ACE COLLECTION、メジャーデビューミニアルバム『L.O.V.E.』での挑戦とは

ACE COLLECTION | 2020.04.08

 ACE COLLECTIONのメジャーデビューミニアルバム『L.O.V.E.』が堂々完成! 振り返れば初ライブとなったマイナビBLITZ赤坂公演(2019年4月29日、今作の初回生産限定盤に全曲収録)から1年も経たずに出る今作を聴き、彼らの成長速度に驚くばかりだ。2017年12月の結成から毎日動画配信を続けたYouTube活動時代までを網羅した前作の1stアルバム『HELLO WORLD』を経て、ツアーやフェス出演などの経験を積み重ねた今作は、必然的に前作とは色合いの異なる作風に。愛に揺らぐいろんな感情を温度で表したアートワーク同様、奥深い愛情を様々な切り口でアプローチし、映画やTVドラマの主題歌を含む全8曲には、ちょっと"大人"になったACE COLLECTIONの表情が刻まれている。メンバー4人に話を訊いた。

――初ライブから1年も経たずにメジャーデビューですね。この流れはバンド的には計画通りですか?
RIKU(Dr):メジャーデビューしよう、という計画は特になくて。そういう話も特に出てなかったんですよ。タイミング的に、なるべくしてなった感じですね。
――それは少し意外です。以前に「ライブハウスに行く習慣がない人にも聴いてもらいたい」と発言されていたので、メジャーも当然という感じだと思ってました。
RIKU:通過点の一つという印象ですね。
たつや◎(Vo/Gt):それとメジャーは自分たちの中であまり結び付いてなくて。メジャーじゃなくても凄いアーティストさんはいますからね。最初は(メジャーに対して)実感が沸かなかったけど、いざ作品をリリースするときに、大きなステップを踏むんだなという自覚はありました。それぞれ責任を持って頑張るぞ!と意志を固めたタイミングにはなりましたね。今後はこの4人だけでは成し得ない、パワーのある作品も出していけるだろうし、そのためにもいい作品とライブを届けていきたいなと。
――今作を制作する上ではどんなことを意識しました?
LIKI(Gt):自分の中では、ACE COLLCTIONでどんなギターを弾けばいいのかを改めて考えました。自分が初めて衝撃を受けたギターヒーローたち……例えばQUEENのブライアン・メイ、X JAPANのHIDEさんとかを連想させるフレーズを弾いてみようと。大きな会場でギターソロを弾くようなイメージですね。
――確かに、今作はスケール感のあるドシッとした曲調が増えましたね。
RIKU:今回は挑戦することが多くて、前作になかった曲調も多いですからね。バラードも初めて演奏したので、どうアプローチしていいのか、譜面に起こして考えました。今作は、前作のようにアッパーに行く曲が少なくなったし、たつや◎の歌を聴かせるメロディアスな曲調が増えたから。ドラムに関してはやり過ぎずにボーカルを立たせるアレンジを意識しました。今作を通して成長できたと思います。
たつや◎:今作はガーッと作ったので、尖っているというか、エッジは効いているんじゃないかと。
――たつや◎さんが思うエッジとは?
たつや◎:メロディやアレンジは自分のやりたいことを優先して、自我を出した作品かもしれないですね。いままでは(自我の)出し方がわからなかったんですよ。前作は最初の作品なので、行ってない場所が気になるから、いろんなジャンルを試してみたんです。その中で自分には何が似合っているんだろうとか、改めて考えて作れた作品ですね。
――前作以降、ライブを重ねる中でバンドを俯瞰的に見れるようになってきたと?
たつや◎:そうですね。フェスでこの曲はこういう風に盛り上がるんだとか、SNSを通してコメントを貰うこともあるので、そこに自我を織り交ぜて作ろうと。今作は古き良きメロディや、さっき仰ったドシッとした王道のサウンド感だったり、わりと歌にフォーカスを当てた作品になったと思います。
――前作以上に歌謡テイストは強まってますよね。
たつや◎:そこが自我の部分かもしれないですね。歌謡曲のようなキャッチーで歌いやすいメロディを散りばめてますからね。
――自分にとっての古き良き音楽というと?
たつや◎:山口百恵さん、玉置浩二さん、尾崎豊さん、あとはLIKIとRIKUの影響で、SIAM SHADE、Janne Da Arc、L’Arc~en~Cielとか。その時代の歌やメロディはスタジアム感があるし、キャッチーですからね。そういう要素も混ぜ込んでみました。
――奏さんはいかがですか?
奏(Ba):僕はプレイ・スタイルが今回で総替えになり、いままでの自分にほとんどないフレーズを当てはめたんですよ。できないことに挑戦し続けたから、この作品を作ったことで今後はスムーズに行くんじゃないかと。いい機会になったレコーディングでしたね。レギュラー・チューニングで弾くのも何年ぶりだろうって感じだったし、長いことピック弾きだったにもかかわらず、今作から全部指弾きになりましたからね。結構キツかったけど、やって良かったと思います。指弾きだとグルーヴィーにも弾けるし、いろんな表情を付けられるから。
――なるほど。ここから楽曲単位で話を訊きたいんですが、「拝啓、君は…」は初ライブからやっていた楽曲です。これを今作の冒頭に持って来た理由は?
たつや◎:いきなり歌で始まるので、声で掴むことを意識しました。この曲は前作よりも前にあったもので、なかなか出すタイミングもなかったし、改めていい曲だなと思って。
RIKU:逆にこのタイミングを逃したら、もう機会はないだろうと。前作のときはこの曲よりも出したいものがありましたからね。
たつや◎:前作は、ライブで楽しめる曲を詰め込みたいという気持ちが強くて。しかも今回「拝啓、君は…」の後に「WaVe」が来る流れがいいんですよね。
――「WaVe」で鮮やかに裏切ってくれますよね。この曲は新しいテイストがあり、今作の中でも非常に凝ったアレンジです。
たつや◎:難しくて、大変な曲でしたね。
奏:アレンジャーの柴崎浩さんに手を加えてもらったんですけど、音を聴いたときは僕らもビックリしました。テクニカルなので……これをライブでやらなきゃいけないんだって。
RIKU:やり過ぎなんじゃないですか?と思いましたからね(笑)。
LIKI:ギターも挑戦的だし、レコーディングでも、弾けるかな?って。自分の引き出しにもなかったから。
たつや◎:バンドで是非コピーして欲しいですね!
LIKI:めちゃくちゃいい練習になると思う(笑)。
――さきほど玉置浩二さんの名前も出てましたが、「ワインレッドのラビリンス」という曲名もありますよね(笑)。

たつや◎:「ワイレッド」という言葉が付く曲名ってなかなかないですからね。まさにあの曲(「ワインレッドの心」/安全地帯)と並べてくれたらいいなと。
――この曲は大人っぽい雰囲気が出てますよね。
たつや◎:今作を作る直前に「たつや◎の声ってエロい要素があるよね」と言われて。じゃあ、エロい曲を作ってみよう、と。歌詞の中でも「ワインレッド」、「口紅」とか、あえてそういう言葉を使っているんですよ。ACE COLLECTIONとして色気も出していきたいなと(笑)。
――中盤すぎのテーマパーク風のアレンジも面白かったです。
たつや◎:メリーゴーランド感がありますよね。
LIKI:そのパートは迷い込んだラビリンス感も出てるし(笑)。
――あと、巻き舌風の歌い回しで始まる「リアピックアップ」もかっこ良くて。
たつや◎:アルバム名も『L.O.V.E.』だし、この曲は自分が使っているギターに対する愛を歌いました。自分は恋愛すると、胃が痛くなりやすいタイプなので、そんなときもギターを搔き鳴らしていれば何も感じないよって曲なんですよ。
――そして、中盤に「二人フタ色」、「Tresure」とドシッとしたスケール感のある曲調を配置した後、「約束のしおり」、「70億にただ1つの奇跡」と、ラスト2曲でバラードが続く流れはかなり攻めてますよね。

たつや◎:ですよね! 最初に映画『明日、君のいない世界で』の主題歌として「約束のしおり」を書いて、次にAbemaTVオリジナルドラマ『僕だけが17歳の世界で』主題歌の話をいただいたときに頭の中でバラードが鳴ったんですよ。でもまたバラードだとマズイかな思ったけど……こうして完成すると、「70億にただ1つの奇跡」はアレンジャーの河野圭さんのパワーもあり、両極端までいかないけど、また色の違うバラードができたから結果的に良かったなと。
――ええ、色合いは分かれているので違和感はなかったです。
たつや◎:「約束のしおり」は今風でソウルっぽく歌っているけど、「70億にただ1つの奇跡」は歌謡っぽい、どバラードという感じですからね。
RIKU:バラードは初めてでしたけど、たつや◎の歌を聴かせながらも、壮大感やダイナミクスを意識して叩きました。
奏:「約束のしおり」はライブで既に披露しているけど、ベースはすごく神経を使う曲ですね。シンプルなフレーズだけど、一音一音をドラムのキックに合わせるところもあるので、理想のポイントで鳴らせるように気を遣うんですよ。でもそこがハマればめちゃくちゃ気持ちいいんですよ。「70億にただ1つの奇跡」は河野さんの作った歌謡調のベースラインを聴かされて、お手本を見せられた感じですね。この1曲だけで相当勉強になりました。

LIKI:「70億にただ1つの奇跡」はスタジオでギターを作ったんですけど、河野さんと一緒に話し合って試行錯誤してやれたので、いい勉強になりましたね。

【取材・文:荒金良介】

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リリース情報

L.O.V.E.

L.O.V.E.

2020年04月08日

ユニバーサルミュージック

01.拝啓、君は...
02.WaVe
03.ワインレッドのラビリンス
04.二人フタ色
05.Treasure
06.リアピックアップ
07.約束のしおり
08.70億にただ1つの奇跡

お知らせ

■コメント動画




■配信情報

ACE COLLECTION『L.O.V.E.』
https://lnk.to/AC2020



■ライブ情報

カローラ福岡Presents NUMBER SHOT2020
07/18(土),19(日)福岡 国営 海の中道海浜公園

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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