Rude-α メジャーデビューEP『22』 リリース

Rude-α | 2019.05.29

 高校2年生の時にラップを始めて、ストリートの仲間と刺激を交わし合いながらスキルを磨いていたRude-α。作品リリースと精力的なライブ活動も重ねてきた彼が、EP『22』でメジャーデビューする。日々の暮らしの中で抱いたリアルな感情を描いている曲たちは、Rude-αの実像であると同時に、多くのリスナーの胸の内にある生々しい何かともシンクロするはずだ。多彩な音楽のエッセンスが反映されている点も印象的な今作を生み出したRude-αとは、どのような青年なのだろうか? 本人にインタビューした。

EMTG:幅広い音楽が好きですよね?今回のEPを聴いて、まず感じたのは、そういうところなんですけど。
Rude-α:はい。結構、いろんな音楽を聴いてきたタイプだと思います。昨日もEXILEを聴いてましたし。
EMTG:TWICEも好きなんですっけ?
Rude-α:好きです。「TWICEと仕事ができたらいいなあ」っていうのは、よく言ってます(笑)。いい音楽だと思ったら、ジャンルとか誰が歌ってるかとかは、関係ないと思ってるんですよ。ジャズとかロックとかもたくさん聴いてきましたし。そういういろいろなものがある中で僕はラップを表現としてやってるんですけど、「人間」というものの中に「音楽」があって、そこにいろんなものがあるというイメージで考えてます。
EMTG:育った沖縄のコザは米軍の基地が近くにあって、いろんなカルチャーが入り混じっているエリアですよね?
Rude-α:はい。街を歩くといろんな音楽が聞こえてくるんです。子供の頃に気になる音楽が聞こえてきたから地下のバーにいきなり入って、驚かれたこともあります。「この曲、何ですか?」って訊いてイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」だったりしました。音楽とのそういう出会い方は多かったですね。
EMTG:刺激的な地域ですね。
Rude-α:そうなんです。あと、近所に洋服屋さんがあったんですけど、レコードも置かれてたんですよ。それを見てたら店のおじさんが、「音楽好きなのか?」って訊いてきたこともありました。「好きですね」って言ったら、「じゃあ、お前、本物の音楽聴けよ」って言って、裏からレコードを1枚出してきて。それがバリー・ホワイトのアルバムのヴァイナルでした。
EMTG:渋いなあ!
Rude-α:家で聴いて、最初はよくわからなかったんですけど、聴いてる内に「かっこいいなあ」って思ってきて。だから、おじさんに「ありがとう」って言おうとしたら、お店が閉まってたんですよ。そのおじさん、偽物ブランドの服を売ってたから、お店がつぶれたらしいです。本物の音楽を教えてくれた人が偽物の服を売ってたっていう(笑)。
EMTG:いい話じゃないですか(笑)。
Rude-α:はい(笑)。でも、そのおじさんには感謝してます。コザは外国人もいっぱいいたから、いろんな文化にも違和感なく触れられたんですよね。それは、今思うと良かったのかもしれないです
EMTG:ラップを始めたのは、地元でフリースタイルバトルを仕掛けられたのが切っ掛けでしたっけ?
Rude-α:そうです。僕、その頃はダンスをやってて、友だちと夜の公園で座ってたら、知らないやつが近づいてきて、急に仕掛けられてびっくりしました。でも、ダンスとかバスケとかのバトル文化には馴染みがあったんです。だから、やったことなかったけどフリースタイルで返してみたら、そいつが「お前、才能があるから、明日からラッパーな」と。そこからそいつらとつるむようになって、ラッパーになっちゃいました。
EMTG:なんでフリースタイルを仕掛けられたんですかね?
Rude-α:ニューエラのキャップをかぶってたかららしいです。そいつの中では「ニューエラのキャップをかぶってるやつは全員ラッパーだ」ってことになってたみたいで。
EMTG:よくわからない理屈(笑)。
Rude-α:ほんとそうですよね(笑)。でも、ラップをやってみたら楽しかったんです。その頃、僕は高校生だったんですけど、周りはボウリングとかビリヤードとかをしていた中で、僕はラップ。ラップはお金もかからないし、朝から晩までずっとラップをしてました。学校では上手く周りに馴染めなかったけど、仲間とつるむと自由な日々を感じることができて、それが楽しかったんですよね。いろんなことがありましたけど、十代の内に人として鍛えられたなと感じてます。青春時代に抱えた痛みとかを全部ラップに注ぎ込んでやってきました。
EMTG:ラップとの出会いは、自分のエネルギーを注げる場所との出会いでもあったということみたいですね。
Rude-α:そうですね。フリースタイルを仕掛けられたのは6年くらい前ですけど、そこからやり始めたことが22歳になってメジャーデビューに繋がるって、自分でも感慨深いというか、変な感情になります。自分も十代の頃に同じ地元のORANGE RANGEや、いろんなラッパーを見て夢を持つことができてたんです。だから自分も前に進むことによって、誰かに夢を持ってもらえたらいいなと思ってます。
EMTG:「メジャー」というものに対しては、どういうことを思っています?
Rude-α:メジャーとかインディーズっていうのはあんまり関係ないとも思うんですけど、メジャーって、なんかかっこいいじゃないですか。MVとかで「SME Records」っていう字が入ったりするのって、なんかかっこいい。この前、「子供の頃に見てたやつだ!」って思って、興奮したんですよ(笑)。
EMTG:(笑)素朴な人ですね。
Rude-α:変だとはよく言われるんですけど、僕はこれが普通だと思って生きてきました。僕はRude-αと本人は切り離して考えてるんですよ。僕自身はあんまり人前に出たくないタイプなんですけど、仮面ライダーとかが変身するようなイメージでRude-αっていうラッパーになってる……という感じです。子供の頃になりたかった自分の理想みたいなのを、多分、音楽を使って表現してるんだと思います。
EMTG:今回のEPの曲たちにも、そういう理想がこめられているんですね?
Rude-α:そうですね。1曲目から5曲目まで、それぞれの曲調は違いますけど、自分の中にあるものが入ってるというのは、一貫してると思います。ロックの感性もヒップホップの感性も僕の中にはあるから、全部が自分の顔なんですよね。
EMTG:「highway」とかがまさにそうですけど、懐かしい昔のヒップホップの感じも入っていますよね?
Rude-α:はい。00年代初期のJ-POPみたいな感じも目指してます。Steady&Co.やm-floみたいな音が好きなんですよ。あの世代って上手くオールドスクールの感じを入れてるけど、ちゃんとJ-POPに昇華されてるんです。それをそのままやるというわけではないんですけど、ああいう感覚で昔のものを今のものに昇華して、J-POPとヒップホップの真ん中にいるようなことをやりたいと思ってます。
EMTG:好きなものに忠実でありつつ、今の自分にとってリアルな表現でありたいということですよね?
Rude-α:はい。日常で見たリアルな景色とか、感じたことは表現したいですから。
EMTG:「世界は僕を置いて朝になる」は、すごくリアルな感情が伝わってくる曲だと思いました。
Rude-α:僕は深く考え過ぎてしまって、「ひとりだな……」って感じる朝や夜があるんです。「世界は僕を置いて朝になる」は、そういう曲ですね。でも、曲の中で答えを出そうとは思ってなくて。例えば「こうすれば、いつか報われるよ」とかいうようなことではなくて、ただ自分と同じように孤独を抱えてる人に寄り添うようなことがしたいんです。「悩んでるのって自分ひとりじゃないんだな」とか思ってもらえたらいいなと思うし。
EMTG:「wonder」も、孤独を抱えている人に寄り添える曲だと思いますよ。
Rude-α:ありがとうございます。僕もそうなんですけど、誰でも大切な何かを見落としがちじゃないですか。でも、大事なものは、実は自分の一番近くにあるんじゃないかなと。そういう曲になってると思います。
EMTG:《君が捨てたゴミは 僕にはきらめいて見えた》って、いいフレーズですね。
Rude-α:そう言っていただけると嬉しいです(笑)。こういう表現は、もしかしたらヒップホップ的ではないのかもしれないですけど、いろんな音楽とかに触れてきた結果、こういう言葉が出てきたんだと思います。
EMTG:「こういうのはヒップホップじゃない」みたいなことを言われることはあります?
Rude-α:いっぱいありますよ。でも、僕は地元のガチの怖い人に殴られてもきたし(笑)。でも、めげないでクラブとかで活動してきた日々を経験してるんです。だから否定してくる人って、多分、音楽としてのヒップホップしか知らないんでしょうね。否定的なことを言われてムカつくことも昔はあったんですけど、最近は「そういう人も誰かにとって大事な存在なんだよな」とか思うんです。誰かを否定するのって自分の中の何かに自信が持ててないってことだと思うし。僕は十代の時点で、自分と誰かを比べるっていうのは無意味だと気づいてしまったんです。そういう考え方も、「wonder」には含まれてるんでしょうね。
EMTG:こうしてメジャーデビュー作がリリースされると、今まで以上に広い世界へと踏み出していくことにもなりますが、どんな活動をしていきたいとイメージしています?
Rude-α:自分自身にプレッシャーをかける意味もあって、具体的に言葉にしてることがあって。それは「武道館に行く」っていうことです。武道館でワンマンライブをしたいです。高校生RAP選手権に出た時に武道館でラップバトルをしたんですけど、その時の景色がすごかったんですよ。だからあそこでまたやりたいです。路上での偶然の出会いから武道館のワンマンに辿り着く物語っていうのは、誰かの心を動かすことができるものになるんじゃないかと思うんですよね。あと、音楽をやっていく中でたくさんの人に出会ってきましたけど、音楽を頑張ってれば、そういう人たちとまた会うことができるじゃないですか。テレビやラジオとかに出るっていうのも、そういう人たちに頑張ってる姿を見てもらえることに繋がりますけど、大きいステージに立つのも「あの時、あいつと出会ってよかったな」って感じてもらえることになるんだと思ってます。
EMTG:いい目標だと思いますよ。
Rude-α:ありがとうございます。僕、上京した2016年に渋谷のTSUTAYAの前で路上ライブをしてるあいみょんさんを観たんですよ。「めっちゃいいな!」って思って、CDを買って聴いてたんです。それが武道館でやるようになったじゃないですか。そこに僕も勇気をもらえたから、自分もそうなりたいんです。「やることになる!」って思ってます。
EMTG:初の武道館ワンマンが実現したら、すごく感慨深いでしょうね。
Rude-α:あっ、この前、初めて逆上がりができたんですよ。
EMTG:話がいきなり飛んでますが(笑)。
Rude-α:一緒に住んでる後輩が教えてくれて、1時間くらいガチで公園で練習して、できるようになったのがすごく嬉しかったんです。人生で初めてできたことって、何にせよ嬉しいんだなと思いました。
EMTG:Rude-αさんが練習してたら目立つでしょ?
Rude-α:近所の子供たちが寄ってきましたよ。金髪のやつが練習してるから珍しかったんでしょうね。そういえば、「Rude?」って呼ばれたんです。見たら、子供をだっこした知り合いで。「やっぱRudeって変わってるねえ……」って言われました(笑)。

【取材・文:田中 大】

tag一覧 ミニアルバム 男性ボーカル Rude-α

リリース情報

22

22

2019年05月29日

SMEレコーズ

1. wonder
2. highway
3. 22
4. 世界は僕を置朝になる
5. Young Love

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

Rude-α LIVE「22」
7/13(土) 梅田Shangri-La
7/15(月・祝) 渋谷CLUB QUATTRO


ワンカリ2019
6/1(土) 神奈川県立辻堂海浜公園・辻堂海岸

フロム ニューエイジアツアー 2019
w)さなり / 吉田凛音
6/13(木) 福岡 the voodoo lounge
6/14(金) 大阪 The brick(旧digmeout cafe)
6/21(金) 東京 渋谷plug

action ~清流REX MUSIC FESTA 2019~
7/28(日) ぎふ清流文化プラザ2F 長良川ホール

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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