シンガーソングライター・ReN、待望のEP「Fallin’」リリース!
ReN | 2019.11.27
今年は大阪BIG CAT、新木場スタジオコーストでのワンマンライブも成功させ、確実にステップアップを続けているシンガーソングライター・ReN。この新作EPは、彼というアーティストの可能性をさらに広げる作品になるだろう。オールディーズな世界観の中で歌われる甘いラブソングの「Fallin’」や、先行して配信されていたアグレッシブな心情吐露ソング「HURRICANE」など、4曲それぞれがまったく違う世界とメッセージをもった今作は、ReNによる音楽的な冒険の記録だ。今年2月にロサンゼルスとナッシュビルで現地のミュージシャンとセッションして得たものもふんだんに織り込まれた、新章の始まりといっていい手応えを感じさせる1枚。その背景を語ってもらった。
- EMTG:今回の「Fallin’」、変化作だと思うんですが、自分ではどうですか?
- ReN:そうですね。前回の「存在証明」というEPを作って、自分が今まで描きたかった世界観というのがひとつ完成された感じがあって。これを引っ張ってやっていくことは自分の中で違うなと思ったんです。自分はもともと音楽とは違う、モータースポーツの世界で違う目標をもって生きてきて。そこで怪我による挫折を味わい音楽の世界に転がり込んできたときに、やっぱり自分から生まれてくるものは、ネガティブな感情をポジティブに変える歌になることがすごく多かったんです。それは自分のいいところかなって思うんですけど、音楽というものを考えたときに、逆にポジティブな感情をさらにポジティブにするとか、ネガティブなんだけどそれを言葉じゃなくて身体で届けて前向きにしていくとか、音楽の「楽」、楽しい部分を今度は作っていきたいと思ったんです。
- EMTG:ロサンゼルスやナッシュビルで、現地のミュージシャンとセッションをしながら曲を作っていくという体験はどうでしたか?
- ReN:今年の2月にロスに1週間いて、そのあとナッシュビルに2日間行ったんですけど、その時にあえてなんにも考えないで、なるべく身軽な格好でギターだけ持って行ったんです。それでスタジオで音を奏でるっていう。考えすぎると自分も固くなってしまうし、最終的に自分が納得する世界観に仕上げないといけないから緊張はするんだけど、その場でいろんなことをやっていったら本当にグルーヴというものが生まれて。こういう会話みたいな感じの中でインスピレーションが生まれるのも、今まで自分がやってきたアプローチじゃないなあって。たとえば、自分だったらここにこういうリズムを乗っけるんだけど、この人たちはこういうのを乗っけてくるんだなあっていうのがめちゃくちゃ新鮮だったり。自分にないものがそこには確実にありました。
- EMTG:人とやると当然自分にないものが入ってくるわけで。それが我慢できないというタイプのミュージシャンもいると思うんですけど、ReNさんの場合はそこを楽しめたんですね。
- ReN:でも、僕もそういう時期があって。「存在証明」の頃はそうだったんですよ。どこか他を受け入れられないというか。それってたぶん、見えてないからだと思うんですよね。「これじゃなきゃいいと思えない」っていう部分がちょっとずつ出てきて、それが4年、5年やってきたときに固まってきていると感じて。それを変えていくためには違う景色を見ることが大切だし、「これだ!」って決めるのはもうちょい先でいいのかなと思ってます。
- EMTG:わかりました。では1曲ごとに聞いていきたいんですけど、まずは1曲目の「Fallin’」。これはブルージーなサウンドで、でも歌われていることはすごくスウィートでピュアなラブソングで。ここまでピュアなものは今までのReNさんにはなかったなと思います。
- ReN:本当にその通りで、自分のなかになかったというか、いろいろな恋愛の曲を歌ってきたけど「なんか悲しい曲が多いなあ」みたいな(笑)。イメージとしては、僕『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が大好きなんですけど、あの映画で主人公が過去に戻って、お父さんお母さんが同い年の時代に行くじゃないですか。そこでふたりを恋に落とすために主人公がギターで弾く曲があって。それが確かこういう感じの曲だったんです。当時自分は小学校2年生だったんですけど、その優しいギターのフレーズがすごく好きで。ほんとはもっと、壊れたラジオから聞こえてくるような音で録音したかったんですけど、さすがに「今の時代だからもっときれいにして!」って言われてきれいに録りました(笑)。
- EMTG:これ、ギターの音色とメロディで既にちゃんとレトロだから、本当にビンテージな音になってたら確かにやりすぎだったかも(笑)。
- ReN:だからラジオから聞こえてくるのがちょうどいい感じがしますね。クリスマスにふとラジオをかけたら流れてるみたいな。
- EMTG:そして、その「Fallin’」から次の「HURRICANE」に行く時の落差がすごいじゃないですか。この曲は本当に自分の内面にあるものを吐き出すような曲で。
-
ReN 「HURRICANE」 MV
- ReN:これはナッシュビルで作ったんですけど、本当にネガティブなものをポジティブに変える曲だと思います。ここには言葉になっていない、いろんな感情がいっぱいあって。自分たちが感じている、今の――今って便利だし、めちゃくちゃ自由だし、何でもできる時代なんですけど、だからこそ大きいことを言うのは恥ずかしいし、僕ら世代も歳を重ねるごとに確実にキラキラしたものはなくなっていってると思うんです。誰かと自分を比較して気にしちゃう自分もいるし、夢みたいなものを口に出すのが恥ずかしいっていう子が増えている気もして。僕もそういうのを言うのは、今はナンセンスなのかなって思うけど、そういったものを消し去る3分間の曲で、最終的にそれが人に届いてポジティブなエネルギーに変えたいなって。
- EMTG:「吹き荒れる嵐よと?うか 全て消し去ってくれ」って歌うんだけど、これはどういうイメージなんですか?
- ReN:心の中がぐっちゃぐちゃな時、禍々しい力にさえ縋りたくなるような、、、 外ですげえ雨が降っていたら、もういっそのこと外出ようかって気分の時あるじゃないですか。その「振り切る」っていう世界も音楽のいいところだなって思ってて。すっごいパワフルな世界なんだけど内面的には孤独で、何かにすがりたいんだけど誰にも答えはわからないっていうもどかしさ、葛藤の歌ですね。
- EMTG:ReNさんはそういう葛藤やモヤモヤをどういうふうに乗り越えてきたんですか?
- ReN:自分が腑に落ちる曲にしていくってことですかね、やっぱり。何をやっても自分は、ものを作っていかないと消化できなくて。その時自分が感じたものを何かに変換して残すことで自分は乗り越えてきた気がするんですよね。それが人にとっていいのか悪いのかは関係なくて、そうやって何かに変換することでポジティブにしていくっていうか。そうしないと自分は腐っていってしまう気がします。今も人に何か言われた悔しさとか、そういったものを感じたらすぐに携帯にバーって言葉を書きまくって、それが歌になることもあるし。そうすることが、最終的に自分が笑顔になる原動力なのかなと思います。
- EMTG:なるほど。では3曲目の「Love You」はどういうふうに作ったんですか?
- ReN:これは本当に仲間内で遊びながら、ギターでシャッフルのリズムを作って。最初はレゲエにしたかったんです。ラブソングなように聞こえて――ラブソングなんですけど、僕は車の中で仲間と一緒に肩を揺らしながら、長い道をドライブするイメージなんですよ。「Fallin’」はどっちかというと寒さの中でのぬくもりが表現されていて、「Love You」は愛情や恋愛感情もあるんだけど、もっと絆や友情的なあったかいところを表現していて。ゴキゲンな曲です、とにかく(笑)。友人の結婚式を海が見えるきれいなところでやったときに、そこまで車で行く道中、すごく幸せだなあなんて思いながら景色を見ていて。海の景色も音楽で表現して、それがみんなに見えたらいいよなって思って、そういうものも混ぜてみたいなって。そういう優しい気分で紡ぎました。
- EMTG:これこそ、セッションじゃなかったら生まれない曲ですよね。
- ReN:生まれないですよね。ひとりの世界で「I love you I love you」って(笑)。それって、みんながいたからっていうわけでもないんですけど、そういう気分でいるっていうことが大切で。でも自分の部屋の中でそういう気分になるってなかなか難しいですからね。
- EMTG:そして最後の「Hot and Cold」。これもナッシュビルで?
- ReN:これはロスの牧場の中にあるスタジオで作りました。アコースティックギターで、フォーク調の曲を作りたくて。男女のドロドロの歌なんだけど、それを涼しく歌ってみたいなって思いました。最初はこの曲、半分日本語で半分英語のハイブリッドで作ったんですけど、自分のなかでは腑に落ちなかったんですよね。英語の曲って、聴いていて「これどういうことなんだろう?」って思うことも多いんですけど、比喩表現がすごく多いなというか、聴けば聴くほどわかっていったり、隠されたメッセージがあったりというのが好きで。だからあえて英語で歌って、聴けば聴くほど内容を紐解いていけるものにしたいなと思って作りました。
- EMTG:わかりました。このEPは、ReNが今までやってきたことと、やってこなかったこと、両方が本当にいいバランスで共存している作品だと思います。これを作って、ここから先、どういうふうに進んでいきたいと考えていますか?
- ReN:そうですね……自分が持っているものを無視することも必要だと思ってて。ひとつこだわっているのは、自分がいいと思った世界、自分が気に入った世界、自分が入り込める世界、そこだけをテーマにして、自分が知らない音楽のなかで「自分だったら」っていうものをいっぱい作っていきたい。そのためにどんどん器用になっていきたいし、ライブを大きくしていくっていうのも大事なんだけど、いろんな曲を作れるアーティストになっていきたいなと思ってます。
【取材・文:小川智宏】
リリース情報
Fallin’
2019年11月27日
ワーナーミュージック・ジャパン
01.Fallin’
02.HURRICANE
03.Love You
04.Hot and Cold
02.HURRICANE
03.Love You
04.Hot and Cold
お知らせ
■コメント動画
■ライブ情報
ReN ONE MAN「HURRICANE」TOUR 2019-2020
2019/11/28(木) DRUM Be-1 (福岡) SOLD OUT
2019/12/06(金)Veats (東京) SOLD OUT
2019/12/16(月)UPSET (名古屋) SOLD OUT
2019/12/19(木)Shangri-La (大阪) SOLD OUT
2020/03/01(日)Zepp Diver city (東京)
<追加公演>
2020/02/06(木) 仙台darwin
2020/02/12(水) 大阪BIGCAT
2020/02/16(日) 札幌cube garden
2020/02/20(木) 名古屋The Bottom Line
2020/02/22(土) 福岡DRUM LOGOS
2020/02/24(月) 広島LIVE VANQUISH
みやかわくん 大新年祭 2020
2020/01/19(日)中野サンプラザホール
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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2019/11/28(木) DRUM Be-1 (福岡) SOLD OUT
2019/12/06(金)Veats (東京) SOLD OUT
2019/12/16(月)UPSET (名古屋) SOLD OUT
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2020/02/06(木) 仙台darwin
2020/02/12(水) 大阪BIGCAT
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2020/01/19(日)中野サンプラザホール
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