オメでたい頭でなにより、待望の1stフルアルバム『オメでたい頭でなにより1』

オメでたい頭でなにより | 2019.01.01

 オメでたい頭でなによりのニューアルバム『オメでたい頭でなにより1』は、どこか筆者に「旗」を想起させた。オメでたい頭でなによりの5人が旗手となり、風を集めた旗を気高く誇らしく、大勢の先頭に立ちその行き先を示唆し走っているーー。初のフルアルバムとなる今作は全12曲入り。1曲当たりの分数はコンパクトに、しかしどの曲もそのぶんギュッと中身が凝縮され、テンポ良く聴け、満腹にさせてくれる楽曲ばかりだ。それまで使っていなかった表現や導き論を交え、従来以上の幸福や楽しさへの誘いが、これまでとはまた違った方法論で我々を導いてくれる。そして、彼らのライブのを見終わったあとのように前向きで明るい気持ちになれる楽曲が数多く揃っているのも特徴的だ。ハッピーへとつながる明確な道しるべがここにある。

EMTG:2018年度はみなさんにとって濃厚な1年だったように映りましたが、実際いかがでしたか?
赤飯:いやー、あまりにも濃すぎて、この1年ほんとアッと言う間でした。頭にベスト盤を出してメジャーデビューをして、夏フェス出まくって、アニメのタイアップが決まって、主催対バンツアーを行いながらの今作の制作でしたから。もう、やりたかったことはほぼ出来たかなと(笑)。
ぽにきんぐだむ:2017年に想定していた2018年の達成目標をはるかに超えられました。「タイアップ欲しいね」とか「いろんなフェスに出たいね」など目標にしていたことは全て実現できましたね。
EMTG:テレビにも出演し、演奏もしましたもんね。
ぽにきんぐだむ:そうだ! それもあった!! 2019年はまだ目標を公言していないので、ここで言っちゃう?
EMTG:言っちゃいましょう! 
赤飯:僕ら2019年はいい意味で横ばいで行こうと考えていて。この1年は今後の更なる飛躍の為にも準備の年にしようと。しかるべき時の為にグーッとばねを押し込む1年にしたいというか。逆にそれが必要な年にもなりそうなんです。もちろん2018年より落ち込むことは絶対にありませんよ。というのも、今回のアルバムで凄く成長できたとの自負を持っているんで。その成長を更に研ぎ澄ませるためにも重要な1年にしたいんです。
EMTG:とは言え、このご時世、横ばいで行くことすら難しい時代ですが。
mao:もちろん承知してます。その為にも一つ一つを大切に濃厚にしていかなくちゃならないわけで。それもあり、あえて派手に風呂敷を広げず、着実に結果を残し続けていく。そうすれば、おのずと(先の2019年のスタンスも)達成できると考えているんです。
324:そもそも僕たちブレイク自体にそこまで執着しているバンドでもないんです。自分たちの実力に裏打ちされた、それに見合う相応しい場所に行きたいだけで。
EMTG:意外です。最初に取材をしてからかれこれ一年ちょっとが経ちますが、最初の際はもっとギラギラしていた印象もあったもので。なんか当時は、「うおりゃー! 俺らが天下取ったるんじゃい!」みたいな。
ぽにきんぐだむ:その辺りは今でも持ってるし変わってないですね。ただ当時は中身が伴わずに発言していたものも、今はキチンと分相応の発言に変わったというか。以前はやはり世間を振り向かせたい的な面が大きかったですからね。奇をてらったり、面白い部分を全面に出したり。でも今や自分たちとしても背負うものや、キチンと自分たちを見ていてくれる方々の存在もありますからね、その人たちの分も…みたいな気持ちも芽生えてきています。やはり技術や曲や姿勢、それら中身を伴っての一番を目指すべきだと。
赤飯:2018年に色々なことを経験させてもらったことも手伝い、より様々なものが見えました。そのお蔭でより地に足がつけたし。ここまで闇雲にガムシャラに目標や目的地も想定せずに走ってきましたが、天下を取るための、これから歩かなきゃいけない目標や目的地がより明確になったんです。ある意味、それって自分たちの成長ってことなんでしょう。
ぽにきんぐだむ:そうそう。けっして野心がなくなったわけではないんです。
324:そこに向かう為に、より明確に具体的にこうやって上って行こうとの方法論が見えてきての2019年の展望だったりもするんです。
赤飯:まさに。ギラつきを残しつつ虎視眈々と、というか。
EMTG:そう考えると2018年はオメでたにとっても大事なものや大切なものがより明確になった一年でもあったと。
324:そうですね。それを自覚出来たかにらこそ、それに相応しい自分たちらしい上り方をしていこうとの意識が更に強くなったんです。
EMTG:そんな中、それを具現化や可視化させるような今回のフルアルバムですが。今作はわりと今までの笑わせやあるあるではない部分での共有感や芯のハッピーさを作品全体から感じました。
赤飯:おっ、鋭い! 今作から自分の作詞の姿勢が変わってきた部分です。それこそ作詞に関しては「ガラッと変わった」と言っても過言じゃないぐらい。今まではわりと言葉遊びを軸に歌詞を書いていましたが、今回は今まであえてふたをしてきたネガティブさも曝け出しました。それを認めた上で、ハッピーに向かえるし、より近づける。そんなことを念頭に歌詞を書いた曲が増えました。
EMTG:それには何かキッカケがあったんですか?
赤飯:これまではネガティブなことがあってもそれをポジティブにかみ砕いてアウトプットしていく、そんな信条でやってきたんですが、それが本当に落ち込んでいる当人にとっては、逆に「ヤメてくれ」「余計落ち込む」という捉え方になってしまう場合もあることを改めて知ったんです。もちろん自分たちもネガティブさを抱え、それをあえてポジティブさに変換して放ってきた自負はあったんですが。もっとそういった人たちにも寄り添いたいし、ファンはもちろんですが、世の中にはもっとモヤモヤとした気持ちを抱えている人たちが大勢いるし、中には救いを求めている人たちもいる。そんな人たちの存在も意識し始めたんです。
EMTG:それはまたすごい方向に。
赤飯:今回は、あえてそこにキチンと向き合って歌詞を書いてみたんです。あとは、それが出来たことで逆にうちらがこれまで打ち出してきた「ハッピーさ」というメッセージも際立ってくると思ったんです。
EMTG:でもネガティヴさを表しつつも、最終的にポジティブに持って行くところがみなさんらしいです。
赤飯:そこで終わるんじゃなく先まで照らしてあげる、それが自分たちの流儀だし責任です。
EMTG:そこに寄り添うようなアレンジの印象も受けたんですが、その辺りはみなさんいかがでしたか?
324:元々自分の中ではそういった考え方をして楽曲を作っていたところもありました。逆に今回にしても何も考えずに、いつも通り曲を作って赤飯に渡したら、このような歌詞が乗ってきたんで、より合致したというか。元々自分たちのやっているラウドロック自体が、スクリーモに代表されるように、モヤモヤを叫んで発散する音楽性でもあるので。その辺りも含め、全てが本来のあるべき姿に至れたのかなと思います。
EMTG:でも、それをそのままダイレクトに表さないのもオメでたらしいですね。
324:絶望を抱きつつもそこを抜け出したい。希望を持って生きたい。それは人間誰しも持っていることでしょうね。やはり最終的にはどんなに地獄や闇に感じていても、どこか救いの部分を見出し生きていて良かった。楽しいなと感じてもらえる。それがある種の理想なんです。そこにより一歩近づけた感はあるかな。
赤飯:それを掲げ、より先導していきたいとの思いもあります。
mao:今回は特に赤飯の成長を見ながら各曲に挑んだ感が凄くあって。完成したものを聴き返してみて、ようやく「ああ、こういったことが言いたかったんだ」「伝えたかったんだ…」が分かって。より感心しました。
ミト充:僕も今作の一番の変化は赤飯の歌詞だと感じます。けっこう難産で悩んでいる光景も見てましたけど、赤飯の狙う照準がより的確になってきた印象もあって。おかげさまで過去最高にいいアルバムが出来ました。
赤飯:それこそ歌詞は歌録りの前日まで悩んでました。今回は笑っちゃうぐらい悩み過ぎて出来なくて(笑)。実は伝えたいことを伝えるべく人にキチンと伝えることって、こんなにも難しいことだったんだと改めて気づきましたね。
ぽにきんぐだむ:それも自分たちの立ち位置が分って、それに自覚的になったのも作用してますよね。自分たちはどこに向けてどう発信したらいいんだろう? って。それが更に明確になった感はあります。
EMTG:あと、気になったのは各曲の分数でした。以前は各曲5分前後で伝えていたものも、今回はどの曲も3分前後じゃないですか?
赤飯:今回は、「無駄に長くすることはヤメよう」というのがあって。
324:我々の音楽性って色々な要素を1曲の中に詰め込んでいくタイプじゃないですか。で、作って気づいたら長くなってた。でも、そのまま出しちゃおうってパターンだったけど、密度が濃い上に長い曲ばかりだと、やはり聴き手もお腹いっぱいになっちゃう。なので、いい具合にかいつまんで聴ける、そんないいバランスのアルバムにしたいというのが念頭にあったんです。そう考えると、これぐらいがちょうどイイだろうと。どの曲もサビが2回出てくるぐらいに留めてます。
ミト充:その上、アルバム用の新曲でもある「鯛アップ」や「チャバシラタッター」なんて超短いですよ。
ぽにきんぐだむ:むちゃくちゃ収まりのいいアルバムになりました。でも、この1曲当たりの短さについても、より言いたいことがまとまってきたのにも関係していると思います。それによって、より引っ張って行く意識、しかもそれも闇雲ではなく、どこに引き連れていくか? そこまでより明確になった各曲でもあります。
赤飯:とりあえず今まではどれだけ速く走れるかしか考えてこなかった。だけど今は走りながらも、そこで倒れている人がいたら起こしてあげて、一緒に走ってあげられるだけの余裕が生まれたし視野も広がりました。そういった意味での寄り添う1枚になれた実感はあります。

【取材・文:池田スカオ和宏】

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リリース情報

オメでたい頭でなにより1

オメでたい頭でなにより1

2019年01月09日

ポニーキャニオン

01.ザ・レジスタンス
02.鯛獲る
03.鯛アップ(TVサイズ)
04.日出ズル場所
05.言葉のあやや
06.We will luck you
07.ピ
08.サイレンとジェラシー(オメワン Ver.)
09.終わらない恋からの脱出(妄想LIVE Ver.)
10.歌謡サスペンス劇場~わたしがやりました~(オメワン Ver.)
11.HELL”O”
12.チャバシラタッター

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

オメでたい頭でなにより"1"マンツアー 〜今 いくね くるね〜
02/09(土)千葉LOOK
02/17(日)水戸LIGHT HOUSE
02/22(金)名古屋ボトムライン
03/09(土)仙台MACANA
03/21(木)梅田CLUB
03/31(日)金沢vanvanV4
04/04(木)赤坂マイナビBLITZ
04/07(日)札幌Sound lab mole
04/11(木)広島SECOND CRUTCH
04/13(土)高松MONSTER
04/14(日)福岡LIVEHOUSE CB
04/21(日)松阪M’AXA

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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