Muvidat、加速するシンプルでピュアな情熱が、よりダイナミックな新曲に結実

Muvidat | 2020.04.28

 SHAKALABBITSの無期限活動休止からちょうど1年後の18年11月にUqui(Vo)とMAH(Dr)が新たに始めたプロジェクト、Muvidatが2ndミニアルバム『Fog Lights』をリリース。前作『Muvidat』からわずか10ヵ月というスピードは、「夢寐(ムビ:ねむって夢を見るあいだ)」と「脱兎(ダット:非常に速いことのたとえ)」を組み合わせたMuvidatという名前に込めた「いつでも夢中になれる」という想いをそのまま物語っているが、今回のメールインタビューからわかるのは、とにかく音楽を作りたい!ライブをやりたい!というMuvidatを始めた時のUquiとMAHの情熱は、スタートから1年5ヵ月経った今現在も何ら変わっていない、ということだ。
 極々シンプルで、そしてピュアなふたりの情熱は、今回、Uquiのポップなボーカルを真ん中に据えながら、ラウドなロックからアコースティックの要素もあるポップ・ナンバーまで、曲の振り幅もよりダイナミックな曲の数々に結実。ロック・シーンに大きな足跡を残したSHAKALABBITSに対するふたりの距離感も、前作以上に自然になってきた印象も。それはやはり今現在、これがMuvidatだ!と胸を張れる音楽を作っているという自信が、ふたりにあるからだろう。
 新曲を収録したDISC1と、「Muvidat FALL TOUR 2019」渋谷eggman公演(11月23日)のライブ音源9曲を収めたDISC2を聴き比べることで、Muvidatの進化が窺えるという構成も心憎い。
 信頼できる仲間たちとともに、Muvidatはここからさらに進化していきそうだ。そんな予感も『Fog Lights』の大きな聴きどころだ。

――18年11月に、おふたりがMuvidatを始めた時は、どんな音楽をやりたい、そして、どんな活動をしていきたいと考えたのでしょうか? バンドではなく、ふたりのプロジェクトなのかというところも含め、まず教えていただけますか?
MAH:とにかく僕の中ではUquiに歌をやめて欲しくなかった。なので、仲間に声をかけて、みんなで曲を作ってUquiに提供しよう、自分が全体のプロデュースをする!と思っていたのですが、いざUquiに話をすると、僕に対しても同じように現役のドラマーでいて欲しいと言ってくれて、じゃあ、ふたりでやろうとなりました。
Uqui:ソロ活動がなかなかピンと来なくて、MAHのドラムのいちファンでもあるし。長年、音楽を生み出すコンビでやってきたので、一緒に表立つ選択が自然でした。今までと全く違う音楽をやりたい、とは思わなかったです。作詞作曲が同じでも、Muvidatで変化することを楽しみに。ライブするために曲を作ろう!ってことだけで動き出していました。
――その考えはその後、1stアルバム『Muvidat』のリリースと、その後のツアーの手応えをきっかけに、よりはっきりしたものになったと思うのですが、Muvidatに取り組むおふたりの気持ちには、どんな変化がありましたか?
MAH:まだ今回で2作目ですし、全然フレッシュで何も気持ちに変わりはありませんが、幸運なことに本当にカッコいい、良い仲間が周りにいてくれて、もっと各々の能力を発揮していきたいなと思っています。明確になったのは、僕らふたりは基本的に火花を散らすプラグで、仲間たちも含め、フロアを爆発させられたら成功ということですね。
Uqui:同じく、まだまだフレッシュです。仲間たちのおかげで新しい発見もたくさんあります。SHAKALABBITSがあってこそのMuvidatなのも、ツアーを廻って感じました。やっぱり私たちが音楽をやり続けることが、応援し続けてくれるみんなへの恩返しになると改めて思いましたね。Muvidatを知らない人たちにも、気付いてもらえるよう届けたいです。
――前作からわずか10ヵ月で新作『Fog Lights』をリリースというのはなかなかのスピードだと思うのですが、Muvidatを始めた時から、これくらいのスピード感で、というのは考えていたのでしょうか? 10ヵ月というタイミングでリリースすることになったきっかけや理由、動機などがあったら教えてください。
MAH:前作をリリースした後もたくさんの素晴らしい出会いがあり、みんなのアドバイスもありつつのタイム感でした。Muvidatは夢寐脱兎という意味なので、とにかくやらねばと。もう10ヵ月かと思うほど目まぐるしかったです。とにかく自分たちは曲のアイディアを早く形にしたくて無我夢中でした。
Uqui:2月のアコースティックライブの時に新しい発表をしたい!と思ったら、こんなスピードになった感もあります(笑)。始まりは1曲2曲だったのが、あれもこれも形にしたい曲ばかりで、作品にしたくなったのです。
――『Fog Lights』の曲は、いつ頃から作り始めたのでしょうか?
MAH:前作『Muvidat』がリリースされる頃には作り始めていました。
Uqui:急にMAHから届いた弾き語り動画を観て、メロディがずっと離れなかったんです。
――今回、前作から曲の作り方に変化はありましたか? Muvidatは、曲作りはどんなふうにやっているのでしょうか?
MAH:変えているつもりはないですが、世界の様子も変わり、作品には自然と落とし込められていくのだと思います。SHAKALABBITSの頃から変わらずギターで作ります。
――レコーディングは、サポートミュージシャンを迎えて? それともふたりだけで? ギター、ベースともに印象に残るがフレーズが散りばめられていますが、サポートメンバーがアレンジに加わることもあるのでしょうか?
MAH:曲の大まかな青写真は変わらず僕とUquiが作り、ベースのタイジュ(音の旅Crew)と、同じくベースのRei、ギターのなおぴ(ex.空想委員会)に投げてアイディアをもらいました。
Uqui:みんなの、曲への愛を感じる演奏がすごく嬉しいです。ライブもレコーディングも遊ぶ時も、ほんと楽しくていつも感謝です!
――前作にはSHAKALABBITSの初期を連想させるスカ(パンク)調の曲もありましたが、今回、そういう曲は入っていません。裏打ちのギターのカッティングや曲によってはレゲエ風になるところもありましたが、スカ(パンク)調の曲がなくなった変化は意識的なものだったのでしょうか?
MAH:曲を書く時に何かを意識することはあまりないですね。ビジネス的にはスカパンクで売れたバンドはスカパンクをやり続けるべきなのかもしれませんが、僕らはそこまで器用にはモノ作り出来ず。。。前作のスカパンクはベースのReiが2曲、僕も1曲書いたので、割合的に増えた印象かもしれないです。スカは自分にとって特別で、大好きなジャンルな分だけ自分に厳しくボツにしがちですが、、、もちろん、これからも思い浮かべば形にしていきたいです。
Uqui:今までもこれからも、その曲が1番輝くアレンジで真空パックさせるのがテーマであります。ライブで曲調を変えて遊ぶのも面白いです。
――『Fog Lights』はラウドなロックからアコースティックの要素もあるポップナンバーまで、曲の振り幅もよりダイナミックなロック作品になっているという印象がありましたが、作るにあたっては、どんな作品にしようと考えたのでしょうか? あるいは、結果、どんな作品になったという手応えがありますか?
MAH:あまりトータルでは考えてないです。今、自分たちに必要な曲が浮かぶのだと思います。答えがわかるのはきっとライブをしてからですね。
Uqui:昔からあまりテーマを持って作品作りをせず、1曲ずつのベストを心がけています。今回も(歌の)キーはバラバラで雰囲気もそれぞれで。だんだん見えてきて曲順を考え出すと、まるで最初からこの形を目指していたかのようになるのです。何度も繰り返し聴きたくなる、音の止め時がわからなくなるような、、、愛しい作品になりました。
――今回、おふたりがそれぞれに思うキーになる曲は? そう考える理由と合わせて教えてください。
MAH:4曲目の「聞こえる」ですかね。どんなにバカ騒ぎしていても、どこかで寂しさを感じてしまう、会えなくなってしまった大切な人に会いたい時がある。その隙間をUquiの歌詞が埋めてくれました。聴くたびに泣いてしまって、ライブでちゃんと演奏できるかわかりません(笑)。とても大切な曲ができました。アレンジ的にもとても素直に作れましたね。
Uqui:キーと言えば、私も「聞こえる」です。MAHの弾き語り時点で、何て優しくて強い歌なのだと感じて。どんなメッセージが似合うか迷い、ぎりぎりまで真っ白だったのですが。レコーディングの日に、長年、入院していたばあばが亡くなったと連絡があり、自分の胸を撫でるように一気に書かせてもらった曲でもあります。友達や家族と突然会えなくなってしまったり、上京してみんなが遠くに感じてしまったり、何だか独りぼっちだなとか、、、そんなふうに感じている人たちに、わずかでもこの曲で寄り添いたい。ばあばは会うたび、「あんたが元気なかったらつまらないわ」と言っていました。元気な声で真っ直ぐに歌えたと思っています。
――『Fog Lights』を聴きながら、歌詞は、日々の生活の中から生まれた感情を言葉にしていると思いましたが、言葉にする時にファンタジックな要素が絶妙に入り混じるところがおもしろい。そういうところもMuvidatならではの魅力だと思うのですが、歌詞を書く時に意識しているのは、どんなことでしょうか?
Uqui:メロディ先行なので、1曲1曲、常に壮大なパズルやらコラージュにチャレンジしている感覚があります。MAHから生まれたメロディに対して、物語と響きを意識しながら、それは20年間変わっていないところで。日々の出来事も想像も曲調に合わせた時、まず映像化してから言葉を乗せているので、ライブのような現実と非現実の狭間みたいな感じになるのかもです。1曲の中にいろんな時代の私が存在したりもして、今の私が代弁しているイメージもあります。子供の頃の感情は、今も大事にしています。
――1曲目の「Fog Lights」はMuvidatが音楽に取り組む所信を、改めて表明しているように聞こえますが、《あなたの胸に咲こう いつまでも想うよ 何者でもなく ただ唯一のメロディになる そばにいる》というパンチラインに込めた思いは?
Uqui:今まで書いてきた歌詞(複数)の言い回しも混ぜて、自分にできることをシンプルに乗せました。

――3曲目の「Focus」は、東京ヴェルディ女子ホッケーチーム 公式ソングでもあるわけですが、公式ソングとして書き下ろしたのですか? 歌詞の内容は、バンドに取り組む気持ちを歌っているようにも聞こえますが、おふたりはどんな時に、ここで歌っているような気持ちになるのでしょうか?
MAH:今作のプリプロを聴いていたスタッフが「この曲だ!」と話を進めてくれました。「ミュージシャンとホッケー選手の共通項は、その数分間の集中力だよね」とUquiと話をしました。僕らはライブ、選手たちは試合。とにかく全てを出し切らなければならない。結果的に戦っている全ての人に当てはまる内容になったなと思います。
Uqui:試合や選手のインタビューの映像を観ながら、応援するには自分たちがこの曲を演奏する時の想像も大切でした。いかにその世界に入り込めるか、ここぞと言う瞬間で今までの全部を出し切る気で行かねば。サポーターとともに夢を叶えられるように「Focus」が鳴り響くことで、力になれたら嬉しいです。
――今回、作詞・作曲・演奏面で、それぞれに新たな挑戦はありましたか?
MAH:生み出すことはとにかくいつも挑戦で、全然馴れないです。仲間たちとこうやって形にできたことに感謝したいです。
Uqui:分かりにくく気づかれないことかもですが、自分の中になかった言葉を探したり、試したり、挑戦の連続であります。
――DISC1の8曲とDISC2のライブ音源を聴き比べることで、新作におけるMuvidatの進化がよりはっきりとわかるうえに、ライブの雰囲気も知ることができるという意味で、聴き応えがあるものになりましたが、ライブ盤をカップリングしたのはどんな狙いから?
MAH:「カッコいいんで入れましょう」とスタッフが(笑)。聴いてみて、自分たちもなかなかやるなと思いました(笑)。
Uqui:盛り沢山な流れです。すぐそばで演奏しているような音像で、休みなくドダダダダと入っているので、心臓がばくばく叫ぶかもしれません。
――前作に引き続き、今回も収録曲のリミックスが2曲(「Fog Lights」「都会の猫たち」)、BISTRO FUNK Remixというクレジットで収録されています。リミックスは誰の手によるものなのでしょうか? また、リミックスを収録したのはなぜ?
MAH:BISTRO FUNKは、ベースのReiのリミックスの時の屋号です。ちょうどMuvidatのプロジェクトが始まる少し前、Reiの家でパーティーをしたことがあって、その時、SHAKALABBITSの曲を使って、その場で遊び半分のリミックスをしてくれたんです。その時、凄くカッコよくて感動して、絶対、新しいプロジェクトで作って欲しいと思っていました。
Uqui:BISTRO FUNK料理長のリミックスはほんと逸品です。「Fog Lights -BISTRO FUNK Remix-」でも、私の声のみじん切り具合がたまらなく心地良いです!
――5月10日から始まるリリース・ツアーの意気込みを教えてください。曲が増えたことで、セトリを含めライブもちょっと変わりそうですね。ファンはどんなことを期待しながら足を運んだらいいでしょうか?(※インタビューは3月時点)
MAH:音楽は会場によっても鳴り方が変わるし、人によっても、対バンによっても変わりますよね。僕らを応援してくれるみんなは複数公演観に来てくれる方が多いですが、今回のツアーはどれもこれも違う聴こえ方にできると思います。もちろん、その日1本だけでもMuvidatを深く理解してもらえると思います。
Uqui:まずは無事開催できることを祈りつつ、、、そうですね、曲が増えたことでライブでの物語の流れも作り甲斐があります。思いっきりMuvidatの時間に入り込んでもらいたいです。
――ツアーファイナルの渋谷TSUTAYA O-WEST以外は対バンライブですが、対バンの顔ぶれは手ごわいライブバンドばかりです。どんなふうに選んだのでしょうか?
MAH:スタッフのお勧めと僕らが今気になっているバンドさんです。あえて繋がりのないバンドさんにオファーさせてもらいました。いっぱい吸収したいです。
Uqui:私たちも手ごわいライブバンドになるべく、そして刺激的な日を作りたいです。
――最後に、新作を完成させた手応えと、それを踏まえた上でのMuvidatの目標や、これからの活動の抱負を聞かせてください。
MAH:とにかく今は仲間たちと待ってくれているファンのみんなに感謝しています。今の自分たちの精一杯をやれたなと思います。目標はSHAKALABBITS時代の最高峰、日本武道館。抱負は変わらず音楽を続けて、みんなを元気にできたら嬉しいです。
Uqui:また宝物アルバムができたのは、チームみんなのおかげです。核はふたりでも、“俺も私もMuvidat”というくらい、一緒に演奏する仲間が増えたら面白いと思っています。ずっと応援し続けてくれるみんなが、好きで良かった!と誇れるように、これから出会うみなさんが夢中になるような音楽を、Muvidatで放ち続けたいです。

【取材・文:山口智男】

tag一覧 J-POP ミニアルバム インタビュー 女性ボーカル Muvidat

リリース情報

Fog Lights

Fog Lights

2020年04月29日

KURAMAE RECORDS / Hallelujah Circus Inc.

◆Disc1
01.Fog Lights
02.楽園には砂嵐の矢印で
03.Focus
04.聞こえる
05.都会の猫たち
06.Bathtub Ship
07.Fog Lights -BISTRO FUNK Remix-
08.都会の猫たち -BISTRO FUNK Remix-

◆Disc2
ライブ音源:『Muvidat FALL TOUR 2019』渋谷eggman(2019年11月23日)
01.月
02.実験的ユートピア
03.Give & Give
04.ミイラのピアノマン
05.WIRE
06.SMILINFWIIIIIIIIIGOTMUZIK
07.ALL YOUR LIFE
08.19 Years
09.Muvidat

お知らせ

■ライブ情報

Muvidat “Fog Lights” Tour 2020
06/13(土)渋谷 TSUTAYA O-WEST
ONEMAN LIVE!!

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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