シンガーソングライターが奥華子、約2年ぶりのオリジナルアルバム『KASUMISOU』リリース

奥華子 | 2019.03.22

 シンガーソングライターが奥華子の約2年ぶり、通算10作目のオリジナルアルバム『KASUMISOU』をリリース。「恋の果て」(スマートファン向け恋愛ゲームアプリ「イケメン源氏伝あやかし恋えにし」主題歌)、配信シングル「願い」(サンリオピューロランド「イルミネーションショー」イメージソング)、「クリスマスの夜」(SNOW CMソング)などのタイアップ楽曲に加えて、他アーティストへ提供した楽曲のセルフカバー、アルバムために書き下ろされた新曲を含む本作は、切ないラブソングを中心に、奥華子の個性がより強く感じられる作品となっている。

EMTG:2018年はツアーがなかったんですよね。
奥華子:そうなんですよ。ずっと「アルバムを出して、ツア―をやる」という流れだったんですけど、去年はアルバムを出さなかったから、ツアーもなくて。イベントにはちょこちょこ出演させてもらっていたし、EMTGのファンサイトの企画でファンの方たちとカラオケボックスに行ったり、ふだんとは違う活動をしていた感じですね。楽曲提供も多かったです。あと、初めてフルマラソンを走りました(笑)。
EMTG:ニューアルバム『KASUMISOU』には、提供曲のセルフカバーやタイアップ曲も収録されていて、去年の活動がそのまま反映されてますね。まず「KASUMISOU」というタイトルについて教えてもらえますか?
奥:いま言ってもらったように、提供曲のセルフカバーやタイアップ曲もこのタイミングで出したいと思っていて、それを表すような言葉を探したんです。かすみ草はいろんな花を引き立たせることもできるし、それ自体でも成立するじゃないですか。今回のアルバムは私のためじゃなくて、“誰か”のためだったり、“何か”のために作った曲が多いから、ピッタリだなって。私自身も好きな花なんですよ、かすみ草は。
EMTG:提供曲やCM曲は、ふだんとは違う感じで作れるんですか?
奥:ふだんと違うというより、(タイアップ曲、提供曲は)奥華子っぽい曲を求められることが多いから、その事を意識して作るといつも以上に“らしさ”が濃くなるんですよね(笑)。ひとりでずっと作ってると「自分らしくないものを作ってみようかな」と思うこともあるけど、提供曲、タイアップ曲は自分らしさを思い切り追求できるというか。誰も私のアップテンポの曲を求めないじゃないですか(笑)。
EMTG:南條愛乃さんに提供した「逢えなくても」、竹達彩奈さんに提供した「セピア色」も切ないラブソングですからね。
奥:そうですね。南條さんが30代の女性をテーマにアルバムを作るとのことで、大人の恋愛をテーマに曲を作らせてもらったのですが、はじめに出来たのが実はこのアルバムに収録した「同窓会」なんです。南條さん側からちょっとリアル過ぎるかも…というお話を頂いて、実際にご本人にお会いして出来たのが「逢えなくても」なんです。「セピア色」もそうで、竹達さんとお会いして「大切な人との別れ」をテーマにという事で色々お話してから作らせ頂きました。
EMTG:「一歩前に」は「京都マラソン 2019」番組テーマソング。実際にフルマラソンを走った経験が活かされた曲ですね。
奥:私が走ったのは「おかやまマラソン」なんですよ。FM OKAYAMAのDJの方に誘っていただいたんですけど、まったく運動もしてないし、最初はぜんぜん走れる気がしなくて(笑)。でも「人生で1回くらい、がんばってみようかな」と思って参加したんです。最終関門の制限時間が6時間で、私が通過したのは5時間59分。人生でいちばん大きい1分間でしたね。アプリを使うと、誰がどこを走ってるのかわかるので、全国のファンのみなさんもスマホを見ながら応援してくれて。沿道の声援にも感動しましたし、そのときの体験が「一歩前に」にも活かされてます。42.195kmって果てしないけど、まず一歩目を踏みだすことでつながっていくんだなって。日々の人生もそうだと思うんですよね。
EMTG:「絶対」は≪私が欲しいもの 絶対というもの≫というフレーズが印象的なナンバー。これはインディーズ時代の未発表曲だとか。
奥:デビューしてからはライブでもほとんど歌ったことがなかったんだけど、このタイミングで収録したいと思って。20才くらいのときの曲なんですけど、当時は日記みたいに素直に書いてたんですよね。いま聴いてもぜんぜん違和感がなくて、「私、ずっと変わってないんだな」と思いました(笑)。経験を重ねることで、対処の方法や逃げ方は学んだけど、ずっと同じようなことを感じてるんだなって。だから今も歌えるんだと思います。「絶対」は人生ソングみたいな曲ですけど、恋愛の曲も同じで、何年経っても歌えるんです。大人になると考え方が変わるんだろうなと思ってたけど、違いましたね(笑)。
EMTG:書き下ろしの新曲も充実していて。まずは1曲目の「鞄の中のやきもち」ですが、すごく奥華子らしいラブソングですね。
奥:私のなかでは王道の失恋ソングですね。やっぱりこういう曲が大好きだし、アルバムに入ってないと落ち着かないんですよ。なので1曲目にしちゃいました(笑)。
EMTG:数多くのラブソングを発表していますが、奥華子さんにとって「これはイケる」というポイントはあるんですか?
奥:どこか1か所、ワンフレーズでいいから、気に入ったものがあれば「大丈夫」と思えるんですよね。この曲で言えば、「あなたの部屋に置いた 寂しさも/あなたの鞄に入れた やきもちも」がそうで、この歌詞が出て来たことで、自分のなかでヨシとしているというか。言いたいことが言えたなという実感があったし、この部分を引き立てるように他の歌詞を書いていったんです。曲全体の雰囲気がいいという場合もあるけど、そこだけを取り出しても成立するような歌詞があると安心できますね。
EMTG:「素顔」もすごく心に残りました。≪色んなもので誤魔化して 寂しくなんてないふりをする≫もそうですけど、グッと入り込んでくる歌だなと。
奥:あ、ホントですか。これは最後の最後に出来た曲なんです。先に“12曲収録”と発表しちゃったんだけど、2月に入って、マスタリングが迫ってきたときに「あと1曲足りない!」って(笑)。いちばん新しい曲だし、いまの自分が思ってること、言いたいことが詰まってますね。しかもこの曲、歌詞を先に書いたんですよ。ほとんどはメロディと歌詞を一緒に作るので、私にとってはすごく珍しい書き方ですね。冒頭の「『欲しい』とおもってしまうと」から1番の最後の「好きだと認めるから この心が輝くんだと」までを書き上げてから、メロディを付けて。
EMTG:それくらい書きたいことが明確だった?
奥:そうなのかな? 私はもともと、すぐに「いいです、いいです」って言っちゃうタイプなんですよ。欲しいと思ってたり、本当はこうしたいという気持ちがあっても、それが実現しなかったら悲しいし、傷付くのもイヤだから、「要らないです」って言ってしまうことが多くて。自分でも「よくこういう活動をやってるな」と思いますけど…。
EMTG:アーティストは自分から貪欲に取りにいくタイプが多い気がします。
奥:そうですよね(笑)。つい「上手くやれそうにないから、いいです」って引いちゃうんですけど、そういう自分を変えたいなと思って。“そんな自分を誰が好きになってくれるの?”と思うし、“傷ついてもいいじゃない。好きなものは好きだって認めないと輝けないよ”という自分に対するメッセージでもありますね、「素顔」は。
EMTG:アルバムの初回盤の特典ディスクには、藤田麻衣子さんとのデュエットによる「ト ライアングル(Piano ver./duet with 藤田麻衣子)」、「MOTHER」(96猫)、「君が待つあの丘へ」(天月)に提供した楽曲のセルフカバーなどを収録。
奥:コラボ曲をまとめた感じですね。アルバムに入れても良かったんだけど、16曲だと多いから、分けさせてもらいました。「KASUMISOU」のテーマにも合うし、ファンの方からも「音源にしてほしい」という声があった曲ばかりなので。
EMTG:「トライアングル」は藤田さんとライブで共演したことをきっかけに制作されたとか。
奥:去年も3回ライブでご一緒したし、もともと仲がいいんですよ。「一緒に曲を作らない?」という話になって、まずウチでごはんを食べて、恋愛話をして。麻衣子ちゃんとは恋愛観がまったく違っていて、お互いにぜんぜん理解できないんですけど(笑)、話してるうちに「ひとりの男性を奪い合う三角関係の歌を作ってみよう」ということになったんです。まず麻衣子ちゃんが“奪われる女”の目線で、私は“奪う女”の目線でお互いに作ることにしたんですけど、送られてきたデモを聴くとフルコーラス出来上がっていて(笑)。それがすごく良かったから、そのまま曲にしました。麻衣子ちゃんはずっと前から私のライブに来てくれていて、「華ちゃんと一緒に曲を作れるのが嬉しすぎて、最後まで作っちゃいました」って(笑)。私も嬉しかったですね。
EMTG:アルバムのリリース後には全国弾き語りツアーがスタート。2年ぶりのツアーですね。
奥:新しいアルバムの曲だけではなくて、いろんな歌を歌いたいです。自分のコンサートは久しぶりなので、ちょっと緊張するかも。新鮮な気持ちでツアーの臨めるのはいいかもしれないですね。

【取材・文:森朋之】

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リリース情報

KASUMISOU

KASUMISOU

2019年03月20日

ポニーキャニオン

1.鞄の中のやきもち
2.ホントはね
3.逢えなくても
4.絶対
5.願い
6.一歩前に
7.恋の果て
8.同窓会
9.素顔
10.クリスマスの夜
11.セピア色
12.カスミソウ

お知らせ

■マイ検索ワード

かすみ草の花言葉
アルバムのタイトルが「KASUMISOU」に決めてから、かすみ草の花言葉を調べたんです。清らかな心、無邪気、親切、純情な愛みたいな意味があって、いい花言葉だなって。アルバムに収録している曲「カスミソウ」はこの花言葉にぴったりなので、この曲名にしました。かすみ草はもともと好きで、ドライフラワーにして部屋に飾ってます。



■ライブ情報

【奥華子10th ALBUM「KASUMISOU」リリース記念イベント】
3/21(木・祝)大阪くずはモール 16:30〜
3/23(土)海老名ビナウォーク ?13:00〜 ?16:00〜
3/24(日)草加駅東口カーソンプラザ「草加市制60周年記念イベント」 13:30〜
3/31(日)アスナル金山 ?13:00〜 ?16:00〜
4/6(土)キャナルシティ博多 11:00〜
4/7(日)ららぽーとTOKYO BAY ?13:00〜 ?16:00〜
【イベント内容】ミニライブ&サイン会
詳細はこちらから⇒http://okuhanako.com/

奥華子コンサートツアー2019〜弾き語り〜
5/17(金) 北海道 札幌市教育文化会館 小ホール
5/18(土) 大阪 大阪国際交流センター 大ホール
5/24(金) 岡山 岡山ルネスホール
5/25(土) 広島 広島南区民文化センター
6/1(土) 栃木 那須野が原ハーモニーホール
6/2(日) 埼玉 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
6/7(金) 愛知 名古屋芸術創造センター
6/14(金) 東京 北とぴあさくらホール
6/15(土) 千葉 行徳文化ホール I&I
6/21(金) 新潟 新潟市音楽文化会館
6/23(日) 富山 高岡文化ホール
6/28(金) 神奈川 関内ホール
6/30(日) 茨城 結城市民文化センター 小ホール
7/6(土) 長崎 長崎ブリックホール 国際会議場
7/10(水) 岩手 盛岡劇場 メインホール
7/11(木) 福島 福島テルサ FT ホール
7/14(日) 宮城 仙台銀行ホール イズミティ21 小ホール
7/20(土) 滋賀 米原市民交流プラザ ルッチプラザ
7/26(金) 山形 山形テルサ アプローズ
7/27(土) 秋田 秋田市文化会館 小ホール
7/30(火) 香川 サンポートホール高松小ホール
7/31(水) 愛媛 松山キティホール
8/3(土) 福岡 福岡イムズホール
8/4(日) 熊本 熊本B.9 V1
8/12(月) 静岡 静岡市清水文化会館マリナート小ホール
8/17(土) 群馬 高崎市文化会館
9/6(金) 京都 京都府立府民ホールアルティ
9/7(土) 奈良 秋篠音楽堂

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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