デビュー13年目を迎えるかりゆし58、デビュー日に新曲「バンドワゴン」を配信!

かりゆし58 | 2019.02.22

長い活動歴のアーティストにとって、自分らしさを保ちつつ、新境地も織り交ぜ従来の受け手を驚かせながらも、これまで以上の広がりを目指すことは、ある意味必然となってくる。それは以後も長く続け、自身にも新鮮さを保たせる為にも重要なことだ。

この2月22日にデビュー13年目を迎える、かりゆし58。奇しくもそのデビュー日に配信リリースされる新曲「バンドワゴン」からは、まさにその辺りの「裏切らない上での新鮮さ」を感じた。

今回の新曲は「バンドワゴン」「エンドロール」の2曲。各々メンバー全員で制作されたという。

(Vo&Ba/前川真悟)「先に春からの全国ツアーが決定していたんで、そこに向け、何かみなさんへ手土産代わりの配信曲を出そうとの話が年末ぐらいから出て。その際に、「だったらメンバー各人が楽曲を持ち寄ろう」となったんです」

「バンドワゴン」の作詞は前川、作曲はギターの宮平直樹が担当、「エンドロール」の方は作詞をメンバー全員が、作曲はこちらも宮平が担っている。これまでは主に前川が作詞/作曲した楽曲を他のメンバーが練り上げる流れだったのに対し、今回の両曲はメンバー各人が楽曲やモチーフやアイデアを持ち寄り、その中から選ばれ、それを基にメンバー各位の意見やテイストを織り交ぜ制作されたと聞く。

(宮平)「去年、自分がバンドに関わることで色々と感化されることや改めて感動することが多々あったんです。そこからバンドや音楽に関わる歌をテーマにしようと思い立って。その時に「バンドワゴン」という言葉が浮かんだんです」

しかし、その時は漠然とツアーの際に使う機材車等に自分たちのバンド活動を重ねたものを思い浮かべていたと語る宮平。しかし実際の楽曲では、その辺りの要素は全く伺えない。

(宮平)「当初は歌詞も、キッズが夢を見つけ、それに向け仲間と邁進していく。そんな内容でした。で、曲を詰めていく段階で、今一度バンドワゴンの意味を調べると、想像していたものと全く違っていて。さて、どうしようかと(笑)」

バンドワゴン…。私もバンドがツアーで回る機材車の類いと思っていた。しかし改めて調べると、時代の先駆者や列の先頭に立ってみんなを引き連れたり、先導したりする意味と判明。

「バンドワゴン効果」と、いわゆるインフルエンサー的な意味にも起用されていた。これまで「みんなと一緒に」や「背中を押すタイプの歌」「自分のみが持つ特別な魅力」を謳ってきた彼らにとって、「ついて来い」や「人に便乗して…」は、どことなく矛盾に映る。

(前川)「プリプロの最終段階の方でそのバンドワゴンの真意が発覚したんです。これはマズいゾと(笑)。そこから世の中がどこに向かっていくか分からない、そんなバンドワゴンの方に歌内容をシフトさせて。それを見送るのか、追っかけるのかしながら、もう少し聴き手が人生の色々な場面で様々な立場の人が感じるような、時代の中にいる自分の孤独みたいな歌に切り替えていったんです。その方が普遍的ですから」

とは言え前川はテーマ的にこれで良いのか? 迷っていたという。そこで後押ししたのがギターの新屋行裕の一言だ。

(前川)「行裕のこれからの広がりに目を向けた方がいいとの意見が決め手になりました。今回はバンドのメンバー全員でキチンとすり合わせて、各位が納得いくものを作り出す前提もあり、キチンと真意を説明して。結果、ギリギリになりましたが、いい出産になりました」

(新屋)「当初のテーマだとこれまで色々な人が歌にしてきたし名曲も多い。だったら真意のバンドワゴンの方があまり他の人が題材にしてないし、ある意味自分たち的にも、あまりこれまで歌ってこなかった世の中に対しての歌も満たすなと。こっちの方がある意味、今の時代、聴き手に寄り添える気がしたんです」

確かに同曲はこれまで市井の人々の営みを上手くドラマ化し、多くの人の気持ちを同化させてきた彼らの歌に対して、メッセージ性や聴き手に色々と考えてもらえる趣きがある。

このバンドワゴンこそ今の時代に必要な歌だとつくづく思う。

前述を歌いながらも、それをあえて否定も肯定もせず、各々の想いや意見を尊重し、且つそれ以上の部分を聴き手に問いている歌内容も興味深い。確かに今の時代は、誰かの強い意見が全ての正義に映ってしまう時代だ。多勢に無勢。事実を探りもせず自身の意見かのようにそこに自分の意志を重ね発信。結果それが正義と思い込み、中には人を傷つけたり炎上をしたり、ヒーローや悪役を作り出す構図も生み出されている。人を豊かにもするし不幸にもする、諸刃の剣なツールであり時代とも言える。この歌も個人的には、それらに対しての言及も含まれ、そこにこれまでの彼らには無かった、社会や世間に向けての自分の見解みたいなものを非常に感じた。

(前川)「変革が求められるこの時期だからこそ、何か新しい挑戦をしたかったんです。いつの時代もこのような現象はあっただろうし、対して嘆きや悲観もあったはずなんです。もちろん、それに対しての歌の数々もありました。しかし、それをそのまま表すのは、やはり自分たちらしくないなって。そこから自分たち的に、あえて更に一歩踏み込んで、そこから何かを見出す努力ぐらいは誰でも出来るかもね。といったメッセージも織り込んでみたんです」

一丸性があり方向性も一緒なのだが各々がわりと好きなテイストを滲み出させ、それをブレンドさせているアレンジ面も興味深い、この「バンドワゴン」。そのサウンドの大らかさが故に歌詞が全く説教臭くなくスッと入り込み考えさせられる、いい意味での気楽さを呼び込んだ面にも着目したい。

(新屋)「もう今回は趣味全開で。アメリカ南部のブルージーな雰囲気で行きました。アウトロのギターソロもここぞとばかりに弾かせてもらって(笑)。と言えまだまだ全然弾き足りない(笑)」

対して「エンドロール」は、それとは全く違ったタイプの楽曲。気楽に聴け、かりゆしお得意のマイペース観が上手く表れている。歌詞はメンバー各々がタイトルをモチーフに書いたものをミックス。部分部分からは各人らしさが見受けられる。

(前川)「この曲も直樹の設定やモチーフが良かったんで、それを基にみんなで歌詞を持ち寄ったんです。そうしたら、みんな設定もシチュエーションも様々で。だけど、なんか印象的なものが多かったので、それらを上手く一つの歌詞として落とし込んでみました。なので今回の歌詞はメンバー全員で書いたものでもあるんです。それを一つの歌詞にまとめる難解なバズルを解くような難しさはありましたが(笑)」

全くの違和感や不自然さもなく一つの物語として聴けたので、正直、その真相を聞いて驚いた。

(宮平)「こちらはライヴが終わり、お客さんが帰っていく光景を思い返しながら作りました。映画のエンドロールみたいな。お客さんが家まで持ち帰れるような曲が欲しかったんです。そこから、ライヴにしろ映画にしろ、人はどこが一番印象深く思うのか?を考えたんです。スタート時もあるだろうし、持って帰って余韻に浸る部分もある。そんな中でも最後のシーンやアンコール、そしてそこに行くまでも大切な時間なんじゃないかと考え作り始めました」

(新屋)「2番は自分の歌詞が主なんですが、『ドラえもん』の映画をイメージして描きました」

やはり、この曲の特徴は、そこはかとなく漂う一抹の切なさに尽きる。

(前川)「その辺りは行裕の世界観が演出している部分が大きいと思います。歌い方にしても大らかにのんびりとしてみました。あえて寂しさや切なさを擁した歌い方というか。この歌自体の持つ、<別れを惜しむことで出会いを慈しむ>、みたいなテーマは自分たちもこれまで幾つか歌ってきていたんで。それが従来はシリアスだったり、しんみりとなっていたタイプが多かったのに対して、今回は根底は近いながらも、違った表現をしたい的な話をメンバー間でしました。なんならあえてワクワクするぐらいの歌い方をしてみたんです」

デビュー13年を迎えるも、また新しい方法論や武器を手に入れ、これ以降も邁進していく姿勢も伺える今作。これからは前川はもちろん、より各メンバーの才能も開花し、結果、かりゆし58の更なる幅や拡がり、また間口の広がりにも大きく期待が持てそうだ。そして、この3月からは今作を手土産に全国ツアー「ハイサイロード2019~平成の結~」も控えている。

(前川)「平成の最後の日もライヴで、次の新年号の開始日もライヴなので、時代の節目に音楽をやれていることが自分たちにとって、いい何かを寄与してくれるんじゃないかと期待しています。平成という時代は自分たちにとって凄く人生の変わり目でもあったんで、ツアーの副題も平成の締めみたいな意味を込めて結(むすび)にしました。そこでこれを聴いてくれたお客さんたちが、どう受け止めてくれたかを知れるのも楽しみで。是非全国各地でみなさんと一緒に今回も思いっきり遊びたいです」

残りの平成時代はもとより新元号になっても、彼らは変わらず、そして変わっていく。そして、我々も変わらず、だけど変わっていく。

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リリース情報

バンドワゴン

バンドワゴン

2019年02月22日

LD&K

1.バンドワゴン
2.エンドロール

お知らせ

■マイ検索ワード

前川
神様がいる海 動画

沖縄の久高島の海がこう呼ばれていて。その海の動画を見つけて眺めてました。定点カメラで寄せては返す波を1時間ぐらいずっと映しているだけの動画なんですが、それを3回ぐらい繰り返して眺めたんです。今また次の楽曲の制作に入ってるんですが、その曲は海をテーマにしようと考えていて。海でも眺めていたら何か浮かんでくるかも…と実践してみました。自分は基本、海は自分の感情を捨て、すっきりとさせる場所でもあるので。ボーッと魅入るだけで、結局そこでは残念ながらいいものは浮かんできませんでした(笑)」

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「ギターの速弾きって、どこまで速く弾けるのだろう?と疑問に思い調べました。いやー、世界にはこんなことに挑戦している人もいるんですね。感心しました。これは速弾きの動画類の段々と速度を上げていったものを編集し、まとめた動画だったんですが、300ぐらいからBPM(1分間の拍数)を上げていっており、最後は4000BPMまであったんです。ここまでくるともはや速過ぎて音楽じゃなくなっていて(笑)。これを直樹と、「スゲえ」「スゲえ」言いながら観てました」



■ライブ情報

ハイサイロード2019〜平成の結〜
03/09(土)桜坂セントラル
03/10(日)桜坂セントラル
03/15(金)名古屋ダイヤモンドホール
03/21(木)Live House浜松 窓枠
03/23(土)郡山#9
03/24(日)仙台JUNKBOX
03/26(火)高崎club FLEEZ
03/28(木)金沢AZ
03/30(土)長野CLUB JUNKBOX
03/31(日)新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
04/07(日)HEVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3
04/29(月)熊本B.9 V1
05/01(水)宮崎SR BOX
05/03(金)鹿児島CAPARVO HALL
05/05(日)長崎DRUM Be-7
05/06(月)福岡DRUM LOGOS
05/09(木)広島クラブクアトロ
05/11(土)岡山 EBISU YA PRO
05/12(日)米子AZTiC Laughs
05/17(金)神戸チキンジョージ
05/19(日)和歌山SHELTER
05/22(水)KYOTO MUSE
05/24(金)大阪BIG CAT
05/28(火)徳島club GRINDHOUSE
05/30(木)高松DIME
06/02(日)松山サロンキティ
06/07(金)札幌cube garden
06/14(金)TSUTAYA O-EAST

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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