させる、あの「藍(あお)さ」溢れる1枚だ。
動画投稿を活動の起点に、コンテストやテレビ歌番組の勝ち抜きでのグランプリ獲得等、輝かしい経歴を持つ彼。20歳に成り立てのそのセンスや感覚から生まれる各曲は、同世代のシンガーソングライターとは一線を画すものばかり。独特の感覚を擁した独特の観点から描かれた歌や、それを表現する歌表情からは、高いポテンシャルを有した表現力の豊かさやセンシティブさをも感じ取ることが出来る。
 そう、大橋ちっぽけは、今作と共に更なる広いフィールドへと、いま大きな一歩を踏み出す!

EMTG:大橋ちっぽけの「ちっぽけ」はもちろん本名じゃないですよね(笑)?
大橋ちっぽけ(以下、大橋):よく聞かれますが違います(笑)。元々これはインターネットで自分の歌を投稿していた際のハンドルネームで。多少目立つ名前で、格好つけてなくて、若干の謙遜も含め当時つけたんです。まぁ、今も変わらず自信満々のキャラには成れてませんが(笑)。
EMTG:自身の歌を投稿しようと思ったのは? あれはあれで自信がないと出来ないことです。
大橋:最初はやはり怖かったです。当初は他の方の唄を歌い投稿していたんですが、ある時、アコギの弾き語りの生配信を見て、「自分の曲を歌って演奏して」ってスタイルに憧れたんです。それが高校一年ぐらいで。元々ギターを弾き出す前から頭の中でメロディを作り出すのは好きだったんですよね。
EMTG:実際に歌い出してから、ここまでにどんな変化を経てきてますか?
大橋:当初は素直に自分の思ったことを歌ってました。当時は洋楽をほとんど聴いてなくて。いわゆる秦基博さんや清竜人さん等の日本のシンガーソングライターの楽曲ばかりを聴いていたんです。そこから徐々に、同じものを表すにしても、それをそのまま表さずに、同じ感情を持ちつつ違った言葉で表すように移っていったんです。
EMTG:同じ伝える行為でも、直接的な言葉から、それを感じたり、想像させる言葉使いへと変わってきたと。
大橋:そうです。でも、最初は色々と迷いました。聴いて下さる方にもっと寄せた方がいいのかな? とか。でも、最近は少しづつですが自分の歌を「良い」と評価してくれたり、推して下さる方々も出てきて下さって。嬉しいのと同時に、「これでいいんだ!」「間違いじゃなかった」との励みへと結びついてきました。
EMTG:歌的には多少覚めや、どこか達観的や客観的でありつつ、秘めた情熱や確かな熱量を感じます。
大橋:歌に関しては自分が歌っていて気持ちが良いものを目指してます。基本、メロディとコードから作るんですが、その時の気持ちに似合うコードを探して当てハメ、そこに似合う歌詞をつけていくスタイルです。歌も一語一句よりも、なんとなく「暗い」とか「明るい」、「寂しい」等の雰囲気がまずはキチンと伝わればいいかなって。極端に言っちゃうと、タイトルでそれを感じてもらえれば、ディテールはそんなに重要視してないんです。それよりも憂いや寂しさみたいな曲の持つ雰囲気を大事にしているので。
EMTG:では、伝えたいことや歌いたいことはあるけど、それをあえてみなまで歌わないと?
大橋:ですね。その辺りは洋楽を聴き出したのとも関係しているかもしれません。僕はそれほど英語が得意じゃないので、ディテールまで把握出来てはいませんが、あんな感じに曲の持つ雰囲気で楽しんでほしいんです。それを経て、結果、同じような気持ちの人たちとどこかしらで繋がれたらいいなって。
EMTG:でも、闇を歌いつつキチンと希望や光に向かっている歌が中心ですよね?
大橋:基本、自分は底抜けに明るい人間ではないんです。どちらかと言えばマイナス思考で。そのような感情ばかりが歌になっていて。特に今回の『僕と青』の曲たちは、この不安定な日常や不器用さ、蒼さが根底にありつつ、希望や悲しさ、切なさを歌ったりしてますからね。
EMTG:ちなみに今作は大橋さんにとってどんな立ち位置の作品ですか?
大橋:まさしく今の自分のベストみたいな1枚です。もちろん全てを出せてはおらず、まだ未出な部分もありますが、今の自分が出せる最大限の表情が出せたかなと。曲の擁している暗さや悲しさ等のバランスの違いで各曲雰囲気も違いますからね。その辺りも表現し分けてるゾと(笑)。
EMTG:ちなみに今回の「オレガノ」のバックはバンドサウンドですね。
大橋:アレンジャーさんと色々と相談をしながら今の形に落ち着きました。俗に言う「バケる」とはこのことかと(笑)。今回、音色や配色で、曲の憂いさや明るさ、弾けたい部分の表現もアップ出来ました。伝えたいこと歌いたいことがより明確になってます。
EMTG:大橋さんが今作の聴きどころを挙げるとしたら?
大橋:これまでの僕の曲を知っている方は、アレンジでこのように変わった様を楽しんで欲しいですね。従来のアコギの弾き語りシンガーソングライターのイメージを一つ飛び越えられて新しい自分を見せれたと魅せれたと自負しているので。また、初めての方は5曲それぞれ雰囲気が違うものばかりですが、全曲共通して大事にしている部分もあるので、そこを気に入ってもらえたら嬉しいです。僕は曲を作る上でコード進行やメロディを最も大事にしてるんで、かなり耳に残る、聴き馴染みの良い曲たちになっているんじゃないかと。
EMTG:中でも特に「19」は、今の大橋さんと同世代の方々が有している、「大人でもない。子供でもない」、その心の機微を上手く表しているように映りました。
大橋:まだ19年しか生きてませんが、そんな中で今までの人生を振り返り、自分が想像していたものとは違っていてたことを歌にしました。
EMTG:ちなみに自身では、どんな19年間になる予定でした?
大橋:もっと山あり谷ありの楽しい人生かと(笑)。でも、実際は目の前のやりたいこととやらなくてはならないことをこなしていくうちに、気づけばここまで来ていた感じなんです。人生を振り返るには、まだちょっと浅はかだったなって(笑)。そんな不甲斐ない自分や、今なんとも言えない不安定な立場にいる19歳という感じを曲に込めてみました。
EMTG:でも、この曲はある意味、大橋さんの決意表明のようにも響きました。「自分は、そんな大人でも子供でもない場所で生きていく」「生きてやるんだ!」的な。
大橋:ですね。これまでこんな生き方しかしてこなかった自分ですが、それでも向き合わなくちゃいけない。それはこれからも続いていく。そんな決意を込めてます。今感じている不安や不安定な立場、複雑な気持ち等々。それを僕は「青色」と称してるんです。つまんない、ふがいない、何もない、そんな中で、それでも生きてきた自分を大事にしたいし、それが僕なんだって。
EMTG:それって、今作のタイトルにも通じますよね。
大橋:この曲を始め、どの曲にも「青」がテーマにあったりしますからね。
EMTG:それは大人でも子供でもない青二才的な自分といった意味の?
大橋:そうです。いわゆる未熟さというか。当たり前ですが、僕という人間はまだ完成されてないし、まだまだこんなもんじゃないと言いたいし、思ってるんです。そんな中、この世に出る最初の作品にタイトルをつけるとなると、やはり「今の自分です」となったんです。自分とまだ未熟な自分と向き合っている、そんな中から生まれた曲たちとの意味合いも込め、このタイトルにしました。「まだまだこんなもんじゃない!」との自戒も含め。
EMTG:いつまでも、ちっぽけなままじゃいないぞ! と。
大橋:ですね(笑)。自分が“これだ!”と悟ったタイミングで「これが俺です」みたいに本名に戻るかもしれませんから(笑)。その為にも今後は更に色々な自分を出せるようにしたいんです。で、名前が本名に変わったその時は、“ああ、やっとその時が来たんだ…”と察して下さい(笑)。

【取材・文:池田スカオ和宏】

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リリース情報

僕と青

僕と青

2018年06月06日

respond

1.君と春
2.オレガノ
3.19
4.信じてほしい
5.さよなら、ありがと

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2DS 上画面グラグラ

先日3DSの3D機能をなくした分、廉価になった2DSという携帯ゲーム機を買ったんです。で、やっていると上の画面がグラグラするんですよね。で、これは不良なのか? 最初からの仕様なのか? わからなくて、調べました。結果、仕様でしたね。他のみなさんも調べている人が多かったみたいで。あと同じくCスティックが固かったんで、これも不良か? 仕様か? 調べたんです。こちらも仕様でした。



■ライブ情報

「僕と青」リリース記念ミニライブ&特典お渡し会
06/16(土)13:30スタート
デュークショップ松山 店内イベントスペース

06/16(土)17:00スタート
エミフルMASAKI エミモール 1F グリーンコート

06/17(日)15:00スタート
タワーレコードあべのHOOP 1Fオープンエアプラザ

06/23(土)18:00スタート
代官山 蔦屋書店 3号館2階 音楽フロア

06/30(土)14:00スタート
山野楽器 成城コルティ 2Fコルティプラザ

wefan records×三軒茶屋GRAPEFRUIT MOON共同ツーマン企画 [The Lodestar "acoustic" # 3]
07/01(日)三軒茶屋GRAPEFRUIT MOON

夏福2018
07/8(日)大阪梅田周辺5会場

MONSTER baSH 2018
08/18(土)国営讃岐まんのう公園

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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