Halo at 四畳半、さらなる飛躍を感じさせる『from NOVEL LAND』インタビュー

Halo at 四畳半 | 2019.06.05

 前作と共に全国を回ったワンマンツアー『悲しみの朝の愛し方』。過去最大規模であったマイナビBLITZ赤坂での単独公演を経て、現在そして今後の彼らに必要な要素や求めているものが明確化されたと語ってくれたHalo at 四畳半。そんな彼らのニューミニアルバム『from NOVEL LAND』は、作品性や構築感も増し、半面ダイナミズムやワイド感も上昇したスケールアップが感じられる1枚。同時にそれは、彼らを次のフェーズへと引き上げる可能性をも確信させてくれた。曲を活かすべく、世界観の導きに従い挑戦や新機軸も含めた、より自由でフレキシブルな楽曲制作に挑んだ最新作。その結果、作品が活き、輝き、グループ名にも掲げる宇宙観・・・広大な意味のHaloと、ミニマムなスペースの意の四畳半の行き来や同居、コントラストや幅を味合わせてくれる作品となった。そんな今作について渡井、白井、片山の3人に話を訊いた。

EMTG:昨秋発売のフルアルバムがこの上ない出来だったので、あれを超える作品を出すまでにもっと時間を要するとの予想でした。しかし半年という短いスパンで、しかもミニアルバムでのリリースになりましたね。
白井:そうなんです。前作リリースから半年程で。その間に行ったワンマンツアーでの手応えを上手く作品に落とし込めました。
渡井:前作の取材の際、あのアルバムのテーマとして、「メジャーデビューへと一歩踏み出すチャレンジの作品」的な話をしたと思うんです。そこから更に一歩踏み込んだチャレンジが出来た作品になったかなって。前作を超える気で挑んだし、実際に超えられた自負もあって。
EMTG:どの辺りが新たなチャレンジでしたか?
渡井:サウンド面ですね。前々作ぐらいから取り入れ出した4人以外の楽器、例えば同期や打ち込み、自分たち以外の音を積極的に取り入れている面です。
EMTG:確かに作品全体的にそれらが積極的に導入されてはいます。
渡井:ポイントはそこで。その導入にしてもけして全曲ではないんです。その楽曲が求めていればの話で。それがこと今作に関しては、ほとんどの曲が欲していたと。結果ほとんどの曲で入ってます。そういった意味では更に世界観は広がったし、全体的にもかなりこれまでになかった新しい表情を見せられたかなと。
EMTG:それこそラストの「メイライト」はドラムも打ち込みで。“ここまでやっちゃう!?”と驚きました。
片山:これまでも融合や取り入れレベルではありましたが。ここまで全面的にドラムも打ち込みにした曲は過去なかったですからね。
EMTG:ちなみに今作の制作期間は?
渡井:レコーディングはワンマンツアー終了後からでした。そこまでに作っていた楽曲もあったよね?
白井:今回はかなり短期間でガ~ッと作りました。いわゆる瞬発力勝負みたいな。前作はけっこう制作期間があり、おかげさまでゆとりを持って作品を制作できたし、作品を俯瞰して見ることも可能だったんですよね。今回はかなり短いタームだったけど、集中して作れました。
EMTG:では制作はかなり一気にがーっと?
白井:無理して作った曲は1曲もありませんでした。どれも自分たちの中から自然発生的に出てきた作品や楽曲ばかりで。いわゆる楽曲や自分たちが求めているもの、やりたいことをやったら結果として挑戦した曲が多くなった。そんな作品なんです。今までとは毛色も違った曲が沢山入った作品になったので、自分たちでも完成後、“このような作品になったんだ…!?”っていう驚きもありました。でも、ある意味、自分たちのバンド名でもある「Halo」と「四畳半」を両立できたし、どちらへも行ける。そんな作品になったかなって。
EMTG:その「短い制作期間だった」のは意外でした。というのも今回はかなり緻密で作品性も高く、構築感のある曲が揃っていたので、てっきりキチンと元々の設計図を練り、作り上げていったと思ってました。
片山:作り込んだ部分と衝動性が半々ぐらいかな。練った部分ももちろんあります。けっこう衝動的に作ったり思いつきで挑戦した曲や部分もあって。衝動的に浮かんだ要素を入れてみて、それがハマり採用ってパターンも多かったですね。
EMTG:では制作はかなり臨機応変に?
片山:わりと流動的だったし、そこを大事にもしました。作っている最中に色々とアイデアが浮かんだり、膨らんだりして、「急遽、その部分採用!」って場面も多々あったり。その場でいい方向に進んでいく、そんな制作状況でした。
EMTG:では完成して、“ああこうなったんだ!?”ってこともあったんでしょうか?
片山:そんなんばっかりですよ(笑)。まさに「メイライト」はそんな感じでした。自分たちでも驚いてます。“結果、こうなったんだ…!?”って。
EMTG:でも、この「メイライト」は面白いです。エレクトロな前半から突如急変して完全にフィジカルなストーナーロックタイプのパターンに移行したり。「こんなことやっちゃおうぜ!」「それ入れてみない?」等、かなり楽しみながら制作できたんじゃないかなって。
片山:まさにそんな制作でした。だいたいの全体感やバランスを見つつ、その中で自分たちがやりたいことをやる。そんなイメージで。
白井:メンバー間でも特に「こんなアルバムにしよう」的な話も出なかったです。でも結果、みんなが散らかった方向に向かず、けっこう近い方向を向いていたからこそ、このような作風に至ったのかなって。「各楽曲に導かれた結果」その表現が最も合ってるのかも。
EMTG:あとはダイナミズムが更にアップしたのも今作の特徴?
片山:それはありますね。ワンマンツアーを経て、特に最終日のマイナビBLITZでは、これまでやらなかった演出も含め、それらが凄く楽しかったし、何か見えた面もありました。
EMTG:それは例えば?
片山:この会場に似合うぐらいの楽曲が欲しいし、もっともっと色々なことが出来るなって。いわゆる、今後はライブ感よりもどちらかといったら世界観で勝負しよう、みたいな。
白井:赤坂BLITZでのライブが自分たちの中ではかなりデカかったんです。あの日、自分たちのやりたいことをようやく実現できるキャパシティに至れたというか。“ああ、こういったことをやりたかったんだよな、俺ら…”と実感を何度も抱きながらステージに立ってました。自分たちや自分たちが今後向かう方向性を改めて認識できたし、それを経て今作の制作へと向かえたのが大きいです。
渡井:今回の半分ぐらいの曲がその赤坂BLITZ以降にできた曲だったし、赤坂BLITZ以降に変わった曲もありましたから。意識もこれまでのイベントやフェス等ではなく、ワンマンで発揮できたり伝わるような楽曲へと移ってきたし。言っちゃうと物語性や流れ、ドラマ性も含めて、この1枚をこの通りにやっても成立しちゃう。そんな楽曲や作品を目指しました。広い会場で似合ったり映えたりする曲はもちろん、長い時間の中で表現し得る世界観を持った楽曲たち。今作はそちらへと意識が移行したんです。
EMTG:言い換えるとそれは「俺たちは今後、広い会場でやっていくバンドなんだ」っていう決意表明だったの?
渡井:一概にそれだけではないんですけどね。欲張りだけど、どちらの要素も残したいんです。3曲目の「スプートニク」なんて、それらとは対照的に同期も一切入っていないバンドのみの勝負曲だったり。大きな会場を主戦場にしつつ、やはりライブハウスで育ってきたバンドだし、そういった環境でやってもそれが似合う、そこが理想です。いい意味でいいとこどりしたい(笑)。で、それが出来る自信もついたんですよね、この前のワンマンツアーを経て。なので、どちらかにこだわったというよりは、どちらもやりたかったから表現してみた。そんな作品なんです。
片山:割合が変わってきた証でしょう。小箱の感じだったのが段々と広くなっていき、長尺でも出来るようにもなってきて。最近は作品としてよりいいものにしたいとの気持ちも増えてきてます。
EMTG:それは作品としてキチンと後々まで恥ずかしくないものを遺していきたいとの思いからですか?
片山:ですね。以前はやはりライブ重視で、そちらに重きを置いてました。
EMTG:今作はいい意味で、より「作品は作品」「ライブはライブ」の区別化や差別が出来ています。
白井:もうこれをライブでどうやってやろうか? 今から楽しみです。
EMTG:あとはよりバンドの特徴でもある、物語性やファンタジックなものと、現実的なメッセージ性を有した曲の二極化や、それらにあえて特化させた歌詞の印象も受けました。
渡井:まさにHaloのテーマとして、ずっと掲げてきたそれらを、そのまま進化させることが出来たと自負しています。サウンドは前作に比べ進化や進歩した半面、歌詞は逆にシンプルになっていて。ファンタジックな物語はもちろん、より伝えたいテーマの方が比重が重くなっていたり。聴いてすぐ伝わる歌詞への意識が以前よりも強くなって。が故に、その融合もより強まった印象を持っていただけたのかなと。
EMTG:分かります。単純とは違ったタイプのストレートに伝わってくる歌詞ですもんね。
片山:各ワードで入ってきやすくなったり、想起しやすくなったとは客観的に感じます。歌詞カードを読まなくても、聴いているだけで理解したり、そこで描かれているものが伝わったり、伝えたかったメッセージがより伝わるようになった。そんな印象はあります。なので、しっかりと頭に残るんですよね。物語もワードも伝えたい部分も。
EMTG:で、これを実際のライブでどう表現していくか? にも興味があります。
白井:楽しみでもあり、不安でもあります(笑)。今度のZepp DiverCityでのワンマンでライブでは初めて演る曲がほとんどなので、「一体この曲たちがどうお客さんに届くのか?」それが今から凄く楽しみです。
EMTG:でも伝わる自信はあるんでしょ?(笑)。
白井:もちろんです!!
片山:この曲たちの世界観をライブで表現できるのが今から楽しみです。やっとライブでできるので。
渡井:やはり自分たちがライブハウスで育ってきた泥臭さも忘れたくなくて。どっちも自分たちの良さですから。それでいてこれまでの自分たちを観てくれていた人たちも驚くような、こんなスケールの大きな曲も出来たんだ…と思ってもらえつつ、だけど、こんなにも泥臭い曲もあるし、こんなライブもするんだ…。そのHalo at 四畳半でしか表現し得ない空間にしたいです。
EMTG:それこそ四畳半からHaloまで。
渡井:ですね。まさにその幅と行き交えるのが自分たちの音楽でありライブです。

【取材・文:池田スカオ和宏】

tag一覧 ミニアルバム 男性ボーカル Halo at 四畳半

リリース情報

from NOVEL LAND

from NOVEL LAND

2019年06月05日

日本コロムビア

01.スイング・バイ
02.リビングデッド・スイマー
03.スプートニク
04.スケイプ・ゴート
05.夕映えの丘で
06.綻びの果て
07.メイライト

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

Halo at 四畳半 ワンマンライブ
“NOVEL LAND LANDING”

7/19(金) Zepp DiverCity

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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