オメでたい頭でなによりが未来を照らす――よりバンドの存在感が増した最新アルバムを赤飯が紐解く

オメでたい頭でなにより | 2020.04.29

 バンドとしてのグルーヴ、リリックのすみ分け、曲ごとのカラー、一層高くなったプレイヤビリティ、気持ち良さに即した楽曲展開……。オメでたい頭でなによりのニューアルバム『オメでたい頭でなにより2』(以下『2』)は、メンバー各人の存在感が更に際立ちながらも、よりバンドの全体観が色濃くなったのも特徴的だ。
 体感的な気持ち良さを大切に、そこに乗る歌詞のレトリックや使う言葉も吟味された今作。従来の、奇をてらったり頭で練ったものの楽曲反映に対し、各曲流れ的にもスムーズで、且つ、より歌が映えるに至ったのも印象深い。そう、ライブに於いて更なる本領発揮を魅せるに違いない今作は、誠に落ち込み、未来に対して不安な現在、その先を照らし希望を信じさせてくれるように響く頼もしい1枚と言える。
 そんな『2』についてを、ボーカルの赤飯が真意を紐解き、新たなる聴き方や響き方へといま導く。

――現在コロナウイルス感染症防止の外出自粛要請もあり、ご自宅から出ていない状況下だと思われますが、主に毎日どのように過ごされているんですか?
赤飯(Vo):この状況に腐っていても何も解決しないんで、動き出せる機会が来たら即全力疾走できるようにと、準備を日々行っている感じですね。
――その「準備」とは、例えば?
赤飯:主に曲作りですね。ストック曲は多いに越したことはないので。あとはギターの練習とか……。
――ギターですか? それは今後のライブ等で弾いたり?
赤飯:いや。実は僕、普通に弾き語りするのが好きなんです。オメでたやライブでは全く見せてませんが、趣味ではやっていて。その弾き語りが、やっていてけっこう気持ちいいんです。昨日も「#うたつなぎ」のバトンが回ってきたので、Le Coupleさんの「ひだまりの詩」の弾き語りをSNSにアップしたところでした。
――先ほど「曲作りをしている」との話でしたが、アルバムを作り終えたばかりなのに精力的ですね。
赤飯:今回の『2』の制作に際して、自分的に曲作りのモチベーションが凄く上がったんです。この熱量が冷めぬ前にどんどん作っておきたいなって。
――今回の『2』は、メロディ面もですが、歌詞の成長や深さにも驚きました。言葉のレトリックや韻、リズムに合わせた譜割や聴感にこだわった言葉選び等々……秀逸に練られていて。
赤飯:その感想は凄く嬉しいです。まさにその通りで。例えばM-1「頑張っていきまっしょい」にもそれは如実ですが、今回、僕が作った曲に関しては、メロディと歌詞が同時に浮かんでくるパターンが多かったんです。そことも紐づいていて。今まではそのような作り方って一切してきませんでしたから。
――324(Gt)さんが作ってきたメロディに赤飯さんが歌詞を乗せていくパターンが主でしたもんね。
赤飯:そうなんです。でも今回はそうじゃない曲たちも現れて。そこから「この曲は俺一人で作らせてくれ!」ってなったり。
――作詞/作曲の分業と、自分ひとりで完結させるのとではやはり違いますか?
赤飯:違いますね。もちろん324は今回もたくさんの曲で作曲をしてくれて、キチンとメロディも作ってきてはくれますが、打ち込みでのメロディなので。これまではやっぱり曲に馴染ませて歌うまで落とし込み切れていなかった部分もあったのが正直なところで。
――それは、頭の中で想像していたものと実際にそれを具現化して歌ってみた際にギャップが生じていたとか?
赤飯:まさしくそれです。あと冒頭の話に戻ると、ギターを弾きながら歌う、そこに快感を覚えて。凄く楽しいし気持ちいいんですよね。なんか自分の体内リズムで自然と歌えている気がして。対して、やっぱりメロディもちゃんと自分の体内グルーヴに馴染ませてから歌わないとダメなんだと改めて気づいたんです。
――では、この「頑張っていきまっしょい」の際は?
赤飯:この曲に関しては、去年末にとある映画を観て、これを自分なりに歌にしたいと思い立ち具現化させたものなんです。これも当初は324に曲を作ってもらっていました。実際彼にも映画を観てもらい把握してもらったりして。でも自分的には思うところもあり、「あとは俺に全てやらせて欲しい」と。
――それ凄く伝わってきます。今作はどの曲もバンドならではの体内グルーヴを擁している感じがありました。
赤飯:そこに気づいてもらえたのは凄く嬉しいです。自分でグルーヴを作り出し、それに周りを巻き込み更に大きなウネリへと変えていく。そのカッコよさや凄さに目覚めたんです。そこから自分から生まれ出たグルーヴやノリ、そのやっている自分の気持ち良さにどうメロディを嵌めていくか?へと気持ちが移ってきて。「そもそも歌っている本人が気持ち良くないのに、周りの人たちにどうやって気持ちよくなってもらうねん?」って話じゃないですか。その辺りが制作後半に芽生えてきたんです。それらが如実に反映されたのが、「頑張っていきまっしょい」と「週末ゥッッッ★トビマ~ス!!」でした。
――それに合わせて乗せる言葉が変わっていったのも、今作での歌詞の変化の要因だったのかもしれませんね?
赤飯:それは確かにあります。その自分の中から出てきたリズムに対して、どのような言葉を乗せたら更に気持ち良くなるか?は凄く考えるようになりましたから。
――幾つかの曲からは、海外のトレンド的なヒップホップのグルーヴとのシンパシーも感じましたが、これは?
赤飯:その辺りは、それより元々の僕の中にあった山崎まさよしさんのフィーリングかなって。僕、山崎さんが凄く大好きで。その辺りがナチュラルに昇華されて出せた気はしています。
――では、ヒップホップよりかはブルースのグルーヴやフィーリングに近いと?
赤飯:どちらかといったらそっちです。もちろん自分の中にもブラック系の要素はあって。元々フージーズやスティーヴィー・ワンダー等もめっちゃ好きで家で練習したりしてますから。その辺りの影響も出たのかもしれません。
――明確には現れていませんが、その辺りほのかに醸し出ていたり感じたりしました。
赤飯:その辺りはバンドとしての成長もあってのことでした。これまでメンバーにアレンジや演奏も任せきりだったものも、今回の僕の曲に関しては自分でキチンと各人にディレクションもしたんです。これまでは投げっぱなしで、良く言えば放任、悪く言えば無関心でしたから(笑)。例えばミト充(Dr)のドラムのリズムや細かいニュアンスとか、324のギターも「ここでこういったソロを入れてくれ」等々。「頭からつま先までこうしたいんだ」という欲が芽生え、それに沿って楽曲制作の主導権を取らせてもらったものも多かったんです。
――それは、より自分の楽曲に対する責任感の類いから?
赤飯:完成形が自分の中でしっかりとあったんです。「この曲はこうしたい」「この曲はこうなんだ」が明確にあった。そこにメンバー一同、一緒に向かってもらいました。自分が最後まで気持ちよくノれる、その辺りを第一にしたくて。それこそ、いい意味でエゴイスティックにいかせてもらいました。
――その辺り他のメンバーは大丈夫でしたか? 捉え方によっては各位らしさを失う懸念もありますが?
赤飯:わりと大丈夫でした。逆に、僕が今まで言わなさすぎたんじゃないか?ぐらい(笑)。そもそも、元々各人サポートも他に沢山やってきて対応力があるし。結果、後半にそれらの曲が出てきたことで、バンドとしてのグルーヴ、純粋に本能的に体が気持ち良いと感じられるものって凄く大事やなと、今更ながらようやく感じられるようになったし(笑)。それが今作でのバンドとしての成長の一つでした。
――あとはアレンジ方面も、余計な飛び道具や奇をてらったり、中に妙な展開を入れてのドラマティックづけも減った印象です。アレンジも凄くスムーズで流れのいい曲が増えましたよね?
赤飯:ストレートに頭から最後まで、ちゃんと気持ちよくいられる楽曲が増えたとは自分でも感じます。身体が気持ち良さげにたゆたっている状態が、何も考えられなくても作り出せるようになったかなって。
――サウンドがそちらに移ったぶん、逆にリリックの妙で遊んだり楽しんだりしていて、これまでの愉快性もキチンと保たれている印象です。
赤飯:「哀紫電一閃」なんてまさにそうかも。この曲はタイアップもあり、先方からも「NOボケでお願いします」とのリクエストがあったんです。でも、NOボケでそのままでは自分たちらしくないなって(笑)。なのでこの曲に関しては、あえて歌詞や言葉で秘められた、この曲に対する自身のアイデンティティを込めさせてもらいました(笑)。
――「哀紫電一閃」は改めて歌詞カードを見ながら聴き、そこで新たな答え合わせも出来て面白かったです。今回は他にも、よくよく聴くと、こんな言葉を使っていたのか!?と二度楽しめるレトリックもふんだんですね。
赤飯:以前よりも狡猾になったり(笑)、頭でキチンとヒネって作っていった曲もありました。とは言え、そこは特に意識もしていなくて。作り終えて気づいたらこうなってました。成長しているんでしょう。やりたいことはそもそも変わってませんから。そのバランス配分が上手くできるようになったんじゃないかな。
――分かります。が故に、クオリティは今まで以上に高いですもんね。
赤飯:そこは実感しています。ここまできたら舐められっぱなしは卒業したいですから(笑)。
――リリックの内容にしても、ポリティカルで世間に物申す的な硬派なリリックも現れ出しましたもんね?
赤飯:「God luck -運神-」ですね。この曲は、ぽにき君(ぽにきんぐだむ(Gt/Vo))のリリックなんですが、彼の熱さや真っすぐさ、ヘイトが丸々叩きつけられた、実に彼らしい持ち味全開のリリックだなって。あれは自分には書けないです。同じ意味で324の歌詞も僕には真似できません。それらもあり、歌詞や歌内容もバランスが取れて広がりが出せたかなって。
――「ピーマン」の作詞/作曲は324さんですもんね。彼の持ち味の一つでもある悶々とした感情も交え、それを経てキチンと最後には明るさや希望が感じられる。凄くいい曲にして彼らしい歌内容です。

赤飯:凄くいい曲が出来ました。内側に向かっている歌詞も交えつつ、疲れている方や傷ついている方にも寄り添えていて。この曲には、これまでとは違った大団円感があるのも面白い。いつもの自分たちの“ハッピーでオメでたい”とは違った大団円感とでも言うか。
――エピローグを除き、本編の最後を飾るのにピッタリの曲です。
赤飯:最初はラストに入れる曲という意識をもって作ってはいなかったんです。出来上がった結果、「なんだこの曲の大団円感は!!」と。マスタリングの際もあえてそっち方面に寄せてもらいました。
――オメでたもいよいよここまで到達したかとの感動すら覚えました。
赤飯:それ嬉しいな。324に伝えておきます。あと、メッセージ性といえば1曲目に「頑張っていきまっしょい」を入れたのにも理由があって。
――この歌は今の時期に凄く聴き手に励みになる歌に響きました。
赤飯:結果的にですが、自分でも凄くそれを感じていて。制作時には、今の世の中の状況なんて想像すらしてせんでしたから。このような状況に陥って、より歌が説得力や信憑性を増したと自分でも感じています。
――冒頭で「この曲は映画にインスパイアされて出来た」とおっしゃってましたが。
赤飯:そうなんです。もともとこの「頑張っていきまっしょい」のフレーズを使いたくて。これは自分も昔から大好きだったモーニング娘。さんのコンサート時の気合い入れの際に用いるフレーズで。自分の想いもそこに含ませてもらいました。
――その「想い」とは?
赤飯:「頑張れ」って基本、応援する言葉じゃないですか。でも、それも思い詰めている方や疲れている方にはトゥーマッチで疎ましく響いて、余計その人を傷つけてしまう懸念もある。「そんなこと分かってんだよ!!」って。でも、この「頑張っていきまっしょい」の場合は、ある意味、“あなたのそのやっていることや目指していることの成功を祈っていますよ”との意味合いで自分は使っていて。
――相手に向けて一方的に言うのではなく、「一緒に頑張ろうぜ」とも響きますもんね。
赤飯:そこなんです。「お互い上手くいけばいいね」「お互い上手くいくよう各々進んで行こう」、そんな言葉と自分は捉えていて。基本、この『2』は聴き手との距離感を凄く意識して作った作品でもあって。聴く方のパーソナルスペースは侵さずに、キチンと伝えたいことを伝えたかったんです。実は「頑張っていきまっしょい」も、自分たちもライブ前の円陣の際に声を合わせてからライブに挑んでるんです。今のこの状況の中、結果、凄く意味のある言葉に変わったし、より大切な言葉になったなといま凄く実感しています。

【取材・文:池田スカオ和宏】

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リリース情報

オメでたい頭でなにより2

オメでたい頭でなにより2

2020年04月29日

ポニーキャニオン

01.頑張っていきまっしょい
02.今いくね
03.踊る世間もええじゃないか
04.乾杯トゥモロー
05.God luck -運神-
06.SIX ON THE PACK(DJデンジャー◎ティガー feat. ザ・そふとたっち)
07.ザ☆キュ~ティクルピーポー
08.四畳半フォークリフト
09.哀紫電一閃
10.週末ゥッッッ★トビマ~ス!!
11.ピーマン
12.またくるね

お知らせ

■ライブ情報

ワンマンツアー ~今 いくね くるね 2~ 振替公演
09/25(金)東京 EX THEATER ROPPONGI
10/08(木)石川 金沢AZ
10/09(金)長野 長野CLUB JUNK BOX
10/11(日)愛知 名古屋DIAMOND HALL
10/15(木)大阪 心斎橋BIGCAT
10/22(木)福岡 DRUM Be-1
10/23(金)香川 高松MONSTER
10/25(日)広島 広島CAVE BE
10/31(土)栃木 宇都宮HEAVEN’S ROCK VJ-2
11/03(火祝)秋田 秋田Club SWINDLE
11/04(水)宮城 仙台CLUB JUNK BOX
11/23(月祝)北海道 札幌ペニーレーン24
11/29(日)沖縄 桜坂セントラル


OGA NAMAHAGE ROCK FESTIVAL vol.11
07/24(金)・25(土)・26(日)秋田 男鹿市船川港内特設ステージ

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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