CHAI、2ndアルバム『PUNK』で見せたパンクスピリット
CHAI | 2019.02.12
昨年はアメリカのBURGER Records、イギリスの名門インディーズレーベル・Heavenly Recordingsと契約し、1stアルバム『PINK』をリリース。アメリカ西海岸ツアーや8人組多国籍ポップ・カルチャーバンド、Superorganismとのワールドツアーに参加するなど、海外での動きも活発だったCHAI。国内では数々の大型フェスにも軒並出演を果たし、全国ツアーも大成功に収めている。そんな充実の日々の中で作り上げてきたのが、2ndアルバム『PUNK』だ。様々な価値観や新しい刺激に触れながらたどり着いた、4人ならば絶対にやれる、私たちは間違ってないんだという強い気持ちが貫かれた作品だ。
- EMTG:すごいアルバム作っちゃいましたね。この充実度、ちょっとした事件じゃないですか(笑)?
- ユナ:本当に!? 嬉しい!
- マナ:いいこと言う(笑)!
- EMTG:今作を作り終えてみて、率直な気持ちとしてはどうですか?
- ユウキ:とにかく早く聴いてほしい。
- カナ:うん。新しいCHAIを見てほしいね。
- ユナ:そもそも曲が濃いのに、今回は海外の方にミックスしてもらったり(※M-6「ファッショニスタ」、M-8「カーリー・アドベンチャー」)、映画の主題歌が入ってたり(「麻雀放浪記2020」の主題歌「Feel The BEAT」)、情報量としてもさらに濃くなってる。聴いてどう感じたか、みんなの反応が知りたい。
- マナ:2019年の所信表明じゃないけど、私たちはこうやって生きたいし、生きていくんだっていうアルバムになった気がする。これまでもそうやって生きてきたんだけど、それがより強くなったから、この強くなった気持ちでもっと広がってほしいなって思ってる。日本でもね。
- EMTG:今回は全曲シングルといっても過言ではないくらい、それぞれの曲の個性も、そこに向けたパワーも全開ですよね。今何が歌いたいのかもはっきりしてるし、たくさんのライブで得てきたものもしっかり形になってると思いました。
- ユウキ:っしゃー(笑)!
- カナ:目標だったからね。
- ユナ:伝わってるね! よかった!
- マナ:本当にその通り。2018年は特に、感じることが多かったんだよね。このアルバムは結構短期間で作ったんだけど、すごくやり切れたし、振り切れたなって思った。誰にどう思われてもいいから、私たちが今思っていることをやりたいし、今までと同じことは絶対にやりたくないしっていうのがはっきり見えてた。
- EMTG:そういう意味で、もっと新しい自分たちになる、突き破っていくっていうところに着地したんでしょうね。
- ユウキ:そうだね。さっきマナも言ったけど、感じることが多かったから去年はすごくブレたの。フェスもいっぱい出たし、Superorganismと一緒にイギリス周るとか初体験も多かったからね。芯持ってやってきたんだけど、あまりにいろんなことを感じすぎて感情がブレまくりだった。だから逆に「じゃあ、私たちって何なんだろう?」とか「私たちにできることはこれなんだね」ってコアが分かったというか、自信が持てたんだよね。「私たち4人だから大丈夫!」って気持ちも、4人の信頼もすごく強くなったし。それがちゃんとアウトプットできたから、結果的にはいいブレができてたんだなって思えた。
- カナ:怒りとか悲しみとか楽しさとか色んな感情があるけど、割と音楽作る時って怒りの方が多くて。それをどうやってアウトプットするかって、2018年は本当に考えた。感情の動きがめちゃくちゃあったから。ユウキも言ったけどいっぱいブレてよかったし、そのブレがあったから、ちゃんと私たちなりの音楽を作ろう、ちゃんと人に届ける音楽を作ろうって改めて意識したんだよね。さっき「全曲シングル」って言ってくれたけど、それ、めちゃくちゃ嬉しくて。私たちは毎回そう思って作ってるけど、なかなかできなかったりするし、人によってはそう捉えられなかったりもするの。だけど今回は、「映画のエンドロールみたいな感じにしよう」って「Feel Tthe BEAT」を作っていたら後から本当に映画「麻雀放浪記2020」の主題歌オファーが来たり、GUのオファーが来たりしてね(※GU”GU CHANGE”タイアップ曲「CHOOSE GO!」)。
- EMTG:自分たちらしく全力で感情をぶつけた曲がちゃんと届いたんだって、実感できたんですね。
- ユナ:それは、ライブをやってても思いました。国境とか言葉とか関係なく、いい音楽が届くんだって実感したんですよね。去年はたくさんブレたかもしれないけど、それでも認めてくれた人がいっぱいいたから自信が持てた。そうやって作ったのがこのアルバムだから、胸張って「これです!」って言える。
- マナ:うん。去年アメリカのBURGER Redordsから『PINK』を出す時に向こうのスタッフにも会ったんだけど、ものすごく大きい愛を感じたの。言葉がわからなくても、抱きしめてくれるその強さとか、「CHAIは本当に1番なんだよ」って言ってくれるその人たちの気持ちにもう涙が止まらなくて。正直帰りたくないなって思うくらいだった。こんなに愛を与えてくれる人やCHAIを認めてくれる人の言葉を目の前で聞けて、ライブやれば反応もあって、アメリカでやっていけるかもしれんっていう自信も感じた。それで作ったのが「Feel the BEAT」だったの。愛で曲を作りたかった。それがこのアルバムの始まりでもあったの。
- EMTG:愛で曲を作る。
- マナ:そう。愛ってあんまり表現はしたくないんだけど…。恋愛は多分ずっと歌わないけど、恋愛じゃない愛ーー私たちは4人いれば絶対大丈夫だし、私たち4人とも絶対間違ってないからっていうのを、曲で表明したかったの。
- EMTG:その思いが貫かれている今作に、「PUNK」というタイトルを掲げた経緯を聞かせてもらえますか?
- ユウキ:去年は海外のメディアがたくさん取材してくれたんだけど、どの記事を見ても、CHAIのことを「Japanese Punk Band」って書いてあったの。
- マナ:そうなんだよね。
- ユウキ:最初は「あ、間違えて捉えられてる!」「パンクな音楽なんてやってないのに!」って、ちょっとショックっていうか、上手く言葉では伝わってないんだなって思ったの。でもそれが、CHAIが音楽をやってる姿勢とかマインドのことを言ってるんだってわかった。可愛いの価値観を変えたいとか、美に対するコンプレックスはどの国にもあるけど「そうじゃないよね」「もっとポジティブにできるよね」って言ってることを、パンクだねって言ってくれてた。そういうことか!って、後から気づいたの(笑)。そこから「PUNK」っていいねって。強気でもいられるし、色んな国に行けば行くほど私たち間違ってないってことも強く思ったから、来年こそそれを言葉でも表面的にも表したいなと思った。
- マナ:タイトルっていつも後付けなんだけど、その時のテーマを付けようと思ってるの。曲を並べて聴いてじゃなくて、私たちの今の心ってなんだろうっていうのを言葉にしたい。それが今回は『PUNK』だったの。音楽のジャンルじゃなくてね。
- EMTG:間違われたことが、今の自分たちを表現するヒントになったんだ。
- カナ:そうそう。気付かされたよね、「かわいいの価値観を覆すってパンクなんだ!」って(笑)。
- ユウキ:「革命だ!」って言われて「あ、革命なのか!」みたいな(笑)。CHAIがやってることが、むしろ正しく伝わってた。自信持てたし、強い気持ちになったよね。どこにいようがこのままで行けるって。
- EMTG:前作を作っていた頃と現在と、何か変化みたいなものは感じてます?
- ユウキ:グラミー賞を獲りたいとかは前から言ってたし…。
- マナ:私たちが今やりたいものを作るっていうことも変わってないしね。
- カナ:好きな食べものが変わったくらいじゃない(笑)?昔は米食べないと気が済まないとか思ってたけど、海外行き始めたら毎食パンとかパスタでもいけるじゃんって思えてきた(笑)。
- EMTG:でも今回って、食べものの曲がないですよね。
- カナ:あれ?
- ユナ:あ、ないか!
- マナ:本当だ!でも意識的に作ってきたわけじゃないからね、これまでも。
- ユウキ:うん。これ言っていいのかどうかわかんないけど、食べものをテーマにした曲って、何もテーマが決まらなくて最終的に食べものにしてたっていうのもあるの(笑)。
- EMTG:(一同爆笑)。
- マナ:そんなもんなんだよね(笑)。
- ユウキ:でも今回は、「これにはこれを言いたい!」っていうのがすぐ出ちゃったから。
- マナ:そう、ユウキの中でたくさんあったんだよね。
- ユウキ:だから今回、食べものは置いてきぼりにしちゃってた(笑)。
- マナ:「ステーキにバターのせるわ」とかは言ってるけど、大々的には歌ってない。
- EMTG:そういうのもひとつ変化かなと思いました。「FAMILY MEMBER」は、サウンド的にも歌詞のテーマにしてもありそうでなかったなと思ったのですが。
- マナ:曲的にはArrested Development(ヒップホップグループ)みたいな感じで作りたかったの。砂漠と土と懐かしさと家族みたいな感じ。
- ユウキ:歌詞は私たち4人のことでもあるし、日本とか海外のチームとしての関係性でもある。年齢もバラバラだけどすごくフラットで、愛がある人ばかり。その関係って本当にファミリーのようだなって。でもそれはCHAIが特別そうなわけじゃないんじゃないかって、本当は思っていて。人間みんなファミリーだと思うから、そういうことを感じあえるのが大人になってからの楽しみなんじゃないかな。子供じゃなくて大人だからできる関係性の面白さが広がったらいいなと思って書いた。
- ユナ:この曲、歌詞を見た時刺さりまくった。なんだこの文章は!と思ったの。同じメンバーであることのありがたみとか、誇りみたいなその境地まで行った。4人みんな考え方も違うし、性格も違うけど、そうだよね、ファミリーって素晴らしい!って。生きてきた中での価値観が変わった気がする。
- マナ:小さい頃に言って欲しかった言葉をね、ユウキが歌詞にしてくれたなって思った。
- EMTG:自分たちの曲だけど、自分自身の背中を押してくれたり、気づかせてくれたりすることもあるんですね。
- カナ:「フューチャー」とかライブでやってると泣きそうになる。私こんなに夢あるんだとか思うし、いちばん大切な友達でもある4人で目合わせながら歌ったりすると、ウルってきちゃう。「アイム・ミー」もね、歌いながらもっとわがままでいよう!とか。自らグッときてるよ(笑)。ユウキの歌詞すげえって思いながらね。
- ユナ:わかるわかる。
- ユウキ:ありがとう!
- マナ:私は「カーリー・アドベンチャー」。天パーの曲なんだけど(笑)、すっごく私たちにぴったりな歌詞。私たちはハンターで、逃さず突き進むんだっていう、そのスピード感みたいなのがすごく良く出てるから、これを聴くと「よし、進もう!」って思うの。これ早くライブでやりたい。サビで洋楽みたいなメロディーによく「すごーい」って歌詞をよく入れたなって思うけど(笑)。
- カナ:めっちゃ面白い。
- マナ:私たちはすごく強い心があって、絶対に戦わずして勝ちたいって気持ちがすごくあるから、そこもすごく表れてるなって思う。
- ユウキ:「それはすごーい!」ってライブでみんな歌ってほしい(笑)。
- EMTG:今年もまた国内外でたくさんのライブが予定されていますが、2019年の、そしてこれからの抱負としてはいかがですか?
- カナ:日本でも海外でもまだまだ全然広がってないから、世界も日本も同じ規模感で大きくなって、早くBruno Marsみたいになりたい。
- マナ:そのためにも、とにかくいい音楽を作る。でもこの日本でちゃんと認められないと意味がないからね。可愛いの価値観を変えたいっていうのも、日本に生まれたからこそ出てきた感情で、これが海外だったら違ってたかもしれない。どの土地でライブしてもコンプレックスはあるんだなって思うけど、かわいいっていうものにずっと縛られて生きてきた日本人だからこその欲だなって思う。でも女は強いよね。強い(笑)。どの国に行ってもそう思った。
- カナ:去年も相当濃かったしブレまくったけど、今年はもっといろんなこと感じる1年になりそうだよね。
- ユナ:あれ以上にね(笑)。
- ユウキ:間違いない!
【取材・文:山田邦子】
リリース情報
PUNK
2019年02月13日
OTEMOYAN record
1.CHOOSE GO!
2.GREAT JOB
3.アイム・ミー
4.ウィンタイム
5.THIS IS CHAI
6.ファッショニスタ
7.FAMILY MEMBER
8.カーリー・アドベンチャー
9.Feel the BEAT
10.フューチャー
2.GREAT JOB
3.アイム・ミー
4.ウィンタイム
5.THIS IS CHAI
6.ファッショニスタ
7.FAMILY MEMBER
8.カーリー・アドベンチャー
9.Feel the BEAT
10.フューチャー
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CHAI JAPAN TOUR 2019「PINKなPUNKがプンプンプン トゥアー!」
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06/15(土)新潟 GOLDEN PIGS RED STAGE
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05/31(金)PARC DEL F?RUM, BARCELONA
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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