話題のコラボレーションEP第2弾! 新進気鋭5組との制作について訊いた!

堀込泰行 | 2020.05.13

 堀込泰行がEP「GOOD VIBRATIONS 2」をリリースする。
 D.A.N.、WONK、シャムキャッツ、tofubeats、□□□が参加したEP「GOOD VIBRATIONS」(2017年)に続く本作では、STUTS、TENDRE、machina、LITTLE TEMPO、スカートとのコラボレーションが実現。堀込泰行の洗練されたメロディ、コード進行、歌が、多彩なゲスト陣との共演により、さらに豊かな広がりを持ったポップミュージックへと昇華されている。

――新作EP「GOOD VIBRATIONS 2」がリリースされます。2017年に発表された「GOOD VIBRATIONS」に続く第2弾ですが、このタイミングで再びコラボ作品を制作したのはどういう理由だったんですか?
堀込泰行:前回の「GOOD VIBRATIONS」の評判が良かったし、自分自身も手ごたえがあったんですよ。自分でプロデュースするときはもちろん、共同プロデューサーがいる場合も、全体の舵取りは自分でやるんですが、「GOOD VIBRATIONS」ではアレンジやプロデュースを基本的に先方(コラボレーションの相手)にお任せするわけで。そこで返ってきたものが、想像以上に面白みがあったんですよね。予想外の化学反応を感じることができたし、もう一度、僕自身が興味のある人たちと一緒にやってみたいなと。それともうひとつ、「まだ自分の音楽を知らない人たちにも届けたい」という気持ちもありましたね。
――今回参加したアーティストは、STUTS、TENDRE、machina、LITTLE TEMPO、スカート。幅広いジャンルのアーティストが揃っていますが、EP全体のムードには統一感がありますね。ゆったり聴けると言いますか……。
堀込:そうですね。たしかにそれぞれがやってる音楽のタイプは違いますけど、5曲を通して気持ちよく聴けるように意識したし、曲の並びにも気を使ったので。全体的にリラックスした感じになってますね。
――1曲目の「Sunday in the park + STUTS」は、STUTSさん特有の“人力の打ち込み感”が反映されたトラックが印象的でした。
堀込:この曲はまず、STUTSくんが僕をイメージしたトラックを送ってくれて。Aメロにあたる部分がそうなんですけど、それに対して僕が「サビはこんな感じでどう?」と提案して、やりとりしながら作っていきました。彼も「自分のビートを出したい」という気持ちは当然あったでしょうし、ミックスまで全部やってもらって、相当こだわってくれましたね。
――日曜日の公園を舞台にした歌詞にもすごく合ってるサウンドですよね。この歌詞、外出自粛のときに聴くと、めちゃくちゃ沁みますね……。
堀込:そうかもしれないですね。歌詞はあとから乗せたんですけど、その時点では(新型コロナウイルスの影響で)こんな状況になるなんて思ってなくて。春から初夏にかけて、公園でゆったり楽しんでる様子だったり、日常の中で自然に聴ける曲にしたいと思ってたんですよね、単純に。現在の外出自粛という状況の中で聴いても、リラックスできる曲になったらいいなと。
――そして2曲目の「強く優しく + TENDRE」は、浮遊感のあるバラードナンバー。TENDREさんは00年代後半のシティポップ・リバイバルを代表するアーティストのひとりですが、以前から交流があったんですか?
堀込:いえ、今回が初めてです。どうやらキリンジを聴いてくれていたみたいで、声を掛けさせてもらったときも、すぐに乗り気になってくれて。まずはこちらから、僕が思うTENDREのイメージに合った曲と言いますか、AOR/シティポップのような洗練されたノリのいい曲と、バラード曲の2つを用意して、「どっちかやりたいほうを選んで」と送ったんです。彼が選んだのはバラードのほうで、さらに曲の展開や構成を提示しながら形にしていって。アレンジも彼にお任せしたんですが、戻ってきたものはかなり意外でしたね。もっと打ち込み感が強くて、シンセの音色を中心としたアレンジになるのかなと予想していたんですが、出来上がったものはギターが中心になっていて。あとはシンプルにリズムを刻む音、モーグ・シンセで成り立っているんです。僕のメロディはわりとスタンダードっぽい感じなんだけど、アレンジは結構攻めていて、それがこの曲の面白さにつながっていると思いますね。ミニマルなビートが刻まれているという意味ではR&B寄りにも聴こえるし、ギターが中心になってるので、ギター系のシンガーソングライターの楽曲のようにも聴こえるっていう。
――続く「蟻と惑星(プラネット) + machina」は、韓国出身のトラックメイカー/シンガーソングライターのmachinaさんとのコラボレーション。この曲のサウンドデザインもすごく個性的ですね。エレクトロニカの新しいスタイルだなと感じました。
堀込:machinaさんの楽曲を聴かせてもらって、単純にかっこいいなと思って。自分がやっている、コードとメロディを大事にした曲の作り方とは全然違うし、だからこそ一緒にやってみたいなと。極力シンプルなデモを作って――コードの移り変わりが少なくて、ベースもずっと同じ音で、あとはサウンドで膨らませていく作り方だったんですよ。彼女のほうでベースラインを動かしたり、「メロディを思い付いたので、加えていいですか?」という提案もあって。こちらとしては、「もちろんです。どんどんやってください」という感じでしたね。
――machinaさんのボーカルも入っているし、韓国語の歌詞もポイントだなと。
堀込:前半は僕のほうで日本語の歌詞を付けたんです。彼女のメロディが加わって、尺が長くなったので、物語性を持たせたほうがいいなと思って。“殺伐とした惑星の風景の中で蟻が歩いていて、その先に花が揺れてる”というところまで書いて、あとはmachinaさんに「フェイクに合わせて日本語の歌詞を乗せてもいいし、韓国語でもいいし、フェイクのままでもいいです」とお願いしたら、韓国語の歌詞を入れてくれて。いちばん決まりごとが少ない制作だったと思います。たしかにお互いが関与してるんだけど、どこまでが自分で、どこからがmachinaさんか、境界線がわからないというか。
――「スウィートソウル + LITTLE TEMPO」は、キリンジの楽曲「スウィートソウル」の“Lovers Version”。この曲は去年、12インチのアナログ盤でリリースされてますね。
堀込:以前、「エイリアンズ」の“Lovers Version”をツアーメンバーと一緒に作ったことがあって。それを受けて、今回はLITTLE TEMPOと一緒に「スウィートソウル」をカバーしたんです。LITTLE TEMPOの田村玄一さん(スティールパン、ペダルスティール)とはキリンジの頃からよく一緒にやっていたし、内田直之さん(ダブ・ミックス)とは、僕のツアーでPAをお願いしたことがあって、そのときの音がすごく良かったんです。なので、ふたつ接点があるんですよね、LITTLE TEMPOとは。
――なるほど。ちなみに「エイリアンズ」の“Lovers Version”は、昨年の堀込さんのツアー(「LIVE TOUR 2019“What A Wonderful World”」)でも披露されていましたが、オーディエンスの反応はどうでしたか?
堀込:皆さん、気に入ってくれたと思います。「エイリアンズ」はずっとやってなかったんですよ。キリンジ時代の代表曲だし、ソロになってそのまま(のアレンジで)やるのは違うなという気持ちもあって。“Lovers Version”を作ったことで新しく生まれ変わった感じもあったし、「これならライブでもやりたい」と思って。僕らとしても面白いものが出来たと思うし、レコードとしてもいい作品が残せたんじゃないかなと。
――そして最後に収録されているのは、「サンシャインガール + SKIRT」。堀込さんとスカート(澤部渡によるソロプロジェクト)のコラボは、お互いのファンにとって大きな話題を集めています。
堀込:僕も澤部くんの音楽にはシンパシーを感じていたし、いつか一緒にやってみたいと思ってたんですよね。「GOOD VIBRATIONS」は自分と違うタイプの人とやるのが醍醐味だと思うんだけど、スカートはそうじゃなくて。自分と好きな音楽が似ているだろうし、似た者同士というか、わかり合える部分が多いところで一緒に作ってみるのもいいかなと。実際、「サンシャインガール」には、ふたりでにんまりしながら作ってる感じが出てると思います。ただ、曲を選ぶのは難しかったですね。いわゆるギターポップみたいな感じの曲だと、あまり良くならない危険性があるなと思って。いろいろ考えて、ちょっとXTCみたいなひねりの効いた曲がいいかなと。
――たしかにXTCのテイストが入ってますね、「サンシャインガール」は。ちょっと変わったコード進行だったり、捻れた感じのメロディだったり。
堀込:ポール・マッカートニーみたいな雰囲気がベースにあって、そのうえにXTC感が加わってるというか。デモを澤部くんに渡したら、よりマニアックと言いますか、エミット・ローズ的なアレンジで返してくれて。それをもとにして、音の録り方、ミックスの具合を決めてくれたみたいですね。真ん中にドラムと歌があって、ほかの楽器が左右に振ってあって。昔のステレオの音ですよね。
――本当に充実したコラボレーション作品だと思います。「GOOD VIBRATIONS 2」で得たものを踏まえて、次の活動ビジョンはどうなりそうですか?
堀込:まず、今回のコラボは、前回以上にコラボアーティストとの密度が高いと感じていて。次の作品でも、ほかの人にアレンジやプロデュースを投げてみるのもいいかなと思ったりしてます。まあ、まだはっきりとは決めてないですけどね。次のオリジナルアルバムに向けて、また曲を書くことから始めるんですが、セルフプロデュースでいくのか、数曲単位で面白そうな人に振るのがいいのか、「どっちがいいのかねえ?」という感じですね、今は。あと、「GOOD VIBRATIONS 2」の制作を通して、STUTSくん、TENDRE、machinaさんのサウンドに感化されたところもあって。みなさんもそうでしょうけど、ずっと家にいるので、その時間を上手く利用しながら、次作に向けた準備を進めようと思ってます。

【取材・文:森朋之】

tag一覧 J-POP EP インタビュー 男性ボーカル 堀込泰行

リリース情報

GOOD VIBRATIONS 2

GOOD VIBRATIONS 2

2020年05月13日

日本コロムビア

01.Sunday in the park + STUTS
02.強く優しく + TENDRE
03.蟻と惑星(プラネット) + machina
04.スウィートソウル(Lovers Version) + LITTLE TEMPO
05.サンシャインガール + SKIRT

お知らせ

■配信リンク

↓各種ストリーミングサービスはこちら↓
https://nippon-columbia.lnk.to/gqvuLznNEM



■マイ検索ワード

サンプラー MPC
インタビューの続きみたいな感じですけど(笑)、「GOOD VIBRATIONS 2」を作ったことで、“メロディを大事にした歌モノ”という自分のスタイルに、今っぽいサウンドを取り入れるにはどうしたらいいか?ということを考え始めていて。サンプラーやMPC、ソフトシンセなどの機材を揃えようと思っているんですよね。



■ライブ情報

堀込泰行 LIVE TOUR 2020
Billboard Live & Blue Note

(Vo,Gt:堀込泰行、Key:伊藤隆博、Gt:八橋義幸、Ba:沖山優司、Dr:小松茂、Cho:真城めぐみ)
06/08(月)大阪 Billboard Live OSAKA
06/14(日)東京 Billboard Live TOKYO
06/16(火)神奈川 Billboard Live YOKOHAMA
06/18(木)愛知 Blue Note NAGOYA

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る