今最も目が離せないバンド・Omoinotake――3rd mini album『モラトリアム』で証明する

Omoinotake | 2020.03.02

 3枚目のミニアルバム『モラトリアム』をリリースした、Omoinotake。2012年の結成以来、ピアノトリオ・バンドである特性を生かし、R&Bやジャズなどをベースにしたグルーヴィなポップ・ミュージックを鳴らしてきたバンドだ。昨年からはテレビの音楽番組などでも、その非凡なる音楽センスが注目を集めている。今作では劇場アニメのエンディングテーマとして書き下ろされた物悲しくもドラマチックなナンバー「モラトリアム」をはじめ、軽快なリズムと華やかなメロディラインにノスタルジックな想いを綴った「So Far So Good」など、Omoinotakeの新たな代表曲が次々と生まれた。2020年、最も目が離せないバンドであることを証明するにふさわしい作品をドロップした、藤井レオ(Vo&Key)、福島智朗/エモアキ(Ba&Cho)、冨田洋之進/ドラゲ(Dr&Cho)の3人に話を聞いた。

EMTG:あらためてプロフィール的なところもお訊きしたいのですが。皆さん島根県のご出身で中学高校時代からバンド活動をされていたそうですが、当時はどんなバンド少年たちだったのでしょうか。
藤井:島根のバンド少年たちの活動は(笑)、結構盛んでしたよ。学園祭とかでライブをするバンドもたくさんいたし。よく行くライブハウスにスタジオもあって、そういう意味で環境も整っていて。
福島:バンドをやってる先輩もいっぱいいたしね。
冨田:僕はふたりとは別の中学だったんですけど、通ってたドラム教室にたまたまいたのがレオで。ドラムを叩きながら彼がコーラスをしてたのを見て、すごく歌が上手いなと思ってたし小さい頃からピアノを習っていたのも知ってたので、お互いに上京した後に、ピアノボーカルでバンドを組まない?って誘いました。
EMTG:皆さんそれぞれ上京されてから、Omoinotakeを結成したのが2012年。ロックやメロコアなど、ご自身たちが好きで聴いてきた音楽とはまた違う、ブラックミュージックをベースにした音楽性でバンドをやることへの面白さをどのように感じていましたか。
藤井:ピアノボーカルで初めてバンドを組んだので、どういう音楽をやったらいいのかも最初はわからなかったんですよ。当時は、僕がずっとドラムをやっていたこともあって、曲作りをしたことがなくて。作詞作曲をどっちもエモアキが担当していましたし、試行錯誤していました。
冨田:僕は学生時代からORANGE RANGEが好きで聴いていた傍ら、ドラム教室の先生がジャズ畑の人で、上京した時に音楽の専門学校でジャズを専攻していたこともあって。今やっているジャンルのルーツ的なところは割とかじっていたんです。なので今の音楽性にガラッと変わった時に、色々とふたりに提案したりもしました。
EMTG:今回は3枚目のミニアルバム『モラトリアム』がリリースされましたが、Omoinotakeらしい音楽性がこれまで以上に鮮やかになった感触がありました。ご自身たちのモードとしてはいかがでしたか。
藤井:下積みが長いバンドだと思うので、ようやく芽が出始めた感じがしています。Omoinotakeを始めたばかりの頃は、思い切り舵を切って新しい音楽性にチャレンジしようという気持ちだったんですけど、最近ではそこに自分たちが聴いてきた音楽性をどう混ぜていくかを、自信を持ってやれるようになってきました。
EMTG:昨年に配信されてからすぐに話題になっている「惑星」も収録されています。
藤井:この曲は特に出来た時の手応えが大きかったですね。もともと歌詞が先に出来て、その時からすごく良いなと思っていたので、歌詞のパワーを最大限に活かすメロディができた時には、「バシッときたんじゃねえか」っていう感覚がありました。珍しくアコギの弾き語りで作曲しました。
EMTG:このバンドにおける作曲時のこだわりってどういうものですか。
藤井:昔から、弾き語りでも成立する曲にしたいという想いはあるので、トラックから作ってても1度アコギで弾き語りしてみて、それでも良いメロディかというのはチェックしているんです。ノリありきのメロディになっちゃうのが嫌なので、伴奏だけでも素敵なメロディになるように。ピアノの右手だけでメロディを弾いて、それだけでエモーショナルかどうかもチェックしたりします。
EMTG:「惑星」のように歌詞が先に出来るパターンも、よくあるんですか。
福島:今回のアルバムは「トニカ」と「So Far So Good」以外は歌詞が先に出来ました。「惑星」は昨年の3ヶ月連続配信の第一弾シングル曲だったんですけど、この歌詞を書く前は、何を書いたらいいのかわからない状況で。ほんとにスランプだったんですけど、今までだったら「ここまで書いてもいいのかな?」って躊躇しちゃうようなことまで、自分の内側を掘り下げて書いちゃおうと思って。こうして形になって反響も良かったので、もっと自分を出しながら歌詞を書いていいんだってあらためて思ったきっかけの曲になりました。「惑星」が書けたからできたアルバムでもあると思います。
EMTG:表題曲の「モラトリアム」は劇場アニメ『囀る鳥は羽ばたかない The clouds gather』のエンディングテーマとして書き下ろされたそうですね。

福島:はい、初めての書き下ろしで。作品の中で雨とか鳥がモチーフになっているので、〈鳥籠〉というキーワードを歌詞にも入れました。作品のテーマと自分が持っているメッセージ性の共通項みたいな部分を探しながら、歌詞を書いていく作業でした。
藤井:バラードって言われがちですけど、あくまでもR&B的な、ノレるグルーヴにはしたいなと思っていたので、聴いて感じ取ってもらえたら。ここまでダークな曲調は一度も作ったことがなかったんですが、こういうのも全然やれるし得意だなと。書き下ろしのお話をいただいたことで、僕らの幅を広げてもらえた感じで嬉しかったです。
EMTG:「Blanco」ではShingo.Sさんがサウンドプロデュースを手がけたりと、サウンド面でも新たなアプローチがたくさん入った作品になりました。レコーディングではどんな収穫がありましたか。

藤井:めちゃくちゃ勉強になりましたね。ピアノのループで鳴っている音の差し引きを、Shingo.Sさんにやっていただいたり。
冨田:今回のアルバムは打ち込みも結構多かったんで、レコーディングとライブを分けて考えて制作をしました。レコーディングでは前に出すぎないよう、歌が引き立つようにフレーズを考えながら、ライブではそれを全開放する感じで。その棲み分けがとても出来ているかなと。
EMTG:なるほど。アップナンバーの「トニカ」は?

藤井:これは曲が先にできたんですけど。クラップをモチーフに作っていたので、この曲に歌詞をつけた時にクラップがどういう意味を持つのか?というところから始まって。そういうテーマありきで書いた歌詞です。
EMTG:クラップが自分を鼓舞するメッセージ・ソングの後押しをするような、そんな効果をもたらす曲に仕上がりましたね。
藤井:そうなんです。
福島:歌詞はその時のバンドの心境がリアルに詰まった内容になりました。去年の6月~8月くらいかな。バンドを続けてるけどなかなか結果も出ないし……。
藤井:どうしよう!?ってなってたな(笑)。
福島:そんな時にこのクラップをモチーフに曲を作ろう、今そんな曲が必要なんじゃないか!?って作っていったんです。今までだったら、人を励ますような目線でしか書けなかったのかなと思うんですけど、「惑星」から「Blanco」っていう流れを経て、今度は自分を励ますような目線で歌詞が書けるなと思ったんですよね。
EMTG:ある意味、「トニカ」はこのバンドのために書いた曲でもあると。〈いつか思い出す今日を 僕の一部と誇りたい〉なんて歌詞もありますが、焦らずに前に進もう、という気持ちでしょうか。
福島:そうですね、3人でそんな話もしたし、歌詞は100回くらい書き直しました(笑)。
藤井:このアルバムの中では珍しく曲が先にできていたので、このメロディにはまる言葉を探すっていうのも難しくて。「トニカ」の制作が佳境に入ってる時は、ちょっとした空気の悪さを見かねたドラゲが「飲み行く?」って(笑)。3人で行きました。
冨田:エモアキが苦しんでたからね。テーマは自分のことなんだけど、自分のことになりすぎちゃうと、結局自己満の歌詞になっちゃうし、その境目が難しかったから。100回くらい書き直してるところを僕は見てただけですけど(笑)。
藤井:エモアキが路上で号泣したりしてましたからね。
福島:あはははは。
冨田:ストリート号泣あったね。
EMTG:「トニカ」はそんな産みの苦しみの果てに出来た曲なんですね。
福島:歌ってる言葉の雰囲気は良いけど、何を言ってるかよくわからないような歌詞はもう絶対にやりたくないと思って。メロディのグルーヴ感を生かしながら、意味のある言葉を乗せていくことにこだわりました。それが両立できて良かったです。
EMTG:ラストの「So Far So Good」もポップ・ソングとしての強さと輝きがこれまで以上に響いてきて。〈引出しの奥の 色褪せたバンドTシャツ/なぜかいつになっても 僕は手放せない〉なんて描写もリアリティを感じさせます。
福島:昔の友だちのことを思い出しながら書いた曲なんです。
藤井:この歌詞は、俺もドラゲもむちゃくちゃ刺さりました。その友達のことも知ってるんで。
福島:銀杏BOYZに「なんとなく僕たちは大人になるんだ」っていう大好きな歌があるんですけど、そういう要素を入れたくて。昔聴いてきた音楽の要素も、このバンドに混ぜれるんだなって思いました。
藤井:そうすることが僕らのアイデンティティになっていくんだっていうことに気づき始めたんです。
EMTG:今作『モラトリアム』にはOmoinotakeだからこそ鳴らせる音と歌が詰まってて、バンドとしても大きな手応えを掴んだのではないかと思います。皆さんの感覚としてはどうですか。
藤井:そうですね、すごく手応えのある作品になったので、この制作過程で掴んだものがどんどん揺るぎないものになっていくんじゃないかと思います。これから更にレベルアップして活動して行きたいですね。
冨田:今回の制作では、レオがどの曲にも譲れない核のような部分をちゃんと持っていることを感じたし、その自信をすごく頼もしく感じていました。これからどんな曲が出来ていくのかも、自分たちですごく楽しみです。
福島:ライブでお客さんたちが良い表情をしてくれる曲ばかりなので、これからもライブで色んな顔をして欲しいなと思っています。
EMTG:今作をひっさげての5月のワンマンツアーも楽しみです。
藤井:初めてワンマンライブができる場所にも行くので、僕らもすごく楽しみ。動員も増えてきて、ようやくスタートラインに立てたなという気がしています。「やってやるぞ!」という気持ちは昔と変わらずずっとあるので、ぜひ観にきてもらえたら嬉しいです。

【取材・文:上野三樹】

tag一覧 J-POP ミニアルバム インタビュー 男性ボーカル Omoinotake

リリース情報

モラトリアム

モラトリアム

2020年02月19日

NEON RECORDS

01.モラトリアム
02.惑星
03.トニカ
04.Blanco
05.So Far So Good

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

Omoinotake Presents「FACE TO FACE」
02/28(金) [東京]Shibuya Milkyway
03/27(金) [東京]Shibuya Milkyway

Omoinotake「モラトリアム」
Release One Man Tour

05/03(日) [名古屋]ell.SIZE
05/05(火・祝) [大阪]CLAPPER
05/08(金) [東京]渋谷WWWX
05/16(土) [島根]松江B1

----------

SyU-種-×Ajam
-clubasia 24th Anniversary-

03/08(日) [東京]渋谷Club asia&渋谷LOUNGE NEO

BeatCocktail vol.5
04/12(日) [北海道]SpaceArtStudio

B1 20th Anniversary Live!!
04/26(日) [島根]LIVE&STUDIO 松江B1

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る