FOMAREの成長過程を描くニューミニアルバム『0.02』が遂にリリース!
FOMARE | 2018.08.07
1stミニアルバム『If I stay』から約8ヵ月ぶりにリリースした2ndミニアルバム『0.02』は、メンバー曰く、FOMAREにとって“ステップアップの1枚”。ライブでのヤンチャな姿とナイーブな歌詞世界という、FOMAREらしい二面性を残しながら、新たなことにハングリーに挑戦したという今作からは、今のFOMAREのモチベーションの高さが伝わってくる。なお、新曲のほか、『雨の日も風の日も』『新しい歌』といった既存曲も再録。そんな最新作『0.02』について、3人に語ってもらった。
- EMTG:FOMAREは昨年末に1stアルバム『If I stay』をリリースして、今年4月まではずっとレコ発ツアーを行っていましたけど、その中で“今回のアルバムはこういうものを作りたい”というヴィジョンは見えていたんですか?
- アマダシンスケ(以下、アマダ):単純に、“『If I stay』を超えたい”っていう気持ちはありました。
- カマタリョウガ(以下、カマタ):アルバム制作自体は、『If I stay』のツアーを終えてから作っていきたいって思っていて、このツアーを通してスキルアップしたものを『0.02』では見せたいっていうのが、大前提としてありましたね。
- アマダ:だから、ツアー中も新曲は1曲もやらずに廻っていて。ツアーファイナルのO-WESTでは、アンコールの時に先にできていた『夢から覚めても』という新曲を初披露したんですけど、それ以外の曲……再録曲(『雨の日も風の日も』『新しい歌』)と新曲は全部、レコーディングの直前に自分達を追い込みながら作りました。
- EMTG:そして、アルバムタイトルが『0.02』。この『0.02』って……。
- アマダ:コンドームです(一同笑)。このタイトルは、前回のツアーの追加公演で北海道に向かっている途中に閃きました。俺、このタイトルはダメだと思ってたんですよ。でも、2人共優しいので、即OKしてくれて(笑)。
- 樹下卓弥(以下、樹下):あはははは。
- カマタ:いや、俺としては、2ndミニアルバムだし、英語も日本語もちょっとどうかなぁと思ってたところに提案されたんで、超いいなって思ったんですよ。
- アマダ:いろんな意味で、距離感を表現してるタイトルだしね。FOMAREって、別れた恋人同士の曲が多いんですよね。だから、たぶん今回もそういう曲がたくさんできるんだろうなって思って、『0.02』にしようと。
- EMTG:でも、別れる曲が多くなると予想していたわりには、前向きな曲が多くないですか?
- アマダ:そうですね(笑)。言われてみれば、メロディーもいつもより明るい曲が多いかもしれないです。リード曲の『夢から覚めても』も、“明るくしよう”っていう意識を持たずに書いたんですけど、サウンド的にも、メロディー的にも、歌詞的にも、絶対に今までにない明るさがあるし。僕的には自信作ですね。……どう? 自信作じゃない?(笑)。
- カマタ:自信作だよ(笑)。さっきも言ったんですけど、『夢から覚めても』だけは2月くらいにはもうできていて。『If I stay』の後に新しく作る曲だから、僕としては、“これまでとは違う感じの曲にしよう!”って意気込んでいたところがあったんですよね。で、今までにやったことのない技法にも挑戦してみたので……。
- アマダ:FOMAREのニューカマーって感じですね(笑)。
- 樹下:結果論ですけど、最初に作った『夢から覚めても』が新しかったからこそ、後から作った曲も今までにない感じに仕上がったのかなって思うんですよね。『夢から覚めても』がいつも通りの仕上がりだったら、結局今回も、1stアルバムと同じ趣旨の1枚になってたんじゃないかなって。そう思うと、最初にこの曲ができてよかったなって思います。
- EMTG:個人的には、『夢から覚めても』というタイトルを聞いた時、『かわらないもの』(『If I stay』収録曲)の≪夢から覚めても あなたは居ないまま≫っていうフレーズが浮かんだんですよね。同じフレーズなのに、全然方向性が違うから面白いなって。
- アマダ:ああ、たしかに! 『かわらないもの』は夢から覚めたら居ないんですけど、今回は夢から覚めても一緒にいようねっていう感じの曲になってて……不思議というか、なんか恥ずかしいな。無意識で書いてました(照笑)。
- EMTG:意図的にリンクさせたわけじゃないんですね? でも、このフレーズに限らず、結構リンクしているところがありますよね。たとえば、“夜”のシーンを描いた曲が多かったりとか。
- アマダ:ああ、自分が歌詞を書く時って、絶対夜なんですよ。あと、実体験を歌詞にすることが多いんですけど、それを思い出そうとすると、夜から朝にかけての出来事ばっかり思い出すので、それが無意識に歌詞になっているのかなって思います。逆に、“朝”について歌ってる曲あったっけ?
- 樹下:『Lani』(『If I stay』収録曲)も朝帰りしてる歌だから、“夜から朝にかけて”だしね。
- アマダ:そうそう。朝から飲んでるみたいな曲、ないよね(一同笑)。
- EMTG:ライブ中は、ダイブをしたり、明るく荒ぶっている印象がありますけど、歌詞だけ見ると、アマダさんはすごくナイーブな方なんだなって思います(笑)。
- 樹下:アマダは、基本的なフォーマットはハッピー人間なんですけど、1人になった瞬間に、メンバーと一緒にいる時には考えないようなことを考えちゃう人なんですよ。友達のこと、恋人のこと、バンドのこと。だから、今回のアルバムは、根本的には“夜から朝”のことを描いていると思うんですけど。ハッピーだった日の“夜から朝”、個人的にちょっと落ち込んじゃってる日の“夜から朝”……いろんな時系列の“夜から朝”があるなっていう感覚で、僕は捉えていて。そういう1人でいる時の姿をメンバーには絶対に見せないから、僕はアマダをメンヘラって呼んでいます(笑)。
- アマダ:メンヘラではない!!(一同笑)でも、ハッピーすぎる時には歌詞が書けないので、歌詞を書いている時はだいたい鬱状態ですね。
- EMTG:だからこそ、制作期間を終えてステージに立った時に一気に弾けるんでしょうね。『If I stay』のツアーファイナルも、1曲目の『君と夜明け』の冒頭からして爆発力がすごかったですし。
- アマダ:とくに『If I stay』は、初めてのミニアルバムで、初めての全国流通盤で。なおかつ、ツアーファイナルのO-WESTは、自分達にとって最大キャパだったし、追加公演でSOLD OUTっていう状況だったから、すべてを出さなきゃ! っていう気持ちがすごくあったんですよね。だから、爆発感がすごかったし、そこからの3人のグルーブも良い感じになったのかなって。
- カマタ:そうだね。しかも、その爆発感をメンバー全員が感じていたから、良いモチベーションのまま、『0.02』の制作に移れたのかなって思います。……ただ、曲がなかなかできなくて(笑)。アマダがメロディーを持ってこないと、アレンジできないので、アマダ待ちみたいな時間は結構ありました。
- EMTG:今回、とくに難産だった曲はどれですか?
- アマダ:新曲はほぼ全部です。4曲目の『mirror』はわりとスムーズに歌詞もできたんですけど、1曲目の『君の涙が乾く頃』と3曲目の『HANABI』は全然できなくて大変でした。
- EMTG:距離っていうキーワードがあるし、『HANABI』に関しては夏の恋が描かれているから、なんとなく書きやすいような気がしちゃうんですが。
- アマダ:いや、めっちゃしんどかったです。江ノ島が大好きなんで、どうしても江ノ島感を出したくて。レコーディング中、歌詞ができなかったから、下北沢から「歌詞書いてくる」って言って1人で江ノ島に行ったんですよ。で、ビールを飲みながら書きました。
- カマタ:お前、レコーディング中に江ノ島行ってたの!?(一同笑)。
- EMTG:取材で明かされる新事実(笑)。ちなみに、なんでそこまで江ノ島に思い入れが?
- アマダ:昔に、彼女と喧嘩して、めちゃくちゃ落ち込んで1人で江ノ島に行ったことがあったんですけど、その1ヵ月後くらいに仲直りした後に行って……その時の悩みとかが全部、掻き消された感じがあったんですよね。それを歌にしました。
- 樹下:『HANABI』も、今までのFOMAREにはないJ-POPっぽさがあって新鮮でしたね。歌詞とかは難航したんですけど、曲の方向性は決まっていたので、ドラムのアレンジをつけるために、普段だったら聴かないJ-POPの音楽を聴いて、J-POPのドラムを研究していて。そういう新しい要素も取り入れつつ、ツアーで対バンしたドラマーから盗んだ要素も取り入れつつ(笑)、ハングリーに制作しました。俺はあんまり感性が豊かなほうではないので、こういうスッと入ってくるわかりやすい歌詞の曲が好きですね。
- EMTG:これからの季節にピッタリの曲ですよね。カマタさんのイチオシ曲はどれですか?
- カマタ:強いて言うなら、『mirror』ですね。これはめちゃくちゃ特殊だと思うんですけど、ウチはメロディーや歌詞を作ってるのがアマダなので、それに沿うように、ギターソロを考える時もアマダに具体的なイメージをもらってから弾くんですよ。たとえば、“東洋の美女が階段を歩いてる感じ”とか(一同笑)。そんな中でも、『mirror』のギターソロは、とくに曲の世界観に沿ったものに仕上がっていて。もちろん、全曲子供のように可愛い曲達なんですけど、『mirror』はとくに優秀な子供だなって思いました。
- アマダ:本当にそうだよね。今回のアルバムは、コーラスワークやメロディーの聴きやすさも前作以上にこだわっているんですけど、そういう意味でも、『mirror』はFOMARE史上一番素敵なバラードになったと思います。だから、コーラスワークにも注目して聴いてもらいたいですね。プラス、シンガロングする曲も多いので、『夢から覚めても』のサビとかは、遠慮せずに一緒に歌ってもらえたら嬉しいです。
- EMTG:今年は夏フェスにも多数出演しますし、10月には『FOMARE pre 0.02 tour』も控えているので、『0.02』の曲達が良い武器になりそうですね。
- カマタ:そうですね。これまではライブハウスでのライブがメインで、フェスは今年からの参戦になるので、自分達の強みや反省点も見直しながら、1本1本勝ちに行く気持ちで挑みたいと思います。
- 樹下:うん、フェスは初体験が多いと思うので、たくさん学びたいですね。伸びしろのあるバンドになりたいです。そして、ワンマンツアーでは、“これがFOMAREです”っていう世界観をちゃんと伝えていきたいなと思います。
【取材・文:斉藤碧】
リリース情報
0.02
2018年08月08日
small indies table
1.君の涙が乾く頃
2.夢から覚めても
3.HANABI
4.mirror
5.雨の日も風の日も
6.新しい歌
2.夢から覚めても
3.HANABI
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