「どんな世界にも、どんな人にもやってくるハレゾラに」――井上苑子が『ハレゾラ』に込めた想い

井上苑子 | 2020.04.22

 今年7月にメジャーデビュー5周年を迎えるSNS世代を代表するシンガーソングライターの井上苑子が、n-buna(ヨルシカ)やMrs. GREEN APPLEとのコラボレーション楽曲を含む3rdアルバム『白と色イロ』以来、実に1年ぶりのパッケージとなる3枚目のミニアルバム『ハレゾラ』をリリースした。彼女のデビュー曲のMVを手掛けた同い年(当時、共に17歳!)の松本花奈監督の恋愛映画『キスカム! ~COME ON,KISS ME AGAIN!~』の主題歌&挿入歌や、TikTokでの“近づく恋ダンス”が話題となっている資生堂SEA BREEZEのCMソングなど、全6曲に込めた想いを聞いた。

――まず、メジャーデビュー5周年を迎える心境から聞かせてください。
井上苑子:5年はあっという間でしたね。まだまだやれます。やります!としか言えないぐらい、エネルギーが有り余ってます(笑)。もっと頑張りたいです。
――まだ満足できてない?
井上:そうですね。自分がなりたかった自分になりたい。子供のころの憧れは強いですね。まだまだ挑戦していきたいですし、もっともっと自分の可能性を広げていきたい。自分の技術も人間性ももっと輝けるように、いろんなところに突っ走っていきたいです。
――そして、節目を迎える前に通算3枚目のミニアルバムがリリースされます。パッケージとしては、3rdアルバム『白と色イロ』以来、約1年ぶりになりますがどんな作品にしたいと考えていましたか?
井上:1年経ったのがびっくりというほどに、6曲を1年以上かけて作っていました。1曲ずつ全然違う時期に書いたので、感情も切り替えて作れたので全曲推し曲にしたいぐらい、可愛い曲たちです。アルバム曲、という意識でつくった曲は一曲もありません。
――では、その6曲を1曲ずつ詳しく聞かせてください。まず、松本花奈監督の恋愛映画『キスカム! ~COME ON,KISS ME AGAIN!~』の映画主題歌となっているラブバラード「ぜんぶ。」はどんなところから生まれた曲でしたか?

井上:映画の台本を読ませて頂いてから、私が受け取った男性側の気持ちをスピンオフのような感覚で詳しいお話を書きました。
――男の子目線なんですね!?
井上:そうですね。映画の主人公の男性を思い浮かべて、彼女の大事さに気づいた気持ちを書いた曲です。上手くいかない不器用さと、後から気づく大切なこと。を、主に考えました。
――男性視点も珍しいですが、これまで「好き」=恋を歌ってきた井上さんが、「愛してる」=愛を歌ってるのも新鮮でした。
井上:はい。私はこれまではずっと、「好き好き好き好きー」ってなって、嫌いなところがちょっとでも見えたら、好きじゃないかも、みたいなのが恋愛だと思ってたんです。でも、「こういうところあるよな」っていう愚痴を言いながらも、嫌いなところも認めて、受け入れつつ、そこが愛おしく思えたりとか……。
――じゃあ、現時点での井上苑子にとっての「愛とはなんですか?」の答えは?
井上:うーん……愛を完全に分かったとはまだ思わないのですが、この映画を観て、この二人の愛は言葉にする、と言うことだったんじゃないかなと思います。それも、人間同士だから、いいところも悪いところも理解がないといけないなってことが、あくまでも、ようやく頭ではわかってきっていう段階です。愛についてはまだ、私の見解があってるのかはわからないです!
――(笑)。レコーディングはどんな気持ちで歌いましたか?
井上:AメロBメロは、包み込めるように、やさしく、お話をする様に歌いました。男の人が淡々と語ってる感じです。サビはとにかく、愛おしい相手に大事なことを伝えるということを意識しました。
――そして、映画本編にも出演されてますよね。撮影はどうでした?
井上:いや~、緊張しました。自分のシーンで止めちゃいけない!と思って、とにかく噛まないように気をつけてて。でも、間違えました(笑)。
――松井大悟監督の映画『私たちのハァハァ』では主演も務めてるのに(笑)。MVも同じ松本監督で、映画のロケ地などで撮られてますね。
井上:MV撮影は長時間でしたが、色んなところに行って撮って頂けたのでたのしかったです。映画と合わせて観て頂けると面白いと思います。松本花奈監督とは5年ぶりのお仕事だったので楽しめました。しかも、5年前の「大切な君へ」のMVでもご一緒した市井直樹さんにも出て頂けて、1日懐かしい撮影になりました! 市井さんとは5年ぶりにも関わらず、30分ぐらいの撮影時間だったのは面白かったです(笑)。
――(笑)。もう1曲、映画では「ラブリー」が挿入歌として使われてます。
井上:ちょっとツンとした、ほったらかしにされるのが嫌な、かまって欲しい女の子の気持ちを書きました。映画館で流れた時はやっぱり嬉しかったです。自分が出てきたのは変な気持ちでした(笑)。
――楽曲の話に戻ると、ミニアルバムの1曲目「近づく恋」は女の子の片思いを描いた胸キュンポップになってます。恋のどんな状態を歌った曲だと言えばいいですか。
井上:恋の始まりです。恋の始まりは何にも変えられない強さと儚さがあって、その渦中はとても楽しく感じると思うんです。私はその期間が特別だと思うのでそこを歌にしました。
――MVではTikTokでも話題となっている“近づく恋ダンス”を披露してます。ダンスのポイントはありますか?

井上:ダンスは楽しく、可愛くです! 私もそこのプロじゃないので良くわからないんですが、あとはもう、自由にノってください(笑)。
――高校生に混じって、教育実習生としても出演してますね。
井上:撮影は恥ずかしかったですね~(笑)。だって、さっきまでアコギを弾きながら歌ってた人が、いつの間にか白衣を着てますからね(笑)。え? 何者!? って感じでした。
――(笑)。そして、昨年冬から流れていたチョコレートの“レシートソング”である「リボン」は失恋ソングになってます。バレンタインなのに、失恋ソングにしたのはどうしてですか。
井上:バレンタインの意識よりも冬のチョコソングという意識でした。チョコは溶ける。じんわり溶けて、その甘さで心があったかくなる。失恋した心を守ってくれるようなイメージで作りました。失恋ソングだけど前を向ける曲にしたくて書きました。
――ちょっとビターな雰囲気ですよね。少し大人っぽいというか。
井上:うんうん。私が思う大人の女性を描いてます。相手に対していろんな感情を抱いているけど、決して引き留めないし、別れ際が潔い。相手に何かを言うのではなく、チョコが溶けるまでの間に、ほろ苦い恋愛の思い出を自分の中で一生懸命に味わって、自分で解決する。その姿が大人だなって思うような別れ際の曲です。
――井上さんは理想の別れ際というのはありますか?
井上:私自身はいろんなときがあります。みんなもそうだと思うんですけど、整理できる別れと、整理できない別れがあって当たり前だと思います! でも、結構、前向きな方だとは思います。ここで立ち止まってはいけない!!という気持ちが、恋愛でも仕事でもあります。
――恋愛でも仕事でも(笑)。続く、「My Way」にはどんなメッセージを込めましたか?
井上:夢を持ってるのに一歩を踏み出せない人に、怖がらずに軽く踏み込んで欲しいなと思って書きました。自分も歌を始めたとき、路上ライブをしたり、動画配信をしたり、やってみたら変わったという経験があるので、どんどん挑戦して欲しいなと思います。挑戦しないと何も始まらないですぞー!と伝えたいです。
――デビュー当時、視聴者数100万人のツイキャスの女王と報じられていた井上さんの言葉は説得力を持って響くと思います。もう1曲、「僕らの輝かしい未来」は卒業ソングになってますね。
井上:22歳になった今、18歳の時の自分が違く見えたりして。この4年で感じた事を詰めこみました。卒業するまでは毎日一緒にいた仲間がこんなにも会わない人になるとは思っていなかったし、会ってない中で、その友達の活躍を知ったり、見えない所でみんながんばっているんだから、自分も頑張ろうと思えるような。この曲を聴くと自分自身も初心にかえれる曲になったかなと思います。
――ご自身は、高校を卒業するとき、どんな思い出した?
井上:卒業は……嬉しかったです(笑)。東京の高校だったので。友達とは会わなくなると思ってなかったのでそこの不安がなかったのはよかったと思います。もちろん寂しさはありましたが、新しくスタートする事が楽しみで仕方なかったです。早起きをしなくていいのも……嬉しかったです(笑)。
――あはははは、現実! この曲の歌詞は卒業式当日で、明日から変わってしまうんじゃないかっていう不安を感じてますよね。井上さんや友達たちは次の日から何か変わりましたか?
井上:変わっていないです(笑)。もうずっと変わらないかなー。強いていうと、前よりは友達といるときは話をしっかり聞かなきゃと思ってがんばっています!
――(笑)。春の卒業、夏の片思い、冬の失恋など四季折々の感情を収めた6曲が揃って、タイトルを「ハレゾラ」にしたのはどうしてですか。
井上:前を向けて、私らしい言葉を探していました。どんな世界にも、どんな人にもやってくるハレゾラに、この1枚もなればなと思ってつけました。
――リリースを心待ちにしているリスナーにメッセージをお願いします。
井上:井上苑子らしい曲ができました! ライブでも早く披露したいです。みなさんと一緒にやって新曲たちをよりよくしてもらえる日を楽しみにしています。
――最後に、少し近況を聞かせてください。外出自粛が続いていますが、お家ではどんな風に過ごしてますか。
井上:いつもゲームです(笑)。こんなにするのか!というぐらいしてます。あとは、本を読んだり、映画を観たり、インプットをしまくってます!
――では、井上さんのお勧めのお家エンタメを1つ教えてください。
井上:好きな映画は沢山あるのですが、今日、ぱっと思い浮かんだオススメ映画は『ターミナル』です。スティーブン・スピルバーグ監督でトム・ハンクス主演。笑えるし、キュンキュンもするし、感動もする。言葉が通じない国のお話なので、言葉の壁はあるのに人間らしさの溢れた映画です。ぜひです!

【取材・文:永堀アツオ】

tag一覧 J-POP ミニアルバム インタビュー 女性ボーカル 井上苑子

リリース情報

ハレゾラ

ハレゾラ

2020年04月22日

ユニバーサルミュージック

01.近づく恋
02.ぜんぶ。
03.ラブリー
04.リボン
05.My Way
06.僕らの輝かしい未来

トップに戻る